タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 レビュー|軽量コンパクトなのに大口径標準ズームレンズ

坂井田富三
タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 レビュー|軽量コンパクトなのに大口径標準ズームレンズ

はじめに

今回紹介するのは、タムロンの「28-75mm F/2.8 Di III RXD(Model A036)」の後継モデルである「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」(2021年10月発売)。発売開始から1年以上経過したモデルです。

このタムロン「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」は、2022年に売れた交換レンズTOP10(BCNランキング)でナンバー1になったレンズです。その人気の要素はやはり、絞り開放F2.8通しの標準ズームレンズでありながら実売価格10万円をきる価格が魅力的なのではないでしょうか。この気になるレンズの魅力とその写りをご紹介します。

※「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
※「BCNランキング」2022年1月1日から12月11日の日次集計データより

タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2の魅力

タムロン「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」は、広角側28mmスタートのF2.8通しの標準ズームレンズ。このクラスのF2.8大口径標準ズームは、フィルター径が77mmクラスの24-70mmが主力の領域ですが、28mmスタートの光学設計にしたことでフィルター径も67mmと非常にコンパクトな筺体に仕上がっているレンズです。

そのサイズ感は、ちょうど手元にあったタムロンの高倍率ズーム「28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD」とほぼ同じ。同じタムロンのレンズで、ともに28mmスタートで28mm領域ではF2.8も一緒のレンズ。実際には性格は大きく異なるレンズですが、その差が少し気になるところです。

左:タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
右:タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD

そこで、少しスペックを比較してみました。

28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD
焦点距離 28-75mm 28-200mm
レンズ構成 15群17枚 14群18枚
開放絞り 2.8 2.8-5.6
最小絞り 22 16-32
フィルター径 67mm 67mm
絞り羽根枚数 9枚 7枚
最近接距離 0.18m (WIDE) / 0.38m (TELE) 0.19m (WIDE) / 0.8m (TELE)
最大撮影倍率 0.27倍 (WIDE) / 0.41倍 (TELE) 0.31倍 (WIDE) / 0.38倍 (TELE)
全長×最大径 75.8×117.6mm 74×117mm
重量 540g 575g

こうやってスペックを比べてみると、やはりレンズ本体の大きさはほぼ同じ。もし同じカメラバッグにこの2本のレンズが一緒に入っていたら、間違えてしまいそうです(笑)

あえてこの2本の比較から選択する基準を設定するのであれば、解像感やF2.8通しレンズの明るさを選ぶなら「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」、レンズ1本で様々シーンの撮影をしたいなら「28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD」を選ぶという感じになると思います。

フィルター径は67mm
75mm側は少しレンズが繰り出します
レンズをカスタマイズできるコネクターポート(端子形状:USB Type-C)

カスタムに機能を割り当てるには、パソコンソフト「TAMRON Lens Utility」を使ってレンズとケーブルで接続しカスタム機能を追加します。カスタマイズできる機能はこちらのページでご確認ください。一度自分なりに設定してしまえば、コネクターポートを使う頻度は少ないと思いますが、自分が使いやすいようにカスタムができるのは魅力ポイントです。

「タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」はボディ側による歪曲収差補正前提のレンズになりますので、歪曲収差補正をOFFにした状態では糸巻型の歪曲が目立ってしまいます。下の写真はカメラ側で歪曲収差補正をOFFにした状態で撮影したものです。ソニーαのボディは、歪曲収差補正はデフォルトではOFFになっているので、JPEGで撮影する方でこのレンズを購入した際には、カメラボディ側の設定確認をしたほうが良いでしょう。カメラ側で歪曲収差補正をONにした状態で撮影する事をお勧めします。

▼歪曲補正OFF

■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/400 絞りF5.6 ISO800 焦点距離48mm

▼RAWデータからレンズ補正(歪曲補正ON)した場合

タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2で浅草・両国スナップ撮影

タムロン「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」を持って、初詣でにぎわう浅草のスナップ撮影をしてみました。F2.8通しの明るいレンズでありながら重量は540gと軽量なレンズなので、α7 IVのボディに装着しても総重量は約1200g程度。スナップ撮影において機材が軽くなるのは非常にありがたいです。重い機材を一日持ち歩いていると、肩が凝ったりします。

撮影は「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」の特徴である、絞り開放F2.8をメインにして撮影をしてみました。しっかりとした解像感が残りながらも、やわらかい背景のボケを醸し出す写りは非常に好感が持てる写りです。欲を言えばもう少し周辺部の解像感が高いといいのですが、それも少し絞れば解消されます。

■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/8000 絞りF2.8 ISO800 焦点距離75mm
■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF4.5 ISO800 焦点距離75mm
■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/5000 絞りF2.8 ISO200 焦点距離75mm
■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/3200 絞りF2.8 ISO200 焦点距離75mm
■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/4000 絞りF2.8 ISO200 焦点距離75mm
■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/4000 絞りF2.8 ISO200 焦点距離75mm
■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF11 ISO400 焦点距離31mm
■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF2.8 ISO800 焦点距離75mm

広角端28mmで最短撮影距離0.18mと短いのもこのレンズの大きな魅力の一つです。気になった被写体にぐっと寄って撮影できるのは、スナップ撮影において重要なポイントです。

タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2でドルフィンパフォーマンス撮影

水族館のドルフィンパフォーマンスを撮影してみました。屋内でのドルフィンパフォーマンスは照明の演出がありますが、基本暗い場所になるので「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」の絞り開放F2.8が非常に助かるような撮影シーンです。

また「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」は、AF駆動にリニアモーターフォーカス機構VXDを搭載しているので、動きの速い被写体にもしっかりとフォーカスが合い、良好な撮影結果をもたらしてくれます。残念ながらα1の最高連写速度30コマ/秒には対応していませんが、必要にして十分な連写対応をするので、大体の撮影シーンでは問題ないと思われます。

■撮影機材:SONY α1 + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/2500 絞りF2.8 ISO6400 焦点距離28mm
■撮影機材:SONY α1 + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/1600 絞りF2.8 ISO6400 焦点距離62mm
■撮影機材:SONY α1 + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/3200 絞りF2.8 ISO6400 焦点距離68mm
■撮影機材:SONY α1 + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/2500 絞りF2.8 ISO6400 焦点距離66mm

タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2で木曽路をスナップ撮影

中山道にある南木曽の馬籠宿・妻籠宿をスナップ撮影してみました。ちょっとした旅行に最適なサイズのレンズです。広角側が28mmなので室内撮影があると、やや物足りなさはあるかもしれませんが、屋外であれば必要にして十分な撮影ができます。

その写りは、絞りを絞ったときは非常にシャープでやや硬い印象を受けるくらいですが、絞りを開放で撮影すれば柔らかさを表現でき、その印象は大きく変わってきます。この辺は好みの問題もありますが、せっかくの絞り開放F2.8の大口径レンズですので、絞りF2.8の世界観を楽しみたいレンズです。

■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/800 絞りF11 ISO800 焦点距離28mm
■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/50 絞りF18 ISO800 焦点距離56mm
■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/2500 絞りF2.8 ISO800 焦点距離75mm
■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影環境:シャッター速度1/4000 絞りF2.8 ISO800 焦点距離75mm

まとめ

タムロン「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」は、大口径F2.8通しのズームレンズでありながら、非常に軽量コンパクトなレンズです。明るいレンズは欲しいけど重いレンズは嫌だな~と思っている方にはおすすめできるレンズです。ミラーレス機は従来の一眼レフよりも小型軽量になりましたが、今後レンズも大口径でありながらも小型軽量化が進むと考えられます。小型で軽量そして写りも良ければ、撮影も楽しくなりますね。

 

■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・日本風景写真家協会 会員
・NPO法人 フォトカルチャー倶楽部 参事
・一般社団法人 日本フォトコンテスト協会 理事
・一般社団法人 日本写真講師協会 理事
・ソニーαアカデミー講師
・クラブツーリズム写真撮影の旅・ツアー講師

 

 

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