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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2011.08.12【Vol.024】

ワーキングディスタンスのはなし

ワーキングディスタンスという言葉を聞いたことがあるでしょうか?ワーキングディスタンスとは、レンズの先端から被写体までの距離のことで、当然ながら被写体に近づけばその距離は短くなり、離れれば長くなります。一方、撮影距離というのはピントを合わす面、要するにフィルム面(センサー面)から被写体までの距離になります。繰り返しになりますが、撮影距離が短くなればなるほど(最短撮影距離)、ワーキングディスタンスも短くなり、離れれば長くなるということです。

よく、ワーキングディスタンスと関連して最短撮影距離の話が、撮影会などで質問されます。上に述べたように、被写体までの距離という点は一緒でも、それがどこからなのか、ということで、ワーキングディスタンスと最短撮影距離が違うものだとわかると思います。ただ、距離の話という点でこの両者がよく混同されているようですので、注意してください。

例えば、マクロレンズには60mm、90mm、180mmなどいくつかの焦点距離がそろっていることはご存知だと思います。もちろん開放F値や最短撮影距離、レンズ構成などの違いがあるのですが、ワーキングディスタンスの違いというのも一つ重要です。

もし同じ被写体を同じ大きさ(倍率)で撮影する場合、焦点距離の短い(この場合60mm)レンズで撮影したときのワーキングディスタンスが仮に3cmだった場合、180mmのレンズで撮影するとその距離が20cmになったりするのです。すぐ目の前に被写体があり、途中遮るものが無い場合であれば焦点距離の短いマクロレンズでも問題ありませんが、少し離れた位置にある花や昆虫など、ワーキングディスタンスが稼げるレンズのほうが有利に撮影ができる場合があります。

もっとも、焦点距離の違いによる背景のボケ、遠近感という要素もレンズ選択の要ではありますが、特にマクロレンズを使用する場合、被写体に応じて焦点距離を変更するということ(ワーキングディスタンスの違い)を把握すると、一層マクロ撮影の可能性が広がってくるのではないでしょうか。