ニコン Zで夏のフォトウォークを楽しむ
はじめに
すっかり日差しも強くなり、本格的な夏がやってきましたね。「暑いから撮影は秋になってから…」なんて涼しい室内で過ごしたくなる季節ですが、実はこの時期、写真好きにとっては一年の中で最もドラマチックな光に出会える特別なシーズンでもあります。真夏の眩しい太陽、どこまでも澄み渡る青い海と空、そして夕刻の切ないグラデーション。ときおり襲来するゲリラ豪雨・・・。
もちろん、猛暑の中での撮影は体力的にも楽ではありません。だからこそ、持って行く機材はできるだけシンプルに、そして軽快でありたいもの。今回は、手にすっと馴染んで軽やかに連れ出せるニコンのZシリーズを手に、夏の街や海辺で見つけた「とっておきの一瞬」を切り取るコツをご紹介します。
強烈な「日差し」が生み出すグラフィックな影を探す
夏の日中は太陽が極めて高い位置にあり、上から強烈な光が降り注ぎます。ポートレートや一般的な風景撮影では「光が強すぎて白飛びしてしまう」「コントラストが高すぎる」と避けられがちな時間帯ですが、スナップ撮影においては「影の面白さ」が一番引き立つ最高の時間帯に変わります。被写体そのものよりも「影が作るカタチ」に注目してみましょう。

■撮影環境:48mm 1/160秒 f/8 ISO64
夏色の「青」に、ひとさじの色彩を添えてみる
夏の撮影で切っても切り離せないのが、見上げるような青空や、どこまでも続く海の青さです。見ているだけで胸がすっとするような開放感がありますが、ただ「青い景色」を漠然と撮るだけでは、どこか写真が平坦に見えてしまうこともあります。このカットのように建物の間から青い空が見えるだけでも夏っぽさを表現できます。これなら都会でも撮影可能ですね。

■撮影環境:200mm 1/400秒 f/5.6 ISO64
ワンポイント被写体を加える
青い空を背景に対象物をひとつだけポツンと配置してみてください。青と対比となるものが画面に入ることで、写真全体にキュッと視線が集まるリズムが生まれます。街中をフォトウォークするときにちょっと遠い視線になるように意識して歩くといいでしょう。

■撮影環境:60mm 1/500秒 f/7.1 ISO100
遠景と近景のバランス、水平に注意する
また「ヌケ感」を感じさせる画面構成も大切です。近景と遠景をバランスよく配置して、夏の爽やかさを意識してフレーミングしてみましょう。水平をきちんと取ってシャッターを切ると気持ちのいい整理された写真になるはずです。

■撮影環境:180mm 1/1600秒 f/4 ISO64
マジックアワーの海辺は「シルエット」で物語を紡ぐ
太陽がゆっくりと傾き始め、空がゴールドからオレンジ、そして深い紫へと移り変わる夕暮れ時。夏スナップにおいて最もドラマチックで、心が揺さぶられる時間帯です。
このグラデーションの美しい時間帯は、被写体を細部まで描写しようとせず、思い切って「シルエット」として切り取ってみるのがおすすめです。

■撮影環境:200mm 1/800秒 f/3.5 ISO64
ピントをあえて背景に合わせてみよう
浜辺で夕日を眺める人々や、波打ち際を走る子供の姿。背景の鮮やかな空のグラデーションに露出を合わせると、手前の人物たちは自然と黒いシルエットへと変化します。あえてフォーカスを背景に合わせて、人物をぼかして写すのもいいでしょう。

■撮影環境:120mm 1/1600秒 f/2.8 ISO100
夕陽のシーンでは表情が判別できないからこそ、見る人は「この人たちはどんな会話をしているのだろう」「どんな思いで夕日を見ているのかな」と、自由にストーリーを想像することができます。歩き回る人たちの配置に気を配って、シャッターをどんどん切ってみましょう。人の位置が変化すると写真の印象も変わってきますよ。

■撮影環境:34mm 1/1250秒 f/8 ISO100
街角に差す光と残照に注目する
ニコンZシリーズの描写性能は、夕日の強いハイライトから影の豊かなトーンまでを非常に滑らかにつないでくれるため、逆光という難しいシチュエーションでも失敗を恐れず、自信を持ってダイナミックな構図に挑むことができます。こんな斜光の美しい光景も思いのままです。

■撮影環境:70mm 1/250秒 f/5.6 ISO100
残照に染まる街の奥行き感
橋を渡っているときに、ふと振り返るとビルに美しい夕陽が差し込んでいました。船の雰囲気もいい感じです。太陽だけでなく、それが照らし出す被写体にも注目したいものです。こういうシーンはホワイトバランスを太陽光にセットして夕陽の色をしっかりと出すといいでしょう。薄暮のシーンは絶好のスナップタイムです。

■撮影環境:24mm 1/250秒 f/5.6 ISO125
日が落ちてからはプライム(単焦点)レンズの出番
とっぷりと日が暮れても、F1.4やF1.8といった明るい単焦点(プライム)レンズがあれば撮影が楽しめます。絞り開放域を使って、美しいボケ感と描写を味わってみましょう。高層ビルの展望台でスマホを使って撮影する外国人観光客を狙ってみました。活動時間が長くなる夏は夜もシャッターチャンスが盛りだくさんです。

■撮影環境:1/250秒 f/1.8 ISO4000
モノクロームで暑さを表現する
ニコンZシリーズはモノクロームの描写が美しいことでも知られています。モードを変更してシャッターを切るだけで、こんな日本ではないような雰囲気に仕上がります。ホワイトバランスやピクチャーコントロールの組み合わせの中から、自分好みの設定を見つけ出して夏のワンシーンをキャプチャーするのも楽しいものですよ。

■撮影環境:24mm 1/1600秒 f/5.6 ISO100
まとめ
夏の撮影は光と影のメリハリが非常に強く、ほんの少し視点を変えたり露出を調整したりするだけで、見慣れた景色がドラマチックな作品へと変わっていきます。
・強烈な真昼の光は「影のカタチ」を作品にする
・広がりのある「青」には、一滴のアクセントカラーを
・ドラマチックな夕刻は「シルエット」でストーリーを描く
・夕光の差す街並みは構図で奥行きを魅せる
熱中症対策とこまめな水分補給をしっかり心がけながら、ぜひ皆さんも「この夏だけの光」を探しに、街や山、海へ出かけてみてください。
■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなどで活躍中。さまざまな企業のイメージ撮影や、ポートレート撮影、公式インスタグラムの撮影などを多く手がける。スマートフォン撮影のパイオニアとしても活動中。
















