タムロン 12-20mm F2.8 × ニコン Z5IIで巡る、奈良・和歌山 世界遺産と絶景の旅

三田崇博
タムロン 12-20mm F2.8 × ニコン Z5IIで巡る、奈良・和歌山 世界遺産と絶景の旅

はじめに

こんにちは。旅写真家の三田崇博です。今回は、2026年8月27日にタムロンから発売されたばかりの大口径超広角ズーム「12-20mm F2.8(Model A084)」を携え、歴史と自然が息づく奈良・和歌山を巡る旅に出ました。ボディは軽量なニコンのフルサイズミラーレス「Z5II」を選びました。

12mmという未知の超広角と、開放F2.8の明るさ。この新しいレンズの実力を試したくて、奈良と和歌山の世界遺産や絶景を駆け巡ってきました。ダイナミックな空間表現や満天の星空まで、このレンズと一緒に見てきた感動をそのままお届けします。

12-20mm F2.8(Model A084)の特徴

「12-20mm F2.8(Model A084)」は12mmという超広角スタートでありながら、ズーム全域で開放F2.8通しを実現した大口径ズームレンズです。この「12mm」という画角は、16mmや14mmと比べても圧倒的な超広角表現を演出することができます。星景撮影を強く意識して光学性能のチューニングがなされており、画面周辺部のサジタルコマフレアを徹底的に抑え込むことで、夜空の星々をシャープな点像として捉えることができます。

広角端12mmで最短撮影距離0.18m(望遠端は0.28m)という近接性能も備えており、被写体に極限まで寄って背景の広大な景色をボカして取り込む、といった超広角ならではの表現も自在です。サイズ感も全長121.3mm、重さ585g(ソニーEマウント用は119.3mm、570g)と、私が現在メインレンズで使っているNIKKOR Z 24-120mm f/4 S(118mm、630g)と比べてほぼ同じサイズで、このクラスのレンズとしては驚異的な小ささではないかと思います。

左がタムロン12-20mm F2.8、右がNIKKOR Z 24-120mm f/4 S。並べてみるとほぼ同じサイズ

テスト撮影

近所のひまわり畑に行ってみましたが、住宅地に位置しているため、どうしても周囲の人工物が写り込んでしまいます。そこで、12mmという超広角でありながらその最短撮影距離を活かして被写体に限界まで近づき、開放F2.8の大きなボケを活かして主役を際立たせる表現を試みました。その結果、超広角レンズのダイナミックな画角を保ちながらも、背景にある住宅を心地よくボカし、気になる背景を自然に和らげることができました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F2.8 SS1/2500秒 ISO100 焦点距離12mm
■撮影地:ひまわり畑(大阪府阪南市)

ぶどう農園では、ぶどうの木が手前から奥へ向かって頭上いっぱいに広がる様子を、超広角による強力な遠近感を用いて表現してみました。見上げるようなアングルと絞り込むことで、整然と並ぶ支柱や無数の実りの奥行きが強調され、まるで自分自身がぶどう棚の下に包み込まれているかのような臨場感を描き出すことができました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F13 SS1/25秒 ISO100 焦点距離12mm
■撮影地:ぶどう園(和歌山県紀の川市)

夕暮れ時の観覧車では、刻々と色を変える空の美しいグラデーションと、巨大な構造物のダイナミックな広がりをシャープに切り取りました。この観覧車はまもなく取り壊される予定となっており、レンズの高い描写力とともに忘れられない記念の一枚となりました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F7.1 SS1/40秒 ISO400 焦点距離12mm
■撮影地:りんくうタウン(大阪府泉佐野市)

地元で行われた盆踊りでは、超広角のおかげで、広大な校庭に広がる盆踊りの輪全体をダイナミックに捉えることができました。開放F2.8の明るさを活かすことで、夜間でありながらシャッター速度1/100秒という踊り手の動きをしっかり止められるシャッター速度を確保。暗所での手ブレや被写体ブレのリスクを抑えつつ、提灯の温かい光や夏の夜の空気感までクリアに描き出してくれました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F2.8 SS1/100秒 ISO1600 焦点距離12mm
■撮影地:尾崎小学校(大阪府阪南市)

奈良・飛鳥藤原の世界遺産へ

今年7月に世界遺産に登録されたばかりの飛鳥・藤原の古都へ。

高松塚古墳は、円形の美しい墳丘と極彩色壁画の発見で知られる終末期古墳の代表例です。ここでは12mmの超広角特有のパースペクティブを活かし、丸みを帯びた墳丘の量感と、頭上にダイナミックに広がる空を一枚に収めました。F16までしっかりと絞り込むことで、手前から遠くの雲のディテールまで画面の隅々までシャープに描き出し、歴史的な空間のスケール感を強調することができました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F16 SS1/160秒 ISO200 焦点距離12mm
■撮影地:高松塚古墳(奈良県明日香村)

八角形の墳形を持ち、飛鳥時代後期(7世紀末頃)に築造された天皇陵級の古墳とされる中尾山古墳。木々に囲まれた境内では、頭上の木々の隙間から差し込む光を狙い、ローアングルからアプローチしました。

このレンズは12枚の偶数絞り羽根構造になっており、絞り込むことで12本の美しい光条が綺麗に現れ、木漏れ日のきらめきと静寂に包まれた古墳の神聖な雰囲気をドラマチックに演出してくれました。ちなみに奇数絞り羽根の場合は絞り羽根枚数の2倍の光条が出ます。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F16 SS1/200秒 ISO200 焦点距離12mm
■撮影地:中尾山古墳(奈良県明日香村)

斉明天皇と間人皇女の合葬墓とされ、切り石を用いた特徴的な構造を持つ八角形墳である牽牛子塚(けんごしづか)古墳。撮影が夕方になってしまい、駐車場からかなりの距離を歩く中で三脚を車に置いてきたことを後悔しましたが、開放F2.8というレンズの明るさとカメラボディ(Nikon Z5II)の強力な手ブレ補正機能に大いに助けられました。シャッター速度1/4秒の手持ち撮影でもブレずにクリアで、黄昏時のグラデーションと硬質な石造りの構造美が見事に調和する瞬間を切り取ることができました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F2.8 SS1/4秒 ISO400 焦点距離12mm
■撮影地:牽牛子塚古墳(奈良県明日香村)

日本初の本格的な都城「藤原京」の中枢であり、コスモスや蓮の名所として写真愛好家にもよく知られている藤原宮跡。かつての宮殿の柱跡に建つモニュメントを低アングルからの視点で捉え、ちょうど空に昇り始めた月と一緒にカメラに収めました。

超広角レンズゆえに画面左右のゆがみは避けられませんが、今回はそれが逆に「周囲の柱が画面中央へと引き寄せられるような」面白い効果を生み出し、空間のダイナミズムを強調してくれました。F11まで絞り込んだ4秒の長時間露光により、マジックアワーの美しい空のグラデーションから足元の草花、遠くの山並みや月まで、ズーム全域で高い解像性能と透明感を存分に実感できる一枚となりました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F11 SS4秒 ISO100 焦点距離12mm
■撮影地:藤原宮跡(奈良県橿原市)

和歌山への旅

12mmという画角のポテンシャルが最も生かせる被写体のひとつが、こうした洞窟や鍾乳洞です。狭い空間では少しでも広い超広角域と、暗い場所でも光を稼げる明るいF値を持つレンズが不可欠になります。

和歌山の旅のスタートとして訪れたのは、山奥にひっそりと佇む戸津井鍾乳洞。大きな洞窟ではありませんが、タイトな岩肌の隙間に身を委ねてカメラを構えるような場面でも、12mmの画角が広大な空間を大きく広げてくれます。ボディ側の強力な手ブレ補正と明るいF2.8レンズの組み合わせにより、ISO感度の上昇を抑えながらライトアップされた岩肌の立体感や質感を鮮明に描き出すことができました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F8 SS1/25秒 ISO1250 焦点距離12mm
■撮影地:戸津井鍾乳(和歌山県日高郡由良町)
撮影中の筆者。こんな狭い空間でも12mmの超広角ならダイナミックに表現可能

次に、最近話題を集めている「鉄道と滝が一緒に撮影できる」スポットへ足を運びました。離れた位置から狙うのであれば通常のズームレンズでも撮影可能ですが、あえてこの超至近距離から12mmの超広角でアプローチすることで、目の前に迫り来るような圧倒的な水の流れと、その上を走る列車をダイナミックに一枚に収めることができました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F8 SS1/1250秒 ISO800 焦点距離12mm
■撮影地:和歌山県伊都郡かつらぎ町

訪れた日にちょうど花火が上がると聞きつけて足を運んだ、和歌山マリーナシティ。ヨーロッパの街並みを彷彿とさせる城塞風の建物や、水面に美しく映り込むリフレクション、そして夜空に次々と打ち上がる大輪の花火を、12mmの広大な画角にすべてダイナミックに収めることができました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F14 SS10秒 ISO100 焦点距離12mm
■撮影地:和歌山マリーナシティ(和歌山県和歌山市)

高野山のろうそく祭りへ

舞台は和歌山の世界遺産・高野山。年に一日だけ開催される、幽玄な雰囲気に包まれる「ろうそく祭り」の夜です。巨木と古いお堂が立ち並ぶ広大な境内では、12mm〜20mmのズーム域を活かして、参道に並ぶろうそくの列や神聖なお堂の佇まいをダイナミックかつ柔軟にフレーミングすることができました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F2.8 SS1/2秒 ISO3200 焦点距離20mm
■撮影地:高野山奥の院(和歌山県高野町)

周囲は光量が非常に乏しい過酷な夜間撮影のシーンですが、開放F2.8という明るさが大きなアドバンテージとなります。極限まで暗い環境下でも光を多く取り込めるため、ISO感度の上昇やスローシャッターによる手ブレリスクを抑えつつ、静穏でクリアな空気感を捉えることができました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F2.8 SS1/5秒 ISO800 焦点距離14mm
■撮影地:高野山奥の院(和歌山県高野町)

親子が並んでろうそくにそっと火を灯す温かな一コマ。シャッター速度を落とさずに手ブレをしっかり抑えたいこのようなシーンでは、開放F2.8の明るさの恩恵を強く受けました。超広角ズームの機動力を活かし、暗所でのドラマチックな瞬間を鮮明に切り取ることができました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F2.8 SS1/40秒 ISO1600 焦点距離13mm
■撮影地:高野山奥の院(和歌山県高野町)

鶴姫公園での星空撮影

そして、今回の旅のクライマックスである野迫川村の鶴姫公園での星空撮影。標高が高く澄み切った夜空に浮かび上がる天の川と、シルエットとして浮かぶ鐘のモニュメントを狙いました。画面の隅々に至るまで星をシャープな点像として描き出し、12mmという超広角が切り取る夜空のスケール感は、まさに「空間をまるごと切り取る」という表現がふさわしい圧倒的な迫力です。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F2.8 SS10秒 ISO6400 焦点距離12mm
■撮影地:鶴姫公園(奈良県吉野郡野迫川村)

ちょうどペルセウス座流星群の極大期と重なり、天の川が流れる夜空に、運よく一筋の流星を捉えることができました。

■撮影機材:Nikon Z5II + TAMRON 12-20mm F2.8
■撮影環境:F2.8 SS5秒 ISO6400 焦点距離12mm
■撮影地:鶴姫公園(奈良県吉野郡野迫川村)

鶴姫公園での星空撮影では、静止画だけでなくタイムラプス動画も撮影しました。

まとめ

身近なスナップから、鍾乳洞、飛鳥藤原の歴史、高野山の厳かな炎、そして鶴姫公園の満天の星空まで。タムロン「12-20mm F2.8(Model A084)」は、ただ広いだけではなく、「12mmでしか見られない世界」を極めて高い光学性能で結実させてくれるレンズです。ニコン Z5IIとの組み合わせによる抜群の機動力は、旅の強力な相棒となります。

星空撮影においては、単焦点レンズに匹敵するほどの優れた点像再現性を画面の隅々まで見せてくれつつ、12mmという超広角から20mmまでの画角を自由に行き来できるズームの利便性を両立している点は、このレンズの最大の強みです。これまで以上の超広角の表現力を極めたいすべて方にぜひ手に取ってほしい一本です。

 

■写真家:三田崇博
1975年奈良県生駒市生まれ。世界遺産撮影をライフワークとし現在までに100を超える国と地域で420か所以上の世界遺産を撮影。定期的に全国各地で開催している写真展は100回を超える。各種雑誌やカレンダーへの作品掲載も多数。主な著書に「世界三十六景」「生駒の火祭り」がある。
日本写真家協会(JPS)会員・FUJIFILM X-Photographer

 

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