キヤノンRF24mm F1.8 MACRO IS STM|自分らしさを写せるレンズ

金森玲奈
キヤノンRF24mm F1.8 MACRO IS STM|自分らしさを写せるレンズ

はじめに

 2022年は満を持してキヤノンのRFレンズが続々と発売されました。今回ご紹介するのは広角レンズながらに開放F1.8のボケ味が美しいRF24mm F1.8 MACRO IS STMです。RF24mm F1.8 MACRO IS STM は、STMレンズの良さである軽量でコンパクトなレンズ設計による使い勝手の良さやハーフマクロ機能搭載など、撮影の幅を広げてくれる工夫が詰まっています。それではこのレンズの魅力を解説していきましょう。

 

デザイン・仕様

 全長は約63.1mm、重さは約270g。F1.8の大口径レンズでありながらこの軽さは魅力です。同じRFレンズのRF35mm F1.8 MACRO IS STMとほぼ同じぐらいのサイズになります。コントロールリングとフォーカスリングはそれぞれ独立していて、撮影中の利便性を向上させてくれます。前玉フォーカスの採用とレンズ径を小さくしたことで0.5倍のハーフマクロ撮影が可能です。防塵防滴は非対応となります。レンズフードは別売りですが、マクロ撮影時などはレンズ前5cmほどまで寄れるため、レンズの前玉保護の意味でも装着しておくと安心です。

 

ここまで寄れる。ハーフマクロの実力

 RF24mm F1.8 MACRO IS STMの特長のひとつにハーフマクロ撮影があります。最大撮影倍率0.5倍、最短撮影距離は0.14mとかなり寄れるため、花を撮影する人などは重宝するでしょう。さらに開放F1.8の大きなボケを生かした描写との組み合わせは、撮影者が被写体のどこに注目していたのかを、より明確にピントの面で伝えることができます。F1.8ではピントの合う範囲がかなり狭いため、ちょっとしたピント位置のズレが心配になるかもしれませんが、F1.8だからこそ高速のシャッターも切りやすいのでそこまで不安になることはありません。

 また、暗い場面でも光学式手ブレ補正が5.0段分、ボディ内手ブレ補正機構搭載のEOS Rシリーズとの協調ISでは6.5段分の手ブレ補正効果を発揮するので、シーンを選ばず撮影に集中できるでしょう。

■撮影機材:Canon EOS R7 + RF24mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:1/60sec F1.8 +2/3補正 ISO125 WBオート

 我が家の次男猫に最短撮影距離まで迫って撮影しました。まつ毛は微かに存在感を感じる程度にやわらかく大きくボケつつ、その奥の瞳や毛並みはとてもシャープに描写されました。

■撮影機材:Canon EOS R6 + RF24mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:1/500sec F2.8 -1/3補正 ISO100 WBオート

 オシャレな喫茶店でひと休みした時の一枚です。お皿のデザインが素敵だったのでこちらも最短撮影距離まで迫って撮影したところ、ゴールドの模様にピントを合わせるのに集中していて、危うくお皿の縁にレンズの先端がぶつかりそうになるほど寄れてしまいました。小物などを撮る時は被写体との距離をしっかり確認しながら臨みたいですね。

 

F1.8が描き出すシャープでやわらかな描写

 開放F値では描写が甘くなりがちと思われる方も多いかもしれません。特に広角レンズの場合は周辺光量落ちなども気になるところですが、RF24mm F1.8 MACRO IS STMはピントの合った部分の描写がとてもシャープな印象を受けました。芯のある描写と開放F1.8が写し出すやわらかなボケが融合した空気感は、とても心地良かったです。

 とはいえ、マクロ撮影や玉ボケを取り入れるなどボケの存在を強調したシーン以外でも、広角レンズの特性としてF1.8であっても大口径が描き出すボケ味が前面に出すぎるといった印象はありませんでした。むしろシャープなピントをやさしく包み込みつつ、引き立てるようなさりげない存在感が個人的にとても好きだなと感じました。特に光沢感のあるものやガラスなどの描写はとても美しいものがありました。

■撮影機材:Canon EOS R6 + RF24mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:1/8000sec F1.8 +1 1/3補正 ISO200 WBオート

 鎌倉の路地で涼やかな音を響かせるカラフルな鉱石のモビールに出会いました。ピントを合わせた中央の鉱石の縁のザラリとした感じや、手前でボケているガラスのように反射した面のそれぞれの質感がとてもクリアに再現されました。

■撮影機材:Canon EOS R6 + RF24mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:1/100sec F1.8 ISO100 WBオート

 老舗喫茶店のプリンがふたつ乗ったプリンアラモード。窓からの光にカラメルがキラッと光ってなんとも美味しそうだったので記念に一枚。クルリとカットされたメロンの皮の網目模様が、まるで精巧な彫刻作品のように見える解像感には驚かされました。

 

単焦点は「自分らしさ」を写すレンズ

 単焦点レンズはズームレンズと比べるとボケ味や解像力に強みがありますが、その名の通りひとつの焦点距離でしか写せないため、フットワークの良さが求められます。それを不自由に感じる人もいるかもしれませんが、撮りたいシーンに出会った時に、見つけたその場所から撮るのがベストなのか、近寄ったり離れたり、その試行錯誤が「自分らしい」写真を撮るための一歩になると思います。RF24mm F1.8 MACRO IS STMは広い視点もマクロな視点もどちらにも応えてくれるレンズですので、ぜひ一緒に自分らしさを探しに出かけてみてください。

■撮影機材:Canon EOS R6 + RF24mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:1/3200sec F1.8 +1 1/3補正 ISO200 WBオート

 鎌倉の大仏さまは実は意外と小柄な方ですが、周りの建物などを排することで実物よりも大きい印象を与えることもできます。

■撮影機材:Canon EOS R6 + RF24mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:1/8000sec F1.8 ISO100 WBオート

 最近はすっかり見かける機会が減った理容室の看板。少し色あせた看板とレトロなフォントに心が躍りました。建物の直線ラインもスッキリとした描写で背景の青空と合わせて、気持ちの良い一枚になりました。

■撮影機材:Canon EOS R6 + RF24mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:1/8000sec F1.8 -1/3補正 ISO200 WBオート

 帆船の模型がかわいいなと近寄ってみるとまさかのドクロマークをつけた海賊船でした。初めに見た位置からは気付かなかったので、このマークが引き立つ角度を探して撮影しました。

■撮影機材:Canon EOS R6 + RF24mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:1/320sec F1.8 ISO3200 WBオート

 江の島にある水族館で、まるで天女の羽衣のような尻尾を持つクラゲを見つけました。水族館の水槽は高圧の水圧に耐えるため、かなり分厚いのでほんの少しでもガラスに対して角度をつけて撮影すると光の屈折でピントが甘くなってしまいますが、RF24mm F1.8 MACRO IS STMは開放F1.8でもしっかりとクリアなピントと透き通ったクラゲの質感を両立させてくれるため、幻想的な一枚に仕上げることができました。

■撮影機材:Canon EOS R6 + RF24mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:1/800sec F1.8 +1 1/3補正 ISO100 WBオート

 夕方のオレンジ色の光に照らされた、少し盛りの過ぎた彼岸花の赤さが鮮やかに目に飛び込んできたので、花そのものとして見せるよりも「色」に目が向くようなピント位置を意識して撮影しました。

■撮影機材:Canon EOS R6 + RF24mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:1/400sec F1.8 +1補正 ISO100 WBオート

 夕暮れの海岸で水平線を撮影していると2匹の犬がやってきました。嬉しそうに波打ち際を歩く2匹がかわいくて、すれ違いざまにシャッターを切りました。真ん中の犬の風になびいてクシャッとなった尻尾の毛並みだけでなく、左端の犬のかわいい足跡もしっかり写っていて、24mmという広角だからこそ開放絞りでの撮影でも、四隅まで隙のない描写で残したい瞬間を逃さず捉えることができました。

 

さいごに

 「写真を上達させたければ単焦点で撮れ」とは私が学生時代に先生たちに一度は言われた言葉です。これは自分の足で自分が好きだと感じる被写体との距離感や、構図を探し出せという意味だったのだと思います。RF24mm F1.8 MACRO IS STMは近景から遠景まで隙のない描写力を持っていますしハーフマクロ機能を駆使すれば、より撮影者の意図を写真に反映させることができます。

 大口径のやわらかなボケを活かすには最適な撮影位置をより強く意識する必要もありますので、まさにこの「自分の足で探し出す」のを実践するのに打ってつけの一本だと思います。さまざまな撮影シーンに柔軟に対応できるレンズでもありますので、ぜひ一度お試し頂けたら良さを実感してもらえると思います。

 

 

■写真家:金森玲奈
1979年東京生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。東京藝術大学美術学部附属写真センター勤務等を経て2011年からフリーランスとして活動を開始。日常の中で記憶からこぼれ落ちていく何気ない瞬間や怪我と障害がきっかけで引き取った2匹の飼い猫との日々を撮り続けている。池尻大橋のアトリエで写真を手に取れる形で残すためのプリントレッスンや各種撮影会、モノクロ暗室ワークショップなどを企画運営している。

 

 

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