標準レンズで手軽に近接撮影ができるケンコー「デジタル接写リング」キヤノンRF用

坂井田富三
標準レンズで手軽に近接撮影ができるケンコー「デジタル接写リング」キヤノンRF用

はじめに

今回紹介するアクセサリーは、ケンコーから発売されている「デジタル接写リングセット キヤノンRF用」です。接写リングと聞いてもピンとこない人もいるかもしれませんが、レンズとボディの間に取り付けて手軽に接写ができるアクセサリーです。キヤノンEFマウントでは、純正で「エクステンションチューブ」という名で販売されていますが、RFマウントでは同等の純正商品のラインナップはありません。

ケンコーから発売されている「デジタル接写リングセット」には、実はRFマウント用がラインナップされています。あまり知られていないようなので今回ピックアップしてみました。デジタル接写リングの使い方やメリット・デメリット、そしてその効果や描写などをご紹介します。

デジタル接写リングって何?その効果

接写リングは別名「中間リング」とも呼ばれ昔からあるアイテムです。カメラボディとレンズの間に接写リングを挟むことで、レンズが物理的に前方に繰り出された状態になり、標準レンズでもマクロレンズのような最短撮影距離が可能になる仕組みです。

接写リングは光学系のレンズなどが無い単純な筒状のものになります。そのため光学系の変化は無く、使用するレンズのクオリティをある程度維持する事が可能です。そして光学系が無い分、比較的お手頃な価格で購入が可能なアクセサリーです。

実際にどの程度接写が可能になるか、キヤノン「EOS R7」で「RF50mm F1.8 STM」と「ケンコー デジタル接写リングセット」を使用してその接写効果を確認してみました。

1枚目の写真は、キヤノンのAPS-C機「EOS R7」を使って、レンズ「RF50mm F1.8 STM」の最短撮影距離で撮影したものになります。このクラスのレンズでは標準的な最短撮影距離のレンズです。

キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM

次の写真は「キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM」に、「ケンコー デジタル接写リング10mm」を使用して最短撮影距離で撮影したものになります。

キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM + ケンコー デジタル接写リング10mm

次の写真は「キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM」に、「ケンコー デジタル接写リング16mm」を使用して最短撮影距離で撮影したものになります。

キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM + ケンコー デジタル接写リング16mm

次の写真は「キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM」に、「ケンコー デジタル接写リング10mm+16mm」を使用して最短撮影距離で撮影したものになります。デジタル接写リングは重ねて使用する事ができるため、標準レンズでもかなりの高倍率の撮影が可能になります。

■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM + ケンコー デジタル接写リング10mm+16mm

デジタル接写リングのメリットとデメリットをまとめてみると下記のような感じになります。

■メリット
・マクロレンズがなくても、通常レンズに接写リングをつけるだけで接写が可能
・比較的安価で購入可能
・リングの組み合わせで撮影倍率の調整が可能
・小型なアクセサリーなので携帯がしやすい

■デメリット
・接写リングを装着するとピントの合う範囲が近距離限定になり遠距離撮影ができなくなる
・被写体に近づくほど被写界深度が浅くなりピント合わせが難しい
・接写リングを装着するとレンズの光学系が延長されるため、実質的な開放F値が少し暗くなる
・使用できるレンズに制限がある

キットレンズや標準レンズで低コストでお手軽に接写が可能になる反面、撮影の際の制限などが発生するのがデメリットになります。特に使用できるレンズの制限に関しては、事前によく調べておく必要があります。今回使用している「デジタル接写リングセット キヤノンRF用」は、ケンコー・トキナーの商品ページに「装着確認済みレンズリスト」として記載されています。

デジタル接写リングセット キヤノンRF用装着確認済みレンズリストと装着不可能レンズリスト

マクロレンズは単体で接写には非常に便利なレンズですが、普段接写をしないユーザーにとってはなかなか手が出しにくいレンズです。ですがたまに、もう少しアップで接写をしてみたいと思うことがあるユーザーにとっては、手持ちのレンズを活かして接写ができる「デジタル接写リング」は魅力的なアイテムになると思います。

キヤノンRFマウントで使える「ケンコー デジタル接写リングセット」

今回使用したデジタル接写リングは、ケンコー製の「デジタル接写リングセットRFマウント」です。この「デジタル接写リングセットRFマウント」は、商品名から分かるように「10mmの接写リング」と「16mmの接写リング」の2個がセットになっている商品です。ケンコーのデジタル接写リングには、このキヤノンRFマウント以外に、マイクロフォーサーズ用やキヤノンEF/EF-S用、ニコンF用などがラインナップされています。

デジタル接写リングのレンズ側・ボディ側の電気接点

ケンコー「デジタル接写リング」には、電気接点を備えているのでカメラ・レンズと連動します。オートフォーカスも作動します。ただ被写界深度が非常に浅くなるので、マニュアルフォーカスでのピント合わせが必要な場合もあります。

デジタル接写リングは組み合わせて使用する事も可能

下の写真は「キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM」に、「ケンコー デジタル接写リング10mm+16mm」を使用して、開放F値F1.8で最短撮影距離で撮影したものになります。被写界深度が非常に浅いのがわかると思います。

■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM + ケンコー デジタル接写リング10mm+16mm
絞りF1.8開放で撮影

デジタル接写リングを使用して撮影する場合、リングの組み合わせによっては被写界深度が非常に浅くなります。可能であれば絞りを絞って撮影するのが良いでしょう。絞りを絞ることでピントが合う面を広げることができますが、シャッタースピードが遅くなってしまうのでデジタル接写リングを使用する際には、三脚などを使用してピント合わせの際は拡大して確認する方が安全です。

■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM + ケンコー デジタル接写リング10mm+16mm
絞りF22で撮影

デジタル接写リングを使用した際の撮影されたデータのEXIF情報には、接写リングの情報は記載されません。通常のレンズだけを使用した際と同じ状態のままのEXIF情報になります。

接写リングの情報はEXIFデータには記録されない

RF50mm F1.8 STMと接写リングで近接撮影

■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM + ケンコー デジタル接写リング10mm
■撮影環境:1/1600 絞りF1.8 ISO400 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)

デジタル接写リングを使って、色鮮やかな落ち葉の接写を楽しんでみました。手軽なお散歩撮影なので三脚は使用しなかったので、デジタル接写リングも一番使用しやすい「10mm」のみで撮影をしています。この「10mm」の接写リングは、繰り出し量が10mmと短いので接写倍率は大きい方ではありませんが、ピントの合う範囲が「16mm」や「10mm+16mm」よりも融通が効くので、一番扱いやすく手持ちでのピント合わせがしやすく撮影も比較的容易です。

デジタル接写リング「10mm」を装着した状態

デジタル接写リングは標準レンズで手軽に接写が可能になりますが、レンズとボディの間に装着しなければならないので、使用する際にひと手間かかるのが難点です。基本的には通常のレンズで撮影しながら、もう少し接写をしてみたいと思った時にデジタル接写リングを装着し撮影するといったスタンスになります。常時デジタル接写リングを装着した状態では、通常の撮影ができないので(通常域のピントが合わない)ので、その点には注意が必要です。

■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM + ケンコー デジタル接写リング10mm
■撮影環境:1/160 絞りF9 ISO400 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)
■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM + ケンコー デジタル接写リング10mm
■撮影環境:1/320 絞りF8 ISO400 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)
■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM + ケンコー デジタル接写リング10mm
■撮影環境:1/8000 絞りF1.8 ISO400 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)

次に自宅にて、撮影倍率が一番大きくなるデジタル接写リング(10mm+16mm)を組み合わせて接写をしてみました。この組み合わせで使用する際には、ピントが合う範囲が非常に狭くなり被写界深度が浅くなるので、三脚を使用し絞りをある程度絞って撮影をしています。

デジタル接写リング(10mm+16mm)を重ねて装着した状態
■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM + ケンコー デジタル接写リング10mm+16mm
■撮影環境:1/8 絞りF18 ISO200 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)
■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM + ケンコー デジタル接写リング10mm+16mm
■撮影環境:1/160 絞りF8 ISO800 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)
■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM + ケンコー デジタル接写リング10mm+16mm
■撮影環境:1/125 絞りF8 ISO800 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)
■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM + ケンコー デジタル接写リング10mm+16mm
■撮影環境:1/2000 絞りF4 ISO200 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)

標準レンズでは撮れない世界が低コストで可能になるデジタル接写リングは、マクロレンズにはかなわない部分が多くありますが、接写の撮影頻度が少ないユーザーや標準レンズの使用が多いユーザーにとっては、手軽に持ち運べる魅力的なアイテムだと思います。

RF50mm F1.8 STMでスナップ撮影

■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM
■撮影環境:1/500 絞りF8 ISO100 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)

今回使用している「RF50mm F1.8 STM」とケンコー「デジタル接写リング」を持って、都電を使って散策しながら撮影をしてみました。

「RF50mm F1.8 STM」は小型軽量でRFレンズの中では一番安く購入できるレンズです。フルサイズ用の焦点距離50mmのレンズですが、APS-C機の「EOS R7」で使用すると焦点距離80mm相当のやや中望遠域のレンズになります。APS-C機で使用した場合のスナップ撮影にはやや焦点距離が長くなりますが、コストパフォーマンスの高いレンズなので、ぜひ持っておきたいレンズの一本です。

■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM
■撮影環境:1/8000 絞りF1.8 ISO200 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)
■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM
■撮影環境:1/2500 絞りF3.5 ISO100 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)
■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM
■撮影環境:1/500 絞りF1.8 ISO200 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)
■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM
■撮影環境:1/125 絞りF1.8 ISO100 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)
■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM+ ケンコー デジタル接写リング16mm
■撮影環境:1/80 絞りF1.8 ISO100 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)
■使用機材:キヤノン EOS R7 + RF50mm F1.8 STM
■撮影環境:1/2500 絞りF1.8 ISO100 焦点距離50mm(フルサイズ換算焦点距離80mm)

スナップ撮影のほとんどは通常のレンズの状態で撮影をしましたが、何かアップで撮りたいときに、デジタル接写リングを使って接写するのはとても楽しくもあります。デジタル接写リングは、コンパクトなアクセサリーなのでポケットにも入る大きさで手軽に携帯することができます。お散歩スナップ撮影のお供に持っておくと撮影のバリエーションが広がります。

まとめ

デジタル接写リングは、手頃な価格で標準レンズなどで接写を楽しめるアクセサリーです。マクロレンズに比べると使用に制限があったりと不便な点もありますが、接写の使用頻度が少ないユーザーであれば、多少の手間を考えてもコストパフォーマンスのアイテムとして有用性は高いアクセサリーになると思います。

 

 

■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師

 

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