ポートレート写真での編集のコツ ~青空編~|あらまこと

あらまこと
ポートレート写真での編集のコツ ~青空編~|あらまこと

イントロダクション

皆さん、こんにちは。 フォトグラファーのあらまことです。
今回は、ポートレート写真編集のコツ~青空編~を紹介していきます。前回は順光編として、光の向きに焦点を当てて説明をさせていただきます。

今回は青空編です。青空をバックに撮影をするポートレートの際に、いつも意識していることを紹介していこうと思います。
実は、なぜ順光編を最初に説明したかというと、青空編を説明する際にどうしても順光での調整の仕方を理解しておいてほしかったので、このような形で紹介をさせていただいております。

もしこちらの記事から見ている方がいらっしゃったら、ぜひ前回の記事である「ポートレート写真編集のコツ~順光編~」を読んでからこちらの記事をご覧いただくと、より理解が深まると 思います。

青空を綺麗に撮影するためのコツ

まず、編集作業を紹介する前に青空ポートレートを撮影するにあたって、綺麗な青色を出すために必要な事前知識を紹介させてください。

1. 青空は順光寄りの方が濃く発色する
これは見てもらった方がわかると思いますので、順光の写真と逆光の写真でどのくらい青空の色が違うのかを見てください。

上の写真を比較していただくとよくわかるかと思いますが、順光寄りの向きから撮影した写真と、逆光向きから撮影した写真だと、背景の濃淡が違うのがよく分かるかと思います。このように、青空に関しては順光寄りの方が濃い青色の写真を撮影することができます。

ただし、こちらの写真のように綺麗に調整をかけてあげれば、逆光でもある程度の青色を残しながら撮影をすることも可能です。 逆光時の仕上げ方は、次回の記事で紹介させていただきます。

撮影タイミングは少し日が傾いてきた時

青空ポートレートを撮影する上で大切なことは、事前に「太陽の位置を把握すること」です。
青空ポートレートなので、晴れていることは大切な条件なのですが日の高さもとても大切です。
真上に太陽がある状況だと、そもそもポートレート的には顔の影が濃くなってしまって、撮影がしにくいことが多いです。

そのため、爽やかな青空ポートレートを撮影するなら、真上よりは少し西に傾いてきたタイミングを狙うのがおすすめです。
今は、日の傾きをアプリで確認をすることも簡単にできるので、少し傾いてくる時間を調べて、撮影開始時間を決めていくのがおすすめですね。

日没60分前くらいですと、日光がしっかりオレンジ色になってくるので、その場合はむしろ青空というよりはオレンジ色の雰囲気に寄せた編集の方が良いかなと思っていたりします。
なので、それまでに青空ポートレートは撮ってあげるのがいいかなと思います。

順光寄りの場合は、明るい方向を見てもらうこと

これはポートレート撮影における特有の工夫かもしれませんが、私は順光と逆光の間である、半順光の光が好きです。半順光の光は、青空もしっかり発色してくれるし、適度な影も生まれるので立体的に撮影できるのです。

この写真の場合は、モデルさんにやや斜め上を見てもらって顔の一部に太陽の光を当てて、半順光の状態にして撮影をしています。 このように撮影を工夫することで、ハイライトとシャドウの効いた立体的な写真を撮影することができます。

■撮影機材:SONY α7 III + カールツァイス ZEISS Batis 2/40 CF
■撮影環境:ISO 200 F2.2 1/3200

青空写真編集~編集のゴールを決める~

それでは実際に写真を編集していきましょう。まず、半順光の写真でやっていきます。こちらが撮って出しデータです。
撮影時意識していたのは、半順光の光とモデルさんへの光の当たり方、あとは青空の発色になります。設定としては、モデルさんへのハイライトの光が白飛びしないくらいの明るさで調整しています。

このままだと青空の色がややピンク強めの色をしているので、 少し青緑っぽい色にしていきたいなと考えています。 また、河津桜が暗くなってしまっているので、シャドウの設定値を調整しながら河津桜を明るく、モデルさんのシャドウ部分も明るくしていきたいなと思います。

青空写真編集~青色の発色調整~

青空編集をする上で、青色の強さを調整するための設定項目は何パターンかあります。
なので、そのいくつかのパターンを利用して、青空の発色を良くしていきたいと思います。

1. 青色の輝度を下げる
空や海のようなしっかりとした青色を強調する場合は、青色の輝度を下げると簡単に青色を強調できます。

2. 青色の彩度を上げる
これはそのままの意味で分かりやすいかと思いますが、青色の彩度を上げてあげれば、青色の発色は良くなります。

3. 空を部分選択して、 明るさを下げる、もしくは彩度を上げる、もしくは色温度を下げる
Lightroomのマスク機能を使用して、空を選択し、空の明るさを下げたり、 空の彩度を上げたり、直接青色を入れたりすることで青色を強調します。 最近はマスク機能でワンタッチで指定してくれるので、すごく便利に指定できるようになりました。

おそらく、代表的なやり方は上記3つの方法になると思います。これらを組み合わせて、空の明るさ、色を調整していくことで 狙った青色を作り出していくのがポイントとなります。

ただし、青空ポートレートにおいては重要なことがもう一つあります。それは、「モデルさんの顔色が悪くならないようにすること」です。

今回の3つのやり方を行えば、モデルさんの顔色に影響を与えずに空の色を調整することが可能ですが、例えば全体の色温度を下げて空の青色を強調しようとした場合、 モデルさんの顔の色も青くなってしまうので、ポートレートとしてはあまり印象が良くありません。なので、青空ポートレートを綺麗に仕上げていくときに意識することは 「空の色の調整とモデルさんの明るさの調整を分割して考えること」 が重要になります。

こちらを前提に操作できるように、3のように空だけを選択して青色を強調する方法だったり、青色だけに反応するようにカラーミキサーの操作だけで強調ができるようにお伝えしています。

こちらをぜひ念頭に入れた上で操作してみてください。

青空写真編集~青色の色調整~

青空を編集する上では、青空をそのまま見た色って意外と群青色というか、ピンクっぽい色が入った青色をしていることを理解する必要があります。

それは、今回使用している写真の撮って出しを見てもらえれば分かるかと思います。 私はどちらかというとサイダーっぽい色の空の方が、 見た人に爽やかな印象を与えてくれると思っています。そのため、青色に関しては少し青緑っぽい印象になるように調整をしています。

具体的な作業としては、カラーミキサーの色相設定をやや青緑色の方に 設定してあげる感じです。

青空写真編集~青空調整と人物調整を馴染ませる~

上記の内容で青空の発色調整はできるかと思いますので、それらを工夫して理想の青空を仕上げつつ、 青空ポートレートなのでモデルさんが引き立つように写真を仕上げていきます。

今回はカラーミキサーを使用して、空色の調整をします。少し濃い目の青色にしておいて、その後に全体を明るくしていって、青色を馴染ませていく作戦でいきたいと思います。

このままだと、影が強すぎるのでもう少し全体を明るくしていきたいと思います。
そのため、基本補正の階調を微調整していくと下のようになります。

先程よりは影の印象が薄くなり、 河津桜とモデルさんが明るくなったのが分かるかと思います。
そして、最初に少し濃い目の空色にした事によって、全体の明るさを上げた時に、空の色が全体の雰囲気と馴染んだのがよく分かるかと思います。

ここからは本当に微調整なのですが、モデルさんの顔のあたりは明るく、服のあたりは少し暗くしたいので、トーンカーブを使って、シャドウ部分を少し暗く、中間調を少し明るくします。

中間調(トーンカーブの真ん中あたりの光)はちょうどモデルさんの肌色あたりの明るさになるので、ここら辺を少しだけ上げてあげると少しメリハリがつきます。
トーンカーブはS字にしていくと、明るい部分をより明るく、暗い部分をより暗くするのでコントラストが強くなります。
今回で言うと、シャドウ部分である左側を下に下げて、中間調である真ん中ら辺を上げてS字を作っています。

あと、こちらのトーンカーブでほんの少しだけ青緑を入れたいので青、緑、赤のカーブをほんの少しだけ調整しています。

これで完成です。

■撮影機材:SONY α7 III + カールツァイス ZEISS Batis 2/40 CF
■撮影環境:ISO 200 F2.2 1/3200

トーンカーブは、最初はなんだかよく分からない設定だなと思うかもしれませんが、慣れてくると痒いところに手が届くので、たくさんいじってみて慣れていくのがいいかなと思います。
あくまで最後の味付けだと思って、ほんのちょっとだけいじるのがコツです。やりすぎは厳禁です。隠し味ですね。
この回から記事をご覧の方は、トーンカーブに関しては前回でも説明しているので、ぜひ前回の記事をご覧ください!

このように、モデルさんの調整と青空の調整を分けて考えることで色味迷子になりにくくなりますので、ぜひ分割して考えて調整をしてみてください。

次回は、逆光でのポートレート写真の調整方法に関してお伝えしていきます。
お楽しみに!!

 

■モデル:溝畑幸希

■写真家:あらまこと
神奈川県生まれ。関東を拠点に活動。ポートレート、スナップを中心にファッションや広告案件、出張撮影でのウェディング撮影などで活動している。SNS総フォロワー6万人以上を有し、SNSでの発信力を活かしながら写真活動の幅を広げている。

 

 

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