富士フイルム XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR|スゴさ再認識!久々の使用で気付いた強み

高橋忠照
富士フイルム XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR|スゴさ再認識!久々の使用で気付いた強み

はじめに

富士フイルムのXF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRを使用して以降、私の所有している「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」はすっかりリザーブ運用になっていました。しかし最近ふとした理由から、その控えに回っていた「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」を使う機会が巡ってきました。

フィールドで撮影していると「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」のスゴさについて、私なりに再認識した「気付き」があり、同レンズを初めて手にした時の感動が再びよみがえってきました。今回は改めて使ってみたからこそ見えてきた、超望遠ズームレンズ「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」の魅力についてご紹介したいと思います。

優位性ある最短撮影距離

僅か1.75m・・・
これが「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」の「最短撮影距離」です。

フィールドでは至近距離に野生鳥獣が近づいて来る時や、予め現れる場所が分かっているといった場面が度々訪れます。そんな時、超望遠ズームレンズを装着していると、被写体までの距離が近すぎてピントが合わないことが起こってしまいます。さらにそのような場面では、レンズ交換やサブ機に持ち変える時間的余裕はない場合がとても多いのです。

不意に接近まで至った被写体をできる限り大きく撮影したい。そのような時に重要になってくるのが「最短撮影距離」になります。

エゾモモンガ
■撮影機材:FUJIFILM X-H2 + XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:ISO1000 F5.6 1/160 AF-S.シングル 手持ち撮影

「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」の最短撮影距離で、エゾモモンガが巣穴から出てくる瞬間を撮影しました。辺りをキョロキョロ見回し、外敵がいないことを確認すると中からゆっくり出てきます。近接撮影する際は、違和感を与え警戒されるのを防ぐため、身体を微動だにしない着意が必要です。

明るい開放F値

「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」は開放F値F4.5-5.6の明るさを誇ります。焦点距離に違いはありますが、XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRと比較すると約1段分明るいレンズです。

野生鳥獣は薄明・薄暮のシーンにおいては比較的警戒心が薄れ、接近しやすく寄れる分、焦点距離が稼げます。XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRより焦点距離は短いですが、明るい「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」は低照度で撮影するのに最適な望遠ズームレンズです。

キタキツネ
■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:ISO2000 F5.6 1/125 AF-S.シングル 手持ち撮影

山の稜線に太陽が沈む際、最後のスポット光がキタキツネに届いた瞬間を撮影しました。低照度の条件でしたが、「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」の明るい焦点距離に救われました。

約5.0段分の強力な手ブレ補正

「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」は約5.0段分の強力な手ブレ補正も搭載されています。

これにより、野生鳥獣撮影においては、テレコンバーターを装着しレンズのF値が暗くなった状態でスローシャッターを手持ちで切らなければならない状態でも、手ブレを抑えて撮影することができます。

エゾライチョウ
■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR + XF1.4X TC WR
■撮影環境:ISO2500 F8 1/40 AF-S.シングル 手持ち撮影

エゾライチョウは北海道の森林に生息するライチョウです。雛は薄暗い森林を好むので、明るい焦点距離の望遠ズームレンズが必要となってきます。

雨の降り始め、更に低照度な条件で、ホオノキの大きな葉っぱの下で雨宿りするエゾライチョウの雛を「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」にXF1.4X TC WRを装着し、手持ちで撮影しました。

この状況で、35mm判換算840mm相当にも関わらず、シャッター速度1/40秒の手持ち撮影でも手ブレを起こすことなく、ガチピンで撮影することができました。

高画質な光学性能

EDレンズ5枚にスーパーEDレンズ1枚を採用し、14群21枚ものレンズを使用した「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」の高画質な光学性能を通して写し出される野生鳥獣の表情は、一際美しく・鮮やかに表現されています。

エゾモモンガ
■撮影機材:FUJIFILM X-H2 + XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:ISO500 F5.6 1/200 被写体検出「動物」手持ち撮影

こちらを見つめ佇むエゾモモンガ。カラマツの木肌の質感やエゾモモンガの繊細な毛並みの細部まで、「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」の高い光学性能が見事に表現してくれます。

エゾユキウサギ
■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:ISO160 F5.6 1/850 被写体検出「動物」手持ち撮影

背景が影になり、美しいブルーの中にエゾユキウサギのディテールが浮き上がるような雪面での撮影。情景のみならず、エゾユキウサギの瞳や毛並みのリアルな質感も「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」なら繊細に描写することができました。

エゾナキウサギ
■撮影機材:FUJIFILM X-T4 + XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:ISO1250 F5.6 1/340 AF-S.シングル 手持ち撮影

小さな動物の細部に対しても「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」はヌケの良いクリアな画質で撮影することが可能です。また、美しいボケ味も楽しむことができます。

まとめ

「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」での野生鳥獣撮影を通して、改めて同レンズが持ち合わせる高いポテンシャルをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?使用する状況や場面によって「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」の利点を活かして撮影すれば、最高の野生鳥獣写真が撮影できることが伝わったことと思います。

「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」は最短撮影距離が比較的短いことから、被写体に寄れて迫力ある画が撮影できるのが魅力です。また、少しでも明るいF値と高い手ブレ補正機能を持って撮影に臨めば、低照度のフィールドでも状況が好転し、満足のいく写真を量産することが可能となります。

XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRと併せてシビアな現場では「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」も重要な1本となってきますので、フィールドでの撮影でぜひ確かめてみてください。

 

 

■自然写真家:高橋忠照
1982年北海道札幌市生まれ・山形県育ち。上富良野町在住。陸上自衛隊勤務を経て、2019年自然写真家に転向。自衛隊時代に培ったスナイパー(狙撃手)の技能を生かし、自然の中に同化して野生動物を探し出す独自のスタイルでの撮影を得意とする。作品は小学館、チャイルド本社、フレーベル館等の児童書や雑誌、カレンダーなど掲載多数。
公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員・富士フイルムアカデミーX講師

 

関連記事

人気記事