オールドレンズを始めよう!マウントアダプター編

鈴木啓太|urban
オールドレンズを始めよう!マウントアダプター編

はじめに

こんにちは!フォトグラファーの鈴木啓太|urbanです。長年オールドレンズやフィルムを中心にポートレート、スナップ、家族写真を撮影しております。今回はオールドレンズを始めよう!シリーズ第二弾として、必須の知識、マウントアダプター編に入っていきます。非純正オールドレンズをつけるのであれば、ほぼ必須となるマウントアダプター。初心者の方だけでなく、上級者の方にも役立つ情報を展開できればと思っております。

 

マウントアダプターとは

レンズとボディの間に挟み込んで装着されているのがマウントアダプター

オールドレンズをデジタルカメラに付けるために必要なアイテム、それがマウントアダプターです。マウントアダプターとは、レンズとボディを取り付け可能にする変換器のこと。例えば、デジタルカメラにおいてもニコン機のレンズはキヤノン機には付けられないのはご存じかと思いますが、これを取り付けられる様にする(=変換する)のがマウントアダプターの役割なのです!

マウントアダプターは使いたいレンズと使いたいボディに合わせて、ひとつずつ選んでいく必要があります。ミラーレスのソニー Eマウントのカメラにニコン Fマウントのレンズをつけたい場合は、「Nikon F-SONY Eマウントアダプター」を購入する必要があります。レンズマウントごとにマウントアダプターを揃える必要がある点に注意が必要です。オールドレンズをはじめたての方は、気に入ったレンズを見つけ、そのマウントのレンズを中心に買い揃えていく方が良いでしょう。

 

フランジバックってなあに

マウントアダプターがフランジバックを補完する役割も果たしている

マウントアダプターにはもうひとつ大きな役割があります。それがフランジバックの補完です。フランジバックとはレンズマウント面から撮像素子(昔で言うとフィルム)までの距離のことで、マウントごとにその距離が決まっています。一眼レフのキヤノン EFマウントであれば44mm、レンジファインダーのライカ Mマウントで27.8mm、ミラーレスのソニー Eマウントで18mmと様々です。

基本的に、ボディ側のマウントよりフランジバックの短いレンズを使うことはできないと覚えておくとよいでしょう。例えばEFマウントボディ(44mm)にはFマウントレンズ(46.5mm)はつけられますが、EFマウントボディよりフランジバックの短いMマウントレンズ(27.8mm)はつけられないといった具合です。

では、より具体的に見ていくことにします。ライカ Mマウントのレンズをソニー Eマウントであるαシリーズ等で使う場合には、Eマウント側のフランジバックを使うレンズのフランジバックと同じ27.8mmに合わせる必要があります。ソニー Eマウントのカメラ(フランジバック18mm)に「ボディ側Eマウント:レンズ側Mマウント」のマウントアダプターを取り付け、フランジバックを9.8mm伸ばすことでMマウントと同じ27.8mmにすることができます。これが厳密に合っていない場合、無限遠に設定してもピントが合わないなど、本来の性能を発揮することができません。オールドレンズの性能を100%発揮するには、マウントアダプターの精度が非常に重要です。

 

おすすめのマウントアダプター

マウントアダプターはオールドレンズの生命線のため、可能な限り品質の高い製品を選びたいところ。とは言っても初心者の方は、アダプターにお金をかけられないのも事実。ここではコストパフォーマンスに優れたアダプター、高品質のアダプター、そして今となってはオールドレンズ界のスタンダードになりつつあると言えるAFが可能な高級アダプターも紹介していきます。

 

K&F Conceptシリーズ

マウントアダプターで最も普及していると言っても過言ではないのが、K&F Conceptのマウントアダプターです。マウントアダプターの中では安価ですが、作りはしっかりしておりピント精度も申し分ないため、オールドレンズ初心者の方はこちらをおすすめします。

また、K&F Conceptの代理店を務める焦点工房にはヘリコイドアダプターの販売もあります。ヘリコイドアダプターとはレンズの最短撮影距離を超えて、マクロ的な撮影ができるようになるアダプターのこと。少々高額ですがレンズがより使い易くなるのは見逃せないポイントです。

ライカMマウントレンズをソニーEマウントボディに装着できる「SHOTEN LM-SE M II」

現在、廃番となってしまっているLeica M-SONY Eヘリコイドアダプター「SHOTEN LM-SE M」ですが、新型のヘリコイドアダプター「SHOTEN LM-SE M II」が2022年11月18日に発売されました。無限遠にロック機構がつくなど見逃せない改良が多く、ソニーユーザーは必須のアイテムとなるでしょう。

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RAYQUALシリーズ

RAYQUAL(レイクォール)は純国産のマウントアダプターで、非常に堅牢かつ精密なつくりになっています。レンズの性能低下を引き起こす、アダプターの内面反射対策も十分されているのが大きなポイントです。オリジナルマウントと同等の性能を引き出すためには高精度、高品質なマウントアダプターが必要となりますが、RAYQUALはそれを高い水準で満たしていると言えるでしょう。無限遠もピタリと合致。アダプター由来のフレアの発生を抑える作りになっているため、オリジナルマウントで使うのと遜色ないレベルで利用することが可能です。やや高価ですがその価値は十分ある、マウントアダプターの最高峰と言って差し支えないでしょう。

 

AFアダプターシリーズ

近年、オールドレンズもAFで動作するのはご存じでしょうか。オールドレンズ界も電子アダプターの導入によりAF化が進んでおり、純正レンズとまではいかないものの、かなり快適にオールドレンズがAFで利用できるようになっています。ピントを拡大してヘリコイドを回し、構図を決めて、シャッターを押すという行為を、AFしシャッターを切るだけに簡略化できるのであれば十分に採用の価値はあるでしょう。

僕のおすすめは、ソニー Eマウントの最新AFアダプター「TECHART LM-EA9」、ニコン Zマウント対応の「Fotodiox LM-NKZ-PRN」です。富士フイルムのXマウント用アダプター「Fotodiox LM-FXRF-PRN」もありますが、こちらは前者2つのアダプターと比べると、精度、スピードともにあと一歩というところ。ですが、富士フイルムXユーザーも採用の価値があると考えています。

マウントアダプターを2つ重ねることでニコンZマウントボディにライカRレンズを装着

これらのアダプターはすべてレンズ側がライカ Mマウントとなっていますが、必ずしもライカマウントレンズを使う必要はありません。マウントアダプターを重ね付け(ダブルマウント)することで、接続できるマウントアダプターであればどんなレンズでもAF化できるという、素晴らしい特徴を有しています。

また、ヘリコイドを内蔵しているのもグッド。ただし、ヘリコイド繰り出しの挙動はオートになってしまうので、先述したヘリコイドアダプターより便利には使えないと思った方が良いでしょう。写真はニコン ZマウントボディにNikon Z–Leica MのAFアダプター(Megadap MTZ11)を接続し、Leica M-Leica Rのマウントアダプター(K&F Concept)を接続することでライカ RのレンズをAF化して利用している例です。

 

オールドレンズを使う際の重要な設定

ピント拡大機能はマニュアルフォーカスにおいて非常に便利

オールドレンズをボディにつけても、各種設定をしなければスムーズな撮影はできません。ここでは、撮影を行う上でも重要と思われる設定を紹介していきます。

※紹介している写真はソニーα7 IIの設定画面となります。

 

レンズなしレリーズの許可設定

デジタルカメラでオールドレンズを使うときの必須設定は、「レンズなしレリーズ」の許可です。これをONにしないと、ボディにオールドレンズをつけてもシャッターが切れません。カメラのメニュー等設定画面に本項目、またはそれと同等の設定が用意されているので、わからなければマニュアルを参照してください。基本的な設定ですがカメラによってはOFFになっていることもあるため、シャッターが切れない場合は本項目を確認してみましょう。

 

電子先幕シャッターの無効化

オールドレンズで電子先幕シャッターを有効にしておくと、画面の一部に黒い影がかかったり、ボケが欠けたりする現象が発生することがあります。これらは1/4000~1/8000秒付近の高速シャッターで起こりやすく、絞り開放でオールドレンズを使いたいユーザーにとっては致命的。カメラの種類によって異なりますが、こちらもメニュー等設定画面にシャッター制御の項目が用意されているので、電子先幕シャッターをOFF、またはメカシャッターをONに設定しましょう。必須の設定ではありませんが、ミラーレスカメラの初期設定では電子シャッターは有効になっているため、オールドレンズを使う場合は確認したほうが良いと考えます。

 

手ブレ補正の設定

主に最新ミラーレスカメラに搭載されているのが、ボディ内手ブレ補正です。手ブレ補正は、主に望遠レンズなどで効果を発揮する機能ですが、オールドレンズでも非常に有効。オールドレンズの中には開放F値が大きく暗いレンズも多数あるため、屋内での撮影ではシャッタースピードが遅くなりがちでブレが発生する要因にもなります。ブレが発生すると、画質が低下するため本来のレンズ性能を発揮できません。

また、手ブレを回避するためにシャッタースピードを上げるとISO感度が上がってしまうため、写真にノイズが載りやすくなるなど、こちらも画質低下の要因となってしまいます。手ブレ補正はレンズの焦点距離を手動で設定する必要がありますが、効果は抜群のため必ず設定しましょう。本体機能でボタンにショートカットを割り当てるなどして、瞬時に呼び出せるようにすれば非常に便利です。

 

ピーキングの設定

ピントが合っている箇所に色付けしてくれる「ピーキング機能」

スナップ撮影などでスピーディーに撮影したい場合は、ピーキング機能が便利です。ピーキング機能はピントがあっている部分に色を付けて、ピント位置を知らせてくれる補助機能のこと。ピーキングの強さや色の指定もできるため、設定をONにしておくだけで快適な撮影ができます。ただし、ピーキング機能はピント拡大機能と比べると、ピント精度はやや低いのが欠点。絞って使う分には便利ですが、開放で寄って撮るなど、厳密なピントを求められる場合は、ピント拡大機能が確実なピント合わせの方法となります。

 

まとめ

■撮影機材:ソニー α7 IV + MINOLTA M-ROKKOR-QF 40mm F2
■撮影環境:f2 1/8000秒 ISO100 WBオート

マウントアダプターの基礎知識や設定についてまとめてみました。オールドレンズを購入した際は基本的にマウントアダプターが必須となるので、本内容を参考にしていただければ幸いです。もしオールドレンズに興味を持っていただけたのであれば、僕が執筆している「ポートレートのためのオールドレンズ入門」そして「ポートレートのためのオールドレンズ撮影マニュアル」に数多くのオールドレンズの作例と詳細な設定等解説を載せておりますので是非ご覧ください。

また、実践的な撮影方法が知りたい場合は、僕が講師を務めるオールドレンズワークショップ「フランジバック」にもご参加いただければ嬉しいです!では、次の記事でお会いしましょう!

 

 

■フォトグラファー:鈴木啓太|urban
カメラ及びレンズメーカーでのセミナー講師をする傍ら、Web、雑誌、書籍での執筆、人物及びカタログ撮影等に加えフィルムやオールドレンズを使った写真をメインに活動。2017年より開始した「フィルムさんぽ/フランジバック」は月間延べ60人ほどの参加者を有する、関東最大のフィルム&オールドレンズワークショップに成長している。著書に「ポートレートのためのオールドレンズ入門」「ポートレートのためのオールドレンズ撮影マニュアル」がある。リコーフォトアカデミー講師。

 

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