GoPro HERO9 Black レビュー|バイクツーリングが2倍楽しくなるアイテム

坂井田富三

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はじめに

 「GoPro HERO9 Black」はGoProシリーズの最新バージョンで、皆さんもいろいろなシーンで目にすることも多いカメラではないでしょうか?最近ではテレビのロケなどでも使用されているのをよく見かけます。小さくて防水、そして優れたブレ補正が魅力のアクションカメラです。

 今回は、どんどん進化を続けるGoPro最新バージョンのHERO9 Blackでバイクツーリングを楽しみながら撮影をしてみました。

GoPro HERO9 Blackのスペック確認

 GoProは最新のHERO9 Blackのほか、前機種も併売されています。HERO9 Blackが前のタイプのHERO8 Blackと比較して何が変わったのか確認してみたいと思います。

HERO9 Black HERO8 Black
写真 20MP 12MP
ビデオ 5K30 + 4K60 4K60
防水性能 10m 10m
前面スクリーン
ブレ補正 HyperSmooth3.0 HyperSmooth2.0
タイムラプス ビデオ
スローモーション
ライブ ストリーミング
サイズ(mm) 71 x 55 x 33.6 66.3 x 48.6 x 28.4
重量 158g 126g

筆者が注目したポイントは5つ。

①静止画の撮影できる画素数が1200万画素から2000万画素にアップ

 動画撮影を中心に使うカメラではありますが、やはり静止画の画素数アップは素直に嬉しい性能進化です。そもそもアクションカメラは、広角レンズを使用しているので望遠での撮影はできません。しかし、画素数が2000万画素になったことによりトリミング耐性が強くなり、余白をカットすることで画像の一部を拡大するような使い方も可能になりました。

②前面にもついた液晶画面のおかげで自撮りでフレームアウトの心配なし

 液晶画面がボディの前面にも搭載された為、自撮り撮影でも安心して使えるようになりました。アクションカメラ的な使い方以外にも、V-LOGカメラとしても使えるアイテムになったと思います。前面の液晶画面はスクエアサイズの小さい画面ではありますが、自撮りをしている時に確認しながら撮影できるのはとても心強いですね。もちろん、前面液晶を使用しない際にはオフにすることもできます。使用用途に合わせて選択できるのはありがたい機能です。

③4K60Pに加え、5K30Pでも動画撮影が可能になった

 5Kサイズ(5120 × 2880ドット)という高解像度の動画撮影が可能になったのは、魅力の一つです。しかしアクションカメラとして使用する場合、5Kサイズではフレームレートが30Pなので動きの多いシーンの撮影には少し厳しいと思います。あまり動きの多くないV-LOG撮影で使うような場合はトリミングなどにも余裕で対応できるメリットがあります。バイクや自転車など走って撮影するような場合は、より滑らかに記録できる4K60Pで撮影する方がおすすめです。

④ブレ補正のHyperSmoothがバージョンアップし、より強力になった

 HyperSmooth (ハイパースムーズ) とは、HERO7 Blackで初めて導入された強力な電子式画像安定化機能 (EIS – Electornic Image Stabilization) です。ジンバルのような安定化機能でよりスムーズなビデオ撮影が可能になります。HERO8 Blackでバージョン2.0になり、HERO9 Blackではさらにバージョン3.0へと進化。より強力なブレ補正が可能になるとともに、新たにカメラ内ホライゾンレベリング(水平維持)が可能になりました。

⑤移動しながら安定したタイムラプスビデオが撮影できる「TimeWarp」機能

 通常タイムラプス動画を撮影する場合は、三脚などにカメラを固定して撮影する事がほとんどですが、HERO9 BlackではHyperSmooth3.0機能と合わせて動いている状態でも安定したタイムラプス動画が撮影可能になりました。例えば旅行の移動途中などを「TimeWarp」で撮影すると、早送りの様な動画を簡単に撮影することができます。

 カメラ本体は従来の機種より若干サイズアップし重量も増加していますが、もともと小型のアクションカメラなのでそれほど気にならないレベルの違いだと感じます。サイズが変わった事によって、従来使用できた一部のアクセサリーが使えなくなっているので、その点は注意が必要です。それでも、各メーカーから発売されている様々なGoProアクセサリーが使用できるメリットは大いにあり、撮影の方法やアングルに変化を与えてくれ、今まで撮れなかった映像を撮影することができます。

GoPro HERO9 Blackをバイクに装着する

 今回のGoPro HERO9 Blackの活用方法は、バイクツーリズムでの撮影です。バイクにGoProを装着することで走行シーンを簡単に撮影することができ、旅の思い出もより楽しむことができます。GoProでバイク走行動画を撮影するためには、まず本体をバイクに装着するマウントアダプターを用意します。各メーカーからいろいろな形状、価格で発売されています。

 撮影するときは、バイクに装着する方法とヘルメットに装着する方法の2パターンが考えられます。GoProを装着する場所はバイクによりますが、クランプで固定するタイプのアダプターであればいろいろな場所に装着する事が可能で、工夫次第で面白い映像や迫力ある映像を撮ることが可能です。

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 ヘルメットに装着する場合とバイクに直接装着する場合で、それぞれのメリットデメリットがあります。ヘルメットに装着すれば、顔を動かした方向にカメラを動かすことになり、自分の思った場所をすぐに撮影することが可能です。たとえば、停車時などに左側に向けば、すぐに走行しているヨコ側を撮影することができます。

 バイクのハンドル等にGoProを直接装着した場合は、基本的には一定方向のみの撮影になってしまいますが、ハンドルなどに装着した場合は安定した撮影をすることができます。もちろん、停車しているタイミングでカメラを違う方向に変更するのもネジ一つで簡単にできます。自分の撮影したいスタイル、イメージに合わせて装着するのがよいと思います。

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 バイクガードフレームなど下の方に装着した場合は、ローアングルで撮影が可能になり普段とはまったく違った視点での迫力ある映像を撮ることができます。

 GoPro HERO9でバイクツーリングを楽しむために、ハンドルマウントアダプター以外に下記のアイテムも用意しておく事をお勧めします。

・三脚兼自撮り棒・・・バイクを降りた後の観光などの撮影に便利
・予備バッテリー(必須)
・予備記録メディア

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本体の他にぜひ持っておきたいアクセサリー類
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三脚を使えば自身のライディングシーンも撮影できる

GoPro HERO9 Blackでバイク動画撮影

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シーンに合わせて最適なプリセットを簡単に選ぶことができる

 GoPro HERO9 Blackは、買ってすぐに使えるように各撮影モードにはプリセットが用意されています。写真またはビデオの撮影に最適なモードと設定を簡単に切り替えることができ、撮りたいショットを可能な限りシンプルに撮影できます。

 ビデオ撮影では4種のプリセットがあり、撮影用途に合わせてセレクトするだけで簡単に撮影することができます。もちろん、自分で細かな設定をして撮影する事もできるので、ビギナーからプロまで幅広いユーザーの使用に対応しています。

プリセット
解像度
フレーム レンズ 用途
標準
1080P
1920 x 1080
60P
広角
(16~34mm)
スマートフォンやテレビでのフルスクリーン再生に適した1080pビデオを撮影します
アクティビティ
2.7K
2704 x 1520
60P
SuperView
(16mm)
最高に臨場感あふれるアクティビティの映像を撮影できます
シネマティック
4K
3840 x 2160
60P
狭角
(27mm)
魚眼効果なしの高解像度、映画仕様の映像を撮影します
スローモーション
1080P
1920 x 1080
240P
広角
(16~34mm)
再生中に映像を標準速度の8倍まで減速できるビデオを録画します

 今回のバイクに装着して撮影する動画は、このプリセットから一番ピッタリな「アクティビティ」を使って撮影してみました。

 実際に動画撮影するにあたって、一番気になるポイントは“ブレ”ではないかと思います。筆者も当初バイクに装着して、まともな動画が録れるのか半信半疑でしたが、実際に撮影してみるとその不安は見事に裏切られました。ビックリするほどブレのない動画が録れて、思わず「おー!」と声が出てしまいました。とにかく「HyperSmooth3.0」機能は優れものです。

 実際にバイクのハンドルバーにGoPro HERO9 Blackを装着して舗装路、石畳の道路、未舗装路で撮影してみました。

【舗装路】

 路面のギャップで跳ねることはあれど非常にスムーズな映像が録れていると思います。カーブでバイクを傾けてもブレることは一切ありません。

【石畳】

 小刻みにバイクが揺れる石畳の上を走っても、GoProで録った映像は全くブレていませんね。

【未舗装路】

 ガタガタとバイクが揺れる未舗装路でも、大きな段差がなければ安定した映像が録れています。GoPro HERO9 Blackのブレ補正がいかに強力かが分かりますね。

 次にGoPro HERO9 Blackをバイクのサイドガード部分に装着して、ローアングルで撮影をしてみました。視点が地面に近くなり、かなり迫力ある映像を撮ることができます。今回使用したマウントはアダプターで挟める所があればいろいろな位置で撮影ができ、2個所のボールマウントで様々な角度や方向への調整ができる優れものです。ネットショップで2000円~5000円程度で購入できるのも魅力的です。

 ローアングルで撮影する場合は、飛び石などで破損しないか心配でしたが、今回は特に問題なく撮影する事ができました。未舗装路などでローアングル撮影する場合は、特にカメラの保護を考えないといけないかもしれません。

 カメラの方向を変えれば、走行中の自撮り撮影も可能。前面にも液晶画面があるので、撮影位置を固定するときも画角を確認しながら楽にセッティングができます。

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カメラを自分の方に向ければ走行中の自撮りも可能

 次の動画はタイムラプスメニューにある、「TimeWarp 3.0」で撮影したものになります。タイムラプスにも、ビデオメニューと同じ様にプリセットがあります。

プリセット 解像度 撮影間隔 レンズ 用途
TimeWarp 3.0
1080P
1920 x 1080
自動 広角 カメラを動かしながら撮影するタイムラプスビデオ
タイムラプス
1080P
1920 x 1080
0.5秒 広角 カメラを静止させて撮影するタイムラプスビデオ
ナイトラプス
1080P
1920 x 1080
自動 広角 薄暗いまたは暗い環境での撮影

 「TimeWarp 3.0」は、カメラを動かしながら撮影するタイムラプスビデオなので、バイクの走行動画にピッタリの機能です。早送り動画のような感じになり、ツーリング行程を圧縮して演出できますね。

 夜の高速道路をTimeWarp 3.0で設定を4Kにして撮影してみました。とても面白い感じの動画が撮ることができました。

アプリで簡単編集

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 GoProからは「Quik」というアプリが用意されています。このアプリを使って、GoPro HERO9 BlackとスマートフォンをWi-Fiで接続すれば、動画を取り込んだり編集加工をしたりすることができます。

 動画の長さを調整するトリミング、色の変化を付けるフィルター、速度を変化させる機能などがあります。アプリ上で使用したい動画や静止画を選択すれば、自動的にアプリがかっこいい動画を作成してくれます。できあがったデータをさらに編集することができるので、BGMを変えたり、アクションを変えたりしてスマホだけで素敵な動画を作ることができます。

「Quik」アプリを使用して作成した動画がこちらです。

まとめ

 実際にGoPro HERO9 Blackをバイクに装着して感じたことは、思っている以上にブレない走行動画を撮れること。とにかく最初はビックリしました。しかし、今回はいろいろな設定を変えながら撮影していたので、今まではあまり気付かなかった点も多く分かりました。今までは気にする事もなくデフォルト設定のフレームレート60Pを使用していましたが、これを30Pで撮影してしまうと、60Pでは滑らかに録れてた動画が、ブレブレの動画を量産することになってしまいます。デフォルトの60P設定はバイク走行撮影では必須です。2.7Kか4Kに関しては、ご自身の活用方法によって切り替えれば問題ないでしょう。実際に2.7K動画を4Kのテレビで見てみましたが、実用的には問題ありませんでした。

 今ではバイクを走らせるときには、必ずと言っていいほどGoPro HERO9 Blackを持ち出します。ぜひライダーには使って欲しいアイテムです。

■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

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