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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2012.06.22【Vol.069】

ダイナミックレンジの話

白とび、黒つぶれが起こらずにハイライトおよびシャドウ部分を何処まで画像として再現できるかという階調の性能のことを指します。フィルムではラチチュードという言い方をしたりもしていて、厳密には画像の記録方式が異なるので同一の表現ではないのですが、明るいところから暗いところまでどれぐらい再現できるかということになります。ハイライト、シャドウという画像の中の明るさですが、その開き「輝度差」が開けば開くほどそれらの明るさを同時にそして適切に表現することが難しくなります。

簡単に言えば、明るすぎる部分と暗すぎる部分の階調を同時にキープした写真が撮影しにくいということであって、それら明るさが極端に違う被写体を撮影した際、肉眼で見たような自然な階調で記録できない点が写真共通の課題でもあるわけです。

デジタルカメラが一般に普及し始めて約10年ほど経ちますが、そういった諧調表現については今現在と数年前では大きな開きがあり、最新のカメラになるほど画像の再現領域は優れています。主に画像の明るい部分(ハイライト側)の諧調表現が苦手であったデジタルカメラも、カメラのセンサーそのもののダイナミックレンジが拡大されています。また、センサーだけでなくダイナミックレンジの拡張機能を備えたカメラが今では当たり前になっています。キヤノンを一例に挙げるとハイライト側を拡張する「高輝度側 階調優先」機能などがあります。メーカーそれぞれ名称が異なったり、ハイライトだけでなくシャドウ側の拡張できるもの、シャドウ側を拡張するものなどがあります。

初期のデジタルカメラはその表現性が正直フィルムに比べれば見劣りする部分が大きかったのですが、今後デジタルカメラが進化を続ける以上、一層の豊かな諧調表現が期待されます。必ずしもすべての被写体において使用しなければならないというものではありませんが、被写体によってはその諧調表現がより豊かに再現できることを考えれば一度利用してみる価値は高いと思います。