キヤノン RF85mm F1.4 L VCMレビュー|軽量でAFが優秀なレンズ
はじめに
こんにちは。杉本です。今回はRF85mm F1.4 L VCMのレビューです。
VCMはCanonの新しいレンズシリーズで現在は20mm、24mm、35mm、50mm、85mmと合計5本発売されています。全てのレンズが開放F1.4で、かつレンズの外径が同一に揃えられています。動画撮影の際などに便利なスペックですね。フィルター径も同一に揃えられているので、フィルターの付け替えでコストが抑えられる点など、シリーズで複数本揃えた際にもメリットがあります。スペックの割には軽量で撮影が楽なのも特徴です。なお今回の撮影で使用したボディはEOS R6 Mark IIです。
VCMシリーズについては、以前に書いたRF35mm F1.4 L VCMの記事中に詳細を書いたのでそちらも合わせてご確認ください。
重さとサイズ感
フィルター径は67mmで重量は約636gです。最短撮影距離は0.75mです。
VCMの前に発売されたRF85mm F1.2 L USMが約1,195gですから重量でいうと半分近い数字になっています。実際に使い比べてみると、RF85mm F1.2はレンズに重心がある印象でしたが、VCMではボディ側に重心がある印象で撮影時の取り回しは格段に向上したように思います。
僕自身は最近の撮影ではそれなりの重さを持ったまま過ごすことも多いので、それはそれで諦めている部分もあったのですが、今回RF85mm F1.4 L VCMを購入しだいぶ楽になりました。大口径レンズや明るいレンズはどうしても伴った重さを抱えているものですが、このレンズは性能の割には軽いなと感じるシーンが多くおすすめです。
AFがとにかく高速

■撮影環境:1/160 F5.6 ISO100
AFは非常に速いです。ライブ中のアーティストでもバンバン合うのですが、ここで写真を使うのは難しいので鯉の写真を撮って見ました。水面の反射などに惑わされることなくAFでしっかり合わせてくれます。ポートレートのように被写体が明確なシーンではその性能はさらに顕著で、瞳AFと合わせて撮影をサポートしてくれます。このAFのおかげでとても扱いやすくストレスフリーに撮影可能です。
35mmでAFが速いのはなんとなくイメージしやすいのですが、いわゆる中望遠域でこのAF感は近代機材の著しい進化を感じます。初めてこのレンズを使用した時は、「嘘だろ、この速度であってるわけないよ。」と思いました。即座に撮影画像を拡大したのですが、バッチリあっていて少し大きい声が出ました。それくらい速いです。
圧倒的な解像感

上の写真のピント部を拡大したものです。先ほど拡大してびっくりした話をしましたが、AFがあっていることの他にこの解像感にびっくりしました。
EOS R6 Mark IIは有効画素数が約2400万画素です。困ることはないものの、現代のカメラ群の中において決して高画素機に含まれる画素数ではありません。新しいEOS R6 Mark IIIを初めR5系統ももっと画素数は高いですから、Canonのフルサイズ機においては高画素ポジションでないことは周知の事実でしょう。
ですが、このカメラでもこの解像感です。非常に繊細でポートレートにおいては肌レタッチが非常に楽です。後半でポートレートの作例も載せますが、インターネットの宿命でオリジナルのサイズで載せることが難しいです。ぜひどこかで体感してみてほしい解像感になっています。
テンポよく撮影可能

■撮影環境:1/1000 F1.4 ISO100
高速のAFと軽さがもたらす最大のメリットは撮影のテンポの良さです。
瞬発的に構図を決めて撮影してもピントがほとんどあっているので、確認にさく時間を短縮可能でその分撮影に集中できます。10年くらい前から中望遠レンズを使用していますが、昔は数枚撮るごとにしっかり確認しないとピントの精度が維持できませんでした。
今はもちろん、一応確認はするのですがボディ側のEVFの解像感と操作性の向上なども相まって、レンズのポテンシャルをフルに引き出してテンポとピントの両方にアプローチ可能です。これらの進化やメリットを明確に数字で表現するのは難しいのですが、感動に値するレベルで僕は使用後にすぐ購入を決意しました。
ボケについて

■撮影環境:1/1250 F1.4 ISO100
いくら軽くてもAFが速くてもボケが悪かったら頼れるレンズにはなり得ないと思うのですが、このレンズはボケが非常に美しいです。個人的にボケが綺麗ではないレンズがあるというよりは、自分の感覚にマッチするかどうかの問題だと考えています。友達に勧められたけど使ってみたら自分には合わなかったとか、そういうこともある世界だと思っていますので最終的には自分で使ってみないとわからない部分はあると思うのですが、それにしてもこのレンズはナチュラルでかつしっかりと無理なくボケてくれるのでその点では非常に頼りにできます。
先ほどの寄りの一枚では背景がしっかりボケています。一方でこちらの引きの写真では、被写体を小さく写しても手前や背景が無理なく輪郭が残るように優しくボケてくれるので寄っても引いても使いやすい性能になっています。
線が綺麗

■撮影環境:1/160 F8.0 ISO100
この写真がわかりやすかったので地味ながらこの写真を使用しますが、絞った時は特に線が細くて写りが抜群にいいです。おそらく高画素機であればもっと繊細に写ると思うのですが、この線の細い感じは個人的にものすごく大切なポイントです。この線の細さや繊細さがポートレートでも非常に活躍してくれて印象的にも高品質なイメージにしてくれます。
実際に撮影した写真をEVFで拡大したりすると意味がわかると思うのですが、ここまで綺麗だと編集の時にも色や物質の境目が目立たずデータとしてもとても扱いやすいです。

■撮影環境:1/400 F5.0 ISO100
引いて少し絞った例ですが、手前の看板類がボケつつも変な滲みにならず繊細な印象です。境目がぼんやり滲んだりしないので、レタッチや現像で色やコントラストを整えた時にも悪さをせず自由なアプローチの一助になってくれると思います。ぼかす量で表情が変わるレンズなので思いっきりぼかすのか、優しいボケ味にするのかを調整するのも面白いと思います。
競合レンズや選択肢

■撮影環境:1/320 F1.4 ISO100
冒頭にも述べましたが、VCMシリーズの前にRFレンズには85mm F1.2というレンズが存在します。重さも価格も倍近いですが、開放値がF1.2というとんでもない明るさのレンズです。個人的にはF1.4あれば困ることはない上、動画性能も高いのでこちらのレンズをおすすめしますが、どうしてもF1.2のボケがほしいとなればそちらも選択肢に入ってくると思います。
ただし、重量やサイズの差は大きいので実際に手にとってみてから判断した方がいいと思います。また、VCMには50mmもありますから、取り回しの良さで50mmの方が万能感があると感じる方もいると思います。参考になるかわからないですが、僕はVCMの35mmと85mmを購入しました。50mmはEF50mm F1.2にマウントアダプターをつけて使用しています。
もしくはEOS 5D Mark IVにEFレンズを付けて、ミラーレスにはVCMのどちらかみたいな運用をしています。シリーズを通してレンズが豊富であることと、EFレンズやその他のRFレンズを含めると非常に広い選択肢が用意されています。よく使う焦点距離を最新のレンズに置き換えるのか、足りないところを補うのかなど考えている時間は楽しいと思いますのでそこも含めて悩んでいただけたらと思います。
次回はEF50mm F1.2L USMのレビューです。ではまたお会いしましょう。
■写真家:杉本優也
東京都生まれ東京都在住。妻を撮影し続けている活動がテレビメディアに特集されたことを機に、フォトグラファーとしてのキャリアをスタートさせる。ライブ撮影やメーカーへの作例提供、機材レビューなどの活動をしている。












