ニコン NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR|旅に持ち歩きたくなるレンズで撮るマジックアワー

相沢亮

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はじめに

 はじめまして、東京で写真家をしております相沢亮と申します。旅が好きでカメラを携えて1ヶ月の半分以上家を空けることもあります(昨年1番旅に出ていたときは、18日間も旅に出ていました)。そんな僕が今回初めてShaShaにて記事を担当させて頂きます。どうぞ、よろしくお願いします。

 早速ですが今回は、ニコン Z 50とNIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRの組み合わせで、東京のマジックアワーを中心に撮影してきました。Z 50といえばAPS-Cセンサーを搭載しており、他のフルサイズのNIKON Zシリーズに比して小型、軽量で携帯性に優れたボディです。そんなボディに幅広い焦点距離をカバーできるNIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRを合わせ、どんな作例を撮ることができるのか試してきました。

 下の作例は、幅広い焦点距離を活かし、夕日を切り取ってみました。

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■使用機材:ニコン Z 50 + NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
■撮影環境:F8 1/500秒 ISO100 焦点距離18mm(フルサイズ換算27mm)
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■使用機材:ニコン Z 50 + NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
■撮影環境:F9 1/500秒 ISO100 焦点距離120mm(フルサイズ換算180mm)

重さを感じさせず、旅に持ち歩きたくなる組み合わせ

 まず、持った感想がとにかく軽い。今回のレンズの重さが約315gでボディの重さが約450g。合わせて約765gと、普段2kgを超える機材を持ち歩くこともある自分にとって、1つの組み合わせで幅広い焦点距離をカバーできるのはありがたかったです。正直カメラを持っているという感覚ではないです。(なんだろう、500mlのペットボトルと半分飲みかけのペットボトルですかね笑)

 カメラって持ち歩くとじわじわと機材の重さが体に染みてくることがあるのですよね。昨年の7月に登山をしたのですが、レンズを複数持って行って、その重さに後悔した経験があります。極論かもしれませんが、旅をするならレンズの本数をできる限り少なく、軽ければ軽いほど良いです。

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ニコン Z 50にNIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRを装着した状態
Z fcと比較しても見た目、重さともに大きく変わることなく、幅広い焦点距離をカバーできます

 荷物を常に携行する公共交通機関で移動する旅もたびたびあるのですが、地元の方々と交流したり、お店に入ったりする場合に機材のことを気にしなくて大丈夫な点もありがたいです。大きい機材特有の威圧感というものを感じさせません。首にぶら下げながら、ふらっとお土産屋さんに入っても大丈夫でバッグなどの身近なものと同じ扱いに近いイメージですかね。

気になる画質は!?マジックアワーの薄暗い時間に撮影

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■使用機材:ニコン Z 50 + NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
■撮影環境:F6.3 0.6秒 ISO160 焦点距離53mm(フルサイズ換算79mm)

 Z 50がAPS-C機の軽いボディということで、どうしても気になるのが画質だと思います。冒頭でも触れたのですが、今回マジックアワーというあえて薄暗い環境での撮影を中心に行いました。旅の終わりは夕焼け、マジックアワーを見て、撮るところまでという方が少なくないと思いましたので挑戦してみました。「この機材の組み合わせでマジックアワーの良い作品が撮れるのであれば、旅の終わりまでこの組み合わせで撮影できる」それが達成できたら良いなという感じです。

 まず前提として、画像処理エンジンについて、フルサイズであるZ 7と変わらないEXPEED 6が採用されています。これを簡単にいうと、画像データの処理スピード、色彩情報の再現性、ノイズ低減処理などが上位機種と変わらず、高精細な画像を生み出してくれるということです。

 作例に注目して欲しいのですが、今回、月とマジックアワーを撮影しました。陽が沈んだ後の西の空の色のグラデーションが美しい時間帯です。そんな状況下で目の前に広がる景色をそのまま切り取ったように諧調が崩壊することなく、青のグラデーションの色合いを綺麗に写し出してくれました。月の輪郭も綺麗に写してくれています。

 次に暗部となっている街のディテールにも注目してほしいのですが、黒潰れせずに建物ひとつひとつのディテールを損なうことなく写してくれています。結構明暗差の激しいシチュエーションだったのですが、色彩の豊かさとともに明暗部をそれぞれ綺麗に描写してくれたので、その写りに満足です。

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■使用機材:ニコン Z 50 + NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
■撮影環境:F6.3 1/2秒 ISO160 焦点距離103mm(フルサイズ換算154mm)

日没後のビーナスベルトを撮ってみる

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■使用機材:ニコン Z 50 + NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
■撮影環境:F5 1/160秒 ISO800 焦点距離29.5mm(フルサイズ換算44mm)

 重さ約315g、全長90mmという小型サイズで幅広い焦点距離をカバーできるNIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR(フルサイズ換算27mm-210mm)。この軽さでVRが搭載されているので、ボディ内手ブレ補正機能を持たないZ 50との組み合わせでも、安心してマジックアワーの撮影に臨めました。

 ボディとレンズの重さを合わせて約765gと軽い上に、ブレへの安心もあることから、三脚を持ち歩かなくてもマジックアワーの撮影は可能です。旅先でマジックアワーを撮りたいなと急に思いついても安心です。

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■使用機材:ニコン Z 50 + NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
■撮影環境:F6.3 1/50秒 ISO200 焦点距離60mm(フルサイズ換算90mm)

 スカイツリーの作例に注目してほしいのですが、西の空の反対側のビーナスベルトを撮った写真です。同じ時間帯でも太陽の沈む方向とは違い、こちらの空は暗くなるのも早いです。そんな中、手持ちでシャッタースピードを調整して撮影に臨みました。手ブレが発生しやすい状況下だったのですが、ブレることなく撮影に成功しました。ボディの軽さのおかげもあったと思います。

焦点距離を変えても維持される高い解像力

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■使用機材:ニコン Z 50 + NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
■撮影環境:F4.8 1/320秒 ISO250 焦点距離47mm(フルサイズ換算70mm)
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■使用機材:ニコン Z 50 + NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
■撮影環境:F5.6 1/500秒 ISO250 焦点距離89mm(フルサイズ換算133mm)

 上の作例は、焦点距離それぞれ47mm(フルサイズ換算70mm)と89mm(フルサイズ換算133mm)で撮影したものですが、どちらのズーム域でも高い解像感を維持し、建物の立体感を損なわず描写してくれました。89mmの方の作例で周辺の光量が落ちているのが若干気になりますが、もう少し絞ることで改善されますしLightroomなどの編集ソフトによる後処理で十分対応可能な範囲かと思います。

正確で素早いAF性能

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■使用機材:ニコン Z 50 + NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
■撮影環境:F4.5 1/200秒 ISO200 焦点距離42mm(フルサイズ換算63mm)

 画角内の小さな飛行機をどこまで正確に素早く捉えることができるか確かめたのですが、素早く横切る飛行機にピントを合わせることに成功しました。動く被写体の場合、瞬時に構図を決めて撮影することも少なくないですが、素早くピントが合ってくれることから即座に対応できそうです。

 また、ピントを合わせるときに気付いたのですが、フォーカス時の動作音が小さく、外での撮影だと気にならないですね。嬉しい機能の一つです。静かなカフェや美術館などでAFの音が小さいと周囲に気を使わずに撮影できます。(意外と撮影時周囲のことが僕は気になるので、周りが静かな中、音を立てるのが苦手です)

 今回静止画で試しましたが、被写体にピントを合わせ続ける優秀なAF性能の追従性も確かめられたので動画などでも活躍が見込めそうです。

旅のお供に最適な一本

 今回、撮影をしてみて、想像を超える写りをしてくれたおかげで撮影がどんどん楽しくなっていきました。軽さと手に馴染むサイズ感故に自然と外に持ち歩くことができるカメラそんな印象です。携帯電話でなく、カメラを持って本格的に写真を始めたい、という旅好きな方の最初の一歩に間違いなくおすすめできる組み合わせですね。旅が好きな人に意外と多いのですが、できるかぎり物を持って行きたくないという要望にも応えてくれる、コンパクトな組み合わせだと思います。

 また、優秀な手ブレ補正や防塵・防滴というアシストもあり、初心者の方でもこの組み合わせで安心して、砂浜や雪の日など多くの場面に対応できると思います。レンズ交換をしなくても幅広い焦点距離をカバーできるのもその魅力です。

 日常の中で自然と持ち歩きたくなるカメラが手元にあれば、写真を撮る機会が増え、どんどん上手くなっていくと思います。「まずは、コンパクトなものから始め、持ち歩いてみる」そんな一歩目を支えてくれるカメラとレンズの組み合わせです。

■写真家:相沢亮
2020年より東京を拠点にフォトグラファー、ライターとして活動中。メーカーとのタイアップ記事、企業案件や広告撮影、雑誌への寄稿・執筆等、活動の幅を広げ、近年、地方創生や観光PRに力を入れる。2021年2月に写真家としてのインタビュー記事が朝日新聞WEBメディア「withnews」およびYahoo! JAPANで公開される。2022年、春に単著出版予定。

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