デジタル時代の発想転換でワンパターンから脱却|vol.1 撮影者の期待に応えてくれるα7RシリーズとGMレンズの魅力

TAKASHI
デジタル時代の発想転換でワンパターンから脱却|vol.1 撮影者の期待に応えてくれるα7RシリーズとGMレンズの魅力

はじめに

2023/11/25(土)に開催されるソニープロカメラマンセミナーでは、TAKASHIさんが登壇して本記事でレビューしているα7RシリーズとGMレンズの魅力を紹介する予定です。本レビューをご覧頂き、更に深い理解を求められている方は奮ってご参加ください。セミナーの詳細は文末に記載しています。

デジタルカメラの進化で基本的な撮影技術を全てカメラに任せられる時代に入り、特に風景写真は誰が撮っても同じ様に撮れるようになりました。反面、個性を出すのが難しく、撮影した写真がワンパターンになっていると感じる方も多いのではないでしょうか?
カメラや現像アプリの進化は著しく、そんなデジタル時代に合わせた発想転換をすることはワンパターン脱却の大きなきっかけになるでしょう。

手ぶれ補正を信じることで激変するバリエーション

手ぶれ補正性能の劇的な進化

デジタルカメラの手ぶれ補正性能の進化は著しく、最新のSONY α7RⅤでも強力な手ぶれ補正性能が謳われています。
写真は日の出から少し後の富士山をSONY α7RⅤとFE 24-70mm F2.8 GM IIの組み合わせで手持ち撮影したものです。焦点距離は70mm、シャッター速度はなんと0.5秒(1/2秒)です。信じ難いほど遅いシャッターでも手持ちでこの画像が得られるのです。

撮影機材:ソニーα7RⅤ + FE 24-70mm F2.8 GM II
撮影環境:焦点距離70mm、マニュアル露出(F16・0.5秒)、ISO100
上記画像の等倍相当画面。

デジタル時代の発想転換で撮影方法も変わる

風景撮影をする上で欠かせないのが三脚ですが、どんな時も三脚で撮影していないでしょうか?
手ぶれ補正の性能を信じて手持ち撮影すれば、スピーディーに多彩な構図のバリエーションを得ることができます。
特に観光地や三脚が使用できないシチュエーションでは、手持ちをいかに駆使するかで構図のバリエーションがずいぶん変わってきます。

モミジと富士山を撮影できる河口湖の湖畔は狭く足場が悪く、観光客や三脚撮影者で賑わっていました。
この画面は19分間で80枚のバリエーションを撮影した中から22枚を並べたものです。単純計算で1分あたり4枚強撮影していることになります。多彩な構図の秘訣は、目線で構えるだけでなく、モニターを見ながら足元で構えたり、両腕を伸ばしてカメラを枝の間に差し込んだりと、手持ちでカメラを自由に構えることにあります。
また、マニュアル露出モードを使った固定露出(下記写真は全てF16・1/160)で、オートフォーカスとズーミングだけに集中して撮影することも秘訣の一つです。

撮影機材:ソニーα7R IV + FE 16-35mm F2.8 GM
撮影環境:焦点距離16~35mm、マニュアル露出(F16・1/160秒)、ISO100

まだ緑も混じるモミジの一番赤いところに三脚撮影者が並んでいました。
三脚撮影者に了解を得て前に立ち、固定露出で画角やアングルを変えながら1〜2分で定番構図を数枚撮影。

撮影機材:ソニーα7R IV + FE 16-35mm F2.8 GM
撮影環境:焦点距離23mm、マニュアル露出(F16・1/160)、ISO100

その後、このモミジの右に移動して大胆にモミジに近づいて縦横数枚。

撮影機材:ソニーα7R IV + FE 16-35mm F2.8 GM
撮影環境:焦点距離26mm、マニュアル露出(F16・1/160)、ISO100
撮影機材:ソニーα7R IV + FE 16-35mm F2.8 GM
撮影環境:焦点距離26mm、マニュアル露出(F16・1/160)、ISO100

後ろに下がって、モミジの枝の間にカメラを差し入れて数枚。
これは、その中でボートが来た瞬間の一枚です。

撮影機材:ソニーα7R IV + FE 16-35mm F2.8 GM
撮影環境:焦点距離27mm、マニュアル露出(F16・1/160)、ISO100

ボートの波が面白いので、すぐに左に移動して波を入れて縦横数枚。

撮影機材:ソニーα7R IV + FE 16-35mm F2.8 GM
撮影環境:焦点距離21mm、マニュアル露出(F16・1/160)、ISO100

緑が残る枝が垂れ下がっていたのでカメラを地面近くに構え、モニターを見ながらカメラを数ミリ単位で微妙にずらして太陽を入れたカットと、入れない縦横カットなどを撮影。
一面赤いモミジも良いですが、赤と緑が入り混じるモミジも美しいと思います。

撮影機材:ソニーα7R IV + FE 16-35mm F2.8 GM
撮影環境:焦点距離16mm、マニュアル露出(F16・1/160)、ISO100
撮影機材:ソニーα7R IV + FE 16-35mm F2.8 GM
撮影環境:焦点距離16mm、マニュアル露出(F16・1/160)、ISO100
撮影機材:ソニーα7R IV + FE 16-35mm F2.8 GM
撮影環境:焦点距離18mm、マニュアル露出(F16・1/160)、ISO100

さらに右に移動して太陽のフレアが富士山に少しかかるよう微妙にカメラをずらしながら撮影。

撮影機材:ソニーα7R IV + FE 16-35mm F2.8 GM
撮影環境:焦点距離35mm、マニュアル露出(F16・1/160)、ISO100
撮影機材:ソニーα7R IV + FE 16-35mm F2.8 GM
撮影環境:焦点距離35mm、マニュアル露出(F16・1/160)、ISO100

いかがでしょう。
三脚から離れて、オートフォーカスと手ぶれ補正を信じることで、短時間で多くのバリエーションを得ることができました。
三脚で撮影する定番構図も良いのですが、三脚から離れることで素敵な構図を何枚も得ることができました。

トリミングで構図の魔法を知る

写真は撮影時に構図を極めるのが理想で、これは高画素デジタル時代にあっても同じです。
しかし、シチュエーションによっては高画素デジタルのメリットを活かして、逆にトリミングすることを前提にした撮影も大きな可能性を持つようになっています。
また、テーマが漠然とした写真をトリミングすることで、何を伝えたいか明確になることも多く、構図の魔法を身につけるきっかけにもなるでしょう。

冬の山中湖で白鳥が羽ばたく気配を見せた瞬間、反射的に連写した内の1枚です。
笠雲の富士山、鳥のような雲、鏡の湖面、羽ばたく白鳥と魅力的な要素が勢揃いの一枚です。
しかし、とっさのことだったのでテーマを決めて構図を作る余裕はありません。経験からくる判断で瞬間的に全部の要素を入れるこの構図を選びました。後からトリミングすることで色々な構図を切り出せるからです。
このままでものどかな冬の山中湖畔の光景が伝わる一枚ですが、撮影時のアスペクト比(3×2)で色々とトリミングしてみましょう。

撮影機材:ソニーα7R III + FE 24-70mm F2.8 GM
撮影環境:焦点距離24mm、マニュアル露出(F14・1/160)、ISO100

周辺を少し狭くトリミングしてみました。
富士山と雲の存在感が強い印象です。

さらにトリミングして雲の要素を削ってみました。羽ばたく白鳥よりも富士山の印象が強めです。

次に、トリミング領域を少し左にずらしてみます。富士山の印象よりも2羽の白鳥が際立ってきました。

さらに、左にずらすと羽ばたく白鳥とそれを見守るような手前の白鳥の対比が際立ってきます。富士山は良い脇役になっています。

どれが良いかは、何を伝えたいかによって決めることになります。
それぞれは少しの違いですが、その少しが印象を左右する重要ポイントなのです。
この時、日の丸構図、三分割構図、額縁構図と言う理論を参考にしても、理論に囚われすぎないことも大切です。

さて、上記のトリミングでは最初の1枚が持っていた空間の広がり感が薄れてしまっています。
そこでアスペクト比16 x 9でトリミングしてみます。
手前の湖畔を削ったことで雄大な空の下で気持ちよく羽ばたく白鳥の印象が強くなりました。

次は、雲を削ってみます。どんと構えた富士山の下で暮らす鳥たちの日常と言う印象となったのではないでしょうか。

トリミングを左に移動すると、2話の白鳥の日常を見守る富士山といった印象でしょうか。

さらに左にずらすと、湖で伸び伸びと過ごす白鳥たちと言う印象がより強くなります。

印象は個人によって異なるので、違った印象を持つ方もいるでしょう。
大切なことはトリミングの仕方で主役の重みが変わり、印象も変わると言うことです。
この様にトリミングすることで伝えたい事がより明確になり、その経験が撮影時にどの様な構図で撮れば良いかと言うことへのフィードバックにもなるのです。

RAWデータで残しておくと良いことがある

夜景はノイズ処理が大変だから撮らない、と言う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、カメラで撮った写真をもっと印象的にしたいが、現像アプリで仕上げるのは苦手と言う方もいらっしゃるでしょう。
そんな方もせっかく撮った写真のRAWデータは残しておくことをお勧めします。

最近Adobe Lightroom Classic CCにA Iノイズ除去機能が追加されました。
それまでのノイズ除去はシャープネスが失われたり、赤青緑の熱ノイズなどを除去することができず、スキルと多大の時間を要求される作業でした。
しかし、AIノイズ除去はスキルが無くてもボタン一つで自動的にノイズが除去でき、しかもシャープさも保たれ、更に熱ノイズまでかなり除去される様になりました。

また、今後A Iがさらに進化すると自分の現象のパターンを学習して、ボタン一つで自分流の現像ができてしまったり、大きくブレた写真も完全に修正できてしまうような時代が来ることは間違い無いでしょう。これはカメラ内現像でも実現されるかもしれません。
その時のために失敗と思われる写真もRAWデータで残しておくと良いことがあるかもしれません。

夏の夜の一枚です。暗い部分を明るく現像してあります。
一部を拡大すると多くのノイズが出ています。

次は、従来のLightroom Classic CCでノイズ除去したものですが、暗い部分の熱ノイズ(赤青緑のドット)は除去できず、葉っぱもぼんやりしています。

最新のAIノイズ除去で処理すると熱ノイズまで綺麗に除去され、葉っぱのクッキリ感も失われていません。これがボタン一つで可能な時代になりました。

まとめ

さて、「デジタル時代の発想転換でワンパターンから脱却」というテーマで「手ぶれ補正を信じることで激変するバリエーション」、「トリミングで構図の魔法を知る」、「RAWデータで残しておくと良いことがある」と三つご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
機会があればぜひ実践してみてください。

11月25日のセミナーでは上記内容をさらに多くの作例を使って詳しくご紹介します。
ぜひご参加ください。

【2023/11/25】TAKASHIさん登壇のα7RシリーズとGMレンズを紹介するソニープロカメラマンセミナーを開催

2023年11月25日(土)講師にTAKASHIさんをお招きして、SONYフルサイズミラーレスカメラ”α”の魅力を紹介するセミナーを開催します。その中で今回の記事で紹介したα7Rシリーズを使用した風景写真の撮影ポイントや、おすすめのGMレンズの紹介、各レンズの特徴やそのシーン別使用例などをお話いただきます
風景を普段から撮影されている方や、これから撮影を始めてみたいと考えている方にオススメのセミナーです。当日は講師への質問もできますのでこの機会に奮ってご参加ください。

開催場所はカメラのキタムラ 平塚店の他、全国のカメラのキタムラ18店舗でもライブ中継にて開催いたしますので、最寄りの店舗でご参加ください。

【概要と申込み】
■開催日時:2023年11月25日(土)【第一部】11:00~12:00【第二部】14:30~15:30
■費用:無料
■場所:カメラのキタムラ 平塚/平塚店、ライブ中継先店舗
■定員:
 □カメラのキタムラ 平塚/平塚店:各部 5名
 □ライブ中継先店舗:下記店舗一覧より希望店舗へお問い合わせください。
■申込み方法
 □下記店舗一覧より希望店舗へお問い合わせください。
■申込み期限:2023年11月24日(金)各店舗営業時間内

【店舗一覧】
 募集状況や申込み、ご質問などは申込み希望店舗へお電話ください。

□リアル開催店舗
■神奈川県:平塚/平塚店

□ライブ中継先店舗
■山形県:山形/馬見ヶ崎店
■埼玉県:春日部/ユリノキ通り店
■茨城県:水戸/下市店
■茨城県:神栖/神栖店
■千葉県:市川/北国分店
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■神奈川県:藤沢/湘南台店
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■三重県:四日市/西浦店
■富山県:富山/掛尾店
■大阪府:豊中/豊中店
■滋賀県:草津/野村店
■滋賀県:近江八幡店
■島根県:松江/学園通り店
■山口県:宇部/南浜町店
■香川県:高松/高松南店
■福岡県:久留米/上津店
■福岡県:福岡/ミーナ天神店

【TAKASHIさんプロフィール】

2011年から富士山をメインテーマに風景写真を撮り続ける富士山写真家。
主な所ではNational Geographic Traveler誌の2018年6/7月号表紙に採用され
Sony World Photography Awards 2018日本3位受賞、WPC 2022 (ワールドフォトグラフィックカップ)で日本最高得点を受賞。作品は世界各国のT V番組・写真集・専門誌・カレンダーなどで数多く紹介・掲載されている。
2019年1月銀座ソニーイメージングギャラリー、2020年1月銀座MEGUMI OGITA GALLERY、2023年3月あさご芸術の森美術館、他で写真展を開催。
透明感のある美しいカラー、ダイナミックなコントラストのモノクロ、深みがあり記憶に残るブルーインクシリーズと多彩な作品を世界に発表し続けている。

OFFICIAL WEB SITE:https://www.takashi-artfuji.com/
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