初心者におすすめのカメラ『富士フイルム X100VI』|写真家 杉本優也
はじめに
こんにちは。杉本です。
いつも自分が実際に所有している機材のレビューを書くことが多いのですが、今回ShaShaの企画で初心者におすすめのカメラのレビューのお話をいただきました。
このタイトルだけ見ると「いやいや、X100VIはハードル高いだろ」みたいな印象を受ける方もいると思いますが、とりあえず読んでみてください。
なんて読むの?
FUJIFILMには色々なカメラのラインがあります。FUJIFILMに限らないんですけどね。あと、カメラ機材には正式名称的なものと、なんとなくイメージで呼ばれている呼ばれ方があります。これが大変初心者に優しくないんです。軽くざっと説明しますね。
ちなみに今回レビューで魅力をお伝えするカメラはX100VI、エックス ヒャク シックスと読みます。
カメラの種類とX100VIの立ち位置
今、皆さんiPhoneなどのスマートフォン(以下スマホ)で写真を撮られますよね。しかも今の携帯端末が保有するレンズやカメラ性能、画素はとても高く簡単に言ってしまうと、「スマホさえあれば綺麗な写真は撮れてしまう」時代です。
でも、カメラは現在もそれなりに売れていますし持っている人も多いですよね。これはいくらスマホが進化したとはいえ、カメラにしかできないことがいっぱいあるからに他なりません。カメラをやらない、あるいはこれから始める方からよく聞かれる質問で「一眼レフってやっぱり綺麗に撮れる?」みたいなものがあります。つまりスマホでないガチカメラ=一眼レフみたいな言葉のイメージはそれなりに広がっているんだと思います。単純に単語としてですね。
実際は、一眼レフ、ミラーレス一眼、コンパクトデジタルカメラ(通称コンデジ)など種類は多岐に渡ります。僕はもう、始める前の人は好きに呼んだら良いと思っています。
違いはググったりChatGPTに聞いたら一目瞭然と言いますか、簡単に教えてくれるので聞いてみてください。
今回紹介するX100VIは一般的にコンデジと呼ばれるカメラです。
初心者に向けてざっくり大きな特徴をお伝えしますと
・レンズが交換できない(カメラとレンズがセット)
・一眼レフやミラーレスカメラと呼ばれるものよりは小型
・一応機能的なハンデがあるっちゃあるし、ないっちゃない
みたいな感じです。今回の記事は初心者向けですから、これくらいの理解でも良いと思います。

基本性能
ちょっと難しい話をします。どうしても話しておく必要があると言いますか、その方が誠意があると思うので。画素とか重さに興味のない人は、ここは飛ばしても大丈夫です。
有効画素数は約4020万画素です。簡単にいうとものすごく高画質です。参考までにプロでも2400万画素とか、友人の中には1600万画素とかを使うプロもいます。もちろん一億画素とかを使う人もいっぱいいるので、それぞれの用途とこだわりの問題です。ただ十分な画素数なのは伝わるかなと思います。ちなみに皆さんがよく見るSNSに写真をアップする時、4000万画素とかでバンバン写真をあげるととんでもなくデータが重くなるので、プラットフォーム側で圧縮といってデータを小さくしてます。実際に皆さんが普段SNSで目にするのは150万画素とか多くても300万画素くらいなんじゃないかなと思います。これも興味があったら調べてみてください。ただ、そこまで意識することはそうそうないと思います。
重さは本体のみで約470g(公式では471g)です。これは500mLのペットボトルを満タンのまま丸一日持って歩くみたいな感じなのでイメージしやすいですかね。コンデジって本当に小さくて軽いものから、少し大きくて重さもあるものまでピンキリなので実際に家電量販店やFUJIFILMに行って持たせてもらうと良いと思います。
X100VIは、すごーく簡単に、そして少し雑に言ってしまうとすごく軽くて小型な訳ではないです。もっと小さいカメラはたくさんあります。
でも、そういったカメラは性能の面では少し低かったりもするのが実情です。
X100VIは「金額も高いし重さもそれなりにあるものの、カメラの楽しさにハマっても性能の良いカメラを買い足す必要のないくらいの性能を備えたカメラ」と言って良いと思います。ものすごく良いカメラです。素直に僕の感覚でいうと、最初のカメラでこれを購入するのは金額的には決して優しくないなと思います。でも性能が高く、扱いも簡単で素直なカメラなので勇気は必要なものの、良い選択をするな~と感嘆するようなカメラでもあります。
ズームがない
良いカメラというと遠くのものを大きく撮れる、みたいなイメージを持っている方もいっぱいいると思います。動物園や、飛行機とか遠くの景色とか。でもこのカメラは35mm判換算35mmでF値は2~16です。
F値というのは小さいほどよくボケます。数字が大きくなると全体にピントがあったような写真になります。絞りとも呼ばれます。
こういうズーム機能のないレンズのことを単焦点レンズと言います。
自分の足で歩いて近寄ったり離れたりして写したいもののサイズを調整します。
もちろんトリミングといって撮った後に切り取って拡大することはできますが、レンズを回すようにしてアップにする機能はついていません。ですから、動物園で遠くの生き物を撮りたいとか、野鳥を撮りたいんだみたいな人はレンズが交換できるカメラを購入した方がハッピーになれると思います。
個人的カメラ初心者におすすめの写真
最初から何かを表現したいと思っている方はそのまま自分が素直に撮りたい世界観をバンバン撮ってもらったらそれで最高です。
カメラは欲しいけど何を撮ったら良いかと聞かれたら、いまいちハッキリしないんだよね〜みたいな人は友達や、街中で見つけたなんか良いなを撮ったら良いと思います。
友達を撮る

手ぶれ補正が入っています。1/80というのは少々シャッタースピードが遅いですが可愛く撮れたので採用しました。モデルのお友達です。ちなみに彼女が持っているカメラも初心者におすすめのX halfというカメラですが、これのレビューはまたの機会に。もしかしたらShaShaにはすでにレビューがあるかもしれません、興味のある方は読んでみてください。ちなみにお店にはちゃんと許可をもらってます。

モデルの友達のワンチャンです。おもちちゃん。ものっすごく可愛かったのでハイテンションで撮りました。可愛い!みたいなテンションで写真を撮ることは十分素敵なことだと思います。しかし可愛いですね。しっかり近寄って撮ることができるカメラですが、先述したように画素数が高いので撮影後にトリミングしても良いと思います。よっぽど無理なトリミングをしない限りほとんど画質には影響はありません。
フィルムシミュレーションという機能

FUJIFILMのカメラにはフィルムシミュレーションという機能がついています。これはFUJIFILMのカメラを代表する機能の一つです。国内を代表するフィルムメーカーであるFUJIFILMの技術を用いて、フィルムっぽい色や雰囲気の写真にしてくれる機能です。このカメラには全20種類のフィルムシミュレーションが搭載されています。これ、しっかりレビューしていくとそれだけで一万文字とか超えてしまうほどすごい機能なので気になる方は公式のHPを見てください。それぞれの特徴が作例付きでしっかりまとめられていますので、簡単に雰囲気を理解できるようになっています。
写真は撮りたいけど面倒な写真編集はなるべくしたくないとか、撮った段階で良い感じにしてほしいという方にはとても強力なツールです。初心者向きではないですが、カメラ内でトーンカーブの調整ができたりもします。カメラの中で可能な限り良い感じにまとめられるような機能が搭載されています。成長してカメラと仲良くなるにつれて楽しめる機能が増えていくイメージです。そういった便利な機能が豊富に搭載されているのもこのカメラの魅力ではないでしょうか。プロがプライベートやサブ機に選ぶカメラみたいな話を聞いたことがありますが、それも頷ける万能さと気軽さです。ちなみに今回の記事で使用している写真はRAWで撮影したものをLightroomというソフトを使用して編集しています。
フィルムシミュレーションを使ったJPEGの写真であればカメラからそのままスマホにWi-Fiで転送できますので、ご自身のこだわりやテンションで使い分けていいと思います。
この写真は近寄って撮った写真です。綺麗にボケてますよね。僕が普段コーヒーを飲む時のドリッパーはKINTOなんですけど、飲み終わったらKINTOの文字が出てきたので撮ってしまいました。美味しかったです。
AFは爆速ではない

AFというのはオートフォーカスの略です。自動でピントを合わせてくれる機能です。
昨今のいわゆる最新カメラ、特にミラーレス一眼などはこのAFの速度が半端じゃなく高速なカメラが増えてきました。本当にびっくりするくらい速いんですよ。そういう最速クラスのAF(通称で爆速AFとか言ったりもします)ではないので、おもちちゃんが抱っこして〜と僕の足に飛びかかってきたりするとどうしてもピントが合わなかったりします。可愛いから良いんですけど。とはいえ、動物の急な動きなどはまだしも通常範囲内でAFが合わないことはないので別に性能が低い訳ではないです。あくまで最速クラスと比べたらそこまでではないだけで、この速度で困るシーンはほとんどないと思われます。暑かったので粘らなかったですが、多分何回かやればAFはあったと思います。
楽しく撮った写真たち

おもちちゃんがなぜか樹の反対側に回り込みリードの限界を迎えた時の写真です。

おもちちゃんを溺愛するかおる氏。

散策中の妻。逆光ですが綺麗な写りです。元の色が良いので最低限の編集です。撮って出しやそれに近い状態でも良い感じになります。

お友達。とにかく会う人会う人ひたすら撮ってます。普段から。

フラッシュがついているので暗くなってきてからも写真が撮りやすいです。写るんですみたいなイメージで、暗いなと思ったらONにして光らせてしまっても良いと思います。
絞った例

絞ったというのはF値という数字を大きくしていくことです。すごく簡単にまとめますが、F値は小さい方がボケて大きい方が全体がはっきり写っていきます。数字が一番小さいのを開放、大きい方を絞ったなどと呼ぶこともあります。
センサーサイズや焦点距離の影響も受けますし、シャッタースピードにも影響するのですが、この辺りをカメラの購入前に理解するのは結構ややこしいので、これからカメラを買おうと思っている方がここまでは気にしなくて良いのかなというのが個人的な見解です。僕は最初はもうオートでカメラに任せてバンバン撮る方がハッピーだと考えています。
線も色も綺麗に出ています。旅行先などで友達の背景に現地の景色を写したいなって方は、この写真の設定とかを真似てもらうと良いかなと思います。
まとめ
全体的にとても扱いやすいカメラです。
繰り返しになりますが、このカメラさえあれば困ることはないと言ってしまっても良いくらい完成したカメラです。特に友達や旅行の写真など身近なものを撮りたい方にはベストな選択肢の一つだと思います。
大きくて重いカメラは自分に合わないとか、なるべくカメラの中で良い色にしてほしいとか、ライトに楽しみたい方はもちろん、本気で写真を撮りたい人にもおすすめです。
反対に、すごく遠くのものを撮りたいとか、レンズ交換を楽しみたいといった方には合わないのでご自身の使い方に合うかどうか考えてみると良いと思います。
カメラにどっぷりハマると、レンズ交換式とコンデジを両方所持しているという猛者はいっぱいいらっしゃるのでサブ機にもおすすめです。自分も荷物を多くしたくない日はコンデジだけにしたりします。一日本気で撮るぞという日はレンズ交換式を複数台持っていくとかもあります。人によってもケースバイケースですから、確実にこのカメラが良いですよと言い切るのは難しいのですが、選択肢に入れる価値は間違いなくあるカメラです。
ただし価格の面でいうとコンデジの中でも高い方に分類はされると思います。もっと安価な選択肢もありますし、FUJIFILMにはレンズ交換式でも軽量さにフォーカスしたモデルがあるので、その辺りと競合になると思います。X-E4などもぜひ調べてみてください。
今回の記事では写真をテンションで撮る楽しさが少しでも伝わったら良いなと思って、気取らない普段のオフショットなどに分類されるような写真でまとめてみました。
これからカメラを始める方が撮る身近なお写真を楽しみにしています。
SNSのタグなどでカメラ名などを検索したら、魅力的な写真を発信している人もいっぱいいると思いますので、ぜひカメラ選びの参考にしてみてくださいね。ではまた。
■写真家:杉本優也
東京都生まれ東京都在住。妻を撮影し続けている活動がテレビメディアに特集されたことを機に、フォトグラファーとしてのキャリアをスタートさせる。ライブ撮影やメーカーへの作例提供、機材レビューなどの活動をしている。














