カールツァイス ZEISS Batis 2/25レビュー|撮影者の想像力を掻き立てるレンズ

坂井田富三

00_カールツァイス ZEISS Batis 225の製品画像.jpg

はじめに

 カールツァイスの広角AFレンズ「Batis」の25mmF2レンズ。ZEISS Batisレンズはソニー製フルサイズミラーレスシステムのために開発され、高画素のカメラの性能を余すことなく発揮できる魅力あるレンズです。特に25mmという焦点距離は自然風景、都市風景、街角スナップなど、幅広く対応できる画角で常用レンズとして、とても使い勝手良いレンズです。発売されたのは2015年8月で少々年数は経っていますが、そんなことを感じさせないBatis 2/25を、街角スナップ撮影に持ち出してみました。

ツァイス ZEISS Batis 2/25の魅力

 Batis 2/25の光学系は、ディスタゴンタイプの25mmレンズ。レンズ構成は8群10枚で絞り羽根は9枚。両面非球面レンズ4枚と特殊低分散レンズ5枚を使い各収差を抑えて画面の周辺まで素晴らし描写を実現しています。レンズ設計はデジタル用に設計され、光学収差を最小限に抑えるフローティング機構も採用されており、デジタル時代のディスタゴンタイプのレンズです。

 αユーザーで気になるのは、Batis 2/25とFE24mmF1.4GMの差ではないでしょうか。画角も近く、どちらもとても優秀なレンズです。

01_(左)ソニー FE24mmF14GM、(右)ZEISS Batis 225.JPG
(左)ソニー FE24mmF1.4GM、(右)ZEISS Batis 2/25
FE24mmF1.4GM Batis 2/25
焦点距離 24mm 25mm
画角(35mm判) 84° 82°
開放絞り(F値) F1.4 F2
最小絞り(F値) F16 F22
絞り羽根 11枚 9枚
最短撮影距離 0.24m 0.2m
フィルター径 67mm 67mm
外形寸法 最大径x長さ 75.4 x 92.4mm 81 x 78mm
質量 約445g 約335g

 こうやって仕様を並べてみると違いはあるのですが、実際に使ってみると外見の違いほどは撮影した写真の違いを感じるとる事ができませんでした。但しもちろん撮影している段階では、ツァイスレンズで撮影しているという意識が大きく働くので、その辺は全然違うと言えます(笑)。

 Batis 2/25は、レンズの外観も専用フードもシンプルなのでカメラに装着したシルエットも非常に洗練されたシンプルなイメージになります。街角スナップ撮影においては、気軽に持ち運びができ仰々しさも無くスマートな撮影が出来るのではないでしょうか。特に最短撮影距離は短く寄れるレンズなので、広角レンズでも大きく背景をボカした撮影ができます。

02_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/250秒 絞りF20 ISO100 焦点距離25mm

 筐体はちょっと太目な感じのレンズですが、重量自体はそれほど重くない為、αの装着時も非常にバランスの良いレンズです。カフェで休憩している時に、テーブルの上に置いておいても何となく様になっているような気がします。

 SONY FE24mmF1.4GMに比べると、絞りリングやAF/MF切替スイッチなどがレンズに無いため、それらの操作をするには、カメラ側でのコントロールになりますが、純正レンズでも絞りリングやAF/MF切替スイッチが無いレンズもあるので、それほど気にならない人も多いのでは無いでしょか。

 Batis 2/25は絞り羽が9枚なので、光芒の線は下の作例の様に18本になります。

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■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/250秒 絞りF20 ISO100 焦点距離25mm

ツァイス ZEISS Batis 2/25で街中散策スナップ

 Batis 2/25を持って、東京駅から有楽町まで撮影しながら散策してみました。スタートは東京駅の丸の内北口。ここには、開業当時の姿に復元された駅舎の美しいドーム状の天井があります。

04_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/15秒 絞りF8 ISO800 焦点距離25mm

 少し歩いて皇居方面から東京駅の駅舎や丸の内のビルを撮影。25mmの広角レンズですが歪曲は極めて少なく、画面の中心から隅々まで乱れることなくシャープな描写をしています。

05_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/800秒 絞りF14 ISO400 焦点距離25mm
06_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/500秒 絞りF13 ISO400 焦点距離25mm

 絞りを開けて撮影すると、広角レンズでもしっかりとしたボケを活かす事ができます。

07_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/6400秒 絞りF2 ISO200 焦点距離25mm
08_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境: シャッター速度1/1600秒 絞りF2 ISO100 焦点距離25mm

 Batis 2/25の25mmの画角は非常に使いやすく、街角スナップで気になったモノを切りとって撮影するのがとても楽しいレンズです。気になった被写体に寄ることもでき、絞れば画面全域でシャープに解像させて意図したイメージを創り上げる事ができます。

09_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/1000秒 絞りF9 ISO200 焦点距離25mm
10_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/640秒 絞りF8 ISO800 焦点距離25mm

 カラフルに施されたストリートピアノがあったので撮影してみましたが、発色やコントラストはやはりツァイスといった発色が感じられます。

11_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/60秒 絞りF9 ISO800 焦点距離25mm
12_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/250秒 絞りF5 ISO800 焦点距離25mm

 街角を散策しながら気になった被写体を撮影しましたが、ズームレンズでは味わえない単焦点レンズでの切とり、自らが動いて構図を決めていく楽しさを感じ、想像力を高めてくれる魅力あるレンズです。

13_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/125秒 絞りF16 ISO800 焦点距離25mm
14_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/100秒 絞りF4.5 ISO800 焦点距離25mm
15_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/1250秒 絞りF8 ISO800 焦点距離25mm(B/Wモードで撮影)

ツァイス ZEISS Batis 2/25で夜のスナップ

 夜景の撮影でも、単焦点の明るいレンズなので三脚なしの気楽な夜景撮影も可能です。レンズ自体には手ブレ補正の機能はありませんが、カメラボディ側の補正機能を使って撮影しています。

16_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/40秒 絞りF2.5 ISO800 焦点距離25mm

 絞り開放で被写体に寄った時の背景のボケは、広角レンズでも大きな玉ボケを表現してくれます。

17_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/80秒 絞りF2 ISO800 焦点距離25mm
18_カールツァイス ZEISS Batis 225での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + ZEISS Batis 2/25
■撮影環境:シャッター速度1/25秒 絞りF2 ISO200 焦点距離25mm

まとめ

 25mmの画角は常用レンズとしてとても使いやすく、ツァイスレンズの発色やコントラスト、シャープ感はどれも満足がいくレベル。フルサイズのαの性能を余すことなく表現できるレンズの一本です。F2開放からしっかりとした解像をしますが、2段分ほど絞ると解像感は文句なしのレベルで解像します。ツァイスレンズの所有感が撮影の際にもワクワクさせてくれ、Batis 2/25 は撮る者の想像力を掻き立てる魅力が秘めているそんなレンズではないでしょうか。

■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

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