圧倒的描写力で想像以上の美しさを写し出す キヤノン RF50mm F1.2 L USM
はじめに
愛知県在住、二人の姉妹の母として、日々子どもたちの成長や家族の時間を撮り続けています。主な被写体は自分の子どもたち。何気ない日常の中にある一瞬の表情や、光の美しさを大切にしています。好きなものは写真と旅です。
現在、私はデジタル・フィルムのどちらにも50mmレンズを装着しています。写真を始めた17年前はキットレンズを使用していましたが、写真SNS「Flickr」で50mm単焦点レンズの描写に出会い、その美しさに衝撃を受けました。それ以来、ほとんどの写真を50mmで撮影しています。このレンズが、私を写真の世界に深く引き込んでくれたと言っても過言ではありません。現在は50mm単焦点レンズをこよなく愛し5本所有しており、用途や撮影場所に応じて使い分けています。それほどまでに、私にとって50mmは特別な存在です。
なぜ50mmなのか
私が50mmを愛用し続けている理由は、「人の視野に近い画角」だからです。人の視界は一般的に35〜50mm相当と言われていますが、私にとって50mmは、自分の視界を少しだけ切り取る感覚があります。おそらく私自身の感覚的な視野は40mm前後なのかもしれません。この「少し切り取る」感覚が好きです。画角を限定することで情報が整理され、自分の好きなものに少し寄れ、自分が惹かれたものを主役として浮かび上がらせることができます。人は好きなもの、心が動いた瞬間にシャッターを切るものだと思います。50mmは、その「好き」に自然と寄れるレンズです。
もう一つの理由は、子どもとの距離感です。私は撮影中、ずっと子どもと会話をしています。50mmは表情や言葉が届く距離。安心感を保ったまま、普段の関係性の延長で撮影できます。子どもは予測できない動きをします。遠くから撮ろうとして間に合わないこともあれば、安全面でヒヤッとした経験もありました。50mmは、撮影者としても親としても安心できる距離なのです。
望遠レンズなら美しいボケや圧縮効果によるドラマチックな表現が可能です。広角レンズなら場所を選ばず撮影できます。しかし、レンズ一本という制限があるからこそ、考え、工夫し、写真は成長していくのだと思います。では、私が50mmでどのように撮影しているのか、シーン別に紹介します。

■撮影環境:シャッター速度1/3200 絞りF1.2 ISO100
どんなシーンに?
私はほぼすべての撮影を50mmで行っています。どんなシーンでも使ってますが大きく二つに分けました。レンズ交換があまり得意ではないこともあり、「一本でどう撮るか」を常に考えています。
家の中
大好きなレンズだからこそ、家の中のどんな瞬間も50mmで残したいと思っています。
ポイントは二つです。
被写界深度は浅めで撮る(雑多な背景を隠すよう、主役に仕立てるため)
生活空間には多くの情報があります。その時の家族の好きなものや家族の成長や思い出が詰まった大切な背景である一方、写真としては気になることもあります。そこで被写界深度を浅くし、背景をボケとして整理します。雑多な背景はカラフルな気配となり、その時代の空気を残してくれます。
そして日常の中のいいと思ったところを残したいものの背景をぼかすことで主役にすることができ、その切り取りから母としての視点も感じる写真になると思います。ボケとピントのコントラストが生む立体感も、私が好きな表現です。親が子どもを見るとき、視界の中心以外は少し曖昧になっていませんか。50mmは、その「視界そのもの」を写せる気がしています。
何か間に挟んで撮る(50mmでは近すぎる場合)
50mmでは近すぎると感じる場面もあります。そんなときは、隣の部屋から撮影したり、ドアや家具を前ボケとして取り入れます。その前ボケは情報を整理し、視線を自然に被写体へ導いてくれます。同時に、生活の気配も写真の中に残すことができます。

■撮影環境:シャッター速度1/2500 絞りF1.2 ISO100
ロケーション撮影
花畑などのロケーションでは望遠レンズの方が圧縮効果により情報量が増え、ドラマチックな写真になります。それでも私は50mmを選びます。理由はシンプルで、「大好きなレンズで、すべての瞬間を撮りたいから」です。
ここでのポイントは二つです。
ボケを作る
50mmでも十分にボケは作れます。
・前ボケを入れる
・被写体と背景の距離を取る
・奥行きのあるアングルを選ぶ
・被写界深度を浅くする
これらを意識することで、情報量と立体感を両立できます。
背景の情報を整理する
50mmは望遠ほど背景が溶けません。だからこそ、アングルや立ち位置を工夫し、不要な情報を整理します。背景をコントロールすることで、被写体が自然に浮かび上がります。

■撮影環境:シャッター速度1/4000 絞りF2 ISO100
なぜこのレンズ?圧倒的描写
ここまで50mmという画角について語ってきましたが、今回紹介する キヤノン RF50mm F1.2 L USM は、その理想をすべて叶えてくれるレンズです。ここに書いたことが叶うだけではなく想像を超えた描写力があります。これまで多くの50mmを使ってきましたが、このレンズで初めて「被写体が前に迫ってくる」と感じました。大きく美しいボケと、圧倒的な解像感。その両立が、被写体の存在感を際立たせます。
確かに重量はあります。しかし、それを上回る「このレンズで撮りたい」と思わせる魅力があります。私にとって写真を撮る理由そのものを、もう一度思い出させてくれる一本です。ここからは、RF50mm F1.2 L USMで撮影した写真をご覧ください。私が魅了された描写を、写真を通して感じていただければと思います。

■撮影環境:シャッター速度1/8000 絞りF1.4 ISO250

■撮影環境:シャッター速度1/8000 絞りF1.2 ISO250

■撮影環境:シャッター速度1/6400 絞りF1.6 ISO100

■撮影環境:シャッター速度1/60 絞りF4.5 ISO100

■撮影環境:シャッター速度1/2500 絞りF1.2 ISO100
開放F1.2から感じる高い解像感
私が特に気に入っている性能のひとつが、開放F1.2からの高い解像感です。安心して開放を選べる描写力があり、光量確保のためだけでなく、表現として積極的にF1.2を使いたくなるレンズだと感じました。
子どもの一瞬の表情を開放で撮影しても、まつ毛や瞳の細かなニュアンスまで丁寧に描写され、被写体の質感までもしっかりと伝わってきます。浅い被写界深度でありながら確かな芯を感じられる点が、このレンズの大きな魅力です。
その結果、被写体が自然と主役として浮かび上がり、母として日々感じている存在感や空気感を、より直感的に残せるようになりました。

■撮影環境:シャッター速度1/1250 絞りF1.2 ISO1000
まとめ
撮影を重ねるほどに感じたのは、描写だけでなく操作感や信頼性を含めた完成度の高さでした。撮りたいと思った瞬間に迷いなく応えてくれる安心感は、まさにLレンズならではの魅力だと感じています。
写真は特別な瞬間だけを残すものではなく、何気ない日常の中にある感情や空気をすくい取るものだと思っています。
50mmという画角は、私にとって「見る」と「感じる」のちょうど間にある距離です。そしてRF50mm F1.2 L USMは、その距離にある瞬間を、想像以上の美しさで写し出してくれました。
日常を、ただの日常で終わらせない。目の前にいる大切な存在を、より深く、より愛おしく残すための一本。
私にとってRF50mm F1.2 L USMは、私の視界を美しく残せるレンズです。
■写真家:相武えつ子
愛知県在住、2人の姉妹の母。結婚を機にカメラを始め、出産後は自身の子どもたちの写真を撮り続けている。国際フォトコンテスト受賞歴があり、写真展も開催。カメラメーカーや暮らしに関する様々な業種の講座で、子育てと写真について発信。Instagramのフォロワーは8万人を超え、ママ世代だけでなく幅広い年齢層のファンに支持されている。















