ニコン ZRで撮る自然光&ストロボポートレート

水咲奈々
ニコン ZRで撮る自然光&ストロボポートレート

はじめに

2025年10月24日に発売されたNikon ZRは、REDのカラーサイエンスを味わえるニコンのカメラとして発表当初から話題の製品でした。特に動画の作品制作を行いたい方の興味を強く引く製品だと思いますが、今回は、自然光とストロボでポートレート撮影を行いましたので、本機のポートレート撮影におけるスチールカメラとしての魅力についてレビューしたいと思います。

写真がより綺麗に見える大きな4.0型液晶モニター

■使用機材:Nikon ZR + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
■撮影環境:f/1.8 1/250秒 WB:5000K ISO200 ピクチャーコントロール:ポートレート

Nikon ZRはニコンZマウントのフルサイズ(FXフォーマット)の、レンズ交換式デジタルカメラです。有効画素数は2450万画素、ボディ内手ブレ補正はイメージセンサーシフト方式5軸補正が搭載されています。ISO感度は100から64000、オートフォーカスは位相差AFとコントラストAFのハイブリッドAFとなっています。

筆者のポートレート撮影のメイン機はNikon Z8なのですが、新たに購入したZRで自然光とストロボ撮影を試してみたく、今回の撮影に投入しました。

まずは自然光での撮影。ファインダーがないので液晶が見にくい炎天下では多少苦労する本機ですが、室内ではノーストレスですね。4.0型の大きな液晶モニターがとても見やすく、アンダー部分や肌の質感なども精細に表示してくれるので、いつもよりも綺麗な画が撮れているような気がして、撮影していて気持ちが良かったです。

ポートレートで常用しているレンズとの相性もピッタリ

■使用機材:Nikon ZR + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
■撮影環境:f/1.8 1/250秒 WB:5000K ISO1000 ピクチャーコントロール:ポートレート

動画撮影時は、ISO感度はベースISO感度を使用して切り替えていますが、スチール撮影時は意図する明るさになるように細かく設定しています。このシーンでは、窓からの強い光とその影になる部分の割合を見ながら、少しアンダー目の露出になるようにISO感度を設定しました。

筆者がよく使用している「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」は2018年発売のレンズで、絞り開放から高い解像度を有し、人物の肌を綺麗なグラデーションで描いてくれる描写性能と、Sラインながらコンパクトサイズで、ポートレート撮影にピッタリのレンズとして一番使用しているレンズになります。

全身が写る撮影では少し絞って撮ることも多いのですが、このシーンでは、柔らかい素材のスカートの裾と、背景の冷たくて硬い素材のグレーの壁を大きくぼかすことで、窓辺から入る暖かそうな光の印象を強めたかったので、見る人の想像を掻き立てるために、絞り開放で撮影しました。

小型・軽量でフットワーク軽く撮影できる!

■使用機材:Nikon ZR + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
■撮影環境:f/1.8 1/250秒 WB:5000K ISO1600 ピクチャーコントロール:ポートレート

今回はZRならではの機能にフューチャーするよりも、ポートレートを撮る方がスチール機として使用するシーンを想定して撮影しています。

そこでサイズ感。筆者が普段使用しているZ8と比べると、格段に小さくて軽量です。Z8は幅144×118.5×83mm、重さ約820g(本体のみ)ですが、ZRは幅134×80.5×49mm、重さ約540g(本体のみ)と、数字だけ見てもコンパクトさがわかると思います。

しゃがんだり、近づいたり、離れたりと、ポートレート撮影は意外とフットワーク軽く動くことが多いです。軽量な本機での撮影は、いつもよりもぐっと身軽になった気がしました。

グリップ部分がストレートなので握り心地に不安はありましたが、この50mmのレンズを装着していれば、左手部分はレンズの下から支えるのにちょうどいい長さがあるので、特に不便は感じませんでした。パンケーキ型の薄いレンズを使用するときは、グリップがあるタイプのZ機を常用している方は、握りの浅さに不安を感じるかもしれません。

ストロボのワイヤレス機能も問題なく作動

■使用機材:Nikon ZR + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
ストロボ:JINBEI バッテリーモノライト HD-250MAX(2灯)
ソフトボックス:[H&Y x SMDV] FlipBeauty24ビューティーディッシュ Softbox (60cm)
ワイヤレストリガー:TR-Q8
アクセサリー:レンズベビー OMNI(オムニ)
■撮影環境:f/2.8 1/60秒 WB:5000K ISO100 ピクチャーコントロール:スタンダード

続いてストロボ編です。「JINBEI バッテリーモノライト HD-250MAX」に「FlipBeauty24ビューティーディッシュ Softbox (60cm)」を装着したメインライトをモデルの左斜め上から、モデル背景は「JINBEI バッテリーモノライト HD-250MAX」にオレンジフィルターを装着して、壁とモデルの髪に当たるように照射しています。

まだ夕方前の時間ですが、モデルを明るく照らすことで室内の露出をぐっと下げて、まるで夜のようなムードを作り出しています。さらに、オレンジ色の照明が髪の柔らかさと、アダルトなムードを盛り上げてくれます。

さらに、カメラの左下に「レンズベビー OMNI(オムニ)」の棒状のクリスタルワンドをかざして、カメラに向かってくるオレンジの光を反射させることで、構図左下にリアルでは存在しない模様を作り出しています。

「Z CINEMA」という製品名からストロボ撮影が想像しにくいかもしれませんが、ちゃんとホットシューはありますので、ワイヤレストリガー「TR-Q8」も問題なく使用できました。このワイヤレストリガー「TR-Q8」が小さくて丸い形なので、四角い形状のZRに付けると、なんだかいつもよりも可愛らしく見えました。

薄暗い中でもしっかり働くAF

■使用機材:Nikon ZR + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
ストロボ:JINBEI バッテリーモノライト HD-250MAX(2灯)
JINBEI スピードライト HD-2PLUS
ソフトボックス:[H&Y x SMDV] FlipBeauty24ビューティーディッシュ Softbox (60cm)
ワイヤレストリガー:TR-Q8
■撮影環境:f/2.8 1/60秒 WB:5000K ISO100 ピクチャーコントロール:スタンダード

次のセッティングは、生っぽい光でグラビア風にしてみました。モデルの斜め前からソフトボックスをつけたメインのストロボをいつもよりも強めに、髪と衣装のサイドを照らすように2灯を当てています。

顔に強い陰影を作るライティングはあまりしないのですが、本機は明暗の差がある部分とアンダー部の描写が綺麗だったので、撮影しながらぜひやってみたいと思ったライティングでした。

かなり暗い中でピントを合わせないといけないのですが、本機の被写体検出機能はなかなか優秀で、モデルの右目をしっかりと捉えてくれました。しっかりと一本一本数えられるまつ毛、アンダー部ながら少しの反射も逃さず描写する前髪とサイドの髪の描写性能は、筆者好みの繊細さでした。

お得意のサンドウィッチ・ライティング

■使用機材:Nikon ZR + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
ストロボ:JINBEI バッテリーモノライト HD-250MAX(2灯)
ソフトボックス:[H&Y x SMDV] FlipBeauty24ビューティーディッシュ Softbox (60cm)
ワイヤレストリガー:TR-Q8
アクセサリー:レンズベビー OMNI(オムニ)
■撮影環境:f/2.8 1/60秒 WB:5000K ISO100 ピクチャーコントロール:スタンダード

続いて、筆者お得意のサンドウィッチ・ライティングです。ソフトボックスをつけたメインストロボをモデルの斜め前方上部から、モデルの首に隠れる位置にカメラの方向を向かせたサブストロボを1灯、モデルの後ろから強めに当てます。ストロボとストロボでモデルを挟む形でセッティングするので、サンドウィッチ・ライティングと呼んでいます。サブストロボにオレンジのフィルターを付ければ夕方っぽくなるし、青いフィルターを付ければ朝っぽいムードにすることができます。

モデルの顔の位置や、髪の透き具合でサブストロボの効能が決まるので、モデルとのコミュニケーションや、自分のカメラ位置の超・微調節が必要なライティングです。成功すると、髪の輪郭が光で彩られて幻想的なムードに仕上げられます。

このライティングは、本当にちょっとずつ自分の位置を軌道修正しないといけないので、重いカメラだと徐々に体力が削られていきます・・・。さらに、ここでも「レンズベビー OMNI(オムニ)」のクリスタルワンドを左手に持って、レンズ左下にかざしてくるくる回しながら光の反射を調節しているので両手は大忙しです。

さて、ここでもZ8と比較してみましょう。ZRは有効画素数が2450万画素なので、Z8の4571万画素と比べると物足りなく感じるかもしれませんが、大きな印刷をする写真展をするのでなければ、それほど気にしなくてもいい数字でしょう。逆にこの画素数ですと、気軽にスナップをするカメラとしても向いていると言えますね。

さいごに

■使用機材:Nikon ZR + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
■撮影環境:f/1.8 1/250秒 WB:5000K ISO200 LUT:ティールアンドオレンジ系

こちらはティールアンドオレンジ系のLUTを充ててみました。明暗のディティールの表現が美しいので、シネマティックなLUTがよく似合います。

ZRといえば動画機能が取り上げられるのが常ですが、スチール機としても性能の高い機種として仕上がっており、特に約307万ドットの4.0型液晶モニターは、撮影した画像がより美しく見える再生画面はもちろん、メニュー操作もしやすくて、エントリー機の小さな液晶で苦労していた方がご覧になると、世界が変わるレベルでしょう。

スナップ機としてもレビューされることが多い本機ですが、ポートレート撮影でも活躍してくれたことを、筆者としては強く推したいです。今は動画に興味がない方でも、本機を使っていれば、自然と動画も撮りたいと思ってしまう気もします。

 

 

■モデル:LUO
https://x.com/kirakira8023
https://www.instagram.com/ish_y7/

■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。

 

 

関連記事

人気記事