富士フイルム XF35mmF1.4 R|FUJINONが誇る万能鉄板レンズ

相原正明
富士フイルム XF35mmF1.4 R|FUJINONが誇る万能鉄板レンズ

はじめに

釣り人は「ヘラブナ釣りに始まりヘラブナ釣りに終わる」と言う。そして僕の趣味のバイクに関しても「スーパーカブに始まり、あがりのバイクはスーパーカブ」とバイク雑誌の編集者たちが言う。これは一番入門用のものが、深く極めると奥義が深いということ。

これは写真も同じ。では写真の奥義とは?僕は標準レンズと考える。一番入門用でもあり、迷ったときの1本。最近はカメラとセットのキットズーム主流だが、僕は標準レンズを1本持ってほしいと願う。今回はFUJIFILM Xシリーズ誕生時から15年使っている、僕のFUJINON XF35mmF1.4 Rを取り上げる。レンズの全群繰り出しによる癖のない高画質描写は標準レンズの王道だ。

そして他メーカーユーザーのなかにはFUJINONってどんなレンズと疑問をお持ちの方もいるだろう。じつは皆さん 毎日FUJINONで撮った映像を見られている。テレビ局の4Kも含めた業務用ビデオカメラのレンズの多くはFUJINON。また以前、JAXAが月に送り込んだ探査機「かぐや」の映像もFUJINON。そしてなんと驚くことに、スターウォーズ第1作目エピソードIVを制作する際に、真っ先にジョージ・ルーカスが決めたのがFUJINONレンズだ。

今回はFUJINONの誇る万能鉄板レンズのポテンシャルをお見せするために、カテゴリー別で説明していきたい。

スナップ

写真が上達するにはどうしたらよいか?アマチュアの方から一番受ける質問だ。極意は、たった1つ。なんでも撮る、毎日撮る、いつでも撮る。そのためにはいつでも日常を撮れるように心がけることが大切。

わが家のご主人様
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f1.4 WB AUTO ISO400

1枚目は我が家の猫のヤマトクン。朝5時半、飯だよ飯‼腹へったと、枕もとで大鳴きされて目覚めたときに撮影。カメラはいつでもXF35mmF1.4 Rをセットし、手元に置いている。

ご飯
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f8.0 WB AUTO ISO10000
■フィルムシミュレーション:PROVIA

自宅で遅い朝ご飯。ロケ先で買ったシラスの釜揚げ。XF35mmF1.4 Rは最短撮影距離28cm。テーブルフォトの強い味方だ。そしてボディーのX-T5は白の再現能力にたけている。フィルム時代から富士フイルムのテスト撮影をしてきた。いかに白が綺麗なグラデーションの白として表現出来るか?それがフィルムやカメラ、そしてレンズに色再現の基礎として求められる。例えば、花嫁さんの白無垢、新雪の表面。そして白い茶碗のご飯の白いご飯粒のグラデーション。この写真はXの色再現とXF35mmの解像力を端的に表現している。

午後の光
■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f5.6 WB 電灯 ISO160
■フィルムシミュレーション:ACROS-Y

仕事でクライアントさんにうかがったとき、エレベーター待ちに撮った1枚。窓から差し込む光が眼に留まり、シンプルに柔らかく表現したかったのでモノクロ。XF35mmF1.4 Rは柔らかいモノクロの諧調を生み出してくれる。ちなみに僕は、いつでも写真が撮れるようにF値はf5.6に設定して持ち歩く。

西新宿
■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f5.6 -1EV WB 電灯 ISO160

前出の写真のあと、エレベーターに乗り外に出たところ、夕方の斜光でビルがフォトジェニック。ACROSをフィルターYからRにしてコントラストを強調。

コンパクトなXF35mmF1.4 Rは都会のエレベーターの中でもあまり目立たない。だから目立たないことが大切な、街中スナップにはうれしいレンズ。

東京 駒形橋
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f1.4 -0.3EV WB 晴天 ISO125
■フィルムシミュレーション:PROVIA
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優AE f16.0 -0.7EV WB 晴天 ISO320

今回は隅田川沿いでスナップを撮影。昭和2年に作られた駒形橋。リベットなどの造形美が美しい。そのリベットの美しさと立体感、そして幾何学的配列が美しいので、1枚目は最短撮影距離で開放f1.4、2枚目はf16.0まで絞りリベットの配列の美しさを表現。癖のない柔らかいボケ味と、柔らかい線の表現のため、金属などの被写体を撮っても、あまりカリカリで冷たい感じにならない。

浅草
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f8.0 WB 晴天 ISO125
■フィルムシミュレーション:クラシッククローム

古い水門の扉。ピントはセンターのカギにおいた。あまり硬くならないレンズ描写は経年劣化の錆の感じを優しく表現してくれたので、悲壮感が漂わない。金属の冷たさを少し表現したくWBを晴天。そして渋さを出すためにフィルムシミュレーションをクラシッククロームにした。

駒形橋
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f8.0 WB 晴天 ISO8000
■フィルムシミュレーション:Velvia

橋の造形美、機能美を狙った。f16まで絞り被写界深度を深くしたカットも撮ったが、f8.0で深度は充分だった。このレンズのポテンシャルはf8.0~11がやはり一番良く発揮できる。今回は隅田川界隈で2万歩ぐらい歩いた。小さなX-T5とXF35mmF1.4 Rは持ち歩きの負担や頸への負担が少ない。スナップ等で常時首からカメラをさげていると首、特に頸椎への経年の影響が少なくない。そんな意味で軽量のXシリーズとXF35mmは表現も体にも優しい機材。

板橋
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f4.0 -1.7EV WB 電灯 ISO800
■フィルムシミュレーション:ACROS-R

夕方。買い物帰り、踏切を渡るとき線路が目についた。光るレールだけを浮かび上がらせたかったので露出をかなりアンダーにした。かつACROS-RモードにしてコントラストをUPして画面を整理し、余分なものを目立たないようにした。そして柔らかい描写のレンズは夕方の、けだるい光を表現してくれた。

コンパクトなXF35mmF1.4 Rは買い物で持ち歩いてもあまり目立たない、買い物の邪魔にもならない。だから通勤通学で持ち歩き、多くの写真を撮ってもらいたい。写真の上達への近道はたくさん撮ること。

風景

新緑 井の頭公園
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f2.8 +2.7EV WB 晴天 ISO125
■フィルムシミュレーション:Velvia
新緑 白金
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f11 +1.7EV WB 晴天 ISO125
■フィルムシミュレーション:Velvia

富士フイルムXシリーズが一番得意とする色再現は緑。そのボディーの特性を生かして新緑を撮影。1枚目は夕方の柔らかい光で、背景から浮かび上がる新緑を表現する為にf2.8.。開放値だと背景の並木がボケ過ぎてしまうので、少し絞り、EVをかなり明るめで+2.7。風でそよぐ新緑の雰囲気を狙った。

2枚目は少しこんもりした林の中。新緑と枝のデザインの美しさを狙うために全体にピントが行くようにf11設定し、被写界深度を深くした。でもこの写真はなんとシャッタースピード1/10。XF35mmF1.4 Rは手ブレ補正機能はないが、ボディーのX-T5は手ブレ補正機能があるのでそれを活かした。ちなみにストリートスナップ等ではイレギュラーなことに対応するために、いつも手ブレ防止機能はONにしている。

井の頭公園
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f1.4 +0.7EV WB 晴天 ISO125
■フィルムシミュレーション:Velvia

手前の新緑の小さな芽にピンポイントフォーカス。開放で撮影して、ぼかした赤いジャケットの人物をアクセントとして、遠景の点描写とした。開放値を使用し遠景の人物をボカして色のアクセントとして使用するのも、明るい開放値のレンズの大きなアドバンテージ。

東向島
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f1.6 WB AUTO ISO125
■フィルムシミュレーション:Velvia

ブルーの壁をバックにオレンジの花を立体的に見せた。開放よりほんの1/3絞り、少しだけ被写界深度を稼いだ。理由は花が風で少し揺れていたので、少しピントの余裕を持たせたかったからだ。

■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f1.4 -1.7EV WB 晴天 ISO125
■フィルムシミュレーション:ASTIA
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f8.0 -2.0EV WB 電灯 ISO125
■フィルムシミュレーション:ACROS-Y

林の中でスポットライトのように木漏れ陽が当たる植物を狙う。しかも物撮りのように黒バックから浮き立つように。その為に1枚目の写真は葉っぱの質感が浮き立つように開放f1.4に設定し、且つ-1.7EVで光が当たっていないところをシャドー部にしてつぶした。この場合EV-0.7~-4.0の間で幅広く、明るさのバリエーションを撮った。

2枚目のヤツデ。この場合、広がる葉脈を幾何学模様のように表現したかったので絞りをf8.0にして被写界深度を深くした。かつ葉脈の線に視線が向くように色さえも削除して、モノクロの画面として葉脈に眼が向くようにした。

東京湾岸エリア
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f8.0 -1.3EV WB 晴天 アスペクト比3:2 ISO125
■フィルムシミュレーション:Velvia
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f8.0 -1.7EV WB 晴天 アスペクト比16:9 ISO125
■フィルムシミュレーション:Velvia

夕暮れのベイエリア。標準レンズを使い方によっては広角レンズ的に表現。1枚目はアスペクト比3:2、2枚目は少しだけカメラを1枚目よりも上に向けて、16:9にして横長に撮影。こうすると広角的な表現になる。標準レンズは、使い方により広角的にも望遠的にも使える万能レンズ。

フード

SNSでいちばんアクセスが多い、あるいは注目を浴びるサイトはフード系ではないだろうか。そしてテーブルフォトの撮り方が一番活かせるのがフード。そのテーブルフォトのワーキングディスタンスに一番ふさわしいのが標準レンズだ。最短撮影距離が短く、自然な遠近感、そしてお店とかで撮るときは暗い場所も多いので、F1.4の明るい開放値が強い武器になる。

吉祥寺 焼き鳥
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f1.4 -0.3EV WB AUTO ISO1600
■フィルムシミュレーション:PROVIA

井の頭公園の撮影の帰り道、人気の焼鳥屋さんで軽く1杯。夕方5時で満席。お店の隅の少し暗い席に陣取る。少し夕方の光がお店に差し込む。最初は熱々レバーから食べたいなと思ったので、自分の目線の先のレバーにピンポイントでフォーカス。全体にアンダー目の露出でお店の隅の席の暗さを表現。

フードフォトの大切なことは、自分がどこから食べたいかをフォーカスすること。それが美味しそうに見せるコツ。それとコップやボトルなどの小道具の配置が大切。でも実はこのフードフォトの視点はマクロで森の中で植物を撮るのに役立つ。フードフォトは海外の女性誌の料理写真を見ると、とても勉強になる。

銀座線浅草駅地下街
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f2.8 +0.3EV WB AUTO ISO640
■フィルムシミュレーション:PROVIA

銀座線浅草駅改札口にある、昭和初期のイメージが色濃く残る地下街。そこの名物焼きそば屋さん。浅草界隈の撮影の帰りはいつもここで焼きそばにビール。実はここはあの名監督ヴィム・ヴェンダースが映画『PERFECT DAYS』で役所広司さんを撮影した場所。

暗い地下街なのでF1.4の開放値が強い味方。背景にいろいろな看板等があり、少しうるさいので開放で撮影してぼかした。更に目玉焼きの白さを出すためにWBは通常のAUTOに設定。地下街などの人工光源が複雑なミックス光源のときはWB/AUTOが意外と便利で正しい。

上田 駅前食堂
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f1.8 +0.3EV WB AUTO ISO1250
■フィルムシミュレーション:PROVIA

長野に撮影に行くと、田舎の駅前食堂で昔ながらのラーメン。でもなぜか駅前にない駅前食堂(むかしむかしローカル線があり当時駅前だったが、鉄道が廃線になり食堂だけが残ったからだ)。

フードフォトで言うしずる感。これがとてもよく出るレンズがXF35mmF1.4 R。多く人がスマホでフードフォトを撮る。だがこのしずる感が出ないのがスマホの弱点。嘘だと思うのならば、XF35mmF1.4 Rを使用してスマホ写真と撮り比べてほしい。その差は一目瞭然だ。

建築

建築は単に建造物ではなく建築家の作品。写真にとって建築は記録する被写体でもあり、建築家の作品のどこに自分が惚れたか、建築家と対話する被写体。そんな視点でお見せする。

吾妻橋
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f11 -1.0EV WB 日影 ISO160
■フィルムシミュレーション:Velvia

全面ガラス張りの建築。表現するには線の表現が命。そのためレンズの最大ポテンシャルが発揮できるf11を選ぶ。「建築写真って広角じゃないの?」という人は大きな間違い。意外と優れた建築写真は標準レンズが多い。昔、不動産広告の撮影を始めたころ、建築写真の大御所の方から「いかに標準レンズを使うかが建築写真の極意」と教えていただいた。

1枚目の作品はブレードランナー的なイメージをして、Velviaをさらに彩度をアップして撮影。XF35mmF1.4 Rは、このような金属&ガラスの被写体を撮っても、レンズの描写の柔らかさから、妙にギラギラした表現にならない。今回は撮影しなかったが、木造建築などにすごく向いている描写だ。

東京ゲートブリッジ橋脚
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f8.0 -0.7EV WB 電灯 ISO125
■フィルムシミュレーション:ACROS-Y

東京ゲートブリッジの橋脚。実はこの被写体はコロナ禍の冬の光のもとLUMIX S1R&LUMIX 50mmF1.4を使い、フォトスタイル「L.モノクロームD」でカリカリに硬い諧調で撮った。LUMIXの諧調表現は昔のKodakのトライXのようなカリカリの表現。コンクリートの橋脚がキリリとして、触ったら指が切れそうに表現できた。

それに対してXF35mmF1.4 Rは硬いのだけど、少し夕方の光でぬくもりのあるコンクリートの表現。どちらが良いというのではなく、どちらの表現が好きかでレンズは選ぶと考えてほしい。

東京ゲートブリッジ
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f8.0 -0.7EV WB 電灯 ISO125
■フィルムシミュレーション:ACROS-Y

少し霞がかかった晴れの夕暮れ。斜光を使いあまり硬くならない、冷たい金属ではなく一日太陽の光で温められた、ブリッジの金属感を表現。中間調と柔らかさがXシリーズとXF35mmF1.4 Rの組み合わせの真骨頂。

東京ゲートブリッジ
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f8.0 -0.3EV WB 電灯 ISO125
■フィルムシミュレーション:ACROS-R

ゲートブリッジの公園のトイレから撮った1枚。ゲートブリッジは何回も行っているが、トイレから出たとき、「お~このアングルがあったか」と気づかされた。以前、アドビのLightroom開発プロモーションに参加した際、一緒に仕事をしたナショジオの伝説と言われるブルース・ディールさんから「Masa,トイレに入ったときに撮った1枚」という写真を見せられた。トイレから出たとき、トイレ待ちの人の影がトイレの廊下の木目の壁に美しく伸びていた。僕は「トイレに入るときカメラを持っているのか?」と聞くと「もしトイレに入っているときに決定的瞬間に出会ったら、持っていない君はチャンスを逃すよ」と言われた。だから僕はいつでもカメラを持ってトイレに行く。

白金 旧公衆衛生院
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f5.6 -1.3EV WB 電灯 ISO125
■フィルムシミュレーション:ACROS-R

すっきりした歪みのない窓枠の線、そして屋外の建築の細い線の美しさ。これがXF35mmF1.4 Rの描写力。

白金 旧公衆衛生院
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f11 -1.7EV WB 電灯 ISO125
■フィルムシミュレーション:ACROS-R

昔のスチーム暖房機。不思議なオブジェのように表現した。横長の被写体なのでアスペクト比を16:9。おまけに金属の表面の質感も表現したいのでf11まで絞った。金属の質感も出しながら、必要以上に硬くならず、暖房のぬくもりが伝わる柔らかい諧調がXF35mmF1.4 Rならではだ。

白金 旧公衆衛生院 カーテン
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f8.0 +1.3EV WB 電灯 ISO125
■フィルムシミュレーション:ACROS-Y

昼下がりの柔らかい光を受けたカーテンがたまらなく美しかった。FUJINONのレンズ描写とACROS中間調表現で風にそよぐカーテンの表情が撮影できた。ツボにはまりここだけで100枚ぐらい撮影。

白金 旧公衆衛生院 講堂窓
■撮影機材:FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f1.6 +0.3EV WB 電灯 ISO125
■フィルムシミュレーション:ACROS-Y

縦位置で電灯と電灯の間隔を短く見せるフレーミングと浅い被写界深度の組み合わせで、標準レンズを使いながら望遠レンズ的視覚で見せた。これも標準レンズ使いこなしの1つ。

旅の1本

昔から、よく写真家が集まると「無人島に1本だけレンズを持って行けるとしたらなにを持って行くか?」という飲み話があった。おおむねの写真家はF1.4の50mm標準レンズというのが答えだった。僕もその意見に賛成だ。という訳で旅には必ずXF35mmF1.4 Rを持って行く。昨年のヴェネチアの旅もこのレンズで撮った。

■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f8.0 -1.0EV WB 晴天 ISO400
■フィルムシミュレーション:PROVIA

ヴェネチアの全景。高い塔の上からで、夏の午後でコントラストがフラットになりやすい条件でもしっかりした絵を作れるのがXF35mmF1.4 Rの解像力の賜物。

■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f11 +0.3EV WB 晴天 ISO200
■フィルムシミュレーション:Velvia

40℃を超える夏の陽ざしの撮影。照り返しでも、色が濁らずキリリとした良い絵を撮ってくれた。さすが富士フイルムのフィルムシミュレーション。

■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f8.0 -1.7EV WB 電灯 ISO800
■フィルムシミュレーション:ACROS-Y

ヴェネチアは城壁都市。路地と水路がいりくんでいる。一日中、路地を歩いて撮影。コンパクトなXF35mmF1.4 RとX-T4の組み合わせは高い撮影戦闘力となる。

■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f2.8 WB 電灯 ISO4000
■フィルムシミュレーション:ACROS-Y

地元の人々が家路につくころ、路地裏にも物語が始まる。飼い主さんの帰りを待っていた猫さんがうれしそうに追いかける。明るいレンズと、X-T4の高感度性能のおかげで夏の夜の物語が撮れた。

■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f2.5 -0.3EV WB 晴天 ISO4000
■フィルムシミュレーション:Velvia

ヴェネチアのリアルト橋から。ヴェネチア観光の中心地。ゴンドラが行き交い、レストランの灯りが夏の夜空を飾る。明るいレンズと高感度性能と手ブレ補正機能のおかげで三脚が無くてもばっちり撮影。ちなみにここは人混みがすごくて三脚はNG。

■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f2.5 -1.3EV WB 晴天 ISO1250
■フィルムシミュレーション:PROVIA

黄昏時のリアルト橋。運河に沿って人々が行きかう。トンネル構図とスクエアを組み合わせて撮影。柔らかい描写だが甘くなくしっかりしたコントラストを出してくれるXF35mmF1.4 R。さすがのFUJINON。

■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f5.6 +1.0EV WB AUTO ISO250
■フィルムシミュレーション:PROVIA
■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f2.2 +1.3EV WB AUTO ISO250
■フィルムシミュレーション:PROVIA

昔イタリアに行ったときに、最初に覚えたイタリア語はTanto。レストランでパスタが美味しく、おかわりが欲しい時に覚えた単語。美味しい料理を撮る人は多い。でもおいしかった料理の食べた後を撮る人はいない。

Befor&Afterを組み合わせることで物語が生まれる。食べた後の写真はF値を2.2にしてフォークに付いたトマトソースだけ浮き立つようにした。絞りによる表現テクニックの1つだ。

■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f2.0 -0.7EV WB 電灯 ISO160
■フィルムシミュレーション:ACROS-Y

うちの店のパスタはヴェネチアで、いちばんうまいぞ!とお店の人が自信満々に運んできた。そんな自信満々の表情をとらえるために柔らかい諧調表現がポートレートに向いているACROSを選んだ。FUJINONレンズと組み合わせると、さらに柔らかい描写が素晴らしい。ポートレート、特にウエディングフォトにはもってこいだと思う。

■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f4 +0.7EV WB 電灯 ISO1000
■フィルムシミュレーション:ACROS-Y

ホテルでご飯を食べたとき、スタッフの二人を撮らせていただいた。小さなXF35mmF1.4 Rは初対面の相手を撮るときに、被写体となる人物に威圧感を与えない。おかげで良い笑顔が撮れた。どんなに高解像力のレンズを使っても、相手がレンズの迫力に押されて緊張しては良い表情は撮ることが出来ない。そしてもう1つ大切なことは、笑顔を撮るときは、自分も笑顔でいること。レンズの選択と同じくらい大切だ。

■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF35mmF1.4 R
■撮影環境:絞り優先AE f1.8 WB 電灯 ISO6400
■フィルムシミュレーション:ACROS-Y

最後の作品は、ヴェネチアと言えばゴンドラ。という訳で夜の水路を行きかうゴンドラ。ゴンドラを漕ぐ、水夫の歌声が夜の水路に響く。明るいレンズとX-T4の高感度性能で夜のヴェニスの絵画のような世界を捉えることが出来た。

まとめ

今回はスナップ、猫、風景、グルメ、人物、建築、国内、海外いろいろなジャンルや光に挑戦したのをお見せした。まさにXF35mmF1.4 Rは万能レンズ。そしていろいろなレンズを使った後、あがりのレンズと思う。15年前の発売以来、いつも人気で品薄のXF35mmF1.4 R。Xユーザーなら持つべき使うべきレンズ。ほんとに?そう疑うならば、まず使って欲しい。XF35mmF1.4 Rはあなたの心の眼になってくれるはずだ。

 

 

■写真家:相原正明
1988年のバイクでのオーストラリア縦断撮影以来、オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトに撮影。2004年オーストラリア最大の写真ギャラリー・ウィルダネスギャラリーで日本人として初の個展開催。2008年には世界のトップ写真家17人を集めたアドビフォトアドベンチャー・タスマニアに日本・オーストラリア代表として参加。現在写真家であるとともにフレンド・オブ・タスマニア(タスマニア州親善大使)の称号を持つ。
FUJIFILM X Photographer、日本写真家協会(JPS)会員

 

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