独シュナイダー・クロイツナッハコラボ第2弾!大口径標準ズーム「LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE」
はじめに
今回紹介するレンズはサムヤンと独シュナイダー・クロイツナッハコラボ第2弾になる「LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE」です。2025年2月の「CP+2025」のサムヤンブースで、独シュナイダー・クロイツナッハコラボ第1弾の「LK SAMYANG 14-24mm F2.8 FE」が発表されていましたが、同時に詳細は明かされていない「スタンダードズーム」と称された3Dプリンターで制作されたモックが置かれていました。その時のモックが今回登場したレンズ「LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE」です。今回発売前に先行して使用する機会を得たので、「LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE」のスペックや特徴とその写りをご紹介します。
LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE の基本スペックと魅力

「LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE」はドイツのレンズメーカーであるSchneider Kreuznach(シュナイダー・クロイツナッハ)とのコラボレーションモデルです。シュナイダー・クロイツナッハは古くから大判や中判カメラのレンズなどでは有名ですが、2025年「LK SAMYANG」から35mmフルサイズ(Eマウント)対応のコラボレンズとして登場し、「Schneider Kreuznach x LK SAMYANG」のダブルネームが冠された第2弾のモデルになります。
「LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE」は、「万能オールインワン標準ズームレンズ」・「SUPER COMPACT & LIGHT」というコンセプトで作られ、日常的に使いやすい大口径の標準ズームレンズに仕上がっているレンズです。ズーム領域を焦点距離24mm-60mmとしており、一般的に言われる大三元ズームレンズの一つとされる焦点距離24-70mmF2.8よりも望遠側が少し短くなっていますが、開放F値F2.8を維持しながら小型軽量を達成しています。
ソニーの純正レンズのこのクラスでは、「FE 24-50mm F2.8 G」と「FE 24-70mm F2.8 GM II」の中間にあたりそうなモデルですが、価格面においては「LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE」が一番魅力的なモデルになっています。
「LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE」とソニー純正レンズ2本との比較
| LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 F |
SONY FE 24-50mm F2.8 G |
SONY FE 24-70mm F2.8 GM II |
|
| 焦点距離 | 24-60mm | 24-50mm | 24-70mm |
| レンズ構成 | 11群14枚 | 13群16枚 | 15群20枚 |
| 開放絞り | 2.8 | 2.8 | 2.8 |
| 最小絞り | 22 | 22 | 22 |
| フィルター径 | 72mm | 67mm | 82mm |
| 絞り羽根枚数 | 9枚 | 11枚 | 11枚 |
| 最近接距離 | 0.18m(W)-0.32m(T) | 0.19m(W)-0.30m(T) | 0.21m(W)-0.30m(T) |
| 最大撮影倍率 | 0.27倍(W端) | 0.30倍 | 0.32倍 |
| 手ブレ補正 | 無 | 無 | 無 |
| 全長×最大径 | 102×78mm | 92.3×74.8mm | 119.9×87.8mm |
| 重量 | 494g | 440g | 695g |
| 発売 | 2025年11月 | 2024年4月 | 2022年6月 |
| 参考価格(税込) (2025年11月7日キタムラ調べ) |
115,920円 | 162,360円 | 287,100円 |
レンズの重量も500gを切ってフィルター径も72mmとなっているので、ソニーαのボディとのバランスも良く、開放F値F2.8の明るさにも関わらず日常的に使う標準ズームレンズとしての完成度は高い感じです。





独シュナイダー・クロイツナッハ社コラボ第1弾の大口径超広角ズーム「LK SAMYANG AF 14-24mm F2.8 FE」と、今回の第2弾大口径標準ズーム「LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE」を並べてみました。フィルター径が違うレンズなので並べてみると見た目の印象が少し異なる感じですが、基本的なデザイン・操作性は同じです。
独シュナイダー・クロイツナッハ社コラボ第1弾・第2弾のレンズを合わせると、超広角14mm~望遠60mmまでの焦点距離をF2.8通しで対応することができるようになりました。こうなると、第3弾は望遠60mm~の望遠レンズ領域で開放F値F2.8のレンズを期待してしまいます。

撮影してみた第一印象は誰にでも受け入れられやすいオーソドックスな描写といった感じで、通常の撮影では不満を感じることはないレンズです。超広角の「LK SAMYANG AF 14-24mm F2.8 FE」がやや硬い描写の印象だったのですが、「LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE」はとてもスタンダードな描写で扱いやすく感じました。

■撮影環境:シャッター速度1/125 絞りF2.8 ISO100
焦点距離60mm
最短撮影距離は、焦点距離によって変わるタイプのレンズになります。広角側の24mmで最短撮影距離が0.18mになり一番被写体に寄ることができます。望遠側の60mmでは最短撮影距離が0.32mになり、しっかりと寄れるレンズになっています。
下の写真は、広角側24mmの最短撮影距離でミニチュアを撮影したものになります。かなり寄れるので最短撮影距離で撮影する際には、光源状況によってはフードの影が下の写真の中央下部に写り込んでしまう場合もあるので少し注意が必要です。

■撮影環境:シャッター速度1/125 絞りF2.8 ISO1600
焦点距離24mm
「LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE」は小型軽量でありながら、開放F値F2.8の明るさにより大きなボケも期待できるとともに最短撮影距離の短さで寄って撮影もできる「万能オールインワン」標準ズームレンズとして、日常的に使いやすいレンズと言えます。
LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FEでストリートスナップ撮影

■撮影環境:シャッター速度1/250 絞りF2.8 ISO100
焦点距離60mm
ストリートスナップ撮影でその描写を確認してみました。広角側でも望遠側でも、前後のボケは滑らかでクセの少ない印象で大口径のレンズならではの表現が楽しめます。絞り開放F2.8大口径のスタンダードズームでも軽量なこのレンズは、気軽に軽快にスナップ撮影を楽しめるズームレンズです。

■撮影環境:シャッター速度1/8000 絞りF2.8 ISO400
焦点距離45mm

■撮影環境:シャッター速度1/1600 絞りF2.8 ISO100
焦点距離60mm

■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF2.8 ISO100
焦点距離24mm

■撮影環境:シャッター速度1/200 絞りF2.8 ISO100
焦点距離60mm

■撮影環境:シャッター速度1/160 絞りF2.8 ISO100
焦点距離60mm
よくある大口径のスタンダードズーム(24-70mmF2.8)よりも望遠側の焦点距離が10mm短いですが、実際にストリートスナップ撮影をしてみてもほぼ気になることはありませんでした。
レンズの筺体はズームで望遠側になると繰り出すタイプですが、スナップ撮影中カメラを肩からぶら下げて持ち歩いていても、自重で繰り出すこともありませんでした。
LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FEで屋内撮影

■撮影環境:シャッター速度1/125 絞りF2.8 ISO1600
焦点距離24mm
開放F値F2.8の明るいズームレンズですので、次に屋内で撮影をしてみました。開放F値F2.8の明るさはやや暗い屋内撮影においてある程度のシャッター速度で撮影することができるので、撮影にゆとりと安心感を確保する事ができます。

■撮影環境:シャッター速度1/80 絞りF2.8 ISO800
焦点距離24mm

■撮影環境:シャッター速度1/200 絞りF2.8 ISO800
焦点距離60mm

■撮影環境:シャッター速度1/50 絞りF2.8 ISO800
焦点距離60mm

■撮影環境:シャッター速度1/20 絞りF2.8 ISO400
焦点距離24mm

■撮影環境:シャッター速度1/800 絞りF2.8 ISO100
焦点距離37mm

■撮影環境:シャッター速度1/1250 絞りF10 ISO1600
焦点距離60mm
「SAMYANG AF AF 24-60mm F2.8 FE」は、標準ズームレンズとしての描写クオリティは申し分なく満足度も高いレンズと言えます。
LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FEでモノクロスナップ撮影

■撮影環境:シャッター速度1/100 絞りF2.8 ISO1600
焦点距離35mm
次は被写体が昭和レトロなものだったので、少し趣を変えてカメラの設定をモノクロにしてスナップ撮影をしてみました。屋内でかなり暗めのシーンでしたが、レンズの明るさの恩恵で感度もISO1600に抑えることができ撮影を楽しむ事ができました。焦点距離が24mm~60mmのズームは構図の自由度が高く、被写体を切り取る撮影、状況を説明する様な撮影など多くのバリエーションに対応できます。

■撮影環境:シャッター速度1/200 絞りF2.8 ISO1600
焦点距離51mm

■撮影環境:シャッター速度1/250 絞りF2.8 ISO1600
焦点距離60mm

■撮影環境:シャッター速度1/80 絞りF2.8 ISO1600
焦点距離43mm

■撮影環境:シャッター速度1/60 絞りF2.8 ISO1600
焦点距離60mm

■撮影環境:シャッター速度1/30 絞りF2.8 ISO1600
焦点距離60mm
まとめ
独シュナイダー・クロイツナッハ社コラボ第2弾で大口径標準ズーム「LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE」は、大きな欠点も無くよくできた標準ズームです。F2.8通しの標準ズームとしてコストパフォーマンスの高いレンズで、ソニー純正レンズには無い焦点距離領域のズームになるので、このクラスのレンズを検討しているユーザーは選択肢の一つに加えても良いでしょう。
■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師
















