佐藤俊斗 × ポーレートVol.20|ライカQ3で切り取るファッションと街の関係性
はじめに
今回は少し視点を変えて、ファッションをテーマにした撮影についてお話ししたいと思います。
普段のポートレート撮影では光やロケーションを中心に考えることが多いですが、今回はスタイリングから撮影を組み立てました。
使用したのは私物のMIU MIUのジャケットと、ユニクロのジャケットです。
価格もブランドもまったく異なる2着ですが、今回の撮影を通して改めて感じたのは、服の魅力はブランドだけで決まるものではないということでした。
もちろん服そのものが持つデザインや素材感は重要です。
ただ、それと同じくらい大切なのが、どんな場所で撮るのか、どんな光で撮るのか、どんな距離感で切り取るのかということです。
皆さんはファッションを撮るとき、まず服から考えますか?それともロケーションから考えますか?
今回使用したLeica Q3は、そうした服と街との関係性を自然に写し出してくれるカメラでした。
28mmという画角は人物だけでなく、その人が立つ空間や空気まで含めて切り取ることができます。
ファッション撮影では服だけを見せるのではなく、その服がどんな場所にあり、どんな空気をまとっているのかも重要です。
今回はLeica Q3を片手に街を歩きながら考えた、ファッションと街の関係性についてお話しします。
Leica Q3だから見える街との距離感

■撮影環境:1/125秒 f/1.7 ISO160

■撮影環境:1/800秒 f/1.7 ISO100
今回の撮影で改めて感じたのは、Leica Q3の28mmという画角の面白さです。
ポートレートでは50mmや85mmなどのレンズを使うことがありますが、28mmは人物だけでなく、その人が立っている場所や周囲の空気まで一緒に写し込める画角です。
今回28mmで撮影したカットでは、階段や壁の余白、緑の背景など、ロケーションの情報をしっかり残すことを意識しました。
被写体だけを大きく切り取るのではなく、服と背景がどう関係しているかまで見せられるのが28mmの良さです。
モノクロのカットでは、階段のラインや壁の質感を入れることで、服のレイヤーや人物の佇まいがより自然に見えるようにしています。
緑を背景にしたカットでは、ジャケットの色と植物の色味の対比を残しながら、人物がその場に立っている空気感まで切り取りました。
28mmは少し広く写る分、背景の整理がとても大切です。
余計な情報が入りすぎると散らかって見えてしまうため、どこまで背景を入れるか、どこから切るかを細かく見ながら撮影しています。
皆さんも28mmで撮影するとき、背景をどこまで入れるか迷うことはないでしょうか。
一方で、街やロケーションとの関係性を見せたいときには、28mmの広さがとても活きます。
Leica Q3はその距離感を軽快に扱えるので、街を歩きながら「ここで撮れそう」と思った瞬間にすぐ構えられるのも魅力です。
また今回は28mmだけでなく、35mmクロップも積極的に使用しました。
Leica Q3は広角レンズの空気感を残しながら、自然に画角を整理できるのが特徴です。
28mmではロケーションとの関係性を見せる。
35mmでは人物やスタイリングに視線を集める。
その使い分けをすることで、同じ場所でも写真の役割を変えることができます。
レンズ交換をする感覚ではなく、一歩前に出るような感覚で画角を変えられるのはLeicaQ3ならではだと思います。
MIU MIUが持つ少女性をどう切り取るか

■撮影環境:1/320秒 f/1.7 ISO100
今回のMIU MIUのスタイリングでは、ブランドが持つ甘すぎない少女性を意識しました。
レースや淡いブルーのシャツを重ねながら、オーバーサイズのブラウンジャケットを合わせています。
MIU MIUの魅力は単純な可愛らしさではなく、どこか未完成でアンニュイな空気感にあると思っています。
また、レースやシャツ、ジャケットといった今っぽいレイヤースタイルも特徴的です。
今回の撮影では、その重なりが自然に見えるように距離感や角度を調整しながら撮影しました。
ロケーションは線路沿いやフェンスのある場所を選んでいます。

■撮影環境:1/800秒 f/1.7 ISO100

■撮影環境:1/400秒 f/1.7 ISO100
もし自然の中で撮れば、よりフェミニンな印象になったと思います。
ただ今回は街の中に置くことで、少女性とストリート感が共存するバランスを目指しました。
無機質な背景と繊細なスタイリングが重なることで、MIU MIUらしい都会的な空気感を表現できたと思います。
皆さんなら、こういった少女性のあるスタイリングをどんな場所で撮るでしょうか。
また今回はレイヤースタイルの繊細さも見せたかったので、寄りのカットでは35mmクロップも使用しています。

■撮影環境:1/1250秒 f/1.7 ISO100
28mmで全体の空気感を残しながら、35mmではレースやシャツの重なりに視線を集める。
同じ場所でも画角を少し変えるだけで写真の印象は大きく変わります。
特にLeica Q3は開放F1.7でも自然な立体感があるため、レイヤーによる奥行きや素材の違いが綺麗に見えやすいと感じています。
服を単体で見せるのではなく、その服が持つ空気感まで写したい。
そんなときにLeica Q3の画角と描写はとても相性が良いと感じました。
ユニクロを上品に見せるために考えたこと

■撮影環境:1/4000秒 f/1.7 ISO100

■撮影環境:1/2000秒 f/1.7 ISO100
今回もう一つ使用したのがユニクロのジャケットです。
ユニクロは日常に寄り添うブランドだからこそ、撮り方によって見え方が大きく変わります。
シンプルな服ほど誤魔化しが効きません。
服のシルエット、姿勢、光の当たり方、背景との距離感。
そうした要素がそのまま写真に表れます。
今回の撮影では、ユニクロのジャケットを単なるベーシックな服として見せるのではなく、少し上品な印象になるように意識しました。

■撮影環境:1/1600秒 f/1.7 ISO100

■撮影環境:1/3200秒 f/1.7 ISO100
例えば背景を整理すること。
情報量の多い場所を避け、階段や壁などラインの綺麗な場所を選ぶことで服のシルエットが見えやすくなります。
また、強い順光ではなく柔らかい光を選ぶことで生地の質感も自然に見えてきます。
服そのものの価格帯やブランドネームではなく、どう見せるか。
それによって印象は大きく変わります。
皆さんも普段着ている服を撮るとき、少し上品に見せたいと思うことはありませんか?
今回ユニクロを撮影していて感じたのは、シンプルな服ほど撮影者の意図が出るということでした。
特徴的なデザインが少ない分、光や背景に頼りすぎると服の存在感が弱くなってしまいます。
だからこそ、どこに立ってもらうか、どの方向から光を受けるか、どの画角で切り取るかを丁寧に考える必要があります。
実際に今回も28mmで街との関係性を見せるカットと、35mmで服のシルエットを整理するカットを撮り分けています。
ブランドの価値だけではなく、撮影によって魅力を引き出す。その面白さを改めて感じたシーンでした。
今回の撮影を通して、上品さは服だけで作られるものではなくスタイリングや撮り方によって生まれるものだと改めて感じました。
ファッションとポートレートの中間を目指す

■撮影環境:1/1600秒 f/1.7 ISO100

■撮影環境:1/1600秒 f/1.7 ISO100
今回の撮影で意識したのは、ファッション写真とポートレート写真の中間を作ることでした。
服だけを見せるのであればルックブックがあります。
人物だけを見せるのであればポートレートとして成立します。
ただ、自分が惹かれるのはその中間です。
服の魅力が伝わりながら、その人自身の存在感も残っている写真。
目線を外したカットでは服と街との関係性を見せ、カメラ目線では人物の存在感を強くしています。
また、ポージングも作り込みすぎず、その人らしい仕草や動きの中で服が綺麗に見える瞬間を探しました。
Leica Q3は広角ならではの空気感と、F1.7による自然な立体感を両立できるカメラです。
背景の情報は残しながらも、人物の存在感は失われない。
そのバランスが今回の撮影テーマとも自然に重なりました。
街を歩きながら撮影していると、その瞬間にしか出会えない光や空気があります。
その場で感じた雰囲気をできるだけ自然に残したい。
そう考えたとき、ファッションとポートレートの中間という立ち位置が自分にはしっくりきます。
服を見せるためだけの写真ではなく、その服を着た人の空気まで伝わる写真。
今回もそんなことを考えながらシャッターを切っていました。
まとめ
今回の撮影では、MIU MIUとユニクロという対照的な2つのジャケットを使いながら、スタイリングからロケーション選び、撮影まで一貫して行いました。
MIU MIUにはMIU MIUならではの世界観があります。
一方でユニクロには、シンプルだからこそ引き出せる魅力があります。
ブランドが持つ価値はもちろんありますが、写真の中ではそれだけが全てではありません。
どんな場所で撮るのか。どんな光で撮るのか。どんな距離感で切り取るのか。
そうした要素によって服の見え方は大きく変わります。
今回の撮影を通して改めて感じたのは、上品さや雰囲気は服だけで決まるものではなく、撮り方によって作ることもできるということでした。
街を歩きながら場所を探し、その服に合う光を見つける。
そうやって服と街との関係を考えながら撮影することで、普段着ている服も新しい表情を見せてくれるかもしれません。
そしてLeica Q3は、その服と街との関係性を自然に繋いでくれるカメラでした。
ぜひ皆さんもお気に入りの一着を持って街に出て、自分なりのファッション撮影を楽しんでみてください。
■モデル:池田朱那
■写真家・フォトグラファー:佐藤俊斗














