不思議な世界を表現できる ソニーEマウント初の魚眼ズームレンズ「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」

坂井田富三
不思議な世界を表現できる ソニーEマウント初の魚眼ズームレンズ「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」

はじめに

今回紹介するレンズは、2026年10月に発売になったばかりのソニー「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」です。「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」は、ソニーEマウントの純正レンズでは初めての魚眼ズームレンズです。これまでソニー純正レンズには魚眼レンズは無く、フィッシュアイコンバーターという特定のレンズの前面に装着するものしかありませんでした。

魚眼レンズは特殊ゆえに使用頻度的には少ないレンズになります。お手軽に楽しめるフィッシュアイコンバーターなどでもいいのですが、今回登場した「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」は、フルサイズ対応で「円周魚眼」と「対角線魚眼」が楽しめるズームレンズなので、撮影表現の幅が大きく広がるレンズになります。

実際にいろいろなシーンでソニー「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」を持ち出して撮影をして、使い勝手と感じたその写りをご紹介します。

ソニー「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」の魅力

ソニー「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」の魅力は、フルサイズ対応かつレンズ1本で円周魚眼・対角線魚眼撮影が可能な点にあります。円周魚眼で撮影された画像はかなり特殊な表現になるので使用するシーンは限定的になりますが、誰もが撮れる表現ではないので他のユーザーと違った写真を撮りたい方にはおすすめできます。また、対角線魚眼側では日常的にも面白い表現が可能になるので、ユーザーの新たな写真表現を引き出してくれるものになります。

筆者は、歪んだ世界を表現するのが好きなので魚眼レンズを何本か所有しています。今まで一番長く使用してきた魚眼レンズは、キヤノン「EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM」です。発売された当時(2011年)、円周魚眼と対角線魚眼を1本のレンズで切り替えできるものは他には存在しなかったのですぐに購入し、直近までマウントアダプター等を介して10年以上使用していました。
愛着あるキヤノン「EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM」と同等のレンズが今回ソニーから発売になったので、とてもワクワクしながら今回の撮影をしてみました。

このレンズの第一印象は、とにかくコンパクトで軽いというのが率直な感想です。すでに持っている他の魚眼レンズに比べても、コンパクトさと軽さが際立っています。またフード・レンズキャップをつけた状態であれば、外観から魚眼レンズとは思えないスタイルなのも好感が持てます。

SONY α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye Gのフードを外した状態。焦点距離8mm側での撮影はこの状態で撮影します。

ソニー「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」の基本スペック

焦点距離 8-14mm
レンズ構成 13群16枚
開放絞り 3.5
最小絞り 22
フィルター径 –
絞り羽根枚数 7枚
最近接距離 0.15m
最大撮影倍率 0.22倍
手ブレ補正 –
全長×最大径 82.8mm × 63.mm
重量 314g
発売 2026年10月
ソニー「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」のフードとレンズキャップ

円周魚眼対応レンズゆえ、レンズキャップは専用の特殊な形状のキャップが用意されています。使用しない時は、レンズ本体にフードを装着して、その形状に嚙合わせるように専用キャップを装着します。レンズキャップの内面は魚眼レンズの形状に合わせた処理をされており、しっかりとレンズを保護できるキャップになっています。

レンズ左側には、AF、MF、FH(フォーカスホールド)を簡単に選択できるフォーカスモードスイッチを搭載
レンズ右側には、クリックのON/OFFスイッチ

下の2枚の写真は、円周魚眼(焦点距離8mm側)で撮影したものと、対角線魚眼(焦点距離14mm側)で撮影したものの比較です。同じ位置から撮影しても、魚眼レンズならでは大きく異なる表現をする事ができます。

このレンズは、焦点距離8mmから14mmのズームレンズという表現がされていますが、途中の焦点領域では四隅に中途半端なケラレが出るので、フルサイズで実際に使用するのは焦点距離8mmと焦点距離14mmの2焦点になるでしょう。

▼8mm

■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/20 絞りF8 ISO800
焦点距離8mm

▼14mm

■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/25 絞りF8 ISO800
焦点距離14mm
レンズ右側のズームロックスイッチ

先に少し触れましたが、このレンズはズーム途中の焦点領域では四隅に中途半端なケラレが出ます。不用意にその状態にならないようにズームリングを固定する機能が、このズームロックスイッチになります。ロックが可能なポジションは、ワイド端(8mm:フルサイズ円周魚眼)と望遠端(14mm:フルサイズ対角線魚眼)、そしてAPS-C機で対角線魚眼として使うときに使用する中間の位置になるポイント中間位置(・:APS-C対角線魚眼)の3箇所でロックが可能です。

APS-C機で対角線魚眼として使用する焦点距離は、ズームリングの部分に表記されている「9」と「11」mmの間に「・」が表示されています。今回はAPS-C機で撮影しませんでしたが、APS-C機で対角線魚眼で撮影する際には便利な機能です。
※APS-C機で「・」のポイントよりもワイド側で撮影すると四隅にケラレが生じます。

APS-C機で対角線魚眼で撮影する目印「・」。このポイントよりもワイド側で撮影すると四隅にケラレが生じます。
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF14 ISO400
焦点距離8mm
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/60 絞りF4.5 ISO3200
焦点距離14mm

ソニー「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」は、接写にも強いレンズです。最短撮影距離0.15m(ズーム全域)、最大撮影倍率0.22倍(望遠端)の近接撮影性能を実現しており、被写体に寄った印象的な魚眼表現も楽しいレンズです。

ソニー「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」で焦点距離8mm円周魚眼撮影

ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/500 絞りF11 ISO800
焦点距離8mm

ソニー「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」を持って、フルサイズ焦点距離8mmの円周魚眼で様々なシーンを撮影してみました。魚眼レンズを使用する際に注意が必要なのは、画角が広い為に不用意なものが写り込んだりする事が多々あります。よくあるのは撮影者の足やカメラストラップ、バッグなどが写り込んだりする事です。実際に魚眼レンズに慣れているユーザーでもちょくちょくやってしまいます。
また、焦点距離8mmの円周魚眼で撮影する場合は、フードを外して撮影する必要があります。フードをつけた状態で焦点距離8mm側にセットすると、レンズフードによるケラレが発生します。

円周魚眼レンズで撮影シーンを選ぶポイントとしては、周囲に高い構造物がある場所、真上に構造物があるような場所などが比較的撮影しやすい被写体となります。正面を向いて撮影する際には、広い画角の影響により足元など写りやすくなるため、少し上向きに撮影する事で写り込みを回避する事ができます。

また、円周魚眼で撮影する際に画像周辺の余白が気になる方は、撮影モードを1:1の正方形に設定するとすっきりとした画像データになります。

■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/250 絞りF16 ISO800
焦点距離8mm
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF16 ISO400
焦点距離8mm
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/50 絞りF14 ISO400
焦点距離8mm
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/25 絞りF18 ISO400
焦点距離8mm
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF16 ISO800
焦点距離8mm
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/200 絞りF3.5 ISO800
焦点距離8mm
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/4 絞りF11 ISO1600
焦点距離8mm

円周魚眼で撮影する写真は、普段の風景をまったく別の表現にしてくれ、個性的な写真を撮ることを可能にしてくれます。また円周魚眼にマッチした被写体探しをするのが楽しくなります。上の写真は通常のレンズでは決して全部を入れることができない東京駅の天井ドーム。魚眼レンズを手にすると必ず撮りに行ってしまう場所の一つです。

ソニー「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」で焦点距離14mm対角線魚眼撮影

■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF8 ISO100
焦点距離14mm

焦点距離8mmの円周魚眼よりも比較的撮影のしやすい、焦点距離14mmの対角線魚眼での撮影です。注意点は円周魚眼の時と同様で、レンズを下向きにした際の足元などの写り込みです。焦点距離14mm対角線魚眼での撮影では、レンズにフードを装着した状態で撮影が可能なので、レンズの出っ張りをあまり気にしなくてもよく、焦点距離8mmの円周魚眼状態で撮影するよりも気楽に撮影できます。

■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF16 ISO400
焦点距離14mm
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/25 絞りF16 ISO800
焦点距離14mm

対角線魚眼での撮影では両サイドなどに直線的なものを配置して撮影すると、直線が大きく湾曲した状態に表現されるので、魚眼の効果が分かりやすい面白い写真になります。

■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/25 絞りF7.1 ISO800
焦点距離14mm
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/80 絞りF7.1 ISO800
焦点距離14mm
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/60 絞りF8 ISO800
焦点距離14mm

直線と曲線を上手く組み合わせる事により、他のレンズでは味わえない独特な魚眼レンズの世界を表現する事が可能です。個人的には自然風景よりも都会の風景、ビルなどの建築物など直線的な要素が多いものを撮影するのが楽しいレンズだと思います。

また、寄れるレンズの特性と魚眼の歪みの特性を活かした撮り方の一つとして、ペットなどを少し上からのアングルで寄って撮影すると、とても愛くるしい表情の姿を撮影する事ができます。

■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 8-14mm F3.5 Fisheye G
■撮影環境:シャッター速度1/100 絞りF3.5 ISO1600
焦点距離14mm

まとめ

ソニー「FE 8-14mm F3.5 Fisheye G」は特殊なレンズなので、使用頻度や価格面で少し手が出しにくくなってしまいますが、他のレンズには撮れない世界を写し込むことができるレンズです。いつもの風景や被写体をまったく違う世界にしてくれる不思議なレンズで、ユーザーの撮り方次第で、日常を簡単に非日常的な世界に変えてくれます。ユーザーの撮影心を刺激してくれる楽しいレンズです。

 

 

■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師

 

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