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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2012.06.29【Vol.070】

NDフィルターの話

先ごろの金冠日食でも話題になった光量を制限する減光フィルターにNDフィルターがあります。日食などを撮影する際は、人間の眼や直接カメラのセンサーに強力な光線が入ることも防がなければならないため、ND10000、ND100000など、素通しでは反対側が殆ど確認できないほどの暗さを持つNDフィルターを使用することになりますが、通常の撮影においてはND2、ND4、ND8といったものを使うことが多いでしょう。

また、画面内の輝度差を調整、空と地面の明るさを均一にするために、フィルターの片側半分が暗くなったハーフNDやレンズの周辺光量落ちを軽減(特殊なレンズに使用します)するためのセンターNDフィルターなどを利用することがあります。

ND2、ND4と表記されるNDフィルターですが、NDの後に続く数字はある明るさに対して1/2、1/4といったような減光量を意味しています。露出で言えばND2が1段分ND4が2段分といった具合で、例えばND4を使えばF4がF8、もしくは1/125が1/30になります。ISO感度を基準に考えることもでき、ND4ならISO400がISO100相当になります。

このようにカメラに入ってくる光そのものを減らすわけですが、特にデジタルカメラが普及するにつれベース感度の殆どがISO100~になってしまい、昔のように低感度の撮影が出来なくなった点、利用されるケースも増えているようです。

NDフィルターを使用した写真で思い当たるものに、滝などの水の流れの表現や日中の街中から人影を消したりと、長時間露光の写真が挙げられます。カメラに備わったISO感度ではカバーできない範囲の露出で撮影する面白さを手軽に味わえるのがNDフィルターの魅力といえます。

最後にNDフィルターを何枚も重ねることで、枚数に応じて光量を減少させることも可能ですが、複数枚のフィルターをレンズの前に重ねると多かれ少なかれ解像感の低下につながる可能性がありますので、出来ることならフィルターの重ねがけは避けたほうが良いでしょう。

またよく言われることですが、NDフィルターにおける写りへの影響ですが、確かに厳密に言えば多少の色の変化やコントラストに影響が現れてしまいますが、まず実用上は殆ど気にせずに使用しても大丈夫でしょう。