ソニー FE 24mm F2.8 G レビュー|機動性と描写力を高いレベルで両立

鹿野貴司
ソニー FE 24mm F2.8 G レビュー|機動性と描写力を高いレベルで両立

はじめに

先日このShaShaでソニー FE 40mm F2.5 Gのレビュー記事を書かせていただいた。今回はその続きというわけではないが、姉妹モデルにあたるFE 24mm F2.8 Gを取り上げていく。

24mmは多くの標準ズームがカバーする焦点距離。しかし、僕が写真を始めた高校生の頃(30ン年前)は標準ズームといえば35~70mmや35~105mm。必然的に広角レンズを求める人が多かった。広角ズームはよく写らないか、さもなくば高いか、しかし高いからよく写るかといえばそうでもない、という時代。振り返ると24mm F2.8を使う人が多かった。どのマウントにもラインナップされている定番レンズで、高校生だった僕も望遠ズームの次に24mm F2.8を購入した記憶がある。本レンズはその“かつての定番”を、現代の光学性能とビルドクオリティで製品化した。

動画撮影で活きるコンパクト&防塵防滴設計

見渡すとソニー以外のメーカーもフルサイズミラーレス機向けに24mm F2.8、あるいはそれに近いスペックのレンズを最近リリースしている。標準ズームに代わって35mmや50mmの単焦点レンズを選ぶユーザーが増え、それに組み合わせる広角レンズとしてニーズがあるのかもしれないが、それ以上に動画撮影を念頭に置いているのかもしれない。16:9の動画を手持ちで撮るには、24mmくらいの画角がちょうどいいのだ。

実際ソニーの大口径広角レンズ・FE 24mm F1.4 GMは動画撮影によく使われている。しかしこのレンズは445g。スペックに比べたら軽いのだが、カメラに着けると1kgを超えてしまう。対して本レンズはたったの162g。ちなみに全長45mm、最大径68mm、フィルター径49mmは、同時に発売されたFE 40mm F2.5 G、FE 50mm F2.5 Gと同じだ。本体だけでなくフォーカスリングやフードもアルミ製で高級感がある。

本レンズはたとえばα7S IIIやFX3に装着しても900gを切り、ジンバルやドローンの選択肢が格段に広がる。より小型で廉価なタイプで運用できるのはありがたい。また先に触れたFE 40mm F2.5 GやFE 50mm F2.5 Gと併用する場合も、リグやフォローフォーカスなどの補助器具は同じセッティングで済む。メーカーも動画撮影を念頭に置いて企画したと思われ、絞りリングもクリックの有無を切り替えられる。また、アウトドアや過酷な現場でも安心して使える防塵防滴仕様でもある。

視界を丸ごと切り取るような画角

とはいえ、こんなに軽くてよく写るレンズを動画制作者にばかり使わせるのはもったいない。写真(静止画)でも軽さを活かして旅や散策のお供にぴったりだ。最近のスマートフォンもメインレンズに24mm近辺の画角を採用している機種が多い。旧来の常識でいえば広角レンズなのだが、情報過多な現代ではそれくらい広い画角が目に馴染むのかもしれない。そんな視点を抱きながらこのレンズ一本で撮り歩くと、まさに空間を切り取る楽しさがある。

■使用機材:ソニー α7 V + FE 24mm F2.8 G
■撮影環境:シャッター速度1/640秒 絞りF8 ISO100 クリエイティブルック:FL
■使用機材:ソニー α7 V + FE 24mm F2.8 G
■撮影環境:シャッター速度1/250秒 絞りF4 ISO320 クリエイティブルック:FL
■使用機材:ソニー α7 V + FE 24mm F2.8 G
■撮影環境:シャッター速度1/60秒 絞りF4 ISO1250 クリエイティブルック:ST

標準レンズといわれる50mmは、広い風景であれば広角レンズ的な使い方もできるが、一般的には凝視したときの視角に近い。フレームの中に要素を構築していくのは、難しくもあり楽しくもある。対する24mmは面積比でそのおよそ4倍の広さを写すことができ、世界がフレームの中で広がっていく。それは漫然と撮ると何が主題なのかわからず、散漫な写真になりやすいということでもある。被写体にぐっと近寄ったり、構図を細かくアレンジしたり、50mmとは違った難しさがある。強い遠近感がうまくハマったときの気持ち良さは、標準レンズや望遠レンズにはないものだ。

■使用機材:ソニー α7 V + FE 24mm F2.8 G
■撮影環境:シャッター速度1/2500秒 絞りF2.8 ISO100 クリエイティブルック:ST
■使用機材:ソニー α7 V + FE 24mm F2.8 G
■撮影環境:シャッター速度1/2000秒 絞りF2.8 ISO1250 クリエイティブルック:ST

シンプルかつハイレベルな光学設計

そして何より本レンズはファインダーでも感じるほど描写がクリア。撮っていて実に気持ちがいいのだ。遠近感が強く、空が写り込むことも多い広角レンズでは、ヌケの良さはとても重要になる。その点において明るさを欲張らず、7群8枚と構成枚数も少ない本レンズはズームレンズより有利といえる。もちろんここまでコンパクトに設計できたのは、カメラで歪曲補正を行っているおかげ。加えてEDガラスや3枚の非球面レンズを使用するなど、基本となる光学設計もぬかりがない。

■使用機材:ソニー α7 V + FE 24mm F2.8 G
■撮影環境:シャッター速度1/400秒 絞りF8 ISO100 クリエイティブルック:FL
■使用機材:ソニー α7 V + FE 24mm F2.8 G
■撮影環境:シャッター速度1/320秒 絞りF11 ISO100 クリエイティブルック:VV

ボケ味や耐逆光性もすばらしい

決して大きなボケが得られるスペックではないが、近距離を撮影したときの後ボケはかなりきれい。ちなみに最短撮影距離は24cmだが、MFに切り替えると18cmまで短縮する。この6cmの差は大きい。また逆光でもゴーストやフレア、コントラストの低下がほとんど見られず、ソニーでいえば最上級のG Masterレンズにもひけをとらない描写力だと思う。

■使用機材:ソニー α7 V + FE 24mm F2.8 G
■撮影環境:シャッター速度1/200秒 絞りF2.8 ISO100 クリエイティブルック:ST
■使用機材:ソニー α7 V + FE 24mm F2.8 G
■撮影環境:シャッター速度1/125秒 絞りF4 ISO800 クリエイティブルック:ST
■使用機材:ソニー α7 V + FE 24mm F2.8 G
■撮影環境:シャッター速度1/250秒 絞りF8 ISO400 クリエイティブルック:ST

フルサイズだけでなくAPS-Cフォーマットでも

日本の写真史を振り返ると森山大道氏や北井一夫氏など、24mm近辺の焦点距離をメインにして名作を残した写真家も多い。広角レンズが得意な人なら本レンズ1本で出掛けるのもいいと思うが、どちらかといえばメインを張るより“スーパーサブ”といった使い方がしっくりくるだろう。35mmや50mmの大口径レンズと合わせるのもいいし、大柄なズームレンズの相棒にするのもいい。

また、今回はすべてフルサイズのα7 Vで撮影しているが、APS-Cフォーマットのカメラなら36mm相当となり常用レンズとして使いやすい。フルサイズとAPS-Cを併用しているユーザーなら1本で2倍楽しめるわけだ。

■使用機材:ソニー α7 V + FE 24mm F2.8 G
■撮影環境:シャッター速度1/640秒 絞りF2.8 ISO100 クリエイティブルック:FL
■使用機材:ソニー α7 V + FE 24mm F2.8 G
■撮影環境:シャッター速度1/500秒 絞りF8 ISO100 クリエイティブルック:FL

まとめ

いろいろな使い方ができそうな本レンズだが、個人的には先にレビューしたFE 40mm F2.5 Gとのコンビを強くおすすめしたい。一部の作例は2本同時に持ち出して撮影しているのだが、状況や気分で交換しながら撮り歩くのはとても楽しかった。2本合わせても重量はわずか335g。片方をボディーに装着すれば、もう片方はカバンの隅や上着のポケットにしまうこともできる。機材がコンパクトになり、フットワークが軽くなるメリットは確実にあるはずだ。

 

 

■写真家:鹿野貴司
1974年東京都生まれ。多摩美術大学美術学部二部映像コース卒。さまざまな職業を経て、広告や雑誌の撮影を手掛ける。著書『いい写真を取る100の方法』が玄光社から発売中。公益社団法人日本写真家協会会員。

 

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