ソニー FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS レビュー|軽快かつ高解像に野鳥を撮るならこの一本

山田芳文
ソニー FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS レビュー|軽快かつ高解像に野鳥を撮るならこの一本

はじめに

今回はソニーの望遠ズームレンズ「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」を野鳥撮影を通してレビューしていきます。

現行商品ではありますが、2017年7月に発売されたレンズですので、商品サイクルが早いミラーレスの世界では比較的古いレンズといえるかもしれません。ですが、僕にとってこのレンズは、全く色あせることのない大切な道具となっていますので、紹介させていただきます。

解像性能の検証

発売からそれなりの時間が経ったレンズなので、2025年の「今の目」で見てもちゃんと解像しているかどうか、今回改めて検証しましたので、結果を見ていただきたいと思います。

ルリビタキの雄の成鳥をポートレートっぽく400mmで撮影した。左がトリミングなしのフル画面で、白枠で囲ったところを拡大したのが右。
フォーカスポイントの目は気持ちいいぐらいバキバキに解像している。背中の羽毛も実に緻密に描写されている。
■使用機材:SONY α1 II + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:400mm F8 1/60秒 ISO640

100~200mmで野鳥風景を撮る

4倍ズームということもあって、このレンズ1本で鳥をポートレートっぽく撮影したり、風景的に撮影したりすることができます。

鳥がいる風景は僕のライフワークですので、このレンズの100mm~200mmぐらいのレンジを使って風景的に撮った作品はそれなりの数があります。今回はその中から3点見ていただきたいと思います。

ユキヤナギが赤く色づいていて綺麗だったので、158mmでユキヤナギを画面に多めに取り入れて、周囲も含めてまるごと受け止めた。撮影ポジションに制限があるところなので、ズームレンズは重宝する。
■使用機材:SONY α7R IV + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:158mm F11 1/250秒 ISO200
池にいたハクセキレイの幼鳥。「身近にいる鳥ですよ」を伝えるために、104mmで画面に民家を取り入れて構成した。遠くのもの(ここでは民家)をほどよく圧縮して撮影する時、100mm前後をよく使う。
■使用機材:SONY α1 II + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:104mm F5.6 1/1000秒 ISO400
100mmで大きな木がルリビタキの右にくるポジションから撮影することで、サイズを対比させる画面構成にして、ルリビタキの小ささを伝えた。
■使用機材:SONY α1 II + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:100mm F8 1/30秒 ISO640

300~400mmで野鳥ポートレートを撮る

このレンズは1395g(三脚座別)ということで、軽量で取り回しやすく、300mm以上にすることで、大砲系のレンズよりも野鳥ポートレートが撮りやすいです。

見下されがちな図鑑カット(その鳥がどのような姿・形をしているのか説明するための写真)は、実はいちばん難しいのですが、ポートレートなら図鑑的な写真よりも少しハードルが下がると思います。このレンズでいろいろな鳥をポートレート調で撮影してみるのも楽しいので、ぜひお試しください。

ここでは3点、野鳥のポートレートを見ていただきます。

ハクセキレイと同じぐらいの高さになるように、三脚をフル開脚して待機。やってきたタイミングを待って撮影した。コンパクトで取り回しやすいので、機材のセッティングも迅速にできる。
■使用機材:SONY α1 II + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:348mm F8 1/320秒 ISO640
凍結した池を歩くハシビロガモ。400mmでハシビロガモを収まりのいい大きさにして、氷上のファッションショーのようなイメージにした。
■使用機材:SONY α1 II + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:400mm F8 1/250秒 ISO2000
このルリビタキは右足の指を負傷していた。図鑑カットならば、指が何本あるのかわかるように写す必要があるが、ポートレートなのでその必要はない。右足の指が負傷していることがわかりにくいポージングの時に撮影した。
■使用機材:SONY α1 II + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:400mm F8 1/60秒 ISO800

手持ちで野鳥を撮る

FE 600mm F4 GM OSSやFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS、FE 400-800mm F6.3-8 G OSSといった、野鳥を撮るαユーザーによく使われているレンズの質量は、それぞれ3040g、2115g、2475gで、長時間の手持ちは(僕の場合)身体的にちょっと負担になります。

一方で、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSは1395g(三脚座別)ということもあって、長い時間手持ちで撮影してもあまり負担になりません。手持ちで軽快に撮影されることをおすすめします。

なお、手持ちで撮影することは野鳥を追いかけまわして撮影してもいいということではありません。三脚使用時と同様にできるだけ動きを最小限にして、じっと待って撮影しましょう。

上空を飛ぶアオサギを、上を向いて手持ちで撮影した。このようなシーンでは、三脚使用よりも手持ちの方が対応できる範囲が広いので、軽快に対応したい。
■使用機材:SONY α1 II + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:400mm F5.6 1/2500秒 ISO100
こちらのウミネコも手持ちで対応した。軽量のレンズなので、真上近くを飛ぶ場合でも手持ちで難なく対応できる。
■使用機材:SONY α7R V + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:400mm F8 1/2000秒 ISO500
田んぼで見つけたタカブシギ。車をブラインド代わりにして、車内から息を殺して手持ちで撮影した。600mmで撮影する場合は車内で三脚につけて対応するが、このレンズだと手持ちでさくさく撮影できる。
■使用機材:SONY α1 II + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:400mm F8 1/1000秒 ISO500

まとめ

FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSのレビューはいかがでしたでしょうか。2017年発売のレンズではありますが、2025年の「今の目」で見ても十分な解像力があります。

加えて、レンズが軽いので取り回しやすく、手持ちで軽快に撮影することができます。4倍ズームを活かして、このレンズ1本で野鳥をポートレートっぽく撮影したり、風景的に撮影したりすることが可能です。ぜひこのレンズで野鳥撮影を楽しんでみてくださいね。

 

 

■写真家:山田芳文
「100種類の鳥よりも1種類を100回」をモットーに野鳥を撮り続ける。ライフワークは鳥がいる風景写真。主な著書は『SONY α7 IV 完全活用マニュアル』(技術評論社)、『SONY α6600 基本&応用撮影ガイド』(技術評論社)、『写真は構図でよくなる!すぐに上達する厳選のテクニック23』(エムディエヌコーポレーション)、『やまがら ちょこちょこ』(文一総合出版)など。最新刊は『SONY α7C II 完全撮影マニュアル』(技術評論社)。

 

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