富士フイルム GFX100S レビュー|ポートレート撮影に最適なGFXといえばコレ!

浅岡省一

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はじめに

 FUJIFILM GFX100Sは、フルサイズの実に1.7倍となる大型センサーを搭載する、富士フイルムのラージフォーマットミラーレスカメラです。ラージフォーマットによる1億画素の緻密な解像感や豊かなダイナミックレンジなどの高画質性能のみならず、手ぶれ補正機能や位相差AFなどの高機能を併せ持ち、かつ小型軽量化も実現しています。

 今回は、GFX100Sをポートレート撮影に利用するとどれだけのメリットがあるのかを確認してみたいと思います。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF80mmF1.7 R WR
■撮影環境:f/1.7 1/8000秒 ISO200 露出補正-0.7
■フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

手ぶれ補正

 まずは何よりのメリットが手ぶれ補正機能を搭載している点です。1億画素もの高画素ということは、それだけ手ぶれ対策をシビアにしないと簡単に写真がぶれてしまいます。なんだか写真がはっきりしてないな…なんて時は、原寸大まで拡大して確認することをオススメします。わずかな手ぶれを起こしていて、それが写真のシャープネスや解像感に悪影響を与えていることが多いのです。

 特にポートレートでロケ撮影の場合は、あっちに動いてパシャパシャ、こっちに動いてパシャパシャ、ついでにポーズの指示を出したりストロボを撮りだしたりしてバシャパシャ、なんて具合に機動的に撮影することが多くなるため、必然的に手ぶれ対策が重要となってきます。ですから、手ぶれ補正機能が備わっているということは撮影において非常に有利になってきます。

 ちなみに、今回の撮影で使用した「GF80mmF1.7 R WR」のような明るいレンズを使えばシャッター速度を上げることができるので大丈夫…なのですが、明るいレンズは必然的に重くなるのでやはり手ぶれしやすくなったりするわけで、手ぶれ補正機能があるというのは一つの安心感にもつながるでしょう。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF80mmF1.7 R WR
■撮影環境:f/1.7 1/1100秒 ISO400 露出補正+0.7
■フィルムシミュレーション:ASTIA

高速な位相差AFや瞳AFなどのフォーカス機能強化

 そして、瞳に正確なピントを合わせることが求められるポートレートでは、フォーカス機能も一つのポイントになってきます。GFX100Sでは位相差AFが利用可能なため、非常に高速かつ正確にフォーカスを合わせることができるだけではなく、薄暗い室内や夕暮れ時など明るさに不安がある環境でもAFを合わせることができます。

 さらに、顔検出機能では、正面の顔の追従性が高まっただけではなく、横顔の補足も可能となっているので、スナップ的に撮影する場合でも一瞬の表情をとらえやすくなりました。

 フォーカス操作でもたついてしまうと、瞬間瞬間の表情を逃してしまうことになります。そんな時に「その表情のままで…!」と声をかけてしまうと、逆にその自然な表情を崩す恐れがあるため、AFが素早く正確なことに越したことはありません。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF80mmF1.7 R WR
■撮影環境:f/5.6 1/200秒 ISO400
■フィルムシミュレーション:ASTIA

新フィルムシミュレーション「ノスタルジックネガ」

 X-Pro3から搭載された、ノスタルジックな雰囲気が印象的な「クラシックネガ」という人気のフィルムシミュレーションがあります。クラシックネガは私も好きでよく活用していますが、一つだけ欠点がありまして、明瞭度が高まるため風景や男性ポートレートにはマッチするのですが、アップ目の女性ポートレートだとの肌が荒れて見えてしまうことがあるのです。

 ところが!!今回新たに搭載された「ノスタルジックネガ」というフィルムシミュレーションが反則級の仕上がりでした。特に私のように風景を大きく入れてポートレートを撮るのが好きな人間にはピッタリ。

 明瞭度は上がらないので女性ポートレートでもバシバシ使っていける…どころか、あまりにも良すぎて、気が付いたら全部ノスタルジックネガで撮ってた!と、慌ててフィルムシミュレーションの設定を変更する、ぐらいのレベルでした。まあ、RAWで撮っておけばあとからカメラ内現像などでフィルムシミュレーションも変更できるので大丈夫なのですが…笑。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF80mmF1.7 R WR
■撮影環境:f/1.7 1/500秒 ISO100
■フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF80mmF1.7 R WR
■撮影環境:f/5.6 1/125秒 ISO100
■フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

小型軽量ボディによる機動力の強化

 GFX100Sは本体重量わずか約900g。先代モデルと比較すると1億画素がこんなに小さくなったのかと驚かざるを得ません。先代のGFX100はボディサイズが大きく、いかにも1億画素というボディで、それはそれで説得力があったのですが、このGFX100SはGFX50Sと同等のサイズ感。

 とはいえ大型のボディであることには変わりがないのですが、このサイズになってくれれば、カメラバッグの出し入れもスムーズになりますし、なによりもカメラバッグ内で変則的に場所を取ることもありません。

 この「変則的」に場所を取るというのが少し厄介でして、カメラバッグの内部構造というものはある程度フォーマットされた形状のため、そのフォーマットに収まる形状であればその大小を吸収してくれるものの、そのフォーマットから大きく外れた形状や大きさであると、途端に無駄なスペースが生まれたり、うまく入らなかったりするのです。例えるなら、テトリスでいきなり巨大な平行四辺形が降ってくるようなものです(笑)。

 ところがこのGFX100Sなら、大型カメラに分類されはしますが、カメラバッグのフォーマットを大きく崩すことはないので、パッキングで悩んだりすることは少なくなりますし、出し入れもスムーズになります。

 いちいち撮影が終わる度に、モデルさんに「ちょっと待ってください…!」なんて声をかけて焦りながらカメラバッグの整理を始める…なんてことがなくなります。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF80mmF1.7 R WR
■撮影環境:f/2.8 1/280秒 ISO100
■フィルムシミュレーション:クラシックネガ

現状GFXでポートレートにベストマッチの機種

 というわけで駆け足でしたが、GFX100Sがいかにポートレートにマッチしたラージフォーマットカメラであるかを解説しました。もちろん、そもそもGFXはラージフォーマットなので諧調が豊か、とか、センサーが大きいので美しいボケを表現できたり、肌や髪の毛なども繊細に表現できる、富士フイルムのカメラなので色がいい、といったメリットの他に、大きいカメラなので写真が上手そうに見える(笑)など、さまざまなメリットがあります。

 もしご興味がある場合は、カメラのキタムラの店舗などでぜひ一度お手に取ってみてはいかがでしょうか。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF80mmF1.7 R WR
■撮影環境:f/1.7 1/16000秒 ISO200 露出補正-0.7
■フィルムシミュレーション:ASTIA

■写真家:浅岡省一
1973年東京都生まれ、中央大学大学院法学研究科修士課程修了。人物や商品等の広告撮影を得意とする傍ら夕景/夜景/雨景とモデルを絡めた作品を撮る。独特の光と空気感を表現する写真は多くのファンを魅了する。

「GFX100S」はこちらの記事でも紹介されています

富士フイルム GFX100Sレビュー|ポートレートで見せるラージフォーマットの世界
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https://www.kitamura.jp/shasha/article/482383261/

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ライター:ShaSha編集部
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