ライカ M Typ240とQ3 43を使い分ける旅

杉本優也
ライカ M Typ240とQ3 43を使い分ける旅

はじめに

こんにちは。杉本です。

先日西の方に旅に行ってきました。1週間ほどの日程です。
僕は東京在住なのですが、電車や飛行機があまり得意ではなく、旅に出る際に機材をあまり絞りたくないので大抵の場合車で行きます。
今回も例に漏れず車でまず大分まで走りました。ただ、現実的に全てのカメラ機材を持って歩くのは車からでも不可能です。そこで旅先では何パターンかメインになる組み合わせを持っています。

今回は僕が旅先で持ち歩くパターンを紹介します。

基本的な機材構成

基本的な機材構成は大きく分けて2パターンあります。一つはCanonのEOS R6 Mark IIにVCMレンズを持ち歩くパターンです。RF35mm F1.4 L VCMとRF85mm F1.4 L VCMを軸にEF50mm F1.2L USMのレンズかRF50mm F1.8 STMを組み合わせ、単焦点とトリミングでカバーするパターンです。僕は遠景をそこまで多くは撮らないので、ロケーションや撮りたい雰囲気で上記のうち2本くらいを車から持ち出していくというスタンスです。トップに使用している写真の場所は駐車場からすぐの場所なので、必要なら車まで戻れば良いやという気持ちもありますね。

ここまで50mmを多用してきたからここでは35mmにしてみようといった気分での使い分けも多くあります。また、念の為RF24-105mm F4 L IS USMも持っていますので、いざという時はズームレンズも視野に入れつつといった感じですね。車には入っているけれど、持ち歩くのはレンズ2本くらいに収めたいというのが基本的な考えになります。

もうワンパターンが今回紹介するもの

そしてもう1つの機材構成がLeica M Typ240とLeica Q3 43の二つを首からぶら下げるパターンです。Typ240の方にはSummilux-M f1.4/50 ASPH.を付けています。Q3 43はレンズが交換できず、43mmでf2.0のレンズが装着されています。

こちらは一見同じような画角のレンズが付いていますから、意味があるのか?と思われそうですよね。意味があるというか、どちらかでよくないか?という気持ちになる方もいると思います。でも僕としてはこのセッティングは結構ベストに近いという結論になったので今回紹介させていただきます。また、この記事では以後Typ240のことをM240と表記させていただきます。

基本的にこちらを使う

いつものレビュー記事と違い、今回は多分に僕の好みの問題が大きく絡むことは先に伝えておきます。ですからこの記事を読んでくださった方が同じ結論になるとは思わないのですが、参考になればと思います。

僕が基本的に使うのはM240です。どちらか一つならM240を持っているケースが7割、Q3 43が3割といったところでしょうか。あくまで体感ですが。

■撮影機材:Leica Q3 43 APO-Summicron f2/43 ASPH.
■撮影環境:1/125 f2.0 ISO400

そもそもMとQの大きな違い

Leicaと一括りに言っても実は結構シリーズがあります。またレンズも世代交代を含めると非常に数があってややこしく、ここでその歴史や違いについて解説してしまうとそれだけで文字数が膨大になってしまうので、詳しい方には物足りない情報になるかもしれませんがご容赦ください。いったん書いてみたのですが総文字数が7000文字を超えそうだったので削りました。

僕が思う最も大きな違いはAFが使えるかどうかです。
M型LeicaというのはAFが使えません。ファインダーを覗きながらMFでピントを合わせる必要があります。僕が使用しているM240はライブビューが使えますので背面液晶でもピントを合わせながらでも撮影できます。ちなみにM9にはこれができません。M10以降のモデルも背面で合わせることが可能です。この辺りM型の購入を考えている方は可能かどうか調べておくと良いと思います。必須とは思わないですが、あると楽です。

一方でQと呼ばれるカメラは初代であるQ(僕が長年愛用していた非常に好きなカメラ)とQ2、そしてQ3が存在します。これらは28mmf1.7というレンズが付いていて取り外しは不可能です。そしてQ3にはQ3 43という43mmでf2.0のレンズがついたモデルが別で存在します。こちらのQシリーズはAFが使えます。またレンズの根本を回すとマクロの撮影ができるのもシリーズの共通点です。

ここではレンズが交換できてMFでピントを合わせるのがM型、AFやマクロが使えるものの、レンズは交換できないのがQシリーズくらいの認識で良いと思います。

参考までにレンズが交換できてAFが機能するSLというシリーズもありますが、僕は所持していません。

Q3 43でテンポよく撮る

■撮影機材:Leica Q3 43 APO-Summicron f2/43 ASPH.
■撮影環境:1/125 f2.8 ISO100

Q3 43は約6000万画素を誇る高画素カメラです。先述したようにAFが使えますのでバシバシテンポよく撮っていくカメラです。デジタルフレームで43mmから150mmまでをカメラ内でカバー可能です。

もちろんこれは要するにトリミングと同じですので、望遠側にするほど画素数は落ちます。でも元が6000万画素あるのでかなり自由度が高く、僕は必要と判断すれば結構ガンガンデジタルフレームを使います。またRAW撮影なのでLightroom等でトリミングのボタンを押すとトリミング前の全体が記録されているので、後で微調整したいという要望にも答えてくれます。

150mm相当約500万画素
■撮影機材:Leica Q3 43 APO-Summicron f2/43 ASPH.
■撮影環境:1/250 f2.8 ISO100

本当に高画素で撮りたい場合には70-200mmのような望遠レンズが必要になりますが、僕は画素を削っても良いと思うシーンも多々あるタイプなので、このカメラに任せてしまうことが多いです。もちろんプリントや仕事の条件によってはこの画素数では納品できないこともあるのでケースバイケースですが、旅の際にはこの機能を非常に重宝しています。

また、APO-Summicronのレンズなので解像度感が非常に良く、画素数以上に質感を感じることができるのも頼れるポイントです。ただし150mmから更にトリミングは基本的には行わないです。画素を犠牲にしすぎるのもありますが、それほどの遠景を撮りたいなら素直に望遠レンズを使おうという気持ちになります。

AFは実は昨今の国産メーカーの速度と比べると速いとは言い難いと感じています。でも僕はライブ撮影などでもこのカメラを使うことがありますが、ストレスになることはないです。僕の所持カメラで言えばEOS R6 Mark IIが速すぎてそれと比べたら少しゆっくりに感じるという印象です。

M240でテンポ悪く撮る

当然のことですがAFとMFならAFの方が写真を撮るまでの速度は速いです。カメラを向けて半押しでピントが合った後にシャッターを切れば撮れます。一方でMFはピントが合っていることを確認して撮るので、慣れていてもAFよりは遅いことが多いです。開放ではピントが合ったつもりでシャッターを切っても合っていないケースや、被写体が少し動いた隙にピント面がずれるといったこともあります。

でも慣れてくると遅いなりにそれなりの速度で合うようになってきます。このテンポで何を撮るか、どこにピントを合わせるのかを選択して撮影するのは非常に楽しいです。ドライブを楽しむときにマニュアル車に乗るのとオートマ車に乗る違いとでもいうのでしょうか、MFのカメラならではの楽しさがあります。

■撮影機材:Leica M Typ240 + Summilux-M f1.4/50 APSH.
■撮影環境:1/2000 f1.4 ISO800

こういう雰囲気の写真を大量に撮っています。SNSに載せる写真というのはごく一部で、ほとんどはこういう地味と言いますか、僕が好きならいいやと思う写真です。ちなみにこの写真を僕はとても気に入っています。

Leica M Typ240とは

2400万画素CMOSセンサー搭載で、2013年発売のカメラです。過去にM10-PとM9を使用していたのですが、個人的にはこのM240がとてもしっくりきています。

ただ、これは本当に大切なことなので声を大にして言いたいのですが、良し悪しではなく好みの問題です。あとバッテリー等、仕事事情もあるにはあったのですが、基本的にこっちが良い!というよりは使っていて気持ちのいいものを選んでいったらここに行き着いたという言い方が一番正しいと思います。僕は善悪で機材について語るのがとても苦手です。相性の方が大切だと思っているので、みなさんそれぞれ合ったものに出会えたらその感触を大切にしてほしいと思います。

このカメラはJPEGも保存するのであれば搭載されているフィルターが使えたりもします。あとはM型では貴重な機能ですが動画を撮ることもできます。今のカメラほど洗練されているわけではなく、メニュー等も現代機種ほど見やすくないのですがシンプルな操作性が気に入っています。

■撮影機材:Leica M Typ240 + Summilux-M f1.4/50 APSH.
■撮影環境:1/1500 f4.0 ISO100

単焦点レンズで歩きたい

■撮影機材:Leica M Typ240 + Summilux-M f1.4/50 APSH.
■撮影環境:1/750 f1.4 ISO100

これも僕の個人的な考えですが、僕は単焦点レンズが好きです。ズームレンズは仕事で必要なケースが多々あるのでもちろん持っていますし良く使うのですが、旅先などでカメラを持ってうろつくときはほとんど単焦点レンズが付いています。

先にも書きましたが不便な一面である撮る時のテンポの悪さも、一息つきながらシャッターを切る感触に繋がっている気がして好きな時間です。この立ち位置では微妙だなと思って少し歩いて近寄ってみたり、離れてみたりする時間も愛しいものだと感じています。そういう楽しさがあるので基本的に単焦点レンズで歩き回っていますが、もちろん人を撮る時にはある程度の速度感も必要なのでMFとはいえそれなりにパッとは合わせられるようにしてあります。

擬似的に単焦点レンズとズームレンズの組み合わせを実現している

■撮影機材:Leica Q3 43 APO-Summicron f2/43 ASPH.
■撮影環境:1/500 f6.3 ISO100

Q3 43の方は43mmの単焦点ですが、先述した通り実際にはトリミングも含めたズームレンズの役割も持たせています。レンズのおかげで写真の線の印象が強く絵力があるので、パキッと見せたい時にはこちらが主力になります。一方でM240は1.4という開放値と50mmという素直な画角で撮影を楽しんでいます。厳密には違うのですがざっくり言ってしまうと高画素、ズームといった側面はQ3 43に、ピントを合わせてゆっくり写真を撮る行為はM240に任せています。

この組み合わせに辿り着くまで

最初に2パターンあると書きましたが、Canonの方のシステムが自分なりに完成したことでLeicaの方のシステムも一旦の自分なりの答えにたどり着いた気がします。Canonのカメラは仕事でもプライベートでも万能で非常に扱いやすく、それゆえにLeicaの方は少し不便でも楽しめたらいいやという気持ちになれました。確実にピントを合わせて高画素にとか、現代的に撮っておくべきシーンでは迷わずCanonのセットを使うので、反対にLeicaの方は多少ゆるくても軽くて小さくて楽しめたらいいなと。

散々機材を試して買っては使って売ってを繰り返して写真を始めて、10年でやっとひと段落かなというところまできた感じです。

■撮影機材:Leica Q3 43 APO-Summicron f2/43 ASPH.
■撮影環境:1/2 f7.1 ISO400

気分の問題

これはわざわざ書くかとても悩んだのですが、僕にとってすごく大切なことなので書くことにしました。はっきり言って気分の問題はあります。今日はこのカメラを使いたいなとか、このレンズが良いなと思ったらそっちを使うというのはとてもよくあります。洋服でもありますよね、なんとなくこのTシャツを着ていきたいなみたいな。そういう感じでカメラを選ぶのも好きなので、遊び心でカメラを決めることがすごく多いです。もちろん仕事でない場合ですが。必ずしも理にかなっているのかだけで選ばないようにしています。

最終的に人それぞれ

■撮影機材:Leica Q3 43 APO-Summicron f2/43 ASPH.
■撮影環境:1/2000 f2.2 ISO100

今回はいつものレビュー記事と違って僕の旅セットについて書いてみました。ここに来るまでこっちの組み合わせがいいかなーとか、いやこっちの方がいいな、とか散々考えてきました。ベストかと言われたらまだまだ改善の余地はあるなと思っていますが。でも写真をやっているとこうやって機材そのものだけではなく、組み合わせた時に自分の理想のセットを目指そうという楽しさはあると思います。

その時は満足と思っても数年経つとまた違ったりとか、本当に人それぞれ、或いはケースバイケースで正解すらも変わる世界だと思います。でもそれが楽しさの一部だとも思うので、皆さんもこのセットがあれば撮り切れるかもしれないと思う機材を見つけてくれたら嬉しいです。この記事を読んでくれた方でも同じセットが理想になるとは限らないのが写真の面白いところですよね。最後まで読んでくださりありがとうございました。ではまた。

 

 

■写真家:杉本優也
東京都生まれ東京都在住。妻を撮影し続けている活動がテレビメディアに特集されたことを機に、フォトグラファーとしてのキャリアをスタートさせる。ライブ撮影やメーカーへの作例提供、機材レビューなどの活動をしている。

 

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