もっと軽やかに、自在に、富士フイルム XF16-55mmF2.8 R LM WR IIと巡ったヨーロッパ
はじめに
「旅におすすめのレンズは?」と聞かれるたびに、迷わず答えに挙げてきたのが富士フイルムの「XF16-55mmF2.8 R LM WR」。どんな旅先にも必ず持って行く愛用レンズに、ついにII型が登場しました。さらに軽やかに進化を遂げたこのレンズは、どんな世界を見せてくれるのだろう。そう胸を高鳴らせながら、先日ポルトガルとオランダを訪れました。
夏のヨーロッパの鮮やかな景色や空気感を、1本でしっかりと収めてくれる頼れる相棒。今回は、そんなXF16-55mmF2.8 R LM WR IIで残したポルトガル・オランダでの写真とともに、このレンズの使用感や魅力を紹介していきます。
身軽になったレンズで、旅がさらに快適に

XF16-55mmF2.8 R LM WR IIは、2024年12月20日に発売された富士フイルムXシリーズのズームレンズです。2015年に登場した「XF16-55mmF2.8 R LM WR」の後継機で、基本構造は旧型を踏襲。35mm判換算で24mm〜84mm相当をカバーし、ズーム全域で開放F2.8を実現するフラッグシップモデルであり、レッドバッジを冠するにふさわしい高い描写力を誇ります。

より軽く、よりコンパクトに進化しました
旧型からの最大の進化は軽量化です。旧型が約655gだったのに対し、II型は約410gと約245gも軽くなり、全長も約11mm短縮。実際に手にすると、そのコンパクトさは一目瞭然。旧型では富士フイルムの小型ボディにやや大きすぎる印象がありましたが、II型はサイズ感のバランスがぐっと向上しました。
旅先での撮影は荷物との兼ね合いから、できるだけ機材を軽く抑えたいもの。これまで欠かせない一本として愛用してきたレンズが、軽量化によってさらに携行しやすくなったことは、何よりも嬉しいです。
広角から中望遠まで、一本で網羅する旅の景色

16mm・F7.1・ISO125・1/180秒
旅先での撮影は広大な自然風景から街中の建物、カフェの一角まで被写体が尽きません。そんな時、35mm判換算で24mm~84mmをカバーするズーム域があれば、ほとんどのシーンを網羅することができます。

16mm・F7.1・ISO400・1/1000秒

55mm・F6.4・ISO320・1/1000秒
たとえば旅の始まり、飛行機の窓からの景色も大切なシャッターチャンス。16mmの広角で尾翼と流氷を切り取ったり、55mmの望遠で海上に広がる幻想的な光景を収めたり。自由に動けない環境だからこそ、自在に画角を変えられるズームレンズのありがたみを感じます。

26mm・F5・ISO200・1/500秒
街歩きではレンズ交換がしづらい場面も多いもの。そんな時も、広角・標準・中望遠までカバーできる1本があれば、建物や植物、アートや動物など多彩な被写体を、テンポを崩さず撮影できます。

32mm・F8・ISO125・1/250秒
写真だけでなく動画撮影の際にも、このレンズは頼れる存在。動画の場合は同じ場所で寄りと引きのシーンをそれぞれ残すようにしているため、単焦点レンズではレンズ交換が発生してしまいます。使用頻度の高い焦点距離を網羅できるズームレンズだからこそ、寄りと引きのカットを素早く残すことができ、旅の記録をより豊かにしてくれます。
高速AFと防塵防滴で、出会った瞬間を逃さない

29mm・F5.6・ISO250・1/1000秒
旅先のスナップ撮影で大切なのは、その場のときめきを逃さないこと。ふと「撮りたい」と思った瞬間に、すぐピントが合ってくれるかどうかで、満足度は大きく変わります。
このII型は、高速で静かなAFのおかげで、その一瞬を気持ちよく捉えてくれます。道端で出会った鳥、カフェの窓辺に差し込む光、走り抜けるトラムなど、どんな場面でも自然にシャッターを切れるから、旅のテンポを崩さずに楽しめました。

30mm・F5.6・ISO125・1/800秒
さらに、防塵防滴機能があるのも頼もしいところ。突然の雨や水辺での撮影も心配なく、安心して夢中になれます。ポルトでリバークルーズに乗ったときも、水しぶきを浴びながら街並みを撮影でき、心から撮ることを楽しめました。
旅の表現を広げる、F2.8の明るさとやわらかなボケ

20mm・F2.8・ISO1600・1/125秒
夜の街角や照明を落としたレストランなど、旅の途中には、光の少ないシーンにもしばしば出会います。そんなときに頼れるのが、全域でF2.8を使える明るさ。日が落ちていく夜の景色も美しく残してくれます。

22mm・F2.8・ISO1600・1/125秒
ボケ感を活かした表現も可能。夕方の柔らかい色の空をボカして、ポルトガル名物エッグタルトを撮影。徐々に灯る明かりも小さな玉ボケで捉えて。

36mm・F2.8・ISO125・1/2000秒

55mm・F2.8・ISO125・1/2000秒
ポルトのレストランでいただいたサングリア。俯瞰からボケ感を入れて撮影することで、フルーツがたっぷり入った様子を強調できました。最短撮影距離が0.3mということもあり、ぐっと寄る表現も得意。横から撮ることで、果物の質感や炭酸のシュワシュワ感が伝わります。

41mm・F2.8・ISO125・1/1600秒
II型になって絞り羽根が11枚となり、玉ボケもより美しい表現に。光を探しながら歩く時間が、旅の楽しみをさらに広げてくれます。
おわりに

34mm・F3.2・ISO800・1/125秒
旅先での撮影は、一期一会の出会いの連続。
目の前に広がる絶景も、ふと立ち寄った街角にいた猫も、すべてが大切な記憶になります。そんな瞬間を逃さずに残せるのは、やはり信頼できるレンズがあってこそ。
XF16-55mmF2.8 R LM WR IIは軽量化によって携行性がぐっと高まり、描写力や操作感も妥協のない、まさに旅の心強いパートナー。「この一本さえあれば大丈夫」と思える安心感と表現力で、次の旅にも迷わず持っていきたい存在になりました。
■フォトグラファー:Yuri
大阪府在住。「ふんわりかわいい写真」をテーマに、旅先の魅力やカメラの楽しみ方を発信。観光プロモーションに関する撮影をはじめ、家族写真/ウエディング等の出張撮影や、書籍・広告の撮影、写真セミナー講師、記事執筆など、幅広く活動中。















