続・これから始める星景写真 vol.4 | 流星群を撮影する

北山輝泰
続・これから始める星景写真 vol.4 | 流星群を撮影する

はじめに

 星景写真家・写真講師の北山輝泰です。これから始める星景写真をご覧いただきありがとうございます。前回のVol.3では、月をテーマに星景写真を撮影する際のポイントについてご紹介しましたが、今回は通年楽しめる「流星群」をテーマに星景写真を撮影する際のポイントについてご紹介します。流星はいつ・どこに流れるか分からないからこそ、写真に写った時の感動は一入(ひとしお)です。今回は、流星・流星群とは何かから、撮影する際のポイントなどをご紹介したいと思います。

 

流星・流星群とは

 空を見上げていると、ごく稀に一筋の光が瞬間的に視界を横切ることがあります。それが流星です。流星の元になるのは、宇宙に漂っている塵(ちり)です。大きさはわずか数mmから大きいもので数cm程度と決して大きくはありません。それらが、地球の大気圏に突入し燃え尽きる瞬間こそ、私たちが流星と言っているものになります。

 なぜ宇宙空間に塵が漂っているかというと、太陽の引力に引き寄せられた彗星や小惑星が太陽の熱によって溶かされることで、一部が塵となり宇宙空間に放出されるためです。ちなみに、流星の中でも光の輝きが強く、また流れている時間が長いものを「火球(かきゅう)」と言いますが、長年夜空を見続けている私でも、目にしたのは両手で数えられるほどしかありません。なお、燃え尽きずに落下した場合は「隕石」となります。

 見られたら運が良い流星ですが、比較的多く流れる期間があります。それが「流星群」が出現する期間です。例えば、12月中旬に見頃を迎える流星群で「ふたご座流星群」がありますが、1年を通していくつかある流星群の中でも最も数多く流れることから、多くの天文ファンが楽しみにしているイベントでもあります。

 先ほど流星とは彗星や小惑星が撒き散らした塵が大気に衝突する瞬間に燃えることと言いましたが、ふたご座流星群はフェートン小惑星が撒き散らした塵でできた道(ダストトレイル)を地球が通過することで、多くの流星が見られます。地球が公転する周期は一定であるため、毎年ほぼ決まったタイミングでダストトレイルを通過することから、流星群の出現期間も毎年ほぼ同じタイミングになります。ちなみに、ふたご座流星群やペルセウス座流星群など、流星群には必ず星座の名前がついていますが、これは流星の起点となる放射点がその星座近くにあるからです。もちろん流星群の期間以外でもたまに流星を見ることができますが、どの流星群にも属していない流星は 「散在(さんざい)流星」と言われています。

■撮影機材:SONY α7 III + FE 20mm F1.8 G
■撮影環境:ISO3200 F1.8 15秒 WB蛍光灯 焦点距離20mm
■撮影機材:SONY α7S II + FE 24mm F1.8 GM
■撮影環境:ISO6400 F1.4 20秒 WB蛍光灯 焦点距離24mm

 

年を通して見られる代表的な流星群

 
 流星を少しでも多く見たい場合は、流星群が出現する期間に夜空を眺めるのが良いですが、ここで代表的な流星群とその出現期間についてまとめます。

流星群名称 出現期間 極大日
しぶんぎ座流星群 1月1日~1月8日ごろ 1月4日前後
こと座流星群 4月15日~4月25日ごろ 4月22日前後
みずがめ座η流星群 4月25日~5月20日ごろ 5月6日前後
ペルセウス座流星群 7月20日~8月20日ごろ 8月14日前後
りゅう座流星群 10月5日~10月13日ごろ 10月9日前後
オリオン座流星群 10月10日~11月5日ごろ 10月22日前後
おうし座南流星群 10月15日~11月30日ごろ 11月5日前後
おうし座北流星群 10月15日~11月30日ごろ 11月14日前後
しし座流星群 11月5日~11月25日ごろ 11月17日前後
ふたご座流星群 12月5日~12月20日ごろ 12月14日前後
こぐま座流星群 12月18日~12月24日ごろ 12月23日前後

※赤文字は世界三大流星群

 この表にある「極大日」とは、流星群が最も流れる日のことを指します。ご覧の通り、2 月、3月、6月、9月を除いて、何かしらの流星群がピークを迎えることになりますが、10月から11月末にかけては複数の流星群が同時に出現するため、まさに流星群ラッシュとも言えるでしょう。それぞれの流星群は、速度が早い遅い・流星痕(淡く輝く流星の痕跡)が残りやすいか否か・色がしっかり出るか出ないかなど、特徴が分かれています。例えば、8月のペルセウス座流星群は軌跡が緑色になりやすいのが特徴で、これは元となる物質にニッケルが多く含まれているからだそうです。肉眼では一瞬で出現し消えてしまうため特徴を捉えることが難しく、撮影をする醍醐味はここにあるとも言えるでしょう。

■撮影機材:SONY α7S III + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:ISO3200 F1.8 15秒 WB蛍光灯 焦点距離14mm
■撮影機材:SONY α7S III + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:ISO2500 F1.8 15秒 WB蛍光灯 焦点距離14mm

 

流星を撮影する

 流星を見つけやすい期間をご紹介したところで、いよいよ撮影のポイントについてご紹介していきます。まず少しでも多くの流星を撮影したいと思った時に抑えておきたいポイントは以下の4点です。  

 

(1)月明かりがない日に撮影する

(2)空が暗いところで撮影する

(3)魚眼レンズや広角レンズなどを用いて、広い範囲を撮影する

(4)インターバル撮影などを利用して長時間定点撮影をする

 

 まず(1)と(2)についてですが、夜空が暗ければ暗いほど、暗い流星も見つけやすく写真にも写りやすくなります。そのため、月明かりがなく、かつ空が暗い郊外などへ行き撮影することが重要です。ただし、流星群の極大日に月明かりがあるかないかはその年によってまちまちです。もし月がある中で撮影を行う場合は、月がある方向とは別の方向を撮影するなど、避けて撮影するのが良いでしょう。また、郊外に行ったとしても明るい街灯などがあったら元も子もありませんので、昼間にロケハンをして、撮影に支障をきたしそうな街灯や民家の明かりがないかを必ずチェックするようにしましょう。もちろん、風景が開けていればそれだけ多くの流星を見つけることができますので、原っぱや公園、展望台などを中心に探していくのが良いでしょう。  

 次に(3)と(4)ですが、流星群は放射点を起点に流れるとはいえ、どこに流れるかは分かりません。そのため、広範囲をカバーできる魚眼や超広角レンズを使いつつ、一定間隔で長時間撮影し続けるのが良いでしょう。方法としては、ドライブモードを連写にした上、レリーズのシャッターロック機能を利用して撮影する方法と、カメラ内のインターバル撮影モードや、タイマーが搭載されているレリーズを使用してインターバル撮影を行う方法の2つがあります。連写で撮影する方法が最もシンプルですが、枚数を指定できないため、撮影を終了する場合は自分で止めにいく必要があります。

 どちらの方法で撮影するにしても、大事なのはバッテリーの残量です。特に秋から冬にかけては気温も下がるため、思っている以上にバッテリーの消耗が早くなります。私の場合は予備のバッテリーを携行しつつ、モバイルバッテリーで外部給電をしながら撮影を行うようにしています。  

 そして忘れてはならないのが、夜露や霜からレンズを保護する「レンズヒーター」です。 一度インターバル撮影を始めてしまうと、万が一夜露や霜がついたとしても簡単に拭うことはできません。そのため、レンズヒーターを使って予め夜露や霜がつきにくくなるような対策をしてから撮影に臨むようにしましょう。

流星群撮影でおすすめの場所は、360°視界が開けているところだ。ロケハンをして探してみよう。
■撮影機材:SONY α6600 + TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD
■撮影環境:ISO3200 F2.8 15秒 WB蛍光灯 焦点距離11mm
有線レリーズを使って撮影する場合は、事前に端子の種類を確認しておこう。
流星撮影の際にはレンズヒーターが必須となる。また、三脚は風に強い安定性のあるものを選択するようにしよう。

 

タイムラプスで流星痕を表現する

 火球レベルの明るい流星が流れた後は、流星痕が残ることがあります。流星痕の特徴としては、色がついた雲のようなものが形を変えながらふわふわと漂っているように写ります。相当明るいもの以外は肉眼では分からず、写真を拡大表示して初めて分かることが多いでしょう。流星痕が漂っている時間は流星自体の明るさによってバラバラですが、私が今まで撮った中で最も長く残っていたのはおおよそ30分程度でした。そのため、動画で記録するよりも撮影した静止画をタイムラプス化して動画にするほうが適切と言えます。もし明るい流星が流れた瞬間を目の当たりにしたら、流星痕が漂っていることを思い出し、撮影を止めずにしばらくインターバル撮影し続けるのが良いでしょう。

 

リアルタイム動画でよりライブ感のある流星を表現する

 最後にご紹介するのは、流星の動画撮影です。流星が写った写真は、それはそれで素晴らしいですが、実際に見た時の感動を思い返すにあたっては、やはり動画の方が優っていると言えます。星空を動画撮影するためには、超高感度に強いミラーレスカメラとF値が明るいレンズが必要になります。ちなみに私は、ソニーのα7S IIIとFE 24mm F1.4 GMのレンズの組み合わせで動画撮影をしています。

 ポイントは、動画撮影時のカメラの設定をマニュアル露出にすることです。目安となる設定は、シャッタースピードが1/4秒、F値は開放、ISO感度は51200から102400です。1/4秒にすると、動画はカクついてしまいますが、三脚に載せるのが前提となるため気になりません。あとは自分が撮影したい方向にカメラを向けて録画開始のボタンを押して待ちましょう。ちなみに、動画ひとつあたりの容量が増えると処理が大変になるため、私は最長でも30分一区切りで撮影し、またサイズも4Kではなくフルハイビジョンにし、フレームレートを落として撮影することが多いです。

 

まとめ

 中級編 vol.4はいかがでしたでしょうか。今回は、肉眼で見ても楽しい流星を撮影するポイントについてご紹介いたしました。流星はどこに流れるかわからないため、長時間観察・ 撮影し続ける根気との戦いになりますが、それだけに写った時は言葉では言い表せない感動があります。ぜひみなさんも一度は流星撮影に挑戦してみてくださいね!それではまたの更新をお楽しみに!星景写真家の北山輝泰でした。

 

 

■写真家:北山輝泰
東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。天文台インストラクター、天体望遠鏡メーカー勤務を経て、2017年に写真家として独立。世界各地で月食や日食、オーロラなど様々な天文現象を撮影しながら、天文雑誌「星ナビ」ライターとしても活動。また、タイムラプスを中心として動画製作にも力を入れており、観光プロモーションビデオなどの制作も行っている。星空の魅力を多くの人に伝えたいという思いから、全国各地で星空写真の撮り方セミナーを主催している。セミナーでは、ただ星空の撮り方を教えるのではなく、星空そのものの楽しさを知ってもらうために、星座やギリシャ神話についての解説も積極的に行なっている。

 

 

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