キヤノン EF35mm F1.4L II USMレビュー|RFマウントのミラーレスカメラでEFレンズを楽しもう!
はじめに
こんにちは。杉本です。
前回RF35mm F1.4 L VCMのレビューをしましたが、今回はEF35mm F1.4L II USMのレビューです。キヤノンは現在、ミラーレス機を中心にラインナップを増やしていますのでEFレンズに関しては新しいレンズの発表はないものの、長らく一線で活躍してきたレンズ達は古びることはなく中古市場でも人気の機材となっています。
マウントアダプターを使用すればRFマウントでも使用ができるので、ボディはミラーレス機、レンズはEFレンズという組み合わせはよく見ますし、僕自身もそのシステムで使用しているレンズがあります。今回のレンズもEOS R6 Mark IIにマウントアダプターを付けて撮影しています。
基本性能

例に漏れず基本性能から説明します。
発売が2015年ですから、もう10年も前のレンズのようです。びっくりしました。時が経つのは早いですね。本体が約760g、前回レビューしたRF35mm F1.4 L VCMが約555gですから、200gほどEFマウントの方が重くなっています。ミラーレス機の場合はここにアダプターも追加されますので、重さも長さもそれなりになります。そもそもF1.4というのは大口径レンズですから、重くても写りの良さと開放値の魅力で許容できてしまうかなという感じです。当時のキヤノンとしては最先端の技術を余すことなく投入したレンズで話題になりました。
公式HPには
「BRレンズを初めて採用し、大口径レンズに発生しやすい色のにじみ(色収差)を大幅に低減し、撮影画面の中心から周辺まで優れた描写性能を実現」と記載があります。
※キヤノン独自開発の「BRレンズ」(Blue Spectrum Refractive Optics)。青色(短い波長域)の光を大きく屈折させる特長を持ち、さらに高い水準での色収差補正を実現。
実際に撮ってみるとかなり綺麗でした。細かい点は後々書いていきますが、高水準で開発されたレンズであることは間違いありません。
また、レンズ名称からもわかる通り、開放F値が1.4です。フィルター径は72mm、最短撮影距離が0.28mとなっています。近寄って撮れる点でも使いやすいレンズになっています。
最短のボケ味

撮影設定的にISOは100でも良かった気がしますが、直前の設定のままになっています。
ほぼ最短ですがとろけるようなボケです。エッジは綺麗な切れ味で立体感がありますね。
最短の0.28m近くまで寄ると35mmでもかなりボケます。少し離れるとかなり変わりますが、最短近くでは多少絞っても強めのボケになります。距離とF値の設定により色々な表情を見せてくれるレンズです。

引いて撮った写真です。引いているので極端なボケではないですが、やはり立体感は残りますね。僕はある程度距離を取って開放で撮るのが好きなのでこの写りは嬉しいです。
また画面中心に光源があり、周辺は光量が落ちるのですが、それでも極端な周辺減光はありません。トンネル効果のように周辺減光してしまうと開放が使いづらく、対策のために絞るかとなりますが、このレンズではそのあたりに神経質にならず撮影できました。
RFの方も周辺減光はかなり控えめでしたが、10年前のレンズでもこの辺りはこだわって開発、制作されている印象です。
小さい画面では少々わかりにくいかもしれませんが、これほど離れても波のところはちゃんとボケています。F1.4という数字の凄さを感じます。
解像感

絞った時の解像感はかなり良いです。開放同様、絞った時の印象は大切です。

写真の一部を拡大したものです。線も綺麗ですし、金属の質感もよく残っています。ただ、RF35mm F1.4 L VCMと比べるとRFの方が解像度は高いと感じました。かなり拡大した時に感じる程度の差ですが風景写真など、よく見えることが重要なケースではやはり最新レンズの方がマッチすると思います。
RF35mm F1.4 L VCMは待望の最新レンズの一つですから、10年前のレンズが性能面で競うのは難しいとは思うのですが、一方でEF35mm F1.4L II USMは現代の最新レンズほど写りすぎないので優しい印象にしたりする上では非常に活躍すると思います。また、RF35mm F1.4 L VCMがあまりにもキレのいいレンズなので比べると昔のレンズに感じますが、EF35mm F1.4L II USMも相当に高い次元でまとまっていることは間違いありません。価格でこちらを選択して残った予算で他のレンズを買うという運用も視野に入ると思います。レンズ数もバリエーションも豊富なメーカーなので楽しく悩むことができると思います。
AF性能

35mmは50mmと双璧をなす標準レンズの代表格だと考えています。
広く撮ることもできますし、意図的に狭く撮ることも可能です。
非常に多用する焦点距離なので、AF性能はとても大切になってくると思います。
AFに関してはマウントアダプターを使用しても、非常に高速でほとんど外しませんでした。ストレスなく撮影できました。当時EOS 6Dでこのレンズを使用した時にはここまで合わなかった記憶があるので、おそらくボディ側の性能の進化の恩恵でしょう。正直なところ、撮影していて古さを感じるシーンは全くなかったです。ここまでボディの性能が上がってくるとEFレンズは改めて評価の対象になってくるのではないでしょうか。
余談ですが参考までに。EOS 6DはAF点自体が少なかったので比べるのは少し残酷な気もしますが、僕が最初に手にしたフルサイズ機で長く使用していたので苦労の記憶もよく覚えています。ご容赦ください。5D系で使用していた方はまた違う印象をお持ちかもしれません。
バリアングルで新しい角度から撮れる

R6 Mark IIは背面液晶が動かせるので両手を伸ばして撮影してもフレーミングが調整できます。当時のEFマウントのレフ機ではできなかった撮り方ですが、AF性能の向上や背面液晶のタッチ操作などの機能と相まって、非常に自由度の高い撮影が可能になっています。
当時から品質にこだわり開発されたレンズたちがボディの進化を受けて改めて可能性を拡張しているのは、当時の開発者たちが妥協しなかったことの証左です。
この日は写真からも想像していただけると思いますが、本当に眩しくて掲げたカメラの背面液晶もそんなにちゃんとは見えていません。でも指で妻の写っている部分を押したら撮ってくれたのでなんとかなりました。しかもここまで小さく写していてもあっているので思いついたことはどんどん試して行くべきだと思います。カメラもレンズも答えてくれるだけの性能を備えています。
最新レンズには及ばないものの非常に高水準

RFの同性能のものと比べると少し重い、拡大して細かい点で見比べると最新レンズの方が解像感が高いなどもちろん差はあるのですが、パッと見比べてすぐに感じるような差ではないです。むしろ価格と重量の部分で選択になるのではないでしょうか。
個人的にはRFマウントの方がアダプターが不要な分、カメラバッグにしまうときに長さが短い点で優位だなと思いました。重さよりも体積的な存在感の方が目立った感じです。
また基本的に車移動だったり、使わない時にカメラバッグにしまう方は良いと思うのですが、常時ストラップなどで持ち歩くにはやはり重さが目立ちます。僕はライブの撮影などの仕事で何時間もカメラを数台ぶら下げて使い分けている時が多いので慣れていますが、散歩感覚で持ち歩くにはやはり少し大きさと重さで不利かなーと感じました。
まだまだ現役のレンズ

最近EFマウントのレンズをマウントアダプターを介してRFマウントのボディで使用する機械が多いのですが、どのレンズも非常に魅力的な写りをします。先述した通り、当時の開発から妥協なく行われてきたはずで、その結果ボディやセンサーの進化の恩恵を受けるだけの土壌が残っていたような印象を受けます。EF35mm F1.4L II USMも例外ではなく、高速で合わせてくれるAFや線の綺麗さ、立体感はさすがです。また、EVFが非常に見やすいために現地でも細かいピントチェックが容易で、大口径レンズにありがちなピントのミスは撲滅が可能です。35mmと50mmはF1.4を持っておく価値が非常に高い焦点距離だと思います。
EOSユーザーのみなさん、今一度EFレンズを手に取ってみてはいかがでしょうか。
■写真家:杉本優也
東京都生まれ東京都在住。妻を撮影し続けている活動がテレビメディアに特集されたことを機に、フォトグラファーとしてのキャリアをスタートさせる。ライブ撮影やメーカーへの作例提供、機材レビューなどの活動をしている。













