進化と表現の幅が広がるタムロン 16-30mm F/2.8 Di III VXD G2

岩本あきら
進化と表現の幅が広がるタムロン 16-30mm F/2.8 Di III VXD G2

はじめに

今回は、私がおすすめする広角ズームレンズを紹介していきたいと思います。それは、タムロンから発売されている「TAMRON 16-30mm F/2.8 Di III VXD G2」になります。発売前に先行で使わせていただき「これは買いだ!」と思って購入を決めていました。広角ズームは各社純正のレンズもありますが、私がなぜタムロンを選んだのかも含めて紹介していきます!

二世代目(G2)となった進化ポイント

まずは、単純に焦点距離のズーム域が広がりました。初代は17-28mmだったものに対して、今回の二世代目は16-30mmとズーム倍率が拡大。重さも初代とほぼ変わらず軽量、コンパクトに仕上げられています。

また、AF駆動のモーターもステッピングモーター(RXD)からリニアモーター(VXD)に変更され、Zマウント版については純正をも凌ぐAF速度を実現しています。それによって使いやすさも向上し、デザインも最新のものにアップデートされました。

購入の決め手となった理由

私のメインの撮影は動画。写真と動画の撮影比率は写真1:動画9といった形になります。その為、レンズ選びは動画撮影のしやすさに重点をおいています。特に私の場合は、ジンバルを使った撮影も多く、その視点から選んでいます。

焦点距離

■撮影機材:Nikon ZR + TAMRON 16-30mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影設定:F6.3 1/800秒 ISO125 16mm
■撮影機材:Nikon ZR + TAMRON 16-30mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影設定:F13 1/500秒 ISO250 30mm

焦点距離の幅が広がった事により、表現の幅が広がります。広角単焦点レンズももちろん良いですが、画角のバラエティーを考えるとズーム幅があるのはとても便利です。「もう少し寄りたい」「もう少し広く撮りたい」がその場で出来て、撮り方のアイデアも生まれます。

16mmジンバル撮影(動画からの切り抜き)

また、超広角の16mmスタートになった事で、ジンバル撮影でのスピード感が得られるのも大きなポイントでした!広角側が1mm違うだけで画角はグッと広くなりますね。

寄れる

▼最短撮影距離で撮影

広角端16mm
望遠端30mm

このレンズは広角ズームにも関わらずめちゃくちゃ寄れます。最短撮影距離は初代と変わらずの0.19mですが、1mm広がった広角端16mmで0.19m、望遠端30mmで0.3mなので、写真表現も広がりました。フードが被写体に触れるくらい寄れるので、ダイナミックな写真を撮ることが出来ますし、寄れることでボケの表現にもつながります。

インナーズーム

インナーズームなのでズームしても鏡筒が伸びない

広角レンズはインナーズームが主流になってきていますが、もちろんこのレンズもインナーズームです。ズームしても全長が変わらないのでジンバルにも最適ですし、レンズが伸びないのでどこかにぶつける可能性も減るかと思います。

コスパの良さ

やっぱり価格も重要ですよね?物価高騰の中、比較的お求めやすい価格で大三元広角ズームが手に入るのは嬉しい。性能を含めて考えれば、ほぼ納得できる価格帯かと思います。

写りの特徴、撮影時の注意点

▼16mmで撮影

■撮影機材:Nikon ZR + TAMRON 16-30mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影設定:F13 1/500秒 ISO140

▼30mmで撮影

■撮影機材:Nikon ZR + TAMRON 16-30mm F/2.8 Di III VXD G2
■撮影設定:F13 1/500秒 ISO160

描写に関してニコンのS-Lineのレンズと比べると、全体的にクッキリシャープに写るというより、少し角が取れたような柔らかみを感じるレンズです。絞っていくと徐々にシャープになっていくので、状況に合わせてその変化を楽しむのも良いと思います。

動画表現的にはクッキリ、ハッキリ映る(写真が動くような映り)よりも少し柔らかみのある方が自然かと思うので、動画撮影にも合っていると思います。

16mmで撮る場合は、超広角特有の四隅に引っ張られるような写りになる(写真上)ので、ダイナミックな表現ができる反面、人物や形のわかりやすいものを撮る場合は画面端に持っていかないように撮ることをおすすめします。複数の人物を撮る場合は、広角過ぎない方が顔が歪まない(写真下)ので意識しておくと良いと思います。

TAMRON Lens Utilityに対応

TAMRON Lens Utility ホーム

最近のタムロンのレンズにはUSB-C端子が備わっており、専用ソフトウェア「TAMRON Lens Utility (PC版・Android OS用Mobile版)」に対応しています。専用ケーブルで繋いで、レンズのファームウェアアップデート(PC版)が行えたり、フォーカスセットボタン(L-Fn)に機能の割り当てやフォーカスリングのノンリニア/リニア切り替え、リニアの角度の設定も出来るようになっています。

レンズFn 割り当て機能
ノンリニア/リニア MF回転角度

やり方については過去に動画をアップしているので、こちらを参考にしてみてください。

今回の16-30mm F/2.8 Di III VXD G2には切り替えスイッチがないので、カスタムの割り当ては1つになります。このレンズにはAF/MF切り替えの物理スイッチがないので、私は長押しでAF/MFが切り替え出来るように機能を割り当てしています。

APS-C(DX機)の標準ズームとしても使える

DX機のZ50IIに装着

16-30mmの焦点距離なので、APS-C機の標準ズーム(24-45mm相当)としても使えるかと思います。ニコンのAPS-C機は現状ボディ内手ブレ補正がありませんが、ソニーのEマウントならα6700、FX30などボディ内手ブレ補正が備わっているモデルもあるので、フルサイズと兼用で使うことも可能かと思います。

ニコンZマウントの場合でもボディ内に手ブレ補正がないのは厳しい面もありますが、速めのシャッタースピードで撮影する分には特に問題なく使えるかと思います。

VLOG、ジンバル用として

このレンズを使う私の目的は、基本的には動画用です。その中でもVLOG、自撮りにも使いやすいレンズですし、ジンバル撮影にも最適なレンズだと思っています。

実際に使用感を確認した動画を先行レビュー時に公開しているので、こちらも合わせて確認いただくとわかりやすいかと思います。

使用していて気になった点

ズームリングとフォーカスリングの位置
左:28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
右:16-30mm F/2.8 Di III VXD G2

ズームリングとフォーカスリングの位置が気になりました。特にTAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2とはリングの位置が前後逆なので、この2本を併用するとよく間違えてしまいます。

もう一点は、やっぱりAF/MFの切り替えは物理スイッチが欲しいと思いました。カスタムボタンに割り当てはしているものの、折角のカスタムボタンには他の機能を割り当てしたいですし、直感的にAF/MFを切り替えたい場合は、圧倒的にスイッチの方が使いやすいと思いました。

まとめ

全体として、非常にまとまりの良いレンズに仕上がっていると思います。特に目的が合う方には満足できる広角ズームかと思うので、今回の内容を参考に検討してみてください。

写真用途では、広角ならではのダイナミックな表現はもちろん、テーブルフォト、AFも速いので動きものの撮影にも使いやすいと思います。動画用途ならVLOG、自撮り、ジンバル撮影など、軽量・コンパクトで持ち出しやすいレンズなので、抜群に使いやすいかと思います。

そんな理由で私は導入を決めました。今後もTAMRON 16-30mm F/2.8 Di III VXD G2を使った作例も動画で公開していくので、引き続き、チェックしてみてください。

▼TAMRON 16-30mm G2と28-75mm G2を使った動画作例

 

 

■ビデオグラファー:岩本あきら
愛知県名古屋市出身。奈良県在住。2022年3月ビデオグラファーとして初のNikon公式 Nikon Creatorsに登場。大手企業プロモーションをはじめ、ライブ、学校行事の動画撮影などを行う。また、カメラ系インフルエンサーとして機材のレビュー、検証、ハウツー動画を発信。ジンバル撮影を得意とし、精度の高い都市景観撮影にも定評がある。

 

関連記事

人気記事