パナソニック LUMIX S1II レビュー|葛原よしひろ

葛原よしひろ
パナソニック LUMIX S1II レビュー|葛原よしひろ

はじめに

今回ご紹介させていただくカメラはパナソニック LUMIX S1IIです。S1IIは、その名の通りLUMIXのフルサイズミラーレス一眼カメラの中でも上位種であるS1の第二世代という事になります。このS1シリーズには先に発売された高画素モデルのS1RIIがありますが、ご紹介させていただくS1IIは、最新の部分積層型センサーを搭載した高レスポンスモデルになります。LUMIX S1IIは、同時発売のS1IIEがあり、そちらもレビューいたしますので、お読みいただけると嬉しいです。

ともあれ、これでS1IIシリーズとして3機種が出揃い、中級機のS5IIやS5IIXも含めLUMIXのフルサイズ機も、かなり充実したと思いますので、好みや被写体に合わせて、自分に合った機種を選べるようになりました。それでは話をS1IIに戻して、前半は韓国のソウルでのスナップ撮影を中心に撮影した写真を紹介しながらレビューさせていただきますので、最後までお付き合いくださいませ。

韓国でスナップ

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8 + よしみカメラ 忍者レフ 787
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/320 ISO500 36mm

かなりフライト時刻が遅れたので到着が遅くなるなぁと少し残念な気持ちでしたが、離陸直後に美しい夕焼けが出迎えてくれたので、素早くS1IIに忍者レフを装着して撮影出来て結果オーライ。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8 + よしみカメラ 忍者レフ 787
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/320 ISO3200 36mm

あっという間に太陽が沈み紫に包まれました。変わり続ける窓の外の色を、S1IIはLUMIXらしく気持ちよく表現してくれます。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8 + よしみカメラ 忍者レフ 787
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/200 ISO6400 58mm

仁川空港に到着する頃には真っ暗になっていましたが、かなり高度を下げた着陸まであと少しの頃に、ゴルフ場が見えたので撮影してみました。機上なのでまわりの方の迷惑にならないように電子シャッターを使用してサイレント撮影しましたが、歪みが感じられないのは部分積層型センサーの恩恵だと思います。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF22 SS1/30 ISO100 60mm
■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF7.1 SS1/400 ISO160 60mm

景福宮には10年以上ぶりに来ましたが、以前と変わらず大きな門の前を歴史的装束を着た門兵が警護しているのが格好良いです。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF7.1 SS1/1000 ISO400 40mm
■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF7.1 SS1/1000 ISO400 40mm

少し離れた所から門の全体を撮影しようとすると、雰囲気のある衣装に身を包んだ方がおられたので、後ろから撮影してみましたが、人が多く写り込んでしまいました。同じ写真の2枚目は必要のない人物を消してみた写真になります。こういう作業が比較的簡単に出来るようになって、ますますデジタルって便利だと思いますが、個人的には、これが本当に良いのか悩みも増えた気がします。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF7.1 SS1/250 ISO250 30mm

この写真は先程の門から更に一つ内側の門になります。S1IIは、この大きな門の木の柱の木目や瓦の一枚一枚までディテールを崩さず細部まで写してくれるので、繊細な描写が可能です。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF22 SS1/8 ISO500 60mm

回廊を青いスカートと白いスカーフが印象的な方が歩いていたので、素早くフレーミングして撮影しました。S1IIの立ち上がりの良さと、フォーカスポイントを自由に速く決められる事でスナップが楽しく捗ります。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF8 SS1/200 ISO100 27mm

日本の寺院でも、大きく豪華な瓦屋根を配置した構図で撮影するのが好きなのですが、その時屋根の裏側と空の明暗差が大きい場合が多く、空が白飛びするか屋根の裏側が黒つぶれすることが多いのですが、この写真を見ればS1IIのダイナミックレンジは広さが解ります。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF8 SS1/200 ISO100 27mm

少し裏側にまわると人が少なくなり、そこで少年たちが、チャンバラごっこをしていました。背景の山と宮廷が美しく、まるで異国の時代劇を見ているようなワンシーンに出会えて、夢中でカメラを構えました。先程も書きましたが、改めてもう一度書かせていただきます。S1IIのスリープからの立ち上がりが本当に速く、ピントの位置決めから、ピントの合焦までもとても素早いので、スナップにおいて重要なレスポンスを備えており、安心して被写体探しに集中できます。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF8 SS1/200 ISO100 60mm

景福宮を出て、周辺をブラリしてみました。大通りから一本入ると細い路地が多く、雰囲気もあり楽しめます。電柱に可愛い落書きを見つけたのでパシャリ。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/320 ISO200 24mm
■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/320 ISO100 40mm

方向音痴な私は、このような入り組んだ路地では迷子になります、それが撮影しながらだと尚の事なのですが、親切な可愛い壁画?に救われました。ここで迷う人が多いんだろうなという仲間意識と自己弁護の思いでパシャリ。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF5 SS1/160 ISO320 46mm

少し歩き疲れたので、おしゃれなカフェでアイスフレーバーティーを飲んで一服させていただきました。スナップ中も思っていたのですがS1IIは発色は勿論素晴らしいのですが、空気感とかクリア感というのが一番伝わりやすいと思います。一貫して抜けの良さというか透明感があり、私好みの写真が撮れるので、ずっと撮り続けたくなります。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/320 ISO160 60mm

カフェを出てスナップの続き、赤い煉瓦に青い標識が可愛く映えます。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF4.5 SS1/320 ISO250 60mm

アパートの前で、おばさんが日向ぼっこしながら眠っていました。起こさないようにサイレントでパシャリ。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/320 ISO2500 40mm

何故か日本の古いポスターが並んで貼られていました、まわりも少し見てみたのですが謎のまま。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF5.6 SS1/500 ISO160 60mm

古い家屋が並んでいて、ガス管が目立つ色で、模様のように配管されていたのが印象的でした。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/320 ISO250 60mm

路地から大通りを覗くと、仲良し親子発見。S1IIのレスポンスに感謝しつつソウルの写真はここまで。

ポートレートとフォトスタイル

ここからはポートレートです。S1IIに同日発売のLUMIX S 24-60mm F2.8を装着して、焦点距離36mm、開放絞りF2.8で斜め構図。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/500 ISO125 36mm
■モデル:りなぽそ

明るい標準ズームなのでフォトスタイルからポートレートを選んで撮影。S1IIのフリーアングルチルトモニターを使えば、このような構図もレスポンス良く撮影が可能です。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/100 ISO320 55mm
■モデル:りなぽそ

神社で和装は合いますよね。S1IIのフォトスタイル、ポートレートモードは落ち着いた雰囲気を演出することが出来るので大好きです。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/100 ISO100 60mm
■モデル:りなぽそ

相当な樹齢の木と緑が美しい背景で望遠端60mm、開放絞りF2.8で撮影。
程好いボケ感があり、好みの雰囲気でシャッターを切る事が出来ました。
使用したLUMIX S 24-60mm F2.8のレビューも後日させていただきますので、読んでいただけると嬉しいです。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 50mm F1.8
■撮影環境:絞りF7.1 SS1/8 ISO250 50mm
■モデル:りなぽそ

スタジオでのショットはLUMIX S 50mm F1.8を使用して撮影。シャッタースピードを1/8秒にして、傘を廻しながら撮影してみたので、少し動きのある写真を撮ることが出来ました。

屋外の時と同じ、フォトスタイルのポートレートモードを選択しているのですが、彩度を高めてシャープネスは低め等、プリセットから変更して好みの雰囲気になるよう調整して撮影。簡単に各モードからの個別設定が可能なのは嬉しい機能です。

スタンダード

ヴィヴィッド
ナチュラル

L.クラシックネオ

フラット

風景

人物

モノクローム

L.モノクローム

L.モノクロームD

L.モノクロームS

LEICAモノクローム

シネライクA2

シネライクD2

シネライクV2

709ライク

V-Log

リアルタイムLUT

MY01

MY02

MY03

MY04

先程ポートレートモードと記載しましたが、S1IIには風景やモノクロ等プリセットされた18種類のフォトスタイルと、それに加えオリジナル設定を最大4種類まで覚えさせる機能がついており、そのすべてが細かな画質調整の設定変更をすることも可能となっています。幅広く思い通りのカラープリセットが可能となっているのも特徴であり、この機能は全てのS1IIシリーズに共通なので、凄く便利です。

静止画と動画の切り替えもスムーズ

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/6 ISO500 51mm

ここからは、夜中0時をまわるころから始まる深夜の祭りでの写真でレビューさせていただきます。

梵天様を祈祷しているところ。1/6スローシャッターが良い感じに決まった。
■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/30 ISO6400 60mm

本殿前で改めて祈祷されます。深夜と思えないほどの人手に少し驚いている間に出遅れたため、後方からの撮影ですがLUMIX S 24-60mm F2.8を装着し、S1IIのハイブリッドズーム機能を使用して撮影しました。ハイブリッドズーム機能は光学ズームとデジタルズームをミックスして、広角端はそのままに、望遠端を可能な限り画質を劣化させず3倍まで使うことが出来る魔法のような機能となっています(画質モードによります)。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/2 ISO640 28mm
■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1秒 ISO100 24mm
■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/3 ISO1600 24mm
■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/3 ISO1250 24mm
祈祷が終わると、いよいよ梵天様を担いで陣屋の外へ出て、暗闇の中すごい勢いで倒したり廻したりが行われる。梵天様も廻している方々も何故目が回らないのかと思う勢いだ。
■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF2.8 SS1/3 ISO1000 28mm

一連の写真は全てスローシャッターで撮影していて、私はストロボやLED等の照明は一切使用していないのですが、まわりの撮影者の光源を拾って面白い感じに撮影することが出来ました。撮影時は、真っ暗ではありませんが凄く暗い状況でした。しかしS1IIのAFは狙った被写体に素早く合焦するので、暗所撮影でも安心して使用する事が出来ました。6K30P動画でも撮影しましたので続けてご覧ください。

この祭り撮影は、S1II一台で撮影していますので、静止画と動画を切り替え使用したのですが、どちらの撮影においても違和感なくスムーズに切り替えて撮影可能だったので、凄く便利でした。静止画、動画を問わず暗所撮影時のAFも良好でした。そして何より、高感度でのノイズの少なさは、私の期待を遙かに上回る程、素晴らしく良好だと感じました。

AF精度や手ブレ補正も優秀

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF11 SS1/10 ISO100 24mm

少し流し撮りもしてみたのですが、S1IIを使うと、新幹線の運転席の窓にピントを合わせた流し撮りも簡単に撮れました。AF精度の高さを改めて認識しました。

S1IIで忘れてはいけない機能として、秒間70コマでの撮影が可能な点がありますので、目の前の新幹線1号車が通過中に画像左端に写り込みだしてから右の電柱に到着するまでの間に44枚撮影することが出来ました。(正確な時間は解りませんが1秒はかかっていないと思います)そして画像を見ていただいた通り、新幹線の歪みを感じる事は無くLUMIXの部分積層型センサーと画像処理エンジンの技術の高さが解ります。

■撮影機材:パナソニック LUMIX S1II + LUMIX S 24-60mm F2.8
■撮影環境:絞りF4 SS3.2 ISO100 24mm

作例としては最後になりますが、LUMIXと言えば手振れ補正の強さが驚異的だという印象を持っているので、今回も大阪の夜景を手持ち3秒露光で撮影してみました。正直この秒数でも、ほとんど成功するほど簡単に撮れてしまいます。

おわりに

S1IIをしばらく使ってみた感想は、本気のオールラウンドカメラだと思いました。
核となる部分積層型センサーは極めて優秀な印象で、当初、高感度耐性や画像湾曲等の心配をしていたのですが、LUMIXの技術は想像以上に素晴らしく、全ての心配を払拭してくれました。連写時のバッファもかなりあり、RAWとJPEG同時記録でもスローダウンするまでにかなりの秒数で撮影可能でした。有効画素約2410万画素と基本的に必要十分と思いますが、更に画素数が欲しい撮影の場合でもハイレゾ撮影機能で9600万画素の撮影が可能となります。

更にすごいのはLUMIXの手振れ補正技術と組み合わせる事で手持ちハイレゾ撮影も可能となり、簡単に高画素撮影が行えます。その他にも、ハイブリッドズーム等の面白い機能も搭載されていて、いざという時に活躍してくれます。防塵防滴に配慮した設計になっていて、天候に左右されにくいのも嬉しいです。本当に色々な撮影に使用してみましたが、S1IIに撮れない被写体は無いだけでなく、あらゆる被写体において、高次元で私の撮影に答えてくれました。このスペックでこの価格は比較的コストパフォーマンスにも長けており、オススメのカメラだと思いました。

 

 

■モデル:りなぽそ

■写真家:葛原よしひろ
ジャンルに捉われず何でも撮影するマルチプレイヤースタイルの写真家。カメラメーカー等の写真セミナー講師としても全国的に活動している。大阪芸術大学写真学科卒/滋賀県高島市公認フォトアドバイザー/JPS(日本写真家協会)正会員

 

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