パナソニック LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.|超望遠という、新しい日常
いいレンズである、という直感
手に取った瞬間感じたのは軽さとバランスの良さである。ライカSL3-Sにカメラストラップをつけなくても不安なく持ち歩けるイメージ。ふたつめに印象的だったのは、いままで超望遠ズームレンズに感じたことのないようなレンズ単体としての美しさ。ハンマートーンのような加工が施された鏡筒はビルドクオリティが高く、手触りも上質。きっとこれはいいレンズだ、と直感する。




海辺で実証、テレ端からワイド端まで

■撮影環境:500mm 絞りF7.1 1/1250秒 ISO100 WB:オート
超望遠ズームといえば海、ということで早速近所の浜へ持ち出すとサーファーがちらほら。波も上々、水温も温かくなってきたこの季節の湘南地域はサーフシーズンのはじまり。まずはテレ端500mmで波を乗りこなすサーファーを一枚。朝方の強い光という状況も手伝って、気持ちよく決まる。一枚目で判断するのは早急かもしれないが、どうやらわたしの直感は正しかったようだ。

■撮影環境:243mm 絞りF6.4 1/1600秒 ISO100 WB:オート
次に波に挑もうとする波打ち際のサーファーを。243mmで撮影しているが、5km先の江ノ島が目の前に迫って見える。この圧縮効果こそ超望遠ズームレンズで遊ぶ面白さだろう。普段あまり使用しない焦点距離であっても、感覚を掴み始めると楽しくなってくるもの。撮る楽しさに集中できるのは、手持ち撮影が苦にならないコンパクトネスと、約1285gという軽さによるものが非常に大きい。

■撮影環境:103mm 絞りF5 1/160秒 ISO100 WB:オート
ワイド端に近い103mmに引いて砂の足跡をクローズアップ。最短撮影距離は広角端で0.8mなので、スナップ的な写真も気軽に撮れるのがこのレンズの楽しみのひとつ。まるでレリーフのように浮き上がってみえる足跡と、砂粒ひとつひとつに立体感が生まれているのが印象的。最短撮影距離付近でも解像性能が落ちることはないようだ。
焦点距離の自由

■撮影環境:259mm 絞りF6.4 1/2000秒 ISO100 WB:オート
100mmでは足りず、かといって500mmでは近すぎるという状況でも、ファインダーを覗きながら自身にとっての「ほどよい距離感」を探せるところも超望遠ズームの利点だろう。光を反射する水面も硬さはなく自然なボケ、その背景に佇むサーファーの輪郭がすっと浮き上がってくるような立体感が実に気持ちがいい。

■撮影環境:500mm 絞りF7.1 1/640秒 ISO100 WB:オート

テレ端500mmでカラスを正面から捉えた一枚。黒を締めつつ、ツヤのある羽毛の質感までしっかり描写しているのは見事。防砂柵のボケ方もごく自然で、二線ボケもみられない。拡大してみるとちょっとワイルドめな髪型と瞳の薄いブルーから黒へのグラデーションまでしっかり確認できる。

■撮影環境:100mm 絞りF5 1/800秒 ISO100 WB:オート
カラスの写真とほぼ同じ場所でワイド端の100mmに切り替えて撮影。F5でもフルサイズならではの豊かなボケが得られていて、ピント面のふたりの解像はもちろん、海と空の境界線もシャープに出ていて、色収差的なにじみもほぼ見られない。
描写力と信頼

■撮影環境:500mm 絞りF7.1 1/500秒 ISO100 WB:オート
見事なターンの瞬間を500mmで。離れた距離からでもこれだけ引き寄せられるのがこのレンズの醍醐味だろう。テレ端という条件でもコントラストが落ちず、波とグリーンの色味としぶきの境目もよく表現されており、ズームレンズとしての描写力のバランスの良さを感じる。
また、波の大きさからも分かるように、この日は特に風が吹き荒れる環境であったが、防塵・防滴仕様、さらにレンズの最前面には撥水・撥油性に優れたフッ素コーティングが施されているため、撮影に集中できる点もありがたい。

■撮影環境:367mm 絞りF6.7 1/200秒 ISO100 WB:オート
勢いよく海へ飛び込んでゆくキッズサーファーたち。髪にあたる光をしっかり拾い、波の暗部から空の明部までの諧調もコントラストがありつつもなだらか。こちらは367mmという中間域での撮影だが、ワイド端からテレ端までことごとく性能が安定しているという印象。

■撮影環境:123mm 絞りF6.3 1/2500秒 ISO100 WB:オート
なんだろう、この色気というか絶妙な立体感。うろこ雲のエッジ部分をしっかり解像していながらも雲のやわらかな雰囲気も同時に表現できてしまうこの感じ。たいへん素直でよろしい、ついそんなことを言いたくなるような描写である。
超望遠ズームレンズというカテゴリーは、特殊な用途のための道具というイメージがつきものだが、LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.を手にしてみると、その印象はあっさり覆された。約1,285gという軽量コンパクトな設計により、長時間の手持ち撮影も苦にならず、広角端から望遠端まで一貫して安定した描写力は、ズームレンズとしての完成度の高さを感じさせる。コントラストの豊かさ、自然なボケ、そして黒や白のトーン再現に至るまで、光学性能に妥協がない。撮る楽しさと写りへの信頼感、そのふたつを同時に手に入れられるバランスの取れた一本ではないだろうか。
■写真家:大門美奈(Mina Daimon)
横浜出身、茅ヶ崎在住。作家活動のほかアパレルブランド等とのコラボレーション、またカメラメーカー・ショップ主催の講座・イベント等の講師、雑誌・WEBマガジンなどへの寄稿を行っている。個展・グループ展多数開催。代表作に「浜」・「新ばし」、同じく写真集に「浜」(赤々舎)など。















