ソニー α7 IV|カメラのキタムラ店舗スタッフがレビュー

ShaSha編集部
ソニー α7 IV|カメラのキタムラ店舗スタッフがレビュー

はじめに

最新カメラ機材をカメラのキタムラ店舗スタッフがレビュー。今回はカメラのキタムラ長岡/希望が丘店の佐藤凌さんに、ソニー α7 IVのレビューを執筆いただきました。実際に店頭で販売しているスタッフ目線での解説に注目です。

ShaSha編集部

 みなさま、初めまして!今回初めて記事を書かせていただきます、佐藤凌と言います。現在は新潟県のカメラのキタムラ長岡/希望が丘店で勤務しています。

 出身は福岡県で、九州にいたときは主に風景写真を撮影していました。登山中に出会った素晴らしい景色などを撮影することが多いです。デジタルはもちろんフィルムでの撮影も好きで中判カメラでの撮影も楽しんでいます。登山や撮影に行くときはいつもどのカメラを持っていくか悩みに悩み、結局2~3台持って行ってしまい荷物が重くて毎回後悔してしまいます…

 今年から新潟県で勤務しているのでこの土地の景色もたくさん撮影したいところです。おすすめの撮影スポットがありましたら是非教えてください!

鹿児島県の韓国岳(撮影:佐藤凌)
大分県の九重連山(撮影:佐藤凌)

次代の新基準

 2021年12月17日に発売されたソニーのα7 IV。フルサイズミラーレス一眼ブームの火付け役となったα7 IIIから3年9ヶ月。大きく期待を寄せた新商品として盛り上がりました。発売当初は想定以上の反響があり、ご予約いただいたお客様になかなかお渡しすることが出来ずご迷惑をおかけすることもございました。

 それほど人気のあるカメラにどういう良さがあり、どんな進化を遂げたのか。発売されてから半年以上経ったところで、改めて私も使用した感想を書きたいと思います。

 次代の新基準「Beyond Basic」と謳われるα7 IV。今や一眼カメラに求められるものは静止画での性能はもちろん、動画が撮りやすいことが基準となりつつありますオンラインでの仕事やSNSの普及など動画を使用することで、表現の幅がより広がったように感じられますね。そういう意味で写真も動画も等価で撮影できるハイブリッドカメラ。まさに「次代」に合わせた基準となるカメラだと感じました。

外観、操作性

 まずα7 IVの外観や操作性のお話をしましょう。α7 IIIから比べるとグリップの部分が若干厚みを増し、全体的にも少しだけ大きくなっています。とはいえパッと持った印象ではほとんど大きさは気になりません。それどころかグリップに厚みを持たせたことで、カメラを構える際のホールド感は増している印象を受け、より撮影に集中できるようになった感じさえしました。

 店頭でもお客様にα7 IIIとα7 IVを持ち比べていただくと、α7 IVのほうが持ちやすいという方が結構いらっしゃいますよ。

 また、α7 IVで大きく変化した点の一つが「バリアングル液晶モニター」です。α7 IIIがチルト可動式液晶モニターだったので液晶画面が上下方向にしか動きませんでしたが、バリアングルモニターであれば角度が変えられるので、縦構図での撮影や動画撮影での取り回しの良さは格段に向上したと感じてます。

 バリアングルがあると、こういう低い位置からの縦位置写真が格段に撮りやすくなります。

■撮影機材:ソニー α7 IV + FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
■撮影設定:1/1000s F2.8 ISO400
■クリエイティブルック:SH

 もちろん低い横位置の写真にも活躍します。体勢を低くして屈む必要が無いので楽に撮影できます。

■撮影機材:ソニー α7 IV + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影設定:1/200s F4 ISO200
■クリエイティブルック:NT

 ファインダーも見やすくなりました。α7 IIIでは約236万ドットの電子ビューファインダーであったため、動きのあるものなどには多少の不自然さを感じることもありましたが、α7 IVでは約368万ドットに増加し、より高繊細になりました。

 一眼レフ時代から光学ファインダーで慣れている方は電子ビューファインダーに抵抗を持つ方もいらっしゃいますが、とにかく覗いてみてください。きっと違和感なくファインダーを覗けると思います。

 店頭でお客様とお話しさせて頂くときも、手に取って覗いていただくことが多いです。実際に覗いていただくと「見え方に違和感がない」「光学ファインダーよりも良く見える」など、今までの電子ビューファインダーの不自然さを感じるというマイナスイメージを払拭される方が多いです。

 撮れる画質などには直接影響しない部分のお話しですが、撮影の段階で覗いている画が違和感なく自然に見えるというのは、撮影する意識が変わるのでとても大事なことなのです。

 個人的にすごく良かったのは「動画」との切り替えスイッチがついたこと。

 私自身、写真を撮影しながら合間に動画でその景色を残しておいたりと、同じシーンで双方を撮影することがあります。このスイッチが搭載されたことで写真を撮影しながらワンタッチで動画モードに切り替えられるので、とてもスムーズに移行できます。

 冒頭でも記述させていただいたように最近は動画の需要が多くなっています。「動画を始めてみたい」「仕事で動画を撮影することになった」というお客様の声も多くなってきました。今までも動画は問題なく撮影できていましたが、このα7 IVの切り替えスイッチをお客様に触っていただくと「分かりやすい」と言っていただけます。

 「動画モード」と「S&Qモード」の切り替えもついているので、スローモーションなどの動画にも気軽に挑戦できます。私自身もスローモーションで撮影することが多いので、この切り替えはすごく使いやすかったですね。

画質や色もとても良い

■撮影機材:ソニー α7 IV + FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
■撮影設定:1/1000s F2.8 ISO800
■クリエイティブルック:SH
■撮影機材:ソニー α7 IV + FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
■撮影設定:1/1000s F2.8 ISO400
■クリエイティブルック:ST

 今回の新しいセンサーは有効約3,300万画素。ベーシックカメラでも3,000万画素を超えるようになってきました。正直そこまで画素数があっても困る、という方もいらっしゃると思います。私自身もそうでした。ですが使ってみると考えは変わるものです。解像感が上がるとその場の空気感みたいなものも写るような気がします。撮影した画像を自宅のモニターで見ると、その場で感じた空気が写真に入り込んでいるような感覚になりました。これが画素数と結びついているかは定かではありませんが、2000万画素代の写りとはまた一味違ってきます。

 カメラだけでなくレンズもどんどん素晴らしいものが出てきているので、その性能を遺憾なく発揮させることにも画素数の高さは必要になってきます。しかも、これくらい画素数があるとトリミングのしやすさにも繋がってくるので、画素数が大きいというメリットは撮影者には必ず還元されると思います。

■撮影機材:ソニー α7 IV + FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
■撮影設定:1/1250s F3.2 ISO800
■クリエイティブルック:ST
3300万画素から約1200万画素にトリミングしたもの。猿の毛の一本一本の描写も残っています。

 あと、驚いたのがクリエイティブルックの質の高さです。これがあることでJPEGでの完成度が高まります。それぞれの雰囲気に写真や動画を仕上げられるモードを全10種類搭載していることにより、一つ一つに特徴があってその時感じた撮影者の思い通りの表現が可能となります。

 実際使ってみましたがこれがすごく良いです。RAWで現像しなくとも思い描く表現に近いものが撮影の段階で分かるので、直感的にその場の雰囲気を映し出すことができます。RAWでの撮影にハードルを感じている方や、そもそも難しそうでよく分からないという方にはこのクリエイティブルックは特におすすめですね!

■撮影機材:ソニー α7 IV + FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
■撮影設定:1/160s F8 ISO800
■クリエイティブルック:VV2
■撮影機材:ソニー α7 IV + FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
■撮影設定:1/640s F2.8 ISO400
■クリエイティブルック:VV

 普段からRAW現像している方にも積極的に使って頂きたい機能です。これは個人的な経験に基づくものなのですが、RAWで撮影した後に自宅で現像してもその場の空気感や色味って意外と忘れてしまうんですね。思ったより鮮やかだったり…逆も然りで、「何かが違うな……」と感じることがあります。もちろん個人差はありますし、その上で自分のイメージを作り出すことも表現の一部で写真の楽しいところなので、それも正解だと思います。

 私は普段RAW+JPEGで撮影しているのですが、今回使用したα7 IVに関してはほとんどJPEGの撮ったままをセレクトしていました。RAW現像しなくとも自分の求める写真が出来上がっていたからです。それくらいクリエイティブルックの完成度が高い、ということに自分自身が驚いていました。

■撮影機材:ソニー α7 IV + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影設定:1.6s F11 ISO200
■クリエイティブルック:BW
■撮影機材:ソニー α7 IV + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影設定:1.3s F6.3 ISO1600
■クリエイティブルック:ST
■撮影機材:ソニー α7 IV + FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
■撮影設定:0.8s F5.6 ISO400
■クリエイティブルック:ST

本格派にも、これから動画に挑戦したい方にも

 ハイブリッドカメラの評価の通り、α7 IVで動画の性能が格段に上がりました。

・全画素読み出しによる4K60p
・7Kオーバーサンプリングによる4K30p
・4:2:2: 10bit
など3000万画素を超えるセンサーとα1やα7S IIIと同じ処理エンジンによる高速処理により、本格的な動画撮影ができるようになっています。

 前述のクリエイティブルックはもちろん動画にも適用でき、特別な処理をせずともとても良い色味やトーンを表現してくれます。グレーディングなどの色をあてる処理などにハードルを高く感じている方や、これから動画を始めたいという方には特に使いやすのでおすすめです。

 また、外観や操作性でお話ししたバリアングルモニターや動画切り替えスイッチがついていることで、写真を撮影しながらも合間に動画を撮影できるような、快適な操作性があることで双方の表現の幅が広がります。

 こちらはα7 IVで撮影した動画です。日々生活している際に感じる自然界の「ゆらぎ」をテーマにして撮影しました。これも写真を撮影に出かけた際の合間に撮影したものです。動画といっても明確な目的が無いと何を撮影したらいいか分からない、という声をいただくこともありますが、こうやって何気なくいいなって感じているものを気軽に撮影してみるのはおすすめですよ。

まとめ

 今回、α7 IVを使用してみて感じたこと。それはまさにソニーが謳う「次代の新基準」ということ。デジタル一眼レフからミラーレスの時代に移行しつつ、表現の幅が大きく拡がる中で「写真」と「動画」どちらをとっても優秀であること。それは撮影者が自信を持って撮影に臨めること。日常の思い出を残すカメラとして、仕事や作品を残す道具として、レビューを書いている私自身もこのカメラにとても魅力を感じました。

 これからカメラを始める方、ミラーレスデビューする方、前機種を使っている方。そんな方々にぜひおすすめしたい。多少オーバースペックに感じる方もいらっしゃるかもしれませんがそれはきっと今だけです。なぜならこれからはこれが「基準」になるのですから……

【店舗紹介:カメラのキタムラ 長岡・希望が丘店】
店舗住所:新潟県長岡市希望が丘4丁目1239-2
営業時間:10:00-19:00
TEL:0258-27-8611
URL:https://blog.kitamura.jp/15/4869/

 

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