パナソニック DC-GH5レビュー | プロの現場で使える動画性能をご紹介

中西学

パナソニック_GH5で撮影した新宿の画像.JPG

はじめに

 GH5は動画機能を重視したミラーレスカメラで、センサーは4/3型Live MOS センサー(17.3×13mm)を搭載しており、APS-C(23.5×15.6mm)より一回り小さくなっています。ミラーレスカメラでは世界初の4K/60pの撮影が可能※ で、ビデオグラファーにとっては必須と言える4:2:2 10bitにもレンズ交換式カメラでは初めて搭載しています※ 。

 ローパスフィルターレス設計で高解像度の優れた描写力も持ち、Youtuberの方だけではなく、海外の動画アーティストの中でも人気になっているようです。今回はプロの現場でここが使える!という動画性能を中心にお話したいと思います。

4K60fps(1秒当たり60フレームを記録)

 最近のミラーレスカメラで4K動画を撮影できるカメラは沢山ありますが、多くの機種が30fps(秒間30フレーム記録)です。それは、本体の熱処理問題が影響しており60fpsを記録できるモデルをつくるのが難しいと聞いたことがあります。センサーサイズが大きければ大きいほどフレームレートを上げた時にセンサーが高温になり動画記録が出来ないようですが、マイクロフォーサーズはセンサーサイズが小さいので、4K60fpsを世界で初めて実現できたと思われます。

 ところで、30fpsでは駄目なのか?というと、一般的に30fpsあれば問題ないとも言われています。但し、編集時にスロー効果などを入れ込む場合、30fpsで2倍スローモーションにした場合15fpsしかない状態になり、動きに滑らかさが無くなり不自然な映像になります。GH5の4K60fpsなら2倍スローモーションをかけたとしてもまだ、30fpsあるので滑らかな動きとなり作品作りでも問題なく使うことができます。また、FHD(フルハイビジョン)なら最大180fpsに対応しており、6倍スローモーションを30fpsでつくることが出来ます。

 更に大きな特長としては1ファイル29分59秒の撮影時間制限が無いところもあります。多くのミラーレスカメラはこの時間制限がありますが、GH5には無く、まるでビデオカメラで動画撮影しているかのように、集中して作品づくりができます。

Panasonic GH5 TOKYO STREET V-log

■使用機材:DC-GH5 + LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 ASPH.

ボディ内手ブレ補正

 次に目を引く機能は、GHシリーズで初めてボディ内手ブレ補正を搭載したことになります。
補正効果はシャッター速度5段分あり、ストリートで撮影する私には本当にうれしい機能です。このボディ内手ブレ補正を搭載したことで、レンズ内に手振れ補正機構がないオールドレンズや他社製レンズを使って、三脚やジンバルなしに手持ちで動画撮影ができるようになりました。スチールでの写真撮影では手ブレ補正が無い状態でごく普通に手持ちでの撮影を行うかと思いますが、動画ではそれが難しく、今回ボディ内に手ブレ補正がついた事で、機動力を持って撮影することが出来るようになりました。

パナソニック GH5レビュー(カメラのキタムラ動画_)

■使用機材:DC-GH5 + LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 ASPH.
手持ち撮影で撮影したスローモーション動画

動画記録中の設定変更が可能

 前モデル(GH4)は、一度動画撮影をスタートすると、ホワイトバランスやフォトスタイル等の撮影設定を変更する為には一度動画記録を中断し、新たに設定し直してから再スタートする必要がありました。
 GH5では、撮影中でも撮影設定の変更が可能で急な撮影環境の変化にも柔軟に対応することが出来ます。撮影中に突如現れた絶対に逃すことのできない決定的な場面も、撮影を続けながら適切に設定を変えて映像に残すことが出来るのはとてもうれしいですね。

 日の出を動画撮影をする際、朝日が昇る前はまだ暗いのでISO感度を高く、ホワイトバランスを低く設定し、太陽が出てきた瞬間はISO感度を低く、ホワイトバランスを高くのように設定を変更して、それを一時停止する事なく一連の状況変化を記録することが可能になり、便利に使うことができます。

フォトスタイル

 動画の雰囲気を出すには色表現のプリセットやどれだけカメラ本体に色のパターン 持っているかが重要になります。撮影表現の色味で代表的なのが富士フィルムのフィルムシュミレーションですが、GH5にもカラー表現のプリセットが数多く搭載されています。

 映画の雰囲気を出しながら「シネライクD」と「シネライクV」は特に気に入っていて何度も使っていました。「LモノクロームD」という設定では、「粒状」を調整する事ができ、フィルム写真を楽しく再現することが出来るようになっています。また幅広いダイナミックレンジを得ることができ、後編集に向いた撮影方式の「V-LogL」(利用費が別途かかります)もありますので、こちらも是非試してもらいたい機能です。

シネライクDで撮影した画像.JPG

■使用機材:DC-GH5 + LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 ASPH.
■フォトスタイル:シネライクD

シネライクVで撮影した画像.JPG

■使用機材:DC-GH5 + LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 ASPH.
■フォトスタイル:シネライクV

路地裏を携帯で撮影している画像.JPG

■使用機材:DC-GH5 + LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 ASPH.
■フォトスタイル:LモノクロームD

厳しい環境下での利用

 GH5の防塵防滴耐性は非常に評判が良く、どうしても厳しい環境での撮影を行わなければいけない時がある私にとっては、とても心強く感じています。

 また標準でHDMI A端子を採用しており、耐久性があり、接触不良を軽減できます。一般的なミラーレス機によく採用されているのが小型のマイクロHDMI端子ですが、これは端子が小さいため、ケーブル自体の耐久性が低いことや、たまに接触不良になる事もあり私は過去に何度もケーブルを買い直していました。

 その点GH5に採用されているHDMIはA端子で一般的にTV接続などに使う大きなケーブルとなり折れて使えなくなる事や接触不良で急に使えないというトラブルを軽減できるので非常に安心して撮影に挑めます。

その他便利な機能

EXテレコン機能

 動画では4K(3840×2160)やC4K(4096×2160)の高精細の画質はそのままに、さらに約1.4倍までズームすることができます。また、FHD(1920×1080)記録時は約2.7倍ズームアップでき、さらに遠くの被写体をぐっと引き寄せることができます。

クイックメニューからの直感的な撮影設定

 一般的な一眼カメラは静止画メインにつくられているため、動画の設定がすぐに出てこないことがあります。それに比べ、GH5は各種設定が静止画同様クイックメニューからすばやく行え、動画記録中の設定変更も簡単に出来ます。
 この操作性は動画撮影に特化したGH5だから実現していると思います。私は写真撮影と動画撮影を同時に行うことが多く、瞬間の光を写真と動画で記録しています。GH5のクイックメニューを使いこなすことでミスなく設定を行い撮影に集中することができました。

GH5とGH5Sの違いは?

 GH5が発売された翌年にGH5Sというカメラも発売されました。どっちを買えばいいの?
って思っている方も多いと思います。

 簡単に伝えると、GH5Sは常用感度が51200と高く設、更に有効画素数を約1028万画素に落とすことで画素ピッチを大きくとり、薄暗いところでの撮影を得意としています。GH5の常用ISO感度は25600で、有効画素数は2030万画素となりますので、動画だけでなく、写真撮影も行い高画質を求める方は、GH5をオススメします。また、GH5Sはボディ内手ブレ補正がありませんので、ジンバルや三脚を使って動画を中心に撮影される方にオススメです。

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