ペンタックスらしさ満載!手のひらサイズの3代目ナノ一眼「PENTAX Q7」

水咲奈々
ペンタックスらしさ満載!手のひらサイズの3代目ナノ一眼「PENTAX Q7」

はじめに

2013年7月5日にHOYA株式会社PENTAXイメージング・システム事業部(現リコーイメージング株式会社のカメラブランド)から発売された「PENTAX Q7」は、Qシリーズ3代目として登場しました。

「スモールを極めた一眼。」のキャッチコピーにピッタリの、画質、性能ともに大きな飛躍を見せた機種でした。今回は、この3代目ナノ一眼「PENTAX Q7」のレビューをお送りします。

1/1.7型の裏面照射型CMOSセンサーにサイズアップ

■撮影機材:PENTAX Q7 + 01 STANDARD PRIME
■撮影環境:焦点距離39mm(35mm判換算)露出モード:オート f/3.2 1/320秒 ISO200 AWB カスタムイメージ:鮮やか

これまでのQシリーズのラインナップは、2011年発売の初代「PENTAX Q」、2012年発売の2代目「PENTAX Q10」がありますが、これら従来機は1/2.3型裏面照射型CMOSセンサーを搭載していました。3代目の本機は「PENTAX Q10」とボディサイズと重量はそのままですが、センサーは1/1.7型にサイズアップしています。

この恩恵として画質の精細さがぐっと上がって、細かいディティールの描写性能が驚くほど高くなりました。高感度撮影も従来機の倍のISO12800まで設定できるようになり、撮影シチュエーションの幅が広がりました。

■撮影機材:PENTAX Q7 + 02 STANDARD ZOOM
■撮影環境:焦点距離23mm(35mm判換算) 露出モード:オート f/4 1/500秒 ISO100 AWB カスタムイメージ:風景
■撮影機材:PENTAX Q7 + 02 STANDARD ZOOM
■撮影環境:焦点距離65mm(35mm判換算) 露出モード:オート f/5 1/250秒 ISO100 AWB カスタムイメージ:鮮やか

新型エンジンのお陰で起動時間は約1秒!

■撮影機材:PENTAX Q7 + 02 STANDARD ZOOM
■撮影環境:焦点距離40mm(35mm判換算) 露出モード:オート f/3.5 1/80秒 ISO100 AWB カスタムイメージ:風景

画像処理エンジンは新型の「Q ENGINE」を搭載しており、従来のエンジンよりも様々な処理スピードがアップしました。電源オンから撮影可能になるまでの時間、メニュー操作時のレスポンス、もちろんAFの速度も体感できるほど速くなっています。

■撮影機材:PENTAX Q7 + 01 STANDARD PRIME
■撮影環境:焦点距離39mm(35mm判換算) 露出モード:オート f/3.5 1/1000秒 ISO100 AWB カスタムイメージ:鮮やか

センサーサイズ変更に伴って各レンズの焦点距離も変更

■撮影機材:PENTAX Q7 + 01 STANDARD PRIME
■撮影環境:焦点距離39mm(35mm判換算) 露出モード:オート f/3.2 1/800秒 ISO100 AWB カスタムイメージ:鮮やか

また、センサーサイズのアップにより、各レンズの画角がより広くなりました。たとえば「01 STANDARD PRIME」は焦点距離8.5mmのレンズなので、「PENTAX Q」と「PENTAX Q10」に装着すると、35mm判換算では約5.5倍の47mm相当の焦点距離になりますが、本機は35mm判換算では約4.6倍なので、39mm相当の焦点距離になります。

このセンサーサイズの変更に伴って、「01 STANDARD PRIME」、「02 STANDARD ZOOM」、「06 TELEPHOTO ZOOM」、「08 WIDE ZOOM」の高性能レンズシリーズと「07 MOUNT SHIELD LENS」は、ケラレなども発生せず1/1.7型サイズに完全対応されています。

「03 FISH-EYE」、「04 TOY LENS WIDE」、「05 TOY LENS TELEPHOTO」のレンズは、それぞれのイメージサークルに最適化した画角に自動的にトリミングされて記録されます。

■撮影機材:PENTAX Q7 + 01 STANDARD PRIME
■撮影環境:焦点距離39mm(35mm判換算) 露出モード:マニュアル f/2.8 1/160秒 ISO640 AWB カスタムイメージ:鮮やか

解像性能の高い本機と相性バッチリの魚眼レンズ「03 FISH-EYE」

解像感が高くなったお陰で出番が増えたのが「03 FISH-EYE」です。本機装着時には、イメージセンサーの対角線方向に173°のワイド画角が楽しめる魚眼レンズで、Qマウントではユニークレンズと称されているシリーズです。

■撮影機材:PENTAX Q7 + 03 FISH-EYE
■撮影環境:焦点距離16.5mm(35mm判換算) 露出モード:マニュアル f/5.6 1/200秒 ISO100 AWB カスタムイメージ:鮮やか
■撮影機材:PENTAX Q7 + 03 FISH-EYE
■撮影環境:焦点距離16.5mm(35mm判換算) 露出モード:マニュアル f/5.6 1/640秒 ISO100 AWB カスタムイメージ:鮮やか

ユニークレンズは小型・軽量でリーズナブルを売りにしている、マニュアルフォーカスのレンズシリーズで、レンズシャッターなし、絞り固定の個性の強い写真が撮れる楽しいレンズが、4本ラインナップされています。

「PENTAX Q」のレビューでは、トイカメラっぽい写りを楽しめる、ボディキャップのような形状の「07 MOUNT SHIELD LENS」をご紹介しました。今回ご紹介する「03 FISH-EYE」は、35mm判換算で約16.5mmの焦点距離を得られる超ワイドレンズで、絞りはF5.6固定、ピント位置は「Near」と「Far」と書いてあるピントリングを回して、手動で任意の箇所に合わせて調節します。

魚眼レンズらしく前玉が膨らむようにせり出しているので、撮影時は被写体にぶつからないように注意しましょう。また、思っているよりも広い範囲が写るので、ピントを操作している自分の指が映り込まないように、かなり気を付けて撮影することをお勧めします。

ピントの調節には少し慣れが必要ですが、撮り慣れていけば、本当にこの小さなカメラで撮ったの?というような、ダイナミックな写真がたくさん撮れます。ぜひ、本機とセットで持っていただきたいイチオシレンズです!

■撮影機材:PENTAX Q7 + 03 FISH-EYE
■撮影環境:焦点距離16.5mm(35mm判換算) 露出モード:マニュアル f/5.6 1/200秒 ISO100 AWB カスタムイメージ:鮮やか
■撮影機材:PENTAX Q7 + 03 FISH-EYE
■撮影環境:焦点距離16.5mm(35mm判換算) 露出モード:マニュアル f/5.6 1/500秒 ISO100 AWB カスタムイメージ:鮮やか

シャッター音は「K-5」「645D」「*istD」から選べる、遊び心満載の機種!

これまでのQシリーズに搭載されていたカスタムイメージ、デジタルフィルター、スマートエフェクト、ボケコントロールなどももちろんそのまま搭載されており、MF撮影時の拡大画像が6倍にアップしたり、約3段分の補正効果を得られるボディ内手ブレ補正機構「SR」の性能が向上したりと、3代目になり段違いレベルの進化を見せた本機を、筆者は発売当時に即買いしました。

■撮影機材:PENTAX Q7 + 01 STANDARD PRIME
■撮影環境:焦点距離39mm(35mm判換算) 露出モード:オート f/4.5 1/1250秒 ISO200 AWB カスタムイメージ:鮮やか
■撮影機材:PENTAX Q7 + 01 STANDARD PRIME
■撮影環境:焦点距離39mm(35mm判換算) 露出モード:オート f/2.8 1/125秒 ISO100 AWB カスタムイメージ:鮮やか

レギュラーカラーはシルバー、ブラック、イエローの3色ですが、そこはペンタックスですから!120パターンのオーダーカラーシステムがあり、自分好みのカラーをセレクトすることができます。

ちょっとマニアックですが、購入後に筆者が一番最初に設定した項目がシャッター音です。通常は電子シャッター音はオフにしているのですが、本機から搭載されている楽しい機能を内覧時に伺って、ぜひこれは体感したいと思っていたのです。

シャッター音の変更は、「MENU」内の「設定メニュー1」、「電子音」、「シャッター音」の項目で、オフを含む4種類から選択できます。このオフ以外の3種類の音は、説明書には書かれていないのですが、実は「1:K-5」「2:645D」「3:*istD」のシャッター擬音なのだそうです。

本機用に加工が施されたシャッター擬音ですが、実機と聞き比べても(当時、許可をいただいてショールームで聞き比べをさせていただきました)遜色ない音で、かなり興奮したのを覚えています。気分によって変えていますが、筆者は「2:645D」のシャッター音を使用することが多いです。

……というような、遊び心のある機種なので、筆者も飽きずに未だに愛用しているのでしょうね。中古市場でもたまに見かける機種なので、いい出会いがありましたら、ぜひオーナーになることを強くお勧めします!

■撮影機材:PENTAX Q7 + 01 STANDARD PRIME
■撮影環境:焦点距離39mm(35mm判換算) 露出モード:オート f/2.8 1/125秒 ISO500 AWB カスタムイメージ:鮮やか
■撮影機材:PENTAX Q7 + 03 FISH-EYE
■撮影環境:焦点距離16.5mm(35mm判換算) 露出モード:マニュアル f/5.6 1/400秒 ISO100 AWB カスタムイメージ:鮮やか

 

 

■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。

 

関連記事

人気記事