まるで絵画のような写真が撮れる!?色や光などを意識した絵画調撮影テクニックをご紹介
本記事のOM-3やOM-1 Mark IIでの撮影の更なる学びになるように、2025年10月18日(土)に虫上 智氏を講師に迎え高松市の栗林公園などで自然風景の新しい写真表現を楽しむ撮影会を行います。当日はOM SYSTEM機材のお貸出も予定していますのでご興味のある方は文末の撮影会のご案内を是非ご覧ください。
はじめに
皆さんこんにちは。写真家の虫上です。今回のまるでシリーズは絵画のように見える写真表現というテーマでお話ししたいと思います。私自身、小さい頃は絵画の先生に水彩画を習っていたこともあり、将来は画家になりたいなと思った時期がありました。その頃は見たままを正確に表現する具象的(写実的)な絵を描いていました。今では筆をカメラに持ち替えて作品を作っているのですが、今の表現は具象を大切にしながら抽象的なイメージで作品を作っている感じです。

■撮影環境:54mm f/11 1/100秒 ISO200
この作品は夕暮れの草千里で撮影したものですが、草原でわき目も振らずに草を食べている馬の生命力を感じました。
絵画のような写真について
写真の表現ではファインダー内で瞬間を切り取りますから、何も考えずに撮影して出来た写真は絵画でいえばほとんどが具象的な表現となります。しかし、ファインダー内でよく考えた切り取り方や光や色、レタッチの仕上げ方によって、上の作例にあるように絵画のような写真を撮影できる場合があったりします。絵画は大きく分けて具象表現と抽象表現に分かれますが、具象と抽象の中間的な表現というのも存在していますので、表現方法的には写真も絵画もよく似ているところがあるのではないでしょうか。また、近年ではカメラ技術の進歩でセンサーの感度が上がって、暗所での表現方法や被写体認識の向上により今までは撮影不可能だった動体写真も可能となるなど、表現の幅が格段に増えてきたので、カメラが趣味の方にとっては近年、良いことずくめな環境になってきました。
絵画調撮影に有効な機材
OM-3
私の場合、普段の撮影は海や山、街中など様々な場所で撮影します。そのような撮影スタイルなので突然の雨や水面ぎりぎりのアングル、気温が低い所での撮影などもある為、防塵防滴は必須条件なので上位機種のOM-1 Mark IIとほとんど同じ性能があるこのカメラを最近はよく使用しています。また、スナップ撮影などは長時間歩きながらの撮影が多く、軽量で長時間の撮影でもあまり苦にならないこのカメラはとても便利で、それでいて写真の仕上がりはOM-1 Mark IIと同じなのでとても役に立っています。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
レンズは使い慣れた高倍率ズームレンズ(35mm換算24-200mm)をよく使用します。このレンズはOM-3につけると少し大きく重いのですが、フルサイズ機に比べるとそれでも小さいシステムになります。このレンズの特徴はPROレンズならではの高画質で、広角側(24mm)最短距離15cmとかなり被写体に寄れるので、ダイナミックな表現が可能なのも気にいっています。また、レンズ内部にも手振れ補正がありますので、このレンズを使用すると本体と協調してなんと最大7.5段もの補正効果を得られます。日中の撮影ではほとんどブレたりせず失敗が少ないです。
M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
このレンズは魚眼レンズという特殊なレンズですが、実は他のレンズにはない特徴を備えています。F1.8という、とても明るいレンズなのにΦ62×80mm、約315gとポケットにも入る大きさなので持ち運びにとても便利なのと、対角線魚眼レンズに加えて、3本の超広角単焦点レンズ(11mm、14mm、18mm相当*1)としても使用可能です*2。これ1本で4本の明るいレンズを持ち歩いているようになるんです。
*1 35mm判換算
*2 カメラの撮影機能(フィッシュアイ補正撮影JPGのみ)使用時。対応カメラは、カメラの仕様ぺージでご確認ください。
普段はこの2本のレンズをリュックに入れて持ち歩いているので、とても軽量なシステムながら35mm判換算16mm~200mmまでの焦点距離のレンズを持参していることになるので、このシステムさえあればほとんどの被写体は対応できている状態になり満足しています。
絵画のように見えるテクニックあれこれ
色を意識した表現

■撮影環境:54mm f/4 1/40秒 ISO200
私が住んでいる倉敷美観地区はこのようななまこ壁の土蔵つくりの建物があり、様々なイベントなどを開催して盛り上がっています。ちょうど和傘灯りのイベント時に仲良く座っているカップルの映り込みを撮影させていただきました。油絵のような表現と赤い和傘をアクセントにしました。

■撮影環境:8mm f/1.8 2秒 ISO200
久しぶりに島根半島の日御碕へ真夏の夜に行ってみたところ、漁火漁船が沢山出ていました。十数年前まではこのようなカラフルな灯りでは無かったのですが、とてもカラフルで美しい光景に魅了されました。

■撮影環境:86mm f/4 1/20秒 ISO400

■撮影環境:50mm f/7.1 1/80秒 ISO200
上は倉敷駅前のモニュメント。ライトアップされるとまるで異国の地のような雰囲気に。倉敷美観地区には人の目を引く、さまざまな人工物があります。下の写真は影になる部分を狙うとこのように青色で表現できて味わい深い作品になりました。
光や影などの自然現象を意識した表現

■撮影環境:66mm f/6.3 1/125秒 ISO320
尾道水道の夕暮れ時、フェリーを待つ二人。一日の終わりを感じさせてくれます。

■撮影環境:54mm f/11 1/100秒 ISO200

上の写真は夕暮れ時の桜公園。スローシャッターで手前の桜をブラして風を感じさせるように撮影しました。下は朝の鳴り石の浜。多重露出機能を使って幻想的に表現しました。

■撮影環境:63mm f/9 1/200秒 ISO200
雪はすべてを消してとてもシンプルな表現にしてくれることがあります。凍った湖の上に雪が降り、凍っていない青い水面に泳いできたカモを一羽アクセントにしました。

■撮影環境:100mm f/9 1/400秒 ISO100
金網にひっかかっている椿の花を主役にして、脇役を新幹線にする逆転の発想も時には良い作品になったりします。
なんでもない風景に添景を入れてみる

■撮影環境:64mm f/4 1/12000秒 ISO200
岡山後楽園は美しい庭園ですが人物を添景にすると味わい深い作風になります。

■撮影環境:23mm f/10 1/8秒 ISO400
こちらはトンネル効果を利用して撮影しました。
フレーミングで絵画調に

■撮影環境:47mm f/8 1/40秒 ISO200
この写真は有名な写真家・ユージンスミスさんの「楽園への歩み」のオマージュのような雰囲気になりました。周りの環境をどこまで入れてフレーミングするのかがポイントとなります。

■撮影環境:97mm f/8 1/320秒 ISO200
厳冬期の北海道の台地の道路沿いにあった防風林。とても美しく並んでいるように見えるポイントを見つけました。この写真はモノクロに変換したのでより印象的な雰囲気になりました。

■撮影環境:12mm f/13 1/60秒 ISO200

■撮影環境:24mm f/13 1/25秒 ISO200
その場に見える風景を切り取ることも記録的には大切ですが、池の水面への映り込みにも注目してみるとまた違った表現が出来ることもあります。
自宅でも出来るアイデア撮影

屋内でのテーブルフォトでも、下の作例のようなとても屋内で撮影したようには思えない写真を作成することもできます。
この2種類の作例はどちらも同じタンポポの綿花を撮影したもので、背景はスマホの待ち受け画面を利用しました。実際には屋外でこのような撮影をすると風の影響などでとても難しい状況下での撮影となりますので、屋内のテーブルフォトはじっくり撮影するのに向いています。
撮影してからの後処理について考える

撮影後のレタッチについてですが、私の場合はいつもAdobe社のライトルームを使用しています。よく調整するところはホワイトバランスのスライダーで、今回の桜の場合は色温度を少し低く、色被り補正をマゼンタ寄りに補正して桜らしさを強調しました。また、使用するカメラや撮影時によって変わりますが、ハイライト、シャドー、白レベルや黒レベル補正を微調整することもあります。以下の動画で私が普段どのようにレタッチしていくのか詳しく解説していますので時間のある方は見てください。
おわりに
いかがでしたでしょうか、写真と絵画、取り組み方は似ているけれどもまったく違うところもあり、どちらも自己表現の芸術の世界です。写真撮影は遠近、屋内外どこでも素晴らしい作品を生み出すことができる可能性を秘めた素晴らしい趣味です。是非皆さんも私の記事を参考にして撮影に励んでみてください。
OM-3で撮る!自然風景の新しい写真表現 in高松撮影会のご案内|講師:虫上 智氏

OM SYSTEMの最新上位機種、OM-3やOM-1 Mark IIを使用してコンピテーショナルフォトグラフィー機能や小さくても接写もできる優れたレンズなどを生かした作品作りを、カメラのキタムラ高松南店内や栗林公園などで撮影&体感していただきます。また、撮影会後は皆さんの作品を各自提出いただいて講評会も開催する充実した内容です。OM SYSTEM機材の無料貸し出しがございますのでこの機会に是非体感してみてください!!
撮影会概要
・開催日時:2025年10月18日(土)10:00~15:00
・開催場所:カメラのキタムラ高松南店 [地図]および栗林公園 [地図]
・講師:虫上 智氏
・内容:前半は栗林公園などで撮影を行い、後半はカメラのキタムラ高松南店内で講評会を行います。
・撮影機材:OM SYSTEM カメラ、レンズ(標準ズームレンズを基本とします。余裕があれば広角&望遠ズームレンズ、単焦点レンズも持ちいただいても構いません。お持ちでない場合もOM SYSTEM機材の貸出しがあります)、メモ、筆記用具、三脚不要
・募集定員:10名様 最少催行2名
・参加費用:4,000円(税込)別途費用栗林公園入園料500円がかかります。
・申込期間:2025年9月9日(火)~10月17日(金)
・雨天の場合:小雨決行、荒天中止
・機材協力:OM SYSTEM様
また、講師の写真展も同日、店舗内ギャラリーで開催中。講座終了後にはギャラリートークにも参加できます(無料)


≪申し込みはコチラ≫
■写真家:虫上智
1968年岡山県生まれ。高校を卒業後、写真家 緑川洋一氏に師事。地元のカメラ店で撮影業務などを学び2000年に独立。現在はスタジオ撮影、フォト講座、執筆、フォトコン審査、講演等を受け持つ。ライフワークでは心象風景、自然写真、水中写真を撮影。
日本写真家協会(JPS)会員、日本写真講師協会 認定フォトインストラクター、OM SYSTEMゼミ講師、フォトカルチャークラブ講師、フォトマスターEX(総合)一級




















