フルサイズとの併用も視野に。OM SYSTEMで増える、広がる作品づくり。フラッグシップ譲りの性能でモノクロ写真表現を広げる OM-3
OM-3で広がるモノクロ写真の表現
これまでの連載記事『フルサイズとの併用も視野に。OM SYSTEMで増える、広がる作品づくり』では、周辺部までの解像度や歪みの少なさといったマイクロフォーサーズシステムのしくみや、フルサイズ(35mm判)とは異なる最短撮影距離による撮影領域、被写界深度の違いなど、小型軽量という点だけではない魅力をご紹介してきました。
こうしたマイクロフォーサーズシステムとしての魅力に加えて、カメラ本体にも表現の幅を広げる機能が備わっています。OM-3に搭載されている「カラー/モノクロプロファイルコントロール」もそのひとつで、作品の色味や階調を調整できる機能です。カラー、モノクロそれぞれに4つのプリセットが用意され、まるでフィルムを選ぶような感覚で使うことができます。
なかでもモノクロプロファイルに搭載された「粒状フィルム効果」は、銀塩フィルムで撮影したような質感を表現できる機能です。昭和の風情が残る光景を写すと、まるで時代を遡るような感覚を味わうことができます。今回は、OM-3のモノクロプロファイルコントロールを使いながら、自分好みのモノクロ写真表現に近づけていく方法をご紹介します。
OM-3でモノクロフィルムのような写真は撮れるの?
結論から言えば、完全に同じものではありません。しかしOM-3でモノクロ撮影を続けていると、かつてモノクロフィルムで撮っていた頃の“感覚”に、少しずつ近づいていくのを感じます。そしてそれは再現にとどまるものではなく、自分好みの階調表現を明確にしながら、より自由で豊かなモノクロ写真表現へと広がっていきます。
では、実際にどのようにモノクロフィルムのような表現に近づけていくのか。OM-3のモノクロプロファイルコントロールを使うことで、まるで時代を遡るような写真は撮れるのか。OM-3を手にして撮影に出かけてみました。2025年2月、訪れたのは、岡山県美咲町にある柵原ふれあい鉱山公園。1991年に廃止となった旧片上鉄道の吉ヶ原駅舎と操車場跡を活用して整備された公園で、昭和30年代の鉱山の様子や暮らしが再現されています。駅舎や車両も当時の姿のまま保存されており、今もなお時代の空気が色濃く残る場所です。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
■撮影データ:A(絞り優先) / 焦点距離:25mm(35mm判換算:50mm相当)/ 1/40秒 F5.6 ISO400 露出補正:+0.3EV
■渋みと濃厚感のある色調を得られるカラープリセット、「COLOR2:クロームフィルム リッチカラー」で撮影
4つのモノクロプリセット、自分好みはどれか?
OM-3には、代表的なフィルムの特長をもとにした4つのモノクロプリセットが用意されています。フィルムを選ぶように切り替えながら、それぞれの描写の違いを確かめ、自分のイメージに近い写真表現で撮影することができます。

フィルムで写真を撮っていたころ、高感度の部類に入るISO400(当時のASA400)で、銀塩フィルムらしい粒状感と適度なコントラストが得られるフィルムを使っていました。そのイメージに近い設定として、ハイライト&シャドウを±6にしたコントラストの高い描写に、粒状フィルム効果も強めに加えた「MONO2:クラシックフィルム モノクロ」を選択して撮影しました。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
■撮影データ:A(絞り優先) / 焦点距離:25mm(35mm判換算:50mm相当)/ 1/40秒 F5.6 ISO400 露出補正:+0.3EV
■MONO2:クラシックフィルム モノクロ

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影データ:A(絞り優先) / 焦点距離:17mm(35mm判換算:34mm相当)/ 1/200秒 F1.2 ISO200 露出補正:0.0EV
■MONO2:クラシックフィルム モノクロ

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
■撮影データ:A(絞り優先) / 焦点距離:25mm(35mm判換算:50mm相当)/ 1/40秒 F4.0 ISO200 露出補正:0.0EV
■MONO2:クラシックフィルム モノクロ
フィルム撮影の記憶に近づけるか?
以前、ゴールデンウィークの時期には吉ヶ原駅でイベントが開催されていたこともあり、何かしら当時の雰囲気が感じられるのではないかと思い、5月に再び訪れました。ホームにはこいのぼりが飾られ、ディーゼルカーが入線し、車内が開放される光景は、まさに現役時代を思わせるものでした。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 II
■撮影データ:A(絞り優先) / 焦点距離:9mm(35mm判換算:18mm相当)/ 1/100秒 F8.0 ISO200 露出補正:0.0EV ライブGND:ND8,Soft
2月に撮影した画像を見返してみると、自分の好みに対していくつか気づきがありました。「MONO2:クラシクフィルム モノクロ」の、ハイライトを+6、シャドウを-6に設定ではコントラストがやや強く、粒状フィルム効果も「強」では、SNSやスマートフォンでの閲覧にはちょうどよいものの、大きなモニターやプリントではフィルム写真に比べてやや粗く感じられました。そこで今回は、「MONO2」をベースにハイライト&シャドウ、粒状フィルム効果をカスタマイズしてみます。
(1)シャドウ:-6 → -3
(2)ハイライト:+6 → +3
(3)粒状フィルム効果:強 → 弱

この設定で撮影してみると、シャドウ部が持ち上がり、粒状フィルム効果もなめらかになることで、コントラストが適度に抑えられました。結果、全体のトーンが落ち着いたやわらかな階調になり、より自分のイメージに近い仕上がりになりました。


■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 II
■撮影データ:A(絞り優先) / 焦点距離:9mm(35mm判換算:18mm相当)/ 1/800秒 F6.3 ISO200 露出補正:0.0EV
■MONO2:クラシックフィルム モノクロ ※カスタマイズ

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影データ:A(絞り優先) / 焦点距離:17mm(35mm判換算:34mm相当)/ 1/16000秒 F1.2 ISO200 露出補正:0.0EV
■MONO2:クラシックフィルム モノクロ ※カスタマイズ

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 II
■撮影データ:A(絞り優先) / 焦点距離:9mm(35mm判換算:18mm相当)/ 1/125秒 F8.0 ISO200 露出補正:+0.7EV
■MONO2:クラシックフィルム モノクロ ※カスタマイズ
ライブGND(グラデーションND)との併用で明暗さの軽減
OM-3には、フラッグシップモデルであるOM-1 Mark IIにも搭載されているライブGND(グラデーションND)が搭載されています。ライブGNDは、通称ハーフNDとも呼ばれるフィルター効果を持つ機能で、GND段数(2・4・8)やフィルタータイプ(Soft/Medium/Hard)でのフィルター効果を見ながら、境界位置を調整することができます。モノクロプロファイルでの撮影時にも使用でき、明暗差の大きなシーンでも、その場で明暗差を抑えた仕上がりに近づけることができます。


■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
■撮影データ:A(絞り優先) / 焦点距離:25mm(35mm判換算:50mm相当)/ 1/15秒 F2.8 ISO200 露出補正:0.0EV ライブGND:ND4,Hard
■MONO2:クラシックフィルム モノクロ ※カスタマイズ
モノクロ撮影で気づいた、被写界深度というもう一つの違い
モノクロ撮影で気づいた、フィルム撮影とのもう一つの違いが被写界深度です。マイクロフォーサーズは、35mm判フィルムと同じ画角・撮影距離で比較した場合、被写界深度が約2段分深くなります。そのため、同じようなボケ感を得ようとすると、より明るい開放絞り値のレンズを選ぶ必要があります。35mm判での撮影イメージに近づけるには、ボケの量も意識しながらレンズを選ぶことが重要になります。
そこで有効なのが、開放絞り値F1.8やF1.4、F1.2といった単焦点レンズです。中でもF1.2シリーズの単焦点レンズは、大口径ならではの浅い被写界深度により、マイクロフォーサーズでも立体感のあるボケを描くことができます。開放F1.2が生み出す美しくにじむボケと、特殊レンズを贅沢に使用することで実現された高い解像力、その両立にこだわった描写は、ピント面のシャープさと、そこからなだらかにほどけていくボケのつながりを生み出します。モノクロの階調ともよく馴染み、被写体の存在感をより際立たせてくれます。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影データ:A(絞り優先) / 焦点距離:17mm(35mm判換算:34mm相当)/ 1/10000秒 F1.2 ISO200 露出補正:-0.7EV
■MONO2:クラシックフィルム モノクロ ※カスタマイズ

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
■撮影データ:A(絞り優先) / 焦点距離:25mm(35mm判換算:50mm相当)/ 1/400秒 F1.2 ISO200 露出補正:+1.0EV
■MONO2:クラシックフィルム モノクロ ※カスタマイズ

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F4.0 PRO
■撮影データ:A(絞り優先) / 焦点距離:45mm(35mm判換算:90mm相当)/ 1/125秒 F4.0 ISO200 露出補正:+1.0EV
■MONO2:クラシックフィルム モノクロ ※カスタマイズ
まとめ
いかがでしたか。OM-3のモノクロプロファイルコントロールを使うことで、単にフィルムの再現にとどまらず、自分のイメージに近づけていく表現が可能になります。モノクロ専用機として使いたくなるような魅力も感じられます。
さらに、35mm判フィルムのようなボケ感にもこだわりたい場合は、開放絞り値の明るい単焦点レンズとの組み合わせも有効です。モノクロ写真との相性もよく、あわせて使ってみたいところです。
最短撮影距離の近さなど、マイクロフォーサーズならではの撮影領域に加え、フラッグシップ機であるOM-1 Mark IIに準ずる高い性能と多彩な機能を備えながら、強力な手ぶれ補正や防塵防滴性能、さらにはコンピュテーショナル フォトグラフィを活かした撮影によって、表現の幅を大きく広げてくれる点も、OM-3の魅力のひとつです。
OM-3で、自分だけのモノクロ表現を見つけてみてください。
■写真家:高橋渉
鉄道や乗り物、風景・ネイチャーなどの撮影、雑誌・Webメディアなどへの執筆、カメラメーカー OM SYSTEM での作例の撮影や展示・トークイベント、動画配信などを行っている。2019年11月以降「箱根海賊船」をテーマに撮影、写真集の出版、写真展を開催。
・公益社団法人 日本写真家協会 会員
・公益社団法人 日本写真協会 会員














