機動力を生かし決定的な瞬間を捉えるOMシステムの魅力

田中雅美
機動力を生かし決定的な瞬間を捉えるOMシステムの魅力

超望遠ズームレンズだからこそ得られる「撮影に対する優位性」

超望遠レンズといえば、これまでは単焦点の大口径レンズがその代表格として長く使われてきました。高い解像力や大きなボケ、そして圧倒的な描写性能を求めるのであれば、現在でも大口径単焦点レンズの存在感は決して小さくありません。長い年月をかけて進化してきた超望遠単焦点レンズには、撮影者を魅了する独特の描写力があります。

しかし、いつの頃からでしょうか。光学技術やAF技術、手ブレ補正技術などが大きく進歩するにつれて、超望遠の世界でもズームレンズが徐々に主役の座を占めるようになってきたと感じています。以前は「ズームレンズは便利だが、描写性能では単焦点には及ばない」という考え方が一般的だったかもしれません。しかし現在の超望遠ズームレンズは、光学性能そのものが大きく向上し、単に「便利だから使うレンズ」という位置付けでは語れなくなっています。

特に私が大きなメリットだと感じているのが、レンズの光学的な性能とは少し違った意味での「撮影に対する優位性」です。これは、実際に動く被写体を追いながら撮影してみると、その意味がよく分かります。
望遠レンズで撮影する場合、まず基本となるのは「被写体を確実にフレームの中に入れる」ということです。どれほど優れたAF性能を持っていても、どれほど高い解像力を持ったレンズであっても、そもそも被写体を画面の中に捉えられなければ撮影は成立しません。

特に野鳥や飛翔する鳥、スポーツ選手、走ってくる動物など、動きの予測が難しい被写体になると、その難しさは一気に増してきます。飛んでくるもの、こちらに向かって走ってくるもの、突然方向を変えるもの、あるいは規則性のない動きをするものなど、撮影者が完全に動きを予測することはほとんど不可能です。

このような場面で、超望遠ズームレンズの持つ「撮影に対する優位性」が大きな力を発揮します。
果たして、超望遠ズームレンズは撮影者にどのような可能性を与えてくれるのか。そして、実際の撮影現場でどれほどの「撮影に対する優位性」を感じることができるのか。

今回はその点にも注目しながら、2本の超望遠ズームレンズを実際の撮影で使い比べ、その魅力を存分に楽しんでみました。

M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO

言わずと知れた、OM SYSTEMを代表する最強クラスの超望遠ズームレンズです。35mm判換算で300-800mmという圧倒的な焦点距離を持ちながら、さらに1.25倍のテレコンバーターを内蔵しているため、必要なときには最大1000mm相当まで一気に焦点距離を伸ばすことができます。このレンズの魅力は、単純に「遠くの被写体を大きく写せる」ということだけではありません。超望遠撮影でありながら機動力を確保し、三脚を使わず手持ちで撮影できるという点に大きな価値があると感じています。特に野鳥のように、いつ、どこから、どの方向へ動くのか分からない被写体を狙う場合、この機動力は撮影の成否を大きく左右します。

今回使用したカメラはOM-1 Mark II。レンズとの組み合わせを考えると、まさにOM SYSTEMの中でも最強クラスの超望遠撮影システムと言えるでしょう。超望遠ズームでありながら手持ち撮影が可能で、さらにAFの追尾性能も非常に優れているため、飛翔する野鳥のような動きの速い被写体に対しても、しっかりと対応することができます。実際に野鳥を追ってみると、その性能の高さを実感する場面が何度もありました。野鳥撮影では、被写体を見つけた瞬間からシャッターチャンスが始まっています。特に飛んでいる鳥の場合、ほんの一瞬で画面から外れてしまうことも珍しくありません。そのため、単に望遠端で大きく写すことだけを考えるのではなく、まず「どうやって被写体を画面の中に入れるか」が非常に重要になります。

下の写真は、カンムリワシが獲物に向かって加速しながら飛んでくる瞬間を捉えたものです。このような撮影では、最初から800mm相当の望遠側で構えてしまうと、ファインダーの中に被写体を入れること自体が難しくなる場合があります。そこで私の場合は、最初から望遠端で待ち構えるのではなく、150mm側に設定して構えます。まず広い画角でカンムリワシを画面の中に捉え、被写体の位置と動きを確認します。そして、そのまま150mm側の画角を活かして撮影するのか、それとも被写体を追いながらズームして、より望遠側で大きく切り取るのかを、その瞬間に判断します。この「まず被写体を画面に入れ、その後に必要に応じてズームする」という撮影方法が、超望遠ズームレンズを使う大きなメリットの一つだと思っています。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
■撮影環境:F4.5 1/2000秒 ISO2000 焦点距離300mm(35mm判換算)

特に、こちらに向かって飛んでくる鳥や、突然方向を変える鳥を撮影するときには、この方法が非常に有効です。被写体との距離が刻々と変化していくため、最初から焦点距離を固定してしまうよりも、ズームによって画角を変化させながら被写体を追った方が、結果としてシャッターチャンスをものにできる可能性が高くなります。そして、このレンズとOM-1 Mark IIの組み合わせでは、AFの追尾性能が非常に心強い存在になります。一度被写体を捉えることができれば、あとはファインダーの中で動き続ける鳥を追いながら、撮影者自身がその瞬間を判断してシャッターを切ることができます。

私は個人的に、プロキャプチャーを使った撮影はあまり好みではありません。そのため、今回の撮影でも基本的には使用していません。もちろん、決定的な瞬間を残すための一つの方法としてプロキャプチャーには大きな意味がありますが、私自身は、できるだけ一枚一枚、自分の感覚で被写体と対峙し、その瞬間を見極めてシャッターを切ることを大切にしています。ファインダーの中で被写体の動きを感じ、その次にどのような動きをするのかを予測しながら追い続ける。そして「今だ」と思った瞬間にシャッターを切る。この一連の撮影そのものに、私は野鳥撮影の大きな魅力を感じています。

だからこそ、このレンズの機動力とAF性能は非常に頼もしく感じます。圧倒的な超望遠域を持ちながら、撮影者自身が被写体に積極的に向き合える。遠くの野鳥をただ待って撮るのではなく、自分から被写体を追い、動きを読み、ズームを操作しながら狙った瞬間を切り取っていく。
M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROは、まさにそうした「撮影する楽しさ」を強く感じさせてくれる超望遠レンズだと思います。

35mm判換算300-800mm相当という基本性能に加え、内蔵1.25倍テレコンバーターによる1000mm相当までの超望遠撮影。そして手持ちでの機動力と高いAF追尾性能。この組み合わせは、野鳥をはじめとする動きのある被写体を撮影するうえで、非常に大きな武器になります。今回、カンムリワシの飛翔を追いながら改めて感じたのは、超望遠撮影では「どこまで大きく写せるか」だけではなく「いかに被写体を見失わず、狙った瞬間に撮影できるか」が重要だということです。その意味で、このレンズは単なる超望遠レンズではなく、撮影者の意図にしっかりと応えてくれる、非常に完成度の高い撮影システムだと感じました。

「一瞬の判断を、ズームで確実に。」水面すれすれを滑るように飛ぶムナグロ。飛翔する野鳥を最初から大きく狙うのではなく、まずは150mm側で広く構えて飛翔コースを予測し、フレームに捉えてから一気にズーム。その瞬間に被写体を引き寄せ、翼の一枚一枚まで描き出しました。飛んでいる鳥は、ほんの一瞬でフレームの外へ消えてしまいます。だからこそ、最初から焦点距離を決め打ちするのではなく、「まず捉える、そして寄る」というズームレンズならではの使い方が、この一枚につながりました。超望遠撮影では、長い焦点距離だけが正解ではありません。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
■撮影環境:F6.3 1/4000秒 ISO640 焦点距離800mm(35mm判換算)
石垣島の田園に、思いがけない出会いがありました。畑の中で静かに餌を探す、二羽のマナヅル。本来この地ではなかなか見ることのできない鳥だけに、目の前に並んだ姿には特別なものを感じます。首を伸ばして地面を探る姿、少し離れて同じように餌を探す姿……。二羽の動きが不思議なほど揃い、静かな田園の中に穏やかな時間が流れていました。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
■撮影環境:F4.5 1/1000秒 ISO500 焦点距離800mm(35mm判換算)
「水面に刻む、静かなリズム。」水面を歩くアカアシシギ。その姿そのものだけではなく、歩くたびに広がる波紋と、水面に映り込んだもう一羽のような姿に惹かれました。一歩、また一歩……波紋が重なり、水面に小さなリズムが生まれていく。「ここだ」と感じた瞬間、波紋の広がりと姿が美しく重なるポイントを待ってシャッターを切りました。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
■撮影環境:F4.5 1/400秒 ISO500 焦点距離600mm(35mm判換算)
深い森の静寂の中、わずかに差し込む木漏れ日。その光がカンムリワシの鋭い眼差しを照らす瞬間を狙い、じっと待ちました。暗闇に浮かび上がる黄金色の瞳と鋭い嘴、その表情はまるで森の主のよう。光が差す場所も、顔を向ける瞬間も、すべてが揃うまで待ち続けて、ようやく切り取ることができた一枚です。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
■撮影環境:F4.5 1/1000秒 ISO1600 焦点距離613mm(35mm判換算)
一直線に獲物へ向かって飛んでくる、その一瞬をしっかりとフレームに捉えることができれば、あとはカメラとレンズの性能が確実な撮影へと導いてくれます。動きの速い被写体を追いながら、狙った瞬間を逃さず切り取れることは、このシステムの大きな強みです。まさに、撮影者の意図に応えてくれる頼もしいカメラとレンズだと感じました。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
■撮影環境:F4.5 1/1000秒 ISO320 焦点距離613mm(35mm判換算)
夜間の撮影では、AF性能の高さも非常に重要なポイントになります。特にコノハズクのように小さな被写体は、暗い環境の中ではその姿を捉えること自体が難しく、素早く正確にピントを合わせる性能が求められます。そうした厳しい条件の中でも、確実に被写体を捉えてくれるAF性能は、夜間の野鳥撮影において大きな安心感につながります。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
■撮影環境:F4.5 1/30秒 ISO800 焦点距離800mm(35mm判換算)
睡蓮の花が咲く静かな水面を歩くキセキレイ。水面に広がる波紋と色鮮やかな花、そしてキセキレイの黄色い羽が美しく調和し、穏やかな水辺の一瞬を切り取ることができました。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
■撮影環境:F4.5 1/1000秒 ISO320 焦点距離800mm(35mm判換算)
古木に静かに佇むイソヒヨドリ。青みを帯びた頭部と背中、そして赤褐色の胸から腹部にかけての美しい色合いが、木肌の質感と柔らかな背景の中で印象的に浮かび上がりました。周囲の緑や光が作り出す穏やかな色彩の中で、凛とした姿を見せるイソヒヨドリの一瞬を切り取ることができました。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
■撮影環境:F6.3 1/500秒 ISO640 焦点距離800mm(35mm判換算)
長い距離を移動することで知られるアサギマダラ。その美しい翅の模様と繊細な姿を、まるでマクロレンズで撮影するような感覚で、一枚の中にじっくりと切り取りました。黄色い花にとまって吸蜜する姿を近距離から捉えることで、翅に描かれた淡いブルーと茶褐色の模様、そして細かな白い斑点まで鮮明に表現することができました。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
■撮影環境:F4.5 1/400秒 ISO500 焦点距離800mm(35mm判換算)

OM SYSTEMを代表する超望遠ズーム、M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROは、野鳥撮影では非常に頼りになる一本です。35mm判換算で300~800mm相当という広いレンジを持ちながら、内蔵テレコンを使えば最大1000mm相当まで伸ばせる。この「一本でここまで対応できる」という安心感は、実際にフィールドへ持ち出すと非常に大きく感じます。

森の中で突然現れる鳥を少し引いた構図で環境ごと写したいときもあれば、遠くの枝に止まった小さな野鳥を一気に引き寄せたいときもあります。「その鳥がいた場所」を一枚の作品として残したい。そうした撮り方にも、このレンズのズームという特性が非常に生きてきます。

野鳥撮影では、単純に「焦点距離が長ければいい」というわけではありません。鳥が小さく見える環境写真から、表情をしっかり捉えるアップまで、その場で構図を変えられることが大きな武器になります。

M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO

この焦点距離の望遠ズームを、長く待ち望んでいたカメラマンは多いのではないでしょうか。M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PROは、35mm判換算で100-400mm相当をカバーする望遠ズームレンズであり、野鳥や動物、スポーツ、風景など、遠くの被写体を大きく引き寄せて撮影したい場面で非常に頼りになるレンズだと感じました。

特に魅力的なのは、100-400mm相当という幅広い望遠域を持ちながら、F2.8通しの明るさを実現している点です。一般的に望遠レンズは、焦点距離が長くなるほど大きく重くなり、明るいレンズになればさらに重量が増してしまいます。しかし、このレンズは約1kg余りという比較的扱いやすいサイズに収められており、実際にフィールドで持ち歩いて撮影してみても、その機動性の高さを強く感じることができました。

そして、もう一つ大きな魅力となっているのが手ブレ補正です。最大7段分の手ブレ補正により、望遠撮影で気になりやすい手ブレをしっかりと抑えてくれます。特に手持ち撮影では、三脚をすぐに設置できない場所や、被写体を追いながら瞬間的にシャッターを切らなければならない場面も多いのですが、そのような状況でも、レンズとカメラボディーが一体となって安定した撮影をサポートしてくれる安心感がありました。

実際に撮影してみて感じたのは、単に「高性能な望遠ズーム」というだけではなく、カメラを構えて被写体を追い、シャッターを切るという撮影そのものが楽しくなるレンズだということです。望遠域では被写体の動きを追うことが難しくなることもありますが、ボディーとの組み合わせによる優れた追尾性能によって、被写体の動きに合わせてピントを追従させながら撮影することができます。自分が狙った瞬間を逃さず、思い描いていたイメージに近い作品を撮影できたときの満足感は非常に大きいです。

また、F2.8という明るさは、森林などの光量が少ない場所で撮影すると、そのありがたさをより強く実感できます。森の中では木々に光を遮られ、日中でも思っている以上に暗い場所があります。特に木漏れ日や薄暗い林の中で野鳥や動物を狙う場合、シャッタースピードを確保することが難しくなることもあります。しかし、このレンズならF2.8の明るさを活かして、光が十分に届かないような場面でも被写体をしっかりと捉えることができました。

実際、森の中で撮影した作品の中には「この光の条件では少し厳しいのではないか」と思うような場所でも、F2.8の明るさによって被写体をクリアに捉えることができたものが多くあります。望遠撮影では、ただ遠くのものを大きく写せればよいというわけではなく、被写体をどのような光で、どのような背景の中に切り取るかが重要になります。その点でも、100-400mm相当の焦点距離とF2.8の明るさを組み合わせられることは、大きな撮影上のメリットだと感じました。

50mmから200mmまでのズーム域を一本でカバーできるため、被写体との距離に応じて素早く構図を変えられるのも使いやすいところです。被写体が遠くにいるときは200mm側で大きく引き寄せ、少し近づいてきたときにはズームを戻して周囲の環境も含めた構図にするなど、その場で柔軟に対応できます。撮影中にレンズを交換する必要がないため、シャッターチャンスを逃しにくいという点も、このレンズの大きな魅力だと思います。

これまで望遠レンズというと、「大きくて重いものを持って歩かなければならない」というイメージがありました。しかし、このレンズを実際に使ってみると、そのイメージはかなり変わりました。100-400mm相当という本格的な望遠域を持ちながら、比較的コンパクトで機動性にも優れているため、撮影に出かけるときの負担を抑えながら、本格的な望遠撮影を楽しむことができます。

M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PROは、スペックだけを見ても魅力的なレンズですが、実際にフィールドで使ってみることで、その良さがさらに分かるレンズだと感じました。100-400mm相当の焦点距離、F2.8通しの明るさ、強力な手ブレ補正、そしてカメラボディーとの組み合わせによる優れた追尾性能。これらが一つにまとまることで、撮影者が「ここを撮りたい」と思った瞬間に迷わずシャッターを切ることができます。

そして何より、このレンズを使っていると「もっと撮りたい」「次はどんな被写体を狙ってみようか」と思わせてくれます。撮影の可能性を広げてくれるだけでなく、撮ることそのものを楽しくしてくれるレンズ。それが、実際にM.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PROを使ってみて、私が最も強く感じた印象です。

暗い森の中から聞こえてくる美しい鳴き声を頼りに、枝にとまるリュウキュウキビタキを捉えました。手持ち撮影でF2.8を活かし、MC-14を装着して35mm判換算560mm相当、シャッター速度1/60秒という条件で慎重にシャッターを切りました。光量の少ない森の中では、わずかな手ブレも失敗につながりますが、鳥の動きを見ながらタイミングを合わせ、鮮やかな黄色の姿を柔らかな緑の背景の中に浮かび上がらせることができました。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO + MC-14
■撮影環境:F2.8 1/60秒 ISO1600 焦点距離560mm(35mm判換算)
森の中で美しい声を響かせるリュウキュウキビタキを手持ち撮影で捉えました。F2.8の明るさを活かしながら2倍テレコンを使用し、35mm判換算800mm相当という超望遠で、シャッター速度1/60秒に設定して慎重にシャッターを切りました。木漏れ日が差し込む枝の上で、ちょうど鳴いている瞬間を捉えることができ、柔らかな光に照らされた姿と、森の中に広がる美しいボケが印象的な一枚になりました。800mm相当という超望遠域でありながら手持ちで撮影できる機動力が、このような自然な瞬間を狙ううえで大きな助けになっています。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO + MC-20
■撮影環境:F2.8 1/60秒 ISO800 焦点距離800mm(35mm判換算)
暗い森の中で静かに佇むリュウキュウアカショウビン。その美しい姿を見つけたものの、森の中は思っていた以上に光量が少なく、撮影条件としてはかなり厳しい状況でした。手持ち撮影でF2.8に2倍テレコンを組み合わせ、35mm判換算800mm相当、シャッター速度1/20秒という条件で慎重にシャッターを切りました。超望遠800mm相当で1/20秒という非常にシビアな条件ですが、鳥が静かに佇んでいるわずかな瞬間を狙うことで、何とかその姿を捉えることができました。暗い森の緑を背景に、赤褐色の羽と鮮やかな嘴が浮かび上がり、リュウキュウアカショウビンの美しさを印象的に残すことができた一枚です。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO + MC-20
■撮影環境:F2.8 1/20秒 ISO800 焦点距離800mm(35mm判換算)
南国の森を象徴するヒカゲヘゴに静かに止まるリュウキュウアカショウビン。深い緑の葉と褐色の幹の中に、赤褐色の美しい姿が鮮やかに浮かび上がり、南の島ならではの自然を感じさせてくれる一枚となりました。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO + MC-14
■撮影環境:F6.3 1/50秒 ISO800 焦点距離440mm(35mm判換算)
エリグロアジサシの求愛の瞬間を狙って撮影した一枚です。海辺の岩場で向かい合う二羽の動きをじっくりと観察し、次に訪れる瞬間を予測しながら、その時をひたすら待ちました。そして、二羽が顔を寄せ合い、嘴を重ねるような動きを見せた瞬間にシャッターを切りました。ほんの一瞬の出来事でしたが、二羽の距離が近づき、互いを確かめるような姿を一枚に収めることができました。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO + MC-14
■撮影環境:F5 1/10000秒 ISO2500 焦点距離560mm(35mm判換算)
エリグロアジサシの求愛給餌です。雄が小魚をくわえ、相手に差し出そうとするこの行動を撮影するため、しばらくその場で二羽の動きをじっくりと観察しながら待ち続けました。求愛の行動はいつ始まるのか分からず、何度も期待しながら待つ時間が続きましたが、ようやくその瞬間が訪れました。小魚をくわえた一羽がもう一羽に近づき、まさに餌を渡そうとする瞬間を捉えることができました。野鳥撮影では、ただ被写体を見つけてシャッターを切るだけではなく、その行動を観察し、次に起こることを予測しながら待つことが大切です。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO + MC-14
■撮影環境:F5 1/10000秒 ISO2500 焦点距離560mm(35mm判換算)
緑豊かな森を背景に、枯れ木で静かに佇むカンムリワシと、その視線の先を飛ぶ蝶。一瞬の出来事でしたが、まるで「にらめっこ」をしているような印象的な光景に出会うことができました。野生の世界で偶然生まれた、緊張感とユーモラスさが同居する一瞬を切り取りました。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO + MC-14
■撮影環境:F4 1/800秒 ISO640 焦点距離560mm(35mm判換算)
とても暗い森の中で、静かに佇むアオバズクに出会いました。木々の葉の隙間からわずかに差し込む光が、その姿と鋭い眼差しを浮かび上がらせ、深い森の静けさを感じさせてくれます。暗い環境での撮影はとても難しいのですが、手持ちで慎重にカメラを構え、一瞬の表情を捉えることができました。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO + MC-14
■撮影環境:F4 1/160秒 ISO800 焦点距離405mm(35mm判換算)
田畑の緑の中に佇むアマサギたち。それぞれが少しずつ違う方向を向きながらも、不思議と全体の配置にリズムが生まれ、まるで自然が描いた一枚の作品のように感じられました。何気ない田園風景の中にある鳥たちの位置関係、その絶妙なバランスに惹かれ、しばらく眺めた後にシャッターを切った一枚です。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO + MC-14
■撮影環境:F4 1/5000秒 ISO1600 焦点距離560mm(35mm判換算)
なかなか撮影をさせてくれないシロハラクイナ。草むらの中を素早く移動するため、姿を見つけてもシャッターを切る前に隠れてしまうことが多い鳥です。この時もほんの一瞬のチャンスでしたが、何とか間に合ってシャッターを切ることができました。たった一枚でしたが、その一瞬を逃さず撮影できたことが嬉しい、思い出に残る一枚です。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
■撮影環境:F3.2 1/1600秒 ISO800 焦点距離400mm(35mm判換算)
リュウキュウアカショウビンがふと振り返った、その一瞬。鮮やかな羽色と長い尾、そして何気ない仕草がとても美しく、まさに「見返り美人」と呼びたくなる姿でした。この一瞬を美しく切り取るために、鳥の姿だけでなく背景の入り方にも気を配り、じっくりと狙って撮影しました。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO + MC-14
■撮影環境:F4 1/200秒 ISO640 焦点距離560mm(35mm判換算)
雲に包まれた太陽が、最後の光を静かな海へとこぼしていく。八重山で出会った数々の野鳥や風景。その旅の最後を飾るのは、静かに光を残して沈んでいく夕暮れでした。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
■撮影環境:F10 1/500秒 ISO200 焦点距離158mm(35mm判換算)

今回の撮影では、F2.8のレンズにテレコンを組み合わせ、換算560mmや800mm相当という超望遠域でも撮影しました。
特に印象に残ったのが、暗い森の中での撮影です。リュウキュウアカショウビンやリュウキュウキビタキを撮ったときには、F2.8+2倍テレコン、換算800mm、そして1/20秒や1/60秒という非常に厳しい条件での手持ち撮影にも挑戦しました。普通なら「この条件では厳しい」と感じるような場面です。しかし、野鳥は「もう少し明るくなってから」「三脚を立ててから」などと待ってはくれません。その瞬間にしか見られない表情や仕草があります。

暗い森の中でじっと佇むリュウキュウアカショウビン。
美しい声で鳴くリュウキュウキビタキ。
こちらを振り返ったリュウキュウアカショウビンの「見返り美人」。

こうした一瞬を逃さず撮るためには、機材そのものの性能だけではなく、手にしたときに「この条件でも撮ってみよう」と思わせてくれる信頼感が重要だと感じました。

OM-1 Mark IIと超望遠レンズがくれた「待つ時間」と「一瞬を残す力」

OM SYSTEMのフラッグシップ OM-1 Mark II と超望遠レンズを手に、沖縄の森や海、そして田畑を歩きながら、さまざまな野鳥を撮影してきました。
リュウキュウアカショウビン、リュウキュウキビタキ、カンムリワシ、アオバズク、シロハラクイナ、アマサギ、そしてエリグロアジサシ……。振り返ってみると、撮影した鳥たちはそれぞれ全く違う環境にいて、光の条件も、距離も、動きも一枚一枚違っていました。

その中で強く感じたのが、OM-1 Mark IIと超望遠レンズの組み合わせは、「鳥を大きく写すための機材」というだけではなく、野鳥との距離を保ったまま、その瞬間の表情や仕草を自分のイメージに近い形で残せる機材だということです。特に野鳥撮影では、近づけば逃げてしまう鳥も多く、こちらがじっと待っていても、なかなか思い通りの場所には来てくれません。だからこそ、遠くから鳥の動きを見ながら待ち、背景や光の入り方まで考えて、ここだという瞬間にシャッターを切る。そうした「待つ時間」そのものが撮影の大きな部分を占めていました。

今回、特にこだわったのが手持ち撮影です。超望遠で800mm相当ともなると、わずかな揺れも大きく感じます。まして1/20秒というシャッター速度では、鳥が動かないこと、自分自身も極力動かないこと、そしてシャッターを切る瞬間まで集中することが求められます。それでも、その厳しい条件の中で撮影できた写真には、三脚でじっくり構えた写真とはまた違った達成感があります。

「いた!」と思った瞬間にカメラを構え、鳥の動きを追いながらピントを合わせ、光を確認してシャッターを切る。
野鳥撮影では、この一連の動作を短時間で行わなければなりません。OM-1 Mark IIは、そうしたフィールドでの撮影において、撮影者が鳥を見つけた瞬間からシャッターを切るまでの動きを邪魔しないカメラだと感じています。

機材の性能以上に感じた「撮影の自由度」

今回の写真を振り返ってみて、一番感じたのは「撮れる写真の幅が広い」ということでした。
暗い森の中。明るい海岸。緑に囲まれた森。田畑の中。そして、岩場で求愛するエリグロアジサシ。
同じ野鳥撮影でも、環境が変われば必要になる撮り方は全く違います。エリグロアジサシの求愛給餌では、いつ起こるか分からない瞬間をひたすら待ちました。二羽が向かい合う求愛の瞬間も、魚をくわえて相手に渡す瞬間も、どちらも「その瞬間を撮るために待つ」撮影です。

シャッターを切るまでの時間は長くても、実際にシャッターを切る瞬間はほんの一瞬。
その一瞬に、自分がイメージしていた構図と鳥の動きが重なったときの喜びは、野鳥撮影ならではのものです。

そして撮影を通して、以前よりも強く感じるようになったのが、野鳥写真は鳥だけを綺麗に撮れば完成するものではないということです。
カンムリワシの写真では、蝶との一瞬の対峙を狙いました。アオバズクでは、暗い森の中に差し込む光と緑の背景を意識しました。ヒカゲヘゴに止まるリュウキュウアカショウビンでは、鳥だけを大きく写すのではなく、ヒカゲヘゴの存在を含めて、その場所の雰囲気を残しました。そして最後のリュウキュウアカショウビンでは、振り返った姿を「見返り美人」として捉えるため、背景まで考えてシャッターを切りました。

こうして考えると、超望遠レンズの役割は単に遠くの鳥を大きく写すことではありません。自分がその場に立って見た世界を、どのように切り取るか。そのための自由度を与えてくれるのが、OM SYSTEMの超望遠システムなのだと思います。

OM-1 Mark IIと超望遠レンズを実際のフィールドで使ってみて感じたのは、スペック表だけでは分からない「撮影に集中できる安心感」でした。野鳥撮影では、機材を構えている時間よりも、鳥を探している時間、待っている時間のほうが長いことも珍しくありません。

だからこそ、いざ鳥が現れたときに迷わず撮影に入れることが重要です。そして、暗い森の中で1/20秒という厳しい条件に挑戦したり、800mm相当という超望遠域で鳥の表情を狙ったり、求愛や給餌の一瞬を待ったり……。
今回の撮影では、「こんな条件でも撮ってみたい」という撮影者の気持ちに、機材がしっかり応えてくれることを実感しました。

OM SYSTEMの機材は、野鳥を「記録する」ためだけの道具ではなく、鳥と出会った瞬間の感動を「作品として残す」ための道具。それが今回、さまざまな鳥を撮影して一番強く感じたことです。

そして最後に。
野鳥撮影は、決して「高性能なカメラと長いレンズがあれば良い写真が撮れる」という世界ではありません。
鳥がどこに現れるのか。どちらを向くのか。飛ぶのか、止まるのか。光がどう入るのか。背景はどうなるのか。そして、いつシャッターを切るのか。そのすべてを考えながら、ただひたすら待つ。

だからこそ、自分が狙っていた瞬間が訪れ、シャッターを切れたときの喜びは大きいのです。
今回の一連の写真は、OM-1 Mark IIと超望遠レンズの性能を紹介するだけではなく、「待って、狙って、そして一瞬を切り取る」野鳥撮影の楽しさそのものを感じさせてくれる撮影になりました。

 

■写真家:田中雅美
静止画と動画の自然と動物を撮る。オーロラのVR360パノラマは国内外で高く評価される。
カナダ観光局.ノースウエスト準州観光局公認の自然写真家。
公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員

■代表的な番組
NHK-G 天空のスペクタクル~オーロラ・四季の絶景~
NHK-4K いとしのオーロラ~カナダ・北の大地の絶景と人々の物語~
NHK-8K 超高画質8Kタイムスケイプの世界
BS-TBS 地球絶景紀行 ~カナダ極北オーロラの聖地へ~
BS-TBS 新地球絶景紀行~奇跡の光・北米大陸紀行~
NHK-BSP.4K すごい空見せます! 劇的気象ミュージアム
NHK-BSP.4K すごい空見せます!劇的気象ミュージアムⅡ
NHK-BSP.4K陸海空全部みせます 世界自然遺産 奄美・沖縄
TOKYO FM AuDee 「カナダの。その奥へ??。」

■主な書籍
極北の絶景パノラマ・オーロラ(河出書房新社)
極北の彼方」リアルタイム・オーロラ(廣済堂出版)
全天オーロラ日誌 (光文社)
山翡翠ヤマセミ(クレオ)

 

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