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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2011.05.13【Vol.011】

インスタント写真の話

撮影した直後に写真が確認できるということは、今となっては、デジタルカメラがあるので当たり前になりました。ただ、デジタルカメラも、初めの頃の製品は背面液晶モニターがなかったりと、当然今ほど普及しておらず、呼び方もデジタルカメラとは言わずに、電子カメラと呼んだりしていました。

そんなフィルム写真が全盛の頃、撮影後すぐに写真を確認する方法として、インスタント写真がありました。1947年にアメリカのランド博士が発表したインスタントカメラとそのフィルムが始まりで、ポラロイドの名前で知る人も多いでしょう。

初めは大変高価で、現像作業も慣れが必要でしたが、その後、シャッターをきるだけで撮影、現像を同時で行う製品が出現したことで、一気に普及していきます。今のデジタルカメラと似ているところがあり、初めは大変高価で、操作もフロッピーディスクに記録したり、時間がかかったりとなかなか一般的な製品がありませんでしたが、コンパクトデジタルカメラが出来てからは、写真愛好家以外にも一気に受け入れられていきました。

そして、インスタント写真が一般に普及されていくと同時に、医療現場やプロの撮影現場でも必要不可欠になり、特に広告写真の分野では、本番撮影前に露出の確認を行ったり、ホワイトバランスの確認に使われていきます。フィルムのサイズも中判から4x5 8x10サイズなどの大きなフィルムが生産されていました。一枚あたり2000円ぐらいもするフィルムをテスト撮影のためだけに使っていたことを考えるとなんとも贅沢な話ですね。

しかし、デジタルカメラがここまで普及してしまうと、プロの撮影現場においては、手間やコストの面から次第にインスタント写真での撮影が少なくなってくるのも事実です。当然フィルムの種類も少なくなり、現在ではポラロイドブランドでのフィルムはなくなってしまいました。

とはいえ、インスタント写真は今でも熱心な愛好家に支えられて、活躍の場があります。その独特の色合いや、チープな感じなど、トイカメラとともに若い世代にファンが多いようです。また、デジタルカメラはメモリーに記録するだけでプリントはその場で得られませんが、インスタントの場合、フィルム自体がその場で写真になるということも一つの魅力なのかもしれません。