ニコン NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ|ムービーだけでなくスチルでも大活躍!

パワーズーム搭載の「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」
スチル撮影だけでなく、ムービー撮影でも人気のニコンから、パワーズーム機能を搭載した意欲的なレンズが登場しました。
この「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」はズームレバーの操作によって、電動によるスムーズなズーミングを可能にし、使いやすい画角をカバーするだけでなく、ムービー撮影の現場で役立つ数々の機能を搭載しています。もちろん一般的なスチル撮影でも、高い画質を約束してくれる素晴らしいレンズに仕上がっていました。
「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」の特徴
このレンズのアドバンテージは、一般的な撮影でよく使用する「28〜135mm」という画角を優れた描写でカバーしていることと、細かいスピード調整ができるパワーズーム機能(電動ズーム)を有しているところです。しかも比較的軽量コンパクトなので、ワンマンオペレーションでも快適に持ち運んで使用することが可能です。一見大きなレンズに見えますが、70-200mm相当のサイズ感なので日常的に使うこともできます。
もちろん光学性能も優秀です。「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」は写りに定評のある大口径ショートフランジバックのニコンZマウントなので、Z9やZ8の8K撮影でもクリアでヌケ感の高い画質を誇ります。ワイド端からテレ端まで緻密で豊かなトーンを得ることが可能です。
またゴーストやフレアを低減するメソアモルファスコートと、フッ素コートを最前面のレンズに施しており汚れが付着しにくい仕様になっているのが心強いですね。
操作感も秀逸です。ズーミングはレンズ鏡筒のサイドに設けられたズームレバーで行えます。スムーズで自然なズーミングが誰でも簡単に実現できます。

しかもそのズームスピードは11段階から選ぶことができ、ムービーの演出によって最適なスピードを選択できます。これはとても便利ですね。演出意図に合ったスムーズなズーミング速度が選べます。もちろんスチル撮影時でも微妙な画角調整が可能です。
また、Z9やZ8での4K撮影時にはハイレゾズーム機能を使って、270mm相当、Z6IIIでは最大1.4倍(189mm相当)の望遠撮影が可能です。これは同機の高画素を利用してのデジタルズームで、のちの編集時でのズームよりも高画質な映像を記録可能です。しかも、光学のパワーズームとハイレゾズームを同時に使うことによってシームレスなズーミングができるのです。方法もエクステンド式とシンクロ式が用意されており、シンクロ式の場合、パワーズームとハイレゾズームを同時に行うのでズーミングがよりスムーズに行えるようになっています。
▼高速(+5)の場合
▼通常(0)の場合
▼低速(-5)の場合

もちろん指がかりのいいズームリングでの手動ズーミングも可能です。さらに、カメラで機能を割り当てた「L-Fnボタン」でのズーミングもできます。ズームリングを回す角度、回転方向をカスタマイズすることも可能なので撮影がスムーズに行えるようになっています。

フォーカスリング、ズームリングは指で触れただけでしっかりと判別可能なローレット形状をしており、手動でも操作がしやすくなっています。

レンズに付属する角形のレンズフード「HB-116」には、フィルター操作窓が設けられていて、ムービー撮影時に必須の可変NDフィルターの操作がしやすくなっています。これならN-Log撮影でも安心ですね。
「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」でブラブラ実写スナップ!
それではこの使いやすく便利な高性能電動ズームレンズをニコン「Z8」に装着して、街中をブラブラと撮影してみましょう。ホールドしやすいデザインとサイズ感なので、スチルもムービーもシームレスかつ思い通りに撮影することができました。
手持ちでスナップムービー的に撮影しましたが、ホールドとズーミングがしやすく、シーンを次々とクリップ的に収録するというスタイルで楽しめました。「Z8」とのバランスも良く、疲れ知らずなことが驚きでした。
▼28mm

■撮影環境:28mm 1/50秒 f/5.6 ISO100
▼135mm

■撮影環境:135mm 1/50秒 f/5.6 ISO110
ワイド端28mmとテレ端135mmの画角はこのような感じです。スナップから風景、ポートレート、ドキュメンタリーなどで使いやすいズームレンジと言えるでしょう。描写も画面中央部から周辺部までシャープで、大口径ショートフランジバックのニコンZマウントレンズらしい緻密な写りだと感じます。

■撮影環境:28mm 1/100秒 f/5.6 ISO720
ワイド端の28mmでは撮像面から0.34mまで被写体に接近することが可能です。レトロな電話機に肉薄しましたが、その歴史を感じさせる使い込まれた様子をしっかりと写し止めてくれています。質感もバツグンですね!

■撮影環境:28mm 1/200秒 f/8 ISO180
こちらもワイド端の28mmでのカットです。色とりどりのチューリップを撮りましたが、その発色の見事なこと!
そして花々のディテールも実にリアルにキャプチャーできました。コントラストも解像感も素晴らしいと感じました。

■撮影環境:61mm 1/125秒 f/8 ISO90
「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」はオートフォーカスも高速でした。ガラスに映り込んだ被写体でも狙ったところに瞬時に合焦してくれます。またムービー撮影時にはフォローフォーカスも使用可能です。フォーカスリングはギアモジュール0.8に適合し、正確かつ思い通りのフォーカシングができます。

■撮影環境:135mm 1/125秒 f/4 ISO110
「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」をスチル撮影で使いましたが、十分に実用的だと感じました。ズームレバーでの微妙な画角調整がとても容易であり、レンズの形状も持ちやすくて使いやすかったからです。その写りも優秀なので、ムービー撮影のためだけでなく、積極的に日常的な使用もできると思いました。

■撮影環境:135mm 1/32000秒 f/4 ISO1400
吹き上がる噴水の飛沫を1/32000秒で捉えました。舞い散る水粒のひとつひとつがキラキラとしっかり解像されています。この「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」と高解像度機「Z8」のコンビはとても頼もしいですね。

■撮影環境:135mm 1/1000秒 f/5.6 ISO320
お濠を泳ぐハクチョウを狙いましたが、その動きに合わせてズームレバーを操作して画角をうまく調整できました。回転式ズームリングだとホールドが難しいシチュエーションでも、ズームレバーによる電動ズームならば、フレーミングに集中しながらシャッターチャンスに神経を研ぎ澄ませられることでしょう。

■撮影環境:135mm 1/400秒 f/4 ISO80
防塵・防滴性能に配慮した設計の「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」は撮影フィールドを選びません。レンズ内部にホコリや水滴の侵入を防ぐシーリングがされているので、アウトドアでも安心して撮影が可能です。テレ端135mmでのチューリップの鮮やかな写りがとてもいいですね!

■撮影環境:40mm 1/250秒 f/8 ISO180
もちろん中間域での描写も素晴らしいです。近景の花々から遠景の木々の葉、そして集う人々までシャープかつリッチに「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」は捉えてくれました。

■撮影環境:135mm 1/160秒 f/4 ISO64
「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」のヌケ感のある写りはとても好印象でした。それはピント面のシャープさを際立たせ、微妙な色合いとトーンは空気感を演出してくれます。このレンズはスチルでもムービーでも最高のシーンを記録してくれるに違いありません。

■撮影環境:97mm 1/160秒 f/4 ISO560
このレンズを使って、その端正な写りに驚かされました。薄暮のシーンでも実にリアルな絵を撮ることができました。
定評ある「Z9」、「Z8」の高い解像度は、8Kムービーでも絶大な写りを約束してくれることでしょう。「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」の持つ優れたデザインと操作性は、作品の質をグッと押し上げてくれる存在だと感じました。
「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」のスペック
型式:ニコン Z マウント
焦点距離:28mm–135mm
最大口径比:1:4
レンズ構成:13群18枚(EDレンズ3 枚、ED非球面レンズ 1枚、非球面レンズ4枚、 メソアモルファスコートあり、最前面のレンズ面にフッ素コートあり)
画角:18°10′-75°(撮像範囲 フルサイズ/FXフォーマット)
12°-53°(撮像範囲 APS-Cサイズ/DXフォーマット)
ピント合わせ:IF(インターナルフォーカス)方式
最短撮影距離:
• 焦点距離28mm時:撮像面から0.34m
• 焦点距離35mm時:撮像面から0.34m
• 焦点距離50mm時:撮像面から0.34m
• 焦点距離70mm時:撮像面から0.39m
• 焦点距離85mm時:撮像面から0.43m
• 焦点距離105mm時:撮像面から0.49m
• 焦点距離135mm時:撮像面から0.57m
最大撮影倍率:0.25倍(焦点距離55~135mm)
絞り羽根枚数:9枚(円形絞り)
絞り方式:電磁絞りによる自動絞り
最大絞り:f/4
最小絞り:f/22
アタッチメントサイズ(フィルターサイズ):95mm(P=1.0mm)
寸法:約105mm(最大径)×177.5mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで)
質量:約1210g(三脚座を含む)
約1120g(三脚座なし)
付属品:
• レンズキャップ95mm LC-95B(スプリング式)
• 裏ぶた LF-N1
• レンズフード HB-116
• レンズケース CL-C5
「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」のまとめ

この「NIKKOR Z 28-135mm f /4 PZ」はムービー撮影のために生まれたレンズですが、スチルでも高い描写と使いやすさを発揮してくれました。近ごろフォトグラファーには両方の撮影スキルが求められるケースが激増しています。そんな人たちに対するニコンからの回答がこのレンズだと言えるでしょう。「RED」を買収したニコンですが、これからの展開が楽しみになってくる新レンズでした。
■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなどで活躍中。さまざまな企業のイメージ撮影や、ポートレート撮影、公式インスタグラムの撮影などを多く手がける。スマートフォン撮影のパイオニアとしても活動中。