富士フイルム X-M5と旅する愛媛 興居島 ─ 心地よいカメラと巡る、瀬戸内の小さな島

Yuri
富士フイルム X-M5と旅する愛媛 興居島 ─ 心地よいカメラと巡る、瀬戸内の小さな島

はじめに

軽やかなカメラを持つと、旅に出たくなる。
富士フイルム X-M5を初めて手に取った時、まさにそんな想いが胸に浮かびました。

小型でコンパクト、そしてクラシカルな佇まい。このカメラには、どこへでも連れて行きたくなるような不思議な魅力があります。
そんなX-M5との旅先に選んだのは、愛媛県にある興居島。瀬戸内海に浮かぶ、1周20kmほどの小さな島です。
「この島でどんな景色に出会えるだろう」──そんなわくわくを抱え、港からフェリーに乗り込みました。

小さなカメラと自転車で巡る、島時間

FUJIFILM X-M5 + XF16-55mmF2.8 R LM WR
27mm F5 1/250 ISO160

興居島は、高浜港からフェリーで約10分。
「松山からいちばん近い島」と言われるだけあって、松山駅からもアクセスしやすく、気軽に足を運べる離島として人気があります。
わずかな航路ながら、しっかりとしたフェリーに乗れるのも嬉しいポイント。遠ざかる街並み、きらめく瀬戸内海。船から眺める景色も旅の一部です。

FUJIFILM X-M5 + XF16-55mmF2.8 R LM WR
27mm F2.8 1/4000 ISO200

あっという間に興居島の港に到着。ここからはレンタサイクルで島内を巡ります。
電動自転車を借りて、早速島内をサイクリング。自転車で巡れるほどコンパクトな島ですが、透明度の高い海水浴場やみかん畑など、小さな島の中にギュッと詰まった魅力に、思わず足を止めたくなる景色の連続。
X-M5を首からかけて、ペダルを踏むと、優しい風と穏やかな島の空気が心地よく迎えてくれます。

X-M5は重さ約355gと、現行の富士フイルムのレンズ交換式カメラの中では、もっとも軽いカメラ。

上着のポケットに入ってしまうほどのコンパクトさであるが故、装着するレンズによっては、持っていることを忘れてしまうほどの持ち運びやすさにびっくりすることも。

自転車での旅となると、どうしても重くて大きいカメラは邪魔になってしまいますが、これだけコンパクトなカメラだと、首から下げていても負担をほとんど感じません。

ぐるりと瀬戸内海に囲まれたロケーションだからこそ、ついつい自転車を止めて撮影する回数も増えてしまいますが、小型のX-M5はそんな時でもさっと取り出して撮影して、また自転車を漕ぐことができる。
旅の相棒としての頼もしさを、早くも実感しています。

島の景色をのびやかに切り取る、バリアングルモニター

FUJIFILM X-M5 + XF16-55mmF2.8 R LM WR
44mm F6.4 1/500 ISO160

興居島の海は、想像をこえる美しさでした。透明度が高く、きらめく水面はまるでリゾートのよう。
そんな景色を、なんとか魅力的に残したい…!と思った時に役に立つのがバリアングルモニターです。

X-M5には自由に角度を変えられるバリアングルモニターが搭載され、ハイアングルで水面を捉えたり、ローアングルで空と海を組み合わせたりと、思い描く構図に合わせて自在にアングルを変えられるのが魅力です。

FUJIFILM X-M5 + XF35mmF1.4 R
35mm F5.6 1/640 ISO160

X-M5はボディをコンパクトにするためにファインダーがない仕様になっていますが、バリアングルモニターがあるおかげでファインダーがなくてもそこまで不便を感じません。どうしても日中の明るい時間帯などモニターが見えにくい場合は、画面の輝度を上げることで十分に見やすくなります。

動く被写体も逃さない、旅撮影で頼れるAF性能

FUJIFILM X-M5 + XF16-55mmF2.8 R LM WR
18mm F5.6 1/640 ISO160

X-M5は最新のAF予測アルゴリズムを採用しているため、AF速度も快適です。特に被写体検出AFが優秀で、人・動物・乗り物などをAIが的確に認識してくれます。

FUJIFILM X-M5 + XF16-55mmF2.8 R LM WR
55mm F2.8 1/1000 ISO200

興居島には猫がたくさん暮らしていて、見かけるたびにカメラを向けたくなるのですが、島の猫は気まま。すぐに逃げてしまい、撮影が難しい場面も多々あります。
そんな時に頼れるのが、被写体検出AF。猫をしっかり認識し、的確にピントを合わせてくれるため、構図に集中できる余裕が生まれます。

FUJIFILM X-M5 + XF35mmF1.4 R
35mm F5.6 1/1250 ISO160

こちらは興居島ではありませんが、興居島への玄関口となる港の最寄り駅がある、伊予鉄道の風景。こちらも被写体検出の「電車」を選択することで、通り過ぎる一瞬をスムーズに捉えることができました。

手軽に色表現を試せる、フィルムシミュレーションダイヤルの楽しさ

このX-M5の中で特に特徴的なのは「フィルムシミュレーションダイヤル」ではないでしょうか。 X-T50から搭載されたこの機能が、X-M5にも引き継がれています。

フィルムシミュレーションダイヤルとは、ダイヤルでフィルムシミュレーションを変更できる機能のこと。従来はメニューボタンやカスタムしたファンクションボタンからしか変更できなかったフィルムシミュレーションですが、X-M5はダイヤルで即座に変えることができるため、フィルムシミュレーションの表現を楽しみたい人にとっては嬉しい機能です。

私は普段はRAW現像をしているため、「フィルムシミュレーションダイヤルは、あまり使うことはないだろうな…」とX-M5を触る前までは思っていたのですが、実際にX-M5を使ってみると、「手軽に色を変えてみる楽しさ」がぐっと身近に。

クラシッククローム

PROVIA

私自身、フィルムシミュレーションの色表現がとても好きで、撮影しながら富士フイルムならではの色を味わえることは、このカメラを使う大きな魅力だと感じています。

とはいえ、フィルムシミュレーションの変更がメニュー画面からしかできないとなると、どうしても切り替えるのが億劫になってしまいます。その結果、従来の機種では気づけばほとんどの写真で同じフィルムシミュレーションばかりを使うようになっていました。

クラシックネガ

フィルムシミュレーションダイヤルがあるとダイヤルを回すだけで変更することができるので、「このフィルムシミュレーションを使ってみたら、どんなイメージになるんだろう」と気になって使ってみたり、ダイヤルを回してプレビューを見ているうちに「あ、このフィルムシミュレーション良いかも!」と新しい発見が生まれたりします。

これまであまり使ってこなかったフィルムシミュレーションが意外と良いことに気づく…など、撮影体験が何倍も楽しくなるきっかけに。

初めて富士フイルムのカメラを使う方はもちろん、これまで富士フイルムのカメラを使ってきた方たちにも新しい色表現を教えてくれるダイヤルになるかもしれません。

コンパクトながら、多彩な表現を楽しめるカメラ

FUJIFILM X-M5 + XF35mmF1.4 R
35mm F1.4 1/1250 ISO160

今回の旅には、XF16-55mmF2.8 R LM WRと、XF35mmF1.4 Rの2本のレンズを持って行きました。
これだけコンパクトなカメラでありながらレンズ交換ができ、多彩な表現ができることもX-M5の大きな魅力です。

FUJIFILM X-M5 + XF16-55mmF2.8 R LM WR
24mm F6.4 1/500 ISO160
FUJIFILM X-M5 + XF16-55mmF2.8 R LM WR
39mm F5 1/640 ISO200
FUJIFILM X-M5 + XF16-55mmF2.8 R LM WR
16mm F2.8 1/3200 ISO200

広く穏やかな瀬戸内海を広角で切り取ったり、道端に咲くお花をボケとともに残したり。
島で出会うさまざまな景色を、レンズ交換を楽しみながら自分好みに残せるのが嬉しく、つい夢中で撮影してしまいます。
軽やかに旅を楽しめるカメラでありながら、写真表現を追求できるポテンシャルをしっかり持つX-M5。
今回の旅を通して、旅撮影にぴったりな一台だと改めて実感しました。

おわりに

FUJIFILM X-M5 + XF16-55mmF2.8 R LM WR
19mm F6.4 1/500 ISO160

興居島の旅は、X-M5が旅の楽しさを大きく広げてくれることを感じる時間になりました。
小さな寄り道や心が動いた瞬間にすぐシャッターを切れる自由さ。その積み重ねが旅の記憶を豊かにしてくれます。
携帯性と表現力を両立したX-M5は、旅先でも日常でも頼れる相棒。これから旅に出る方にも、身近な景色をもっと楽しみたい方にも、そっと寄り添ってくれる一台だと思います。

 

 

■フォトグラファー:Yuri
大阪府在住。「ふんわりかわいい写真」をテーマに、旅先の魅力やカメラの楽しみ方を発信。観光プロモーションに関する撮影をはじめ、家族写真/ウエディング等の出張撮影や、書籍・広告の撮影、写真セミナー講師、記事執筆など、幅広く活動中。

 

関連記事

人気記事