ニコン NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena レビュー|究極の玉ボケが楽しめる最高峰ポートレートレンズ

ニコン NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena レビュー|究極の玉ボケが楽しめる最高峰ポートレートレンズ

はじめに

こんにちは!フォトグラファーのKoichiです。普段は、風景に人を溶けこませるような写真やアート写真など「心に響く写真」をコンセプトに日常を切り取っています。

今回は先日発売されたNIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaの圧倒的なボケや解像感、撮影してみた感想やどんなシーンで使うと良いかなど、実際に撮影してきた写真と共に書いていきたいと思います。135mmという中望遠域の単焦点レンズを使ったことのない方や、これから単焦点レンズを使ってみたいと思っている方にも参考になれば嬉しいです。

Nikon Z 7II + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO64 F1.8 1/4s

究極の玉ボケ

まず、今回このレンズで1番話題になっているのが美しすぎる玉ボケです。単焦点レンズの魅力の1つとしてよく挙げられる大きなボケですが、このレンズは他のどんなレンズにも負けない最高峰の美しすぎるボケが話題となりました。

被写体の背景を大きくボカすためには、設定でF値をできる限り小さくしてあげる必要があります。ズームレンズの開放値の多くがF2.8やF4なのに対して単焦点レンズの場合はF1.2やF1.4、F1.8などより小さな数字まで下げることができる、いわゆる「明るいレンズ」が多いです。このNIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaも開放値はF1.8なので、より大きく美しいボケを体感することができるレンズだと言えます。

しかし、大きなボケを求めてF値を小さくして撮影をするとレンズの設計上、周辺のボケがレモンのような楕円形になってしまいます。そのため、これまでは丸いボケにしたい場合は若干F値を大きくしてF2やF4くらいまで絞って撮影をする必要がありました。そんな中、今回のNIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaは開放のF1.8から周辺まで限りなく真円のボケを実現した、まさに「究極のボケ」を味わうことができるレンズなのです。

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO100 F1.8 1/8s
玉ボケ周辺を拡大

この作例を撮影したシーンは、レンズが苦手とする強い逆光でした。モデルさんの顔周辺にある大きめの白い光がまさに爆発した直後の花火です。今までも同じようなシーンで撮影をすることがありましたが、光が強すぎてコーティングのないレンズではフレアが出てしまいます。

フレアとはレンズ内で強い光の反射が起こり、写真にモワッとした余計な光の像が写ってしまうことで、写真全体のシャープさやコントラストが低下してしまう現象です。NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaに採用された「メソアモルファスコート」という強力なコーティング技術によって、こういった逆光のシーンでもクリアーで美しい写真を撮ることができるようになりました。

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO64 F1.8 1/640s
Nikon Z 9 + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO64 F1.8 1/1250s

こちらは早朝の太陽に照らされるコスモス。逆光のシーンでしたが、雨粒がキラキラとした玉ボケになりファインダーを覗いた瞬間にため息が出るほどの美しさでした。コスモスを撮っていて、背景のボケのみならず前景のボケの美しさにも魅せられました。

Nikon Z 8 + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO125 F1.8 1/160s

圧倒的な解像感

NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaの素晴らしさはピント面の解像感にもあります。撮影した画像をカメラの画面で確認した時点でそのシャープさに感動します。

開放がF1.8なので被写体に寄ってピントを合わせるとその前後は大きくボケます。AFもとても速いので、シャッターボタンを押した瞬間に瞳にピントが合ってくれました。ファインダーを通して見える世界は映画のような景色で、見惚れてしまうほどの映像美でした。

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO160 F1.8 1/2500s
Nikon Z 9 + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO160 F1.8 1/2500s

ピントが合っている部分がパリッとシャープで、手前と奥にかけて滑らかにボケているのが分かると思います。寄りで撮っても、少し下がって引きで撮っても像の立体感が際立つレンズです。髪の毛の1本1本、目に入る光や陰影が本当に美しく、目で見ている景色を超える美しさなのではないかと思うほどでした。

背景でボケた部分の空に浮かぶ雲の雰囲気もしっかり描写されていて、ボケの柔らかさにも感動しました。

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO64 F1.8 1/8000s

光を捉える。その言葉がピッタリの1枚を撮ることができました。夕焼けの逆光のシーンにおいて後ろから照らされるコスモスが美しく、花びらの質感や光の当たっている着物や髪の毛、顔の輪郭までもしっかりと描写されています。この写真も強い逆光でしたがフレアが抑えられ、隅々までクッキリと写っています。

135mmという画角

焦点距離135mmという中望遠の画角を活かして、奥行きのある場所で撮影をすると、より滑らかなボケと圧縮効果を楽しめると思います。

Nikon Z 8 + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO64 F1.8 1/400s

この写真は木々が生い茂る一本道、モデルさんとは10~20mほど離れた位置で撮影をしました。これくらい離れた場所から撮影をすると、周りの風景も写るのでその場の雰囲気が伝わる写真に仕上がります。木漏れ日が美しい日中の撮影だったので、光の当たっている部分と影になっている部分のコントラストでより立体感が生まれました。

Nikon Z 8 + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO64 F1.8 1/640s

海で撮影した写真でも、135mmの圧縮効果によって背景の波の迫力が伝わる切り取りができました。砂浜や海以外の景色は入れたくなかったので、135mmの画角がピッタリはまってくれました。

普段広角レンズや標準レンズを多く使う方は未知の画角かもしれませんが、そういう方にこそ使ってほしいレンズです。私自身も夏の花火の撮影でしか主に135mmを使ったことはありませんでした。NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaをカメラに装着し、初めてファインダーを覗いた瞬間、写真を始めた頃のワクワクする感覚を思い出すような高揚感に包まれました。それくらい新感覚の体験をすることができるレンズです。

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO200 F1.8 1/40s

まとめ

NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctに続く、固有名詞を持ったレンズ「NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena」。そんなスペシャルなレンズの魅力がこの記事で少しでも伝われば嬉しいです。

今回このレンズを使ってみて私が一番感動した部分は、やはり美しすぎるボケでした。普段の撮影でも単焦点レンズを使うことが多いので、ボケ感やピント面の解像感はこだわりたい部分でした。その期待もあり、初めてレンズを装着する瞬間が楽しみでもあり緊張もしていましたが、最初の撮影で花火を撮影をした時に感動で手が震えました。現実なのに現実とは思えないくらい幻想的で美しい景色がモニターに写し出され、レリーズを握りながら夢中でシャッターを切りました。

Nikon Z 7II + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO250 F1.8 0.5s
Nikon Z 7II + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO160 F1.8 0.5s

夜空に無数の玉ボケが浮かび上がる機会は日常において中々ないので、余計に花火の写真は非現実的な写真になったのではないかなと思います。今回このレンズを使ってみて、紅葉の美しい参道や冬のイルミネーション、桜吹雪のポートレートなど、NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaのボケを活かせそうなシーンが沢山頭に浮かびました。今後、このPlenaを使った数々の作品が生まれていくことがとても楽しみです。

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO64 F1.8 1/800s
Nikon Z 9 + NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
ISO64 F1.8 1/640s

これまで花単体を接写で撮影する機会は全くなかった私が、早朝の花畑でかがみながら何時間もファインダーを覗き続けてしまいました。それくらいこのレンズは一度覗いたら虜になるレンズだと思っています。そんなNIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaの魅力を写真から感じていただけたら幸いです。

 

 

■モデル
るか | Ruka(@rk19_photo
お湯ちゃん(@oyu_oyu_oyu_
ケティー彩花(@ayaketty1685

■写真家:Koichi (岩松晃一)
岐阜県高山市出身のフォトグラファー。東京を中心に活動。主な作品は風景の中に人を入れた情景写真や、Photoshopを使ったアート作品。「心に響く写真」をコンセプトに、日常を切り取る。最近はフィルムカメラを通して写真の楽しさを伝える活動をしている。

 

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