初心者におすすめのカメラ『ソニー α6700』|写真家 こばやしかをる
はじめに
今回は「初めてのカメラ選び」をテーマに、本格的な撮影機能と使いやすさの両方を兼ね備えた、写真や動画撮影の楽しさを存分に味わえる、おすすめの1台ソニーα6700をレビューします。
キットレンズとなっているE 18-135mm F3.5-5.6 OSSとの組み合わせと、初めての単焦点レンズとしてふさわしいFE 35mm F1.8で撮影をしてきました。
ソニーα6700|初心者におすすめのポイント
α6700は、フルサイズの上位機種「α7R V」にも採用されているAIプロセッシングユニットを搭載しており、人物、動物、鳥、昆虫、乗り物など、さまざまな被写体を高精度に認識します。快適な撮影をサポートする光学式5軸ボディ内手ブレ補正と、レンズ側の手ブレ補正機能の両方の機能が連携して、より強力な補正効果を発揮。イメージセンサーには、約2,600万画素の裏面照射型CMOS「Exmor R」を採用することで連写性能も抜群です。
そう、α6700はフルサイズ機の最新機能がコンパクトなAPS-C機に凝縮されているのです。
α6000台シリーズ初となるバリアングル液晶モニターの採用と、タッチパネル操作で直感的に操作ができ、小型軽量なボディも魅力です。普段持ち歩けないカメラでは、上達を目指そうとしてもハードルが高くなりがちですから、初めてのカメラ選びとしてα6700はおすすめの1台といえます。





個人的に初めてのカメラ選びで重視してほしいのはファインダーの有無。ファインダーは構図づくりに役立つ重要なツールであり、カメラを顔に固定して手ブレを防ぐこともでき、周りの情報を遮ることで被写体と構図に集中できます。日差しが強い屋外では、外光の影響を受けることなく、撮影画面をしっかりと確認できる大事な機能です。
単に被写体を確認するだけでなく、高い精度で狙った通りの写真を撮る楽しさを体験できますし、より意図的で、バランスの取れた構図を決定するための強力なツールともいえるでしょう。

ファインダー内には、露出補正やホワイトバランス、クリエイティブルックといった撮影設定を反映した映像を表示してくれるので、「この設定で撮ったらどうなるか?」など、シャッターを切る前に確認できるメリットもあります。設定を変えて何度も撮り直す手間が省けるので初心者の方でも失敗が少なくなります。
被写体認識AIで動体撮影も叶う
AIプロセッシングユニット搭載のAF(オートフォーカス)は、 複雑な設定をしなくてもカメラが自動で被写体を認識します。撮りたいタイミングでとっさに撮影設定がわからなくても、特別な設定をせず、すぐに撮影体験を得られるといった感動が大きいです。
被写体認識の対象は7つあり、オートフォーカスの精度は非常に高く、ピントを合わせ続けてくれるので「ピントがずれてしまった」「せっかくのシャッターチャンスを逃してしまった」という失敗を減らすことができます。
ブレが起きやすい暗い場所や望遠での撮影でも、手ブレを抑えた鮮明な写真を撮りやすくなるメリットも。また、レンズにも手ブレ補正機能(OSS)が搭載されていれば、両方の機能が連携してより強力な手ブレ補正効果を発揮します。

■撮影環境:SS1/250秒 絞りF5 ISO6400 +1.0EV AWB

■撮影環境:SS1/400秒 絞りF1.8 ISO640 -1.0EV AWB

■撮影機材:ソニー α6700 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS(焦点距離61mm)
■撮影環境:SS1/100秒 絞りF5.6 ISO800 -0.3EV AWB

■撮影機材:ソニー α6700 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS(焦点距離67mm)
■撮影環境:SS 4秒 絞りF7.1 ISO50 -1.0EV 太陽光
普段は撮ってみようと思わなかった動画も、被写体認識「電車」「飛行機」で撮影してみました。望遠で手持ち撮影でしたが、トラッキングAFが的確に被写体を捉えてくれる上、手ブレ補正もかなり効いています。
カメラ内で思い通りの表現が可能なクリエイティブルック
クリエイティブルックは、カメラにプリセットされた画作りのための色選びの機能で、撮影段階で映像の質感や色味を思い通りの雰囲気に仕上げることができます。
PCを所有していなくても、撮影後にレタッチをしなくても、被写体に合わせた色や雰囲気づくりが楽しめるのが嬉しいですね。

それぞれのルックごとに、コントラスト、ハイライト、シャドウ、フェード、彩度、シャープネス、シャープネスレンジ、明瞭度を微調整し、質感や色合いを簡単にカスタマイズできます。さらに、カスタムルックとして登録することも可能で、ホワイトバランスの色調整と合わせると無限に自分の色を楽しむことができます。

■撮影機材:ソニー α6700 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS(焦点距離108mm)
■撮影環境:SS1/100秒 絞りF5.6 ISO320 +0.7EV AWB

■撮影機材:ソニー α6700 + FE 35mm F1.8
■撮影環境:SS1/640秒 絞りF6.3 ISO100 -0.3EV AWB

■撮影機材:ソニー α6700 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS(焦点距離18mm)
■撮影環境:SS1/200秒 絞りF8 ISO100 -1.0EV AWB

■撮影機材:ソニー α6700 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS(焦点距離47mm)
■撮影環境:SS1/40秒 絞りF5 ISO160 -0.7EV AWB

■撮影機材:ソニー α6700 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS(焦点距離34mm)
■撮影環境:SS1/400秒 絞りF10 ISO80 -0.3EV AWB
作例で掲載した他にも、以下6種類のルックが搭載されています。
ST:被写体・シーンに幅広く対応する標準の仕上がり
PT:肌をより柔らかに再現。人物の撮影に
NT:彩度・シャープネスが低くなり、落ち着いた雰囲気に表現できる。パソコンでの画像加工を目的とした撮影にも最適
VV:彩度とコントラストが高めになり、色彩豊かなシーンをより印象的に表現
IN:コントラストと彩度を抑えたマットな質感に
SE:セピア色のモノトーンで表現
ベースとなるクリエイティブルックから創り出す、自分らしい色を探る時間もこのカメラを所有する喜びを感じられるはずです。
1本で多様なシーンに対応する高倍率ズームレンズ|E 18-135mm F3.5-5.6 OSS
α6700のキットレンズとなっているE 18-135mm F3.5-5.6 OSS(35mm判換算で27mm~202.5mm相当)は、広い風景から少し離れた場所にいる人物や動物、運動会や発表会などのイベントまで、レンズを交換することなく様々なシーンをカバーできます。
そして、持ち運びしやすいコンパクトな設計という点が、カメラ初心者の方にとって大きな魅力でしょう。カメラ本体と組み合わせても重さが約818gと軽量で、一日中持ち歩いても疲れにくく、気軽にカメラを持ち出して撮影を楽しめます。
本格的な撮影機能と使いやすさの両方を兼ね備えており、写真や動画撮影の楽しさを存分に味わえる組み合わせです。
▼広角スナップ
ズームレンズは広角端と望遠端を使いこなすのが撮影のコツ。ということで、狭い路地を歩きながら広角スナップ。薄暗い時間でしたが、しっかりと手ブレ補正の恩恵を受けて気軽に撮影ができました。

■撮影環境:SS1/15秒 絞りF3.5 ISO320 -0.3EV 太陽光

■撮影機材:ソニー α6700 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS(焦点距離18mm)
■撮影環境:SS1/8秒 絞りF5 ISO400 -0.7EV 太陽光

■撮影機材:ソニー α6700 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS(焦点距離18mm)
■撮影環境:SS1/6秒 絞りF3.5 ISO400 -1.3EV 太陽光

■撮影機材:ソニー α6700 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS(焦点距離18mm)
■撮影環境:SS1/6秒 絞りF3.5 ISO400 -1.3EV 太陽光
▼望遠スナップ
標準レンズと言われている焦点距離35mm換算50mm以上の中望遠域~望遠端135mmでは、圧縮効果を狙った撮影や距離感がバグる感覚が楽しいです。もちろん、届かない距離を稼ぐといった点でも中望遠以上の焦点距離は頼れる存在であることは間違いありません。

■撮影環境:SS1/6秒 絞りF3.5 ISO400 -1.3EV 太陽光

■撮影環境:SS1/6秒 絞りF3.5 ISO400 -1.3EV 太陽光

■撮影環境:SS1/6秒 絞りF3.5 ISO400 -1.3EV 太陽光

■撮影環境:SS1/6秒 絞りF3.5 ISO400 -1.3EV 太陽光
初心者におすすめの1本!コンパクトな単焦点レンズ |FE 35mm F1.8
APS-Cセンサー搭載のミラーレス一眼カメラに装着すると、35mm判換算52.5mm相当の大口径標準単焦点レンズとして活躍する FE 35mm F1.8。
鏡筒にはAF/MF切替スイッチ、AEロックボタン、ピントリングが装備され、必要最小限の機能に絞られておりシンプルに操作できます。レンズ内手ぶれ補正があるのも◎。
背伸びしすぎず手に入れられる価格も魅力的な単焦点レンズです。


開放F1.8と明るく、伸びやかで柔らかいボケの風合いと、シャープで切れのある描写が引き出せるレンズで、色合いもクセがなくとても自然。α6700との相性はかなり良いと感じました。
近接撮影は22cm。身近なものから即写性を求められるスナップ撮影にも最適な万能レンズです。今後フルサイズ機に移行しても35mmの広角レンズとして使えるので、初めての単焦点レンズとして外せない一本ですね。個人的にとても気に入りました。

■撮影機材:ソニー α6700 + FE 35mm F1.8
■撮影環境:SS1/320秒 絞りF1.8 ISO100 AWB

■撮影機材:ソニー α6700 + FE 35mm F1.8
■撮影環境:SS1/8秒 絞りF3.5 ISO100 +0.3EV AWB

■撮影環境:SS1/250秒 絞りF4 ISO100 AWB

■撮影環境:SS1/400秒 絞りF5 ISO100 AWB

■撮影環境:SS1/100秒 絞りF2.5 ISO100 AWB

■撮影環境:SS1/400秒 絞りF4.5 ISO100 -1.0EV AWB
おわりに
カメラ初心者の方にとって、最初の1台を選ぶのはワクワクする一方で、少し不安に感じることもあるかと思いますが、ご紹介したα6700と2本のレンズの組み合わせは、撮影条件を選ばず撮影者の意図を具現化してくれるという点でかなりおすすめ。
「いい写真が撮れた!」という感動をたくさん体験できるでしょう。わたしも思いがけずたくさん撮影してしまいました。
迷いなく撮影できる心地よさは、カメラ任せで楽しみたい方にも、ステップアップを目指す方にも、サブ機を考えている方にもふさわしい1台になるはず。
様々なメーカーのEマウントレンズを楽しめるという点も見逃せません。
いきなりフルサイズミラーレス機とは行かなくても、十二分に満足度の高いカメラになっています。
■写真家:こばやしかをる
デジタル写真の黎明期よりプリントデータを製作する現場で写真を学ぶ。スマホ~一眼レフまで幅広く指導。プロデューサー、ディレクター、アドバイザーとして企業とのコラボ企画・運営を手がけるなど写真を通じて活躍するクリエイターでもあり、ライターとしても活動中。
日本作例写真家協会会員・PhotoPlus+主宰















