風景写真の引き出しを増やす!|その6:水の流れを撮影しよう

高橋良典
風景写真の引き出しを増やす!|その6:水の流れを撮影しよう

はじめに

今回の記事で紹介する「水の流れを撮影しよう」の更なる学びとなるよう、テーマに沿ってご応募頂いた写真の中から高橋良典さんからの寸評を次回の記事でご紹介します。応募方法は文末「寸評のご応募について」をご覧ください。皆さまからのご応募お待ちしております。

あと1か月もすると梅雨が明けて、いよいよ夏本番!でも真夏は暑いし被写体も少ないし・・・と撮影頻度が下がる方も多いのではないでしょうか?そこで今回は夏でも涼しい水辺での撮影のポイントをお伝えしてまいります。

シャッタースピードのコントロール

水の流れを表現する上で最も重要なポイントはシャッタースピードだと言っても過言ではないでしょう。シャッタースピードのコントロールは「絞り優先」、「シャッター優先」、「マニュアルモード」いずれのモードでも可能です。

シャッタースピードを変えることで水の描写が変わることがわかりますね。

シャッター優先モード(S,Tvモード)の場合

水流の撮影に慣れていない方は、直接シャッタースピードを加減できるシャッター優先モードが使いやすいでしょう。その上で被写界深度を調整したい場合はISOを上下させることで絞りの数値を調整することが出来ます。

但し、シャッター優先モードは自由にシャッタースピードをコントロールできる反面、その設定に絞りが追い付かず露出アンダーや露出オーバーになってしまうことがあります。必ず撮影前にシャッターボタンを半押しした際、絞り値が点滅していないかを確認しましょう。点滅している場合は適正露出が得られない可能性があるというカメラからの警告です(カメラによっては点滅ではなく絞り値が赤色やその他の色で表示、もしくは他の警告表示のものもあります)。

絞り優先モード(A,Avモード)の場合

絞り値を調整することでシャッタースピードを変えることが出来ます。絞りを小さな数値にするとシャッタースピードが速くなり、大きな数値に設定するとシャッタースピードが遅くなります。但しISOがオートになっているとその規則性が崩れてしまうので、ISOはオート以外に設定。思うようなシャッタースピードになるよう調整しましょう。

マニュアルモード(Mモード)の場合

カメラ操作に慣れている方はマニュアルモードを使ってみるのも良いでしょう。シャッターと絞りを自分で決めてから適正露出になるようISOを調整しましょう。

シャッタースピードによる流れ表現のバリエーション

低速シャッター

滝や水の流れを柔らかく描くためには、低速シャッターを切ることが必要です。私の場合、撮影する際の目安として概ね1/8秒よりも低速側に設定することを心がけています。とは言っても実際に何秒を切れば良いかの判断は難しいですよね。どれくらいのシャッタースピードに設定するかは、その時の水量にもよります。

例えば大雨の後など水量が多い状況では、低速にしすぎると水流の模様が出ず真っ白になってしまい、場合によっては白飛びを起こしてしまいますし、逆に水量が少ない時にシャッタースピードが速すぎると水流のボリューム感が描けなくなってしまいます。水流撮影に慣れていない方は、複数枚撮影をしてみて自分の好みに合うシャッタースピードのものを選ぶようにすればよいでしょう。もちろん正解はひとつではありません。どちらも気に入れば両方アリです。後述しますが、明るい所で低速シャッター撮影するためにはNDフィルターが必要になります。

大雨の翌日、滝の幅が変わるほどの水量でしたのでシャッターをやや速めに設定しました。これより低速側にすれば水流の模様が真っ白になってしまったでしょう。
■撮影機材:ソニー α7R III + FE 16-35mm F2.8 GM
■撮影環境:焦点距離17mm シャッター優先AE(F8、1/8秒) ISO1600 太陽光 CPLフィルター
やや水量が少ない時の撮影。水流を滑らかに描くため遅めのシャッターで撮影しています。
■撮影機材:ソニー α7R III + FE 24-70mm F2.8 GM
■撮影環境:焦点距離17mm マニュアルモード(F16、0”5秒) ISO160 太陽光 CPLフィルター

高速シャッター

水しぶきを写し止めるための目安としては1/1000秒より速いシャッタースピードが必要だと言えますが、こちらも水量の多い少ないによって設定が変わります。水量が多い時は1/1000秒でも止まらないことがありますし、逆に水量が少ない時は1/500秒でも写し止められることがあります。

皆さんも撮影後に液晶モニターで撮影画像を確認すると思うのですが、小さな液晶モニターでは一見写し止められているように見えていても、後でPCの大きな画面で見てみると微妙に止まっていない・・・ということがあります。現場で拡大表示をして、しぶきがしっかりと止まっているかどうかを確認しましょう。

明るくない状況でしたのでISOを上げて高速シャッターを切りました。しっかりと水しぶきが写し止められています。
■撮影機材:ソニー α7R IV + FE 24-70mm F2.8 GM II
■撮影環境:焦点距離70mm マニュアルモード(F2.8、1/1000秒) ISO1250 太陽光 CPLフィルター
轟音を立てて落下する滝しぶきを写し止めるため超高速シャッターで撮影。
■撮影機材:ソニー α7R IV + FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS
■撮影環境:焦点距離600mm 絞り優先AE(F8、1/4000秒、-0.5EV) ISO1600 太陽光

低速と高速、中間のシャッタースピード

低速でも高速でもないシャッタースピード(1/15秒~1/125秒くらい)は水の流れがやや中途半端に写ってしまう印象ですが、それがちょうど良いと感じるシーンもあります。流れ表現の基本は低速or高速シャッターだと考えていますが、そのいずれもうまくいかない場合や意図がある場合に試してみると良いでしょう。

水流に対して透過光での撮影では低速にし過ぎると流れが消えてしまうことがあります。上手く流れが描けないと思ったらシャッタースピードを変更しながら適切な設定を探ってみましょう。
■撮影機材:ソニー α7R IV + FE 24-70mm F2.8 GM
■撮影環境:焦点距離25mm マニュアルモード(F11、1/30秒) ISO1250 太陽光 CPLフィルター
水に反射する光のラインを描きました。シャッターが遅すぎると模様が曖昧になってしまったでしょう。
■撮影機材:ソニー α7R III + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:焦点距離306mm マニュアルモード(F16、1/15秒) ISO800 太陽光 CPLフィルター

フィルターワーク

NDフィルター

冒頭でシャッタースピードの話をしましたが、明るい状況では思うような低速シャッターを切れない場合があります。その際に使うのが減光用のNDフィルターです。いつでも必要な訳ではありませんが水流の撮影には是非、揃えておきたいところ。末尾についている数字が減光できる度合いを示しており、数字が大きい程、減光効果が大きいです。初めて購入する方は以下を参考にして下さいね。

・ミラーレスカメラの場合 → ND16がおすすめ
・一眼レフカメラの場合  → ND8がおすすめ
※一眼レフカメラの光学ファインダーではND16を装着すると減光されすぎてファインダー像が確認しにくくなります。

滝全体を日差しが照らしている状況。光量の多い所で低速シャッターを切るにはNDフィルターが必要です。
■撮影機材:ソニー α7R III + FE 16-35mm F2.8 GM
■撮影環境:焦点距離17mm マニュアルモード(F19、1秒) ISO100 太陽光 CPLフィルター+ND8フィルター

PLフィルター

風景撮影では出番の多いPLフィルター。回転枠の調整により色鮮やかに描くことが出来ますが、水の流れではそれに加えて水面の反射をコントロールすることへの意識が必要です。水の色を描きたいのか?流れの質感を描きたいのか?それらを考えながら調整しましょう。慣れないうちは効き目を強めたり弱めたりして複数枚撮っておくのがおすすめです。

PLフィルターをしっかりと効かせて水の青色を描きました。
■撮影機材:ソニー α7R III + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:焦点距離56mm マニュアルモード(F11、1秒) ISO125 太陽光 CPLフィルター
PLフィルターの反射除去効果を弱めた状態。水面がやや白っぽくなりますが川面の起伏が描かれています。上の二つはどちらが良いという訳ではなく表現が違うと考えて下さいね。
■撮影機材:ソニーα7R III + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:焦点距離56mm マニュアルモード(F11、1秒) ISO100 太陽光 CPLフィルター

映り込みと水面の模様

水辺の撮影では流れ表現の他に映り込み撮影にも挑戦してみましょう。注意深く探せば川面に眩い緑を見つけることが出来ます。ポイントは日陰になっている部分を探すこと。そこに水面の波立ちや流れが加わることで抽象的な美しい模様が浮かび上がります。PLフィルターを効かせすぎて水面の反射を全て取り除いてしまうと水底が見えてしまい、美しい映り込みが消えてしまうことがありますので、PLの調整には細心の注意を払いましょう。

水面の起伏に映り込む鮮やかな緑色をスローシャッターで描きました。反射が強すぎると締まりのない色になってしまうのでPLフィルターの反射除去効果を少し効かせて撮影しました。
■撮影機材:ソニー α7R III + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:焦点距離226mm マニュアルモード(F16、1秒) ISO100 太陽光 CPLフィルター+ND8フィルター
水面だけではなく岩肌が濡れていればそこにも注目してみましょう。色が上手く映らない時はカメラの高さや左右のポジションを変えてみると見つかることがあります。
■撮影機材:ソニー α7R III + FE 24-70mm F2.8 GM
■撮影環境:焦点距離70mm マニュアルモード(F16、0.5秒) ISO400 太陽光 CPLフィルター 

まとめ

ここまで水の流れについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?ご紹介したのは、ほんの基本的な部分ですが水流撮影に慣れていない方、またこれから始める方は、まず今回の内容をマスター。ゆくゆくは自在にシャッタースピードがコントロールできるよう、またフィルターが使えるよう身につけていくと良いでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

■写真家:高橋良典
(公社)日本写真家協会会員・日本風景写真家協会会員・奈良県美術人協会会員・ソニープロイメージングサポート会員・αアカデミー講師

 

 

寸評のご応募について

今回の「水の流れを撮影しよう 編」で紹介している水の流れのシャッタースピードやフィルターワークをテーマに、これはうまくいった、逆にうまくいかなかったと感じる写真がありましたら、ぜひその時の状況と合わせて編集部に投稿してみませんか。ご投稿いただいた写真の中からいくつかの写真に対して高橋良典さんが寸評を行い、次回の記事で掲載する事を予定しています。皆さまの風景写真の学びの機会にご活用いただければと思います。

・お一人さま1点までのご投稿でお願いします。
・応募締め切りは2023年7月28日(金)迄となります。
・過去に撮影した写真でも応募できます。
・応募ページにある規約をご確認の上、ご応募をお願いします。

応募ページはこちら
https://pro.form-mailer.jp/fms/0252b20e289906

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