キヤノン EOS R7で鉄道を撮る!|村上悠太

村上悠太
キヤノン EOS R7で鉄道を撮る!|村上悠太

 

はじめに

 キヤノンから新発売された、注目の新機種である「EOS R7」。被写体になかなか近寄れないことから、必然的に望遠レンズを多用する鉄道写真などのジャンルでは非常に大きなメリットを持つ、EOS Rシリーズで初めて「APS-Cセンサー」を搭載した待望のカメラです。僕自身、これまで、EOS REOS RPEOS R5EOS R6と各機種を使ってきましたが、やっぱり「APS-Cセンサー機、ほしいなぁ」と心待ちにしていた1台でした。今回も本音でEOS R7の使用感をレポートしていきたいと思います!!

 

ファーストインパクトは「小さい!」

 乗り物を撮影するキヤノンユーザーにとって「7」という数字から想像するのは、2014年に発売されたEOS 7D Mark IIではないでしょうか。EOS R7同様にAPC-Cセンサーを積んだEOS 7D Mark IIは、高性能なAFと最高秒間約10コマ連写で鉄道はもちろん、飛行機やスポーツ、野鳥など、あらゆる分野のユーザーに愛された一台です。僕もかなり愛用しましたし、思い出深いEOSの一つです。
 
 そんな「7」だからこそ、必然的に期待は高まります。ですが、初めてEOS R7と対面した時の感想は、正直「えぇ!」という驚きの声が飛び出しました。さらに実際に手に取ってさらに「えぇ!」ともう一声。そうです、とにかく小さくて軽い!!これが僕のEOS R7のファーストインパクトでした。正直にいうと、どこかEOS 7D Mark IIの強固なイメージを持っていた僕にとっては「ちょっと頼りない??」そんな感覚すら覚えました。

 一方でミラーレスカメラの特徴は小型軽量化がしやすい点なので、この進化は正しい進化ともいえます。重くてしっかりとした機材は頼りにもなりますが、ハンドリングにはある程度の体力が必要ですし、携行性を考えると小型軽量な機材はやはり助かります。最近は常にカメラを持ち歩くスタイルで撮影していることもあり、携行性を重視したカメラ選びをすることも多くなってきました。

 

まずは使ってみた「吸い付くようなAFトラッキング」

 「小さいし、頼りなさそう」という、ちょっと不安を感じるEOS R7との出会いでしたが、何はともあれまずは使ってみないことにはその真価はわかりません。ということでさっそく現場で試してみることにしました!
 
 車両をアップにして撮影する「編成写真」は、鉄道写真の中でも連写性能やAF性能など、カメラの基本的な性能を確かめる上で最適な撮影ジャンル。今回はEOS R7のメカシャッター時の最高連写速度である秒間約15コマ連写に設定し、AFエリアは「スポット1点AF」に設定。さらに動く被写体の色情報などを元に、カメラがピントを追従してくれるサーボAFとトラッキングAFを組み合わせて撮影しています。EOS R7のAFメカニズムはEOS R3の操作系が採用されていて、その精度もEOS R3ゆずり。これまでのEOS RシリーズでもAFの追従性はかなり高いものがありましたが、EOS R7はさらにワンランク上、そんな感覚があります。特にAFフレームの追従性能の進化は感動すら覚えます。

 一度、被写体情報を覚え込ませれば、その箇所をひたすらに、かつ迷いなく追従してくれるこの精度は、このコンパクトなボディからはにわかに想像し難い精度です。

■撮影機材:キヤノン EOS R7 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:1/1000秒 F9.0 ISO500 焦点距離238mm

▼高速連写でのトラッキング枠

 連写中のAFトラッキング状況(赤フチ)を後で確認すると、大きな動きはなく、あまり変化がないように見えます。ただこれこそが「進化」で、過去の機種では追従エリアが少し大きめに動いていたり、エリア自体が追従中に広くなったり狭くなったりするようなシチュエーションがありました。EOS R7はまさに被写体にぴたっと「吸い付く!」そんな印象です。

 

メカシャッターで最高秒間約15コマ連写の高速連写を試してみた!

 続いて試したのは連写性能。EOS R7ではメカシャッターでも最高秒間約15コマを達成。電子シャッターを使用すれば、なんと秒間約30コマという驚きの連写速度を実現しています。あらゆるシチュエーションで安定した使用ができるのがメカシャッターの特徴ですが、実はあのEOS R3よりもメカシャッター時の連写速度については、秒間約3コマも速くなっています!
 
 こちらのカットを撮影しに訪れたのはJR西日本の伯備線。この路線は全国的にも希少な存在である国鉄形特急車両「381系」が今でも活躍しているほか、国内では唯一の定期寝台特急列車となった、東京駅と出雲市駅を結ぶ「サンライズ出雲」が走行しています。早朝、東京から夜を越えて走ってきた「サンライズ出雲」が姿を現しました。この日は曇りで山間の早朝ということもあり、やや露出はシビア。ISO1600に設定し、撮影しています。APS-Cセンサーを搭載したカメラはフルサイズセンサー機に比べて、物理的に高感度性能が劣る傾向がありますが、EOS R7は高感度時の画質もしっかりとした解像感があり、ISO1600程度では全くリスクは感じません。むしろ、動体ブレを防ぐことができる高速シャッターをしっかりと確保できるので、さまざまなシーンで確かな描写力を見せてくれる印象です。

 そして、気になる最高速度での連写ですが、秒間約15コマ連写クラスになってくると、本当に「欲しい!」瞬間をほぼ確実に残してくれる心強さがあります。AF性能同様、こんなコンパクトな「EOS R7」からは想像しがたいパワフルな性能です!

■撮影機材:キヤノン EOS R7 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:1/1000秒 F4.5 ISO1600 焦点距離128mm

▼高速連写でのカット

 

世界最高レベルの8.0段の手ブレ補正効果

 EOS R5、R6から搭載されたボディ内手ブレ補正機構はEOS R7でも、もちろん搭載。レンズとの組み合わせによって最大補正量は変わりますが、最大8.0段分もの手ブレ補正効果が得られます。さらにフルサイズセンサーより一回りコンパクトなAPS-Cセンサーのメリットとして、ロール方向の可動範囲も大きく、回転方向のブレ補正も強化されています。

 そんな強力な手ブレ補正機能を使って、東京を目指す夜の「サンライズ出雲」を撮影してみました。21時過ぎのJR伯備線 新見駅をひっそりと出発する、寝台特急。そんな静かな雰囲気をスローシャッターで列車をあえてブラして表現してみました。1/10秒というとかなり手ブレが怖いシャッタースピードですが、手持ち撮影でもEOS R7は強力に手ブレを抑制してくれ、シャープな画を残してくれました。

■撮影機材:キヤノン EOS R7 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:1/10秒 F5.0 ISO640 焦点距離14mm

 

軽いEOS R7で楽しいトレイントレッキングへ!

 富山県黒部の秘境を行くトロッコ電車が有名な「黒部峡谷鉄道」。季節ごとの絶景が楽しめる、大人気の観光鉄道です。実は僕、お恥ずかしながら行ったことがなく、今年の夏にやっと念願の初訪問を叶えることができました。感想は・・・もう最高!窓のないトロッコ電車は今のシーズンにはたまらない開放感があります。トンネルに入れば空気もひんやり。フレッシュな山の空気をまさに全身で体験することができる素敵な路線でした。

 黒部峡谷鉄道は宇奈月駅周辺を除いて一般道がなく、トロッコ電車に乗って移動し、各駅からは徒歩で散策を楽しむのが「黒部峡谷スタイル」。各駅は峡谷の中にあるため、多少のアップダウンもあることから、機材は可能な限り軽い方が絶対おすすめ!ということでEOS R7と同時に発表になった新レンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」の軽量コンビで沿線を周ってきました。新たにAPS-Cセンサーカメラ向けにラインナップされたRF-Sレンズは、フルサイズ対応のRFレンズに比べてひとまわりコンパクトなのに、描写力は本格派と万能なレンズ!このレンズは35mmフルサイズ換算にすると約29mm~240mm相当となり、これ一本でもどんなシチュエーションにも対応できます。

 この写真は黒薙駅のホームから撮影した一枚です。あまりの谷の深さに後ずさりした、ということから「後曳橋」という名称がつけられた鉄橋を渡るトロッコ電車を撮影しました。

■撮影機材:キヤノン EOS R7 + RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM
■撮影環境:1/800秒 F9.0 ISO400 焦点距離31mm

 今度は黒薙駅からさらに山奥の鐘釣駅で降りて、駅からしばし散歩。駅のすぐそばには夏季でも融けない「万年雪」や15分ほど歩くと温泉が湧く河原があり、とても楽しいエリア。こうした散策時にも小さくて軽いカメラは強い味方です。
 
 散策路を歩いていると、ちょうどトロッコ電車が走ってきたので撮影してみました。EOS R7の画素数は約3250万画素となかなかの高画素。連写性能に重きを置いた機動力重視のカメラだと、画素数がやや抑えられているものもありますが、EOS R7なら緻密な描写が求められる風景重視の撮影も大得意。動きモノ+風景の二つが合わさる鉄道写真では、見逃せないスペックです。さらにこの時は手前にあった電柱が少々気になったので、バリアングルモニターを使って腕を伸ばし、ちょっとだけアングルを高くして撮影しています。

■撮影機材:キヤノン EOS R7 + RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM
■撮影環境:1/50秒 F14 ISO250 焦点距離18mm

 こちらは移動中の車内から。車内、といってもトロッコ電車には壁がないので開放感バツグン!目まぐるしく変わる絶景とさわやかな峡谷の風は、身体中をリフレッシュさせてくれます。この一枚も単純に座ったアングルで撮影するとやや単調だったので、バリアングルモニターを使ってカメラを座席面までぐっと下げて、目線の先の岩壁がより引き立つように撮影してみました。

■撮影機材:キヤノン EOS R7 + RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM
■撮影環境:1/1250秒 F6.3 ISO800 焦点距離18mm

 こちらの一枚は僕の地元を走る「東京さくらトラム」。この路線も黒部峡谷鉄道のように、各駅から徒歩で撮影を探したほうがより撮影を楽しめる路線です。焦点距離が約1.6倍になるEOS R7で広角撮影をする場合は、より広角域に強いレンズを1本プラスするのがおすすめです。今回使用した「RF14-35mm F4 L IS USM」は14mmスタートの超広角ズーム。開放F値がF4のズームなのでEOS R7のコンパクトボディにもよくマッチします。少しオーバー目に撮影し、軽やかな写真に仕上げ、真夏の都心風景ながら木陰の涼しさのようなものを表現してみました。これも木々の間に列車が的確に入るように、バリアングルモニターでアングルを調節しています。

■撮影機材:キヤノン EOS R7 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:1/1600秒 F4 ISO1000 焦点距離14mm

 

ちょっと面白便利な機能を使ってみた!

 最後のカットは群馬県上信電鉄南蛇井駅のスナップです。この駅名、難読かつユニークな読み方をすることでも、ファンの中ではちょっと有名。ご存じでない方はぜひ調べて、声に出して読んでみてくださいね(笑)。
 
 さて、こうしたスナップシーンで水平をきちんと維持しようとするとちょっと大変です。水準器をファインダー内に表示していても、どうしてもシャッターチャンス間際には被写体に集中してしまうため、仕上がった写真が微妙に傾いてしまうことがよくあります。そこで便利なのがEOS R7で初搭載された「自動水平補正」機能。これはボディ内手ブレ補正機能を応用活用した機能で、撮影時に撮像素子を動かすことによって水平をカメラが自動的に補正してくれる優れもの!撮影後の画像処理で水平を出すのではないため、トリミングもされないのでギリギリにフレーミングしたものも、カットせずに水平がきちんととれた写真を撮影することができます。メカシャッターと電子先幕シャッター設定時は連写速度に制約がありますが、電子シャッターであれば秒間約30コマ連写のまま使用可能です。

■撮影機材:キヤノン EOS R7 + RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM
■撮影環境:1/400秒 F7.1 ISO200 焦点距離50mm

 

まとめ

 小型軽量ながら、その外見からは想像つかない本格的な機能が詰まったEOS R7。そして性能と比較してお値段がお求めやすいのも見逃せないポイントです。鉄道や乗り物撮影をする上では、かなり頼もしい素敵な相棒が登場しました。

 

■写真家:村上悠太
1987年東京都生まれ。鉄道発祥の地、新橋でJR発足年に生まれた。日本大学芸術学部写真学科卒業。「ひとと鉄道、そして生活」をテーマに制作活動を行う。鉄道旅を通して日台観光促進、相互交流にも携わり、2019年台湾観光貢献賞(台湾政府 観光局)を受賞。高校時代には、毎夏北海道東川町で開催されている「写真甲子園」に出場し、2019年開催大会では出場者で初めて審査委員を務める。
主な個展に、鉄道写真+動画展「てつ動展」(EIZOガレリア銀座 2015年)、「つなぐ旅」(キヤノンオープンギャラリー 2016年)、「つなぐ旅-その、日々へ-」(キヤノンギャラリー銀座・大阪 2020年)。

・キヤノンEOS学園東京校 講師
・日本大学芸術学部写真学科 非常勤講師
・日本鉄道写真作家協会 理事

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