個性派の揃うソニーフルサイズ αシリーズを再確認!|桃井 一至

桃井一至
個性派の揃うソニーフルサイズ αシリーズを再確認!|桃井 一至

2024/3/16(土)に開催されるソニープロカメラマンセミナーでは、桃井一至さんが登壇して本記事でもレビューしているα7RシリーズとGMレンズの魅力を紹介する予定です。本記事をご覧頂き、更に深い理解を求められている方は奮ってご参加ください。セミナーの詳細は文末に記載しています。

はじめに

フルサイズのソニーαシリーズは、高画素、超高感度、高速連写などの逸材揃い。もちろん一朝一夕で現在があるわけでなく、元々ミラーレス一眼は、小型センサーから端を発して、一眼レフよりも小型軽量にしやすいことや、静止画だけでなく、動画にも向いた構造だった事から一気に注目を浴びた。フルサイズ αシリーズの魅力を知るために先ずは少しこのあたりの歴史を紹介したい。

ソニー初のミラーレス ~ フルサイズαの誕生

ソニー初のミラーレス一眼は2010年に登場したNEX-5/NEX-3で、現在のα6700などと同じくAPS-Cセンサーを搭載したものだった。当時、世界最小、最軽量のNEX-5はレンズマウントがボディ本体よりも大きなデザインなども目を引き、「画質がいいけど、大きく重い」というレンズ交換式カメラの概念を覆すコンセプトで人気を博した。一方、他社ではより小さなセンサーを搭載したモデルも登場するなど、ミラーレス一眼の方向性が混沌としていく中、2013年にセンセーショナルに登場したのが、大型のフルサイズセンサーを搭載したソニー α7/α7Rだ。

当時すでに一眼カメラの主軸はフィルムからデジタルに移り変わっていたが、フィルム主流で写真を楽しんだ人たちにAPS-Cセンサーサイズは、慣れ親しんだレンズ焦点距離と画角の違いから違和感がある事や、大型センサーのほうがぼけ量も大きく、画質も優位という事もあって、カメラ・写真ファン待望の製品として歓迎された。同時に従来、NEXと呼ばれていた呼称もαに一本化。先行するAPS-C機とフルサイズ機のマウントを統一した事もあって互換性が高く、早々に受け入れられた。

フルサイズαのラインナップの進化と拡充

フルサイズαは約2430万画素のα7と約3640万画素のα7Rから始まったわけだが、この時点ですでにスタンダードと高画素の2台体制でラインナップ構築しているのが興味深い。その後、超高感度撮影を得意とするα7S。ブラックアウトフリーで高速連写可能なα9、総合性能を高めたα1が登場。フルサイズα登場から丸10年を過ぎて、早いものではα7RⅤのように五代目まで進化を重ねて成長してきている。合わせて並行するように小型・軽量化されフラットトップのα7cシリーズや、同じEマウントを採用した動画向けのVLOGCAMやプロフェッショナルカムコーダーなど、進化と拡充をすすめて現在に至っている。

現在、ラインナップのメインストリームであるセンターファインダータイプの製品は、フラッグシップモデルのα1を筆頭に、グローバルシャッター搭載の高速モデルα9 III。個性豊かなα7シリーズには、高画素モデルのα7R V、超高感度モデルのα7S III、そしてバランスの良いスタンダードモデルα7 IVが用意されている。

名称に付く数字が小さなほど上位モデルというのが基本だが、αシリーズの面白いのは各機の個性というか、得意分野で成り立っているのが特徴なことだ。すべてが唯一無二で、絶妙なバランスで構成されている。

ソニー純正Eマウントレンズ

カメラの引き立たて役として重要なのがレンズ群だ。焦点距離にして超広角12mmから超望遠の600mmまで、現在コンバーターレンズも含め70本以上のソニー純正Eマウントレンズが揃っている。また焦点距離や開放F値だけでなく、GマスターやGレンズ、そしてカールツァイスなどグレードやブランドでも区分けされ、店頭やサイトで眺めるだけでも目移りするほど。

特に近年は、画質はもとより動画需要の高まりに合わせて、絞りリングの追加や静音化。滑らかに絞りを動かす技術、ズーム中に被写体の大きさが変わりにくい構造が求められるなど、ものづくりの難易度がアップ。さらに言えば、レンズとカメラボディの協調で効果を高める手ぶれ補正やオートフォーカスと超高速連写の連携など、レンズに求められるハードルは高まるばかりだ。
ソニーEマウントは発表当初より技術公開された経緯から、レンズ専業メーカーの製品も豊富だが、超高速連写時の撮影コマ数に制約があるなど、一部、非純正レンズでは機能に差がある製品も存在する。レンズ選びは楽しいが、自分の使い方と照らし合わせて、正しいチョイスをしたい。

それでは、主だったレンズについて作例写真を交えて紹介していこう。

作例を交えて魅力を紹介

■撮影機材 ソニー α7R V + FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS+1.4X テレコンバーター
■撮影環境 焦点距離1260mm相当 絞り優先AE(F10、1/320秒) ISO1600 太陽光

スポーツや動物など近づけない対象を撮るのに欠かせないのが望遠レンズだ。AIを活用したα7R Vのリアルタイム認識AFの力を借りれば、カワセミをフレーム内に入れて、あとは構図に集中。約944万ドットの美しい有機ELファインダー越しに眺めるカワセミの美しさはひときわだ。さらに大きく撮りたいときには、APS-Cモードに設定すれば、約1.5倍の望遠にもできる。このとき画素数は最大で約2600万画素になるが、もともとゆとりある画素数のため心配無用だ。

 

■撮影機材 ソニー α7 IV+ FE PZ 16-35mm F4 G
■撮影環境 焦点距離35mm 絞り優先AE(F4、1/640秒) ISO100 太陽光

動画に適したパワーズーム付きの広角ズームレンズだが、コンパクトで静止画撮影にもぴったり。約353グラムと小型ペットボトル程度の軽さを活かして、旅へ持って出るにも最適だ。最新設計で描写性能が高いのはもちろん、広角シーンでも適度なボケで奥行き感も楽しめる。ワイドレンズに慣れている、スマホからのステップアップユーザーにもおすすめしたい一本だ。

 

■撮影機材 ソニー α7 IV+ FE 16-35mm F2.8 GM II
■撮影環境 焦点距離16mm 絞り優先AE(F8、1/320秒,-0.5EV) ISO100 太陽光

コンクリートジャングルと揶揄される都会の隙間から空を見上げれば、遠近感の強調されたビル群がファインダーいっぱいに広がった。被写界深度を深くするため、絞り設定はF8を選択。PCモニターで意地悪く、画面の隅々まで拡大して眺めるが、壁面のタイルや雨シミまで確認できる。スタンダードモデルだが、α7 IVの解像感も心地よく、しっかりレンズ性能を引き出してくれた。

 

■撮影機材 ソニー α7 III+ FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境 焦点距離16mm 絞り優先AE(F4、1/125秒,-2.0EV) ISO250 AWB

オープンカーのコックピットを標準ズームで狙う。手前のサイドウィンドウをぼかすために絞り値は開放のF4に設定。撮影対象が黒基調であるため、高級感や存在感を損なわないよう、やや多めの-2.0の露出補正を加えている。仕上がりはダッシュボードやウッドステアリングなどの味わいある風合いが、狙い通りに再現されて大満足。メッキの質感も記憶のままの印象だ。24-105ミリは程よい広角から望遠まで楽しめるので、αレンズの中でも人気の高い製品だ。

 

■撮影機材 ソニー α7 IV+ FE 24mm F1.4 GM
■撮影環境 焦点距離24mm 絞り優先AE(F5.6、1/13秒) ISO800 AWB

静かな森の中で祈る人。ふだんはズームレンズでも、特別な場所では単焦点レンズで気持ちを引き締めて撮影するのも一案。バリアングル液晶モニターを使い、水面ギリギリまでカメラ位置を下げて構図を決めているが、画角を身体が覚えていれば、モニターを凝視しなくても撮れるのが単焦点レンズの良さだ。その場の空気までも感じるような、精緻な描写に惚れ惚れする。大口径レンズにも関わらず、445グラムと軽く、ボディとのバランスも良好。緑の中でリラックスした気分のまま、ここ一番の贅沢な一本として手にするのもいい。

 

■撮影機材 ソニー α7R V+ FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
■撮影環境 焦点距離200mm 絞り優先AE(F2.8、1/800秒) ISO100 AWB

背後から視線を感じて振り向くと一頭のヒツジ。突然、動物と目が合うと気持ちが動揺して焦りがちだが、α7R Vのリアルタイム認識AFなら、ファインダーを覗くとほぼ同時に捕捉。幸い動かずにこちらをじっと見ていてくれた。顔の半分が隠れているにも関わらず、AIの恩恵で認識精度が高く、すべてカメラ任せ。ヒツジと対峙しながら、静かにシャッターボタンを押した。確認すると、鼻先はぼけても目にしっかりピントが合焦。カメラに合わせて、撮影方法もアップデートする必要性を再認識した。

 

■撮影機材 ソニー α7 IV+ FE 24-70mm F2.8 GM II
■撮影環境 焦点距離70mm 絞り優先AE(F2.8、1/200秒) ISO100 AWB

高品位な製品に与えられるGマスターの中でも、定番レンズとして人気なのが本製品だ。第2世代に入り、大口径レンズのウィークポイントを徹底的に洗い出し、画質向上のほか、近接撮影能力のアップ。動画対応、従来比、約200グラムの軽量化や小型化を図るなど大幅に進化した。これなら普段持ち歩くのも軽快で、描写も極上。質量的なボリュームはFE 24-105mm F4 G OSSとさほど変わらず、大口径の明るさとGマスターの描写力を取るか、ズーム比で利便性を取るか、悩ましい選択だ。

 

■撮影機材 ソニー α7 IV+ FE 50mm F1.4 GM
■撮影環境 焦点距離50mm 絞り優先AE(F1.4、1/125秒) ISO100 太陽光

Eマウントレンズには50ミリが5本あって目移りするが、昔から定番はF1.4。しかし、そのF1.4も本レンズとカールツァイスの2本あって、甲乙付け難い。背反するボケとシャープさの両立と、動画対応を含めた最新設計なら本製品がオススメ。わずかな収差を極上テイストとして楽しむならカールツァイスだろうか。顔瞳優先AF(犬・猫)にまかせて、ローポジションから、お散歩中の犬を狙う。自然なボケと誇張のない画角は、どこか気持ちも落ち着く。

 

■撮影機材 ソニー α7 IV+ FE 20-70mm F4 G
■撮影環境 焦点距離20mm 絞り優先AE(F5.6、1/160秒) ISO800 太陽光

夕陽の絶景スポットだが、陽が沈むと同時に周囲が静かになった。ここからはグラデーションが美しくなる時間帯。波打ち際まで進んで、波紋と空のバランスを考えながら構図を決めていく。広角の焦点距離「1ミリ」は望遠と違い、絵柄に大きく影響する。20ミリでは遠近感が強まり、標準ズームがカバーする24ミリとは印象が大きく変わる。超広角域から程よい望遠までカバーしたい欲張りなユーザーにはちょうどよく、コンパクトで動画対応も施されているので、静止画、動画の両ユーザーにおすすめしたい。

【2024/3/16】桃井一至さん登壇のα7RシリーズとGMレンズを紹介するソニープロカメラマンセミナーを開催

2024年3月16日(土)講師に桃井一至さんをお招きして、SONYフルサイズミラーレスカメラ”α”の魅力を紹介するセミナーを開催します。その中で今回の記事で紹介したα7Rシリーズを使用したスナップ撮影ポイントや、おすすめのGMレンズの紹介、各レンズの特徴やそのシーン別使用例などをお話いただきます。スナップを普段から撮影されている方や、これから撮影を始めてみたいと考えている方にオススメのセミナーです。当日は講師への質問もできますのでこの機会に奮ってご参加ください。

開催場所はカメラのキタムラ全国のカメラのキタムラ21店舗でライブ中継にて開催いたしますので、最寄りの店舗でご参加ください。

【概要と申込み】
■開催日時:2024年3月16日(土)【第一部】11:00~12:00【第二部】14:30~15:30
■費用:無料
■場所:ライブ中継先店舗
■定員、申込み予約:下記店舗一覧より希望店舗へお問い合わせください。
■申込み期限:2024年3月15日(金)各店舗営業時間内

【ライブ中継先店舗】
 募集状況やお申込み、ご質問などは各希望店舗へお電話ください。

■北海道:札幌/羊ケ丘通り店
■青森県:弘前/高田店
■秋田県:横手/横手店
■宮城県:仙台/泉店
■山形県:山形/馬見ヶ崎店
■福島県:いわき/平店
■東京都:東京/日本橋店
■千葉県:千葉/おゆみ野店
■埼玉県:大井/ふじみ野店
■茨城県:つくば/つくば店
■静岡県:浜松/柳通り店
■富山県:富山/掛尾店
■京都府:京都/四条西院店
■大阪府:豊中/豊中店
■香川県:高松/高松南店
■岡山県:岡山/下中野店
■山口県:宇部/南浜町店
■福岡県:福岡/ミーナ天神店
■福岡県:太宰府/太宰府店
■佐賀県:佐賀/南部バイパス店
■熊本県:熊本/東バイパス中央店

 

【桃井一至さんプロフィール】

京都府生まれ。神奈川県在住。各種雑誌やカタログの撮影をはじめ、カメラ専門誌などで執筆。またテレビ出演、webレポートなど活動ジャンルは多岐に渡り、丁寧なテクニック解説にも定評がある。

・写真展:ヴォーリズ建築写真展「VORIES TIME」
・出版物:ソニー α7R & α7 FANBOOK (インプレス社)
・公益社団法人 日本写真家協会会員 正会員

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