花から星まで様々なシーンに対応する ソニー FE 16mm F1.8 G|清家道子

清家道子
花から星まで様々なシーンに対応する ソニー FE 16mm F1.8 G|清家道子

はじめに

軽量コンパクトで明るい単焦点レンズ、ソニー FE 16mm F1.8 Gが登場しました。重さはわずか304g、最短撮影距離が15センチ (AF時)なので「これはいいな」と思った被写体に、瞬時に近づいて撮ることが出来ます。春が来て様々な花が咲き始めたこの時期に活躍しそうなレンズです。

片手を伸ばしての撮影も楽々

■撮影機材:ソニー α6700 + FE 16mm F1.8 G
■撮影環境:F1.8 1/250秒 ISO1000 手持ち

サザンカの花を撮影しました。コンパクトなAPS-Cセンサーカメラα6700との相性も抜群で、手持ち撮影はもちろん、片手を伸ばしての撮影も楽に行うことが出来ます。これは公園のサザンカを撮ったものですが、とても高い位置にあり、三脚も届かないくらいだったため、片手でカメラを持ちモニターを見ながら少し背伸びをして撮影したものです。軽いカメラとレンズだから出来る撮影ですね。手ブレ補正ONにしていたため手ブレもなく撮影できています。

やはり絞り値F1.8の開放まで開くと本当に丸ボケが綺麗ですね。ピントはサザンカのガクに合わせ、木漏れ日のキラキラした丸ボケを意識しながら構図を決めています。

■撮影機材:ソニー α6700 + FE 16mm F1.8 G
■撮影環境:F1.8 1/640秒 ISO125 手持ち

まだ寒さの残る春先の公園で蝋梅の花を見つけました。蝋梅の黄色い色は力強く、やや厚みのある花びらは少し透明感がありとても美しいです。この花も高い位置に咲くため手持ち撮影が良さそうです。α6700とFE 16mm F1.8 Gの組み合わせで、カメラを持ち上げ出来るだけ花に近づけながら撮影します。背景にはまだ葉が落ちたままの木が立っています。

絞り込んで撮ると構図がうるさくなってしまったので、このような表現の時にF1.8まで開放にできるというのは便利だなと思いました。

こちらがF8で撮影したものです。木の枝のシルエットが蝋梅の花のラインと重なってしまい、ややうるさい印象になっています。自由にF値をチョイスできるのもこのレンズの魅力です。

最短撮影距離で花をさらに魅力的に

■撮影機材:ソニー α6700 + FE 16mm F1.8 G
■撮影環境:F4 1/160秒 ISO125 手持ち

このレンズの魅力のひとつは最短撮影距離が15センチ、つまりかなり被写体に近づいてもピントが合うということです。

お花の撮影などの場合、俯瞰的に撮るのと接写して撮るのとではイメージがとても変わってきます。同じ被写体でも様々な表現ができるのは嬉しいですね。これは先ほどの蝋梅の花に最短撮影距離ギリギリまで寄って撮影したものです。近づくとさらに蝋梅の花の魅力を知ることが出来ます。

蝋梅の花びらは蝋に似ていることから蝋梅という名前が付いたのだとか。こうやってみると確かに蝋のように半透明な質感ということが分かりますね。「こんなに近くてもピントが合う」という感動を味わえるレンズです。

星空撮影もノイズなく

■撮影機材:ソニー α7R V + FE 16mm F1.8 G
■撮影環境:F7.1 15秒 ISO400 三脚

明るいレンズは夜の撮影にもぴったりです。それほどISO感度を上げなくても明るく星を撮ることが出来るのでノイズは気になりません。この日は月が出ていてあまり星の撮影には向かない夜でしたが、海と奇岩のシルエットが美しく、奇岩に沿うように半月と金星がぽっかりと浮かんでいてとても美しい夜でした。

機材はα7R Vに軽量なFE 16mm F1.8 Gを付け、一番構図が決まる場所を色々と探し回りました。レンズが軽量だとフットワークも軽く納得のいくまで自分の構図を探すことが出来ますね。しっかりと三脚を立て、15秒露光中に少しだけLEDライトを当てながら岩の表情を出しました。

■撮影機材:ソニー α7R V + FE 16mm F1.8 G
■撮影環境:F4 15秒 ISO400 三脚

ある程度撮影したらさらに奇岩に近づいていきます。ここは岩に穴が空いていて、とてもユニークな風景です。穴に海のシルエットを入れつつ月と金星を上部に配置しました。実際に月は半月なのですがF4で撮影したため丸く光っています。ピントは奇岩のラインに合わせています。α7R Vはファインダーが明るく見やすいので、明るいレンズだとこのような状況でもマニュアルで楽にピント合わせができるのがいいですね。

フィルターワークも問題なし

■撮影機材:ソニー α6700 + FE 16mm F1.8 G
■撮影環境:F11 1/320秒 ISO200 手持ち

湖の飛沫氷です。青空と氷のコントラストが美しく、接写をして撮影しました。とても小さな飛沫氷でしたが、こうやって近づいて撮ると迫力がありますね。氷のシルエットを前面に配置し、冬の冷たい青空を少し入れました。氷などは出来るだけ接写をして撮影した方が質感や冷たさを表現できると思います。

■撮影機材:ソニー α6700 + FE 16mm F1.8 G
■撮影環境:F22 1.3秒 ISO50

FE 16mm F1.8 Gは明るい単焦点レンズでありながら「出目金レンズ」ではないのでフィルターが付けられるのがいいですね。風景写真の場合はCPLフィルターやNDフィルターなど様々なフィルターを使うことが多いです。ここでは水面の反射を抑え青みを出しつつNDフィルターを重ね付けし、スローシャッターで鯉の動きを出しています。

おわりに

F1.8の明るい単焦点レンズでありながら小型軽量、しかも接写が出来てフィルターも自由に付けられるFE 16mm F1.8 Gは、これから春の季節の花撮影から本格的な星の撮影まで楽しめるので、撮影初心者の方にもおすすめのレンズです。ぜひ機会がありましたらお試しください。

 

■写真家:清家道子
福岡生まれ。カラーコーディネーターを経て風景写真家となり、九州を中心に撮影活動している。現在企業カレンダーを手がける他 写真雑誌への寄稿、カメラメーカーでの講演、撮影会などを行っている。2020年よりYouTube 清家道子チャンネルで風景写真、風景ショートムービーなどを配信中。

αアカデミー講師 
OMゼミ講師 
JPS会員

 

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