OM SYSTEM OM-5レビュー|OMという哲学を纏ったフィロソフィモデル

礒村浩一
OM SYSTEM OM-5レビュー|OMという哲学を纏ったフィロソフィモデル

はじめに

 2022年11月にOMデジタルソリューションズより発売された「OM SYSTEM OM-5」は、マイクロフォーサーズ規格に準拠したミラーレスデジタル一眼カメラである。同社はオリンパス社から継承したミラーレス一眼カメラ「OM-D」シリーズを「OM SYSTEM」としてリブランディングを行い、そのうえでこのOM-5からカメラのシンボルロゴマークを「OM SYSTEM」へと刷新した。つまり名実共に新ブランドOM SYSTEMのカメラの誕生となった記念すべき一台といえる。

 OM SYSTEMシリーズとして生まれ変わった「OM SYSTEM OM-5」は、電子ビューファインダー(EVF)を搭載したカメラとしてはとてもコンパクトなサイズのカメラだ。それでいて対応レンズとの組み合わせで強力な防塵防滴に対応したタフなカメラとなっていることからも、OM-D E-M5 Mark IIIの実質的な後継機であることが判る。

 しかし単に新しいブランド名を得ただけではなく、上位機種であったE-M1 Mark III譲りの多彩な機能が搭載されている点も大きな特徴だ。そこでここでは、OM-5が目指す存在理由と現ラインナップのなかでの位置付けを確認していこう。

OM SYSTEM OM-5の特徴と主なスペック

■マイクロフォーサーズ規格準拠レンズ交換式カメラ
■有効画素数約2037万画素4/3型Live MOS センサー採用 スーパーソニックウェーブフィルター搭載
■アスペクト比4:3
■常用ISO感度200-6400 拡張ISO感度 L64・L100(ISO64・100相当)・12800-25600
■連写H 最高約10コマ/秒・連写L 約6コマ/秒 低振動連写L最高約5.5コマ/秒・静音連写H 約30コマ/秒・静音連写L 最高約10コマ/秒
■プロキャプチャー連写H約30コマ/秒・連写L約10コマ/秒
■メカニカルシャッター1/8000〜60秒/バルブ・電子先幕シャッター1/320〜60秒・電子シャッター1/32000~60秒
■ハイスピードイメージャAF 121点(クロス像面位相差AF)/121点(コントラストAF)
■撮像センサーシフト式ボディ内手ぶれ補正 5軸6.5段分(シンクロ手ぶれ補正対応レンズ使用で7.5段分)
■視野率約約100%/約1.23倍~約1.37倍 アイポイント約27mm 約236万ドットOLEDビューファインダー
■3.0型2軸可動式背面液晶モニター 約104万ドット
■UHS-I/II対応 SD/SDXC/SDHCメモリーカードスロット 
■MOV(MPEG-4AVC H.264) C4K(24p/IPB)・4K(30p,25p,24p/IPB)・FHD(60p,50P/IPB 、30p,25,24P /ALL-I,IPB), HD(60p,50P,30p,25p,24P /ALL-I,IPB)・ 4K/FHD/FDタイムラプス動画対応、記録時間制限なし
■三脚ハイレゾショット(JPEG 50M/25M・RAW 80M画素相当)/手持ちハイレゾショット(JPEG 50M/25M・RAW 50M画素相当)
■無線LAN(2.4GHz/5GHz)・Bluetooth(Ver.4.2 Bluetooth Low Energy)内蔵
■WEBカメラ UVC(USB Video Class) / UAC(USB Audio Class)規格対応
■防塵防滴IP53/IPX1 OMDS(オリンパス)製IP53/IPX1対応レンズとの組み合わせ時に有効
■耐低温仕様 動作保証気温-10℃~+40℃(動作時)
■大きさ 約125.3mm(W)×85.2mm(H)×49.7mm(D)
■質量 414g(付属充電池およびメモリーカード含む、アイカップなし)

OM製品比較表について

そのほかOM製品との比較表はこちら!
OM製品仕様比較表

製品外観

 OM-5にM.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4 PROを装着。OM-5とPROレンズシリーズの組み合わせはOM-5の画質を最大に引き出すためにも、強力な防塵防滴性能を活かすためにも理想的な組み合わせだ。

 そのなかでも開放F値4のM.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4 PROとの組み合わせは、OM-5のコンパクトなカメラボディとPROレンズでありながら、細身の鏡筒でとてもバランスが良い。(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4 PROの防滴性能はIPX1)

 OM-5ではカメラ正面のメーカーロゴが従来の「OLYMPUS」から「OM SYSTEM」に刷新された。これにより名実ともにリブランドされたといってよいだろう。

 なお、ここでは既に単体販売されているM.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4 PROを装着しているためレンズ鏡筒のブランド銘は「OLYMPUS」と記されているが、OM-5とセット販売されるM.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4 PROでは「OM SYSTEM」になるとのことだ。

 OM-5とE-M5 Mark IIIは見た目の形状もサイズ(約125.3mm(W)×85.2mm(H)×49.7mm(D))、質量(約414g)も全く同じであることから、共通の筐体であると考えて差し支えないだろう。

 カメラ上面のダイヤル・ボタン類の配置も変わっていないので、これまでE-M5 Mark IIIを使用していた人がOM-5に機種転換したとしても、戸惑うことなく操作できるはずだ。

 OM-5上面右手のダイヤル・ボタン配置。大きく判別しやすいモードダイヤルや、操作しやすい前後ダイヤルなどはE-M5シリーズ以来の伝統。シャッターボタンを前ダイヤルの軸に配置することでミニマムなレイアウトと良好な操作性を両立している。

 初代E-M5登場からE-M5 Mark IIIに至るまでのモデルでは少しずつレイアウトが変更されてきてはいるが、一貫してユーザーフレンドリーを優先したものとなっている。

 OM-5上面左手のスイッチ・ボタン配置。これもE-M5 Mark IIIから変わりない。大きめのレバースイッチは電源のON/OFF、前ボタンはドライブ設定、後ボタンはモニター表示切り替え設定が割り当てられているが、これまでのOM-Dシリーズ同様OM-5でもユーザーが任意の機能を設定することもできるようになっている。

 ユーザー設定の自由度の高さもOM-D/OMシリーズが得意とするところだ。ファインダー部横には視度調整用のダイヤル。

 OM-5背面のボタン類。十字キーを中心に各機能が割り当てられたボタンが並ぶ。カメラ本体が小さいので、グリップに手をかけたままでの操作には親指を大きく曲げるなどのコツが必要だが、ボタン配置はシンプルなので覚えてしまえば戸惑うことはないだろう。

 親指グリップの横にはFnレバーとAEL/AFLボタンが配置。初期設定ではFnレバーを切り替えることで前後ダイヤルの機能を[ダイヤル機能]で設定したものに切り替えることができる。

 倍率1.37の約236万ドット有機ELファインダーは精細感も高くコントラストも高め。スペック値ではE-M5 Mark IIIから変更はないが、筆者の感覚的にはより自然な描写に近づいている様に感じる。画面の明るさは自動もしくは手動での調光が可能。

 カメラ前面マウント左下部には、レンズの絞りを一時的に設定値まで絞り込むプレビューボタンが用意されている。撮影前に実際の絞り値まで絞り込むことで被写界深度によるピントの合う範囲を確認することができる。このボタンにも設定によりユーザーの好みの機能を割り当てることが可能。

 バリアングル方式を採用した背面液晶モニターは約104万ドット3.0型。静電容量方式タッチパネルを採用しているので指先でのタッチ操作が可能。

 メモリーカードスロットはUHS-I/ UHS-IIに対応したSDXCシングルスロット。スロットカバーには防滴用のゴムリングが装着されている。

 充電池はリチウムイオン充電池 BLS-50を採用。撮影可能枚数310枚。充電は同梱のUSBケーブルとUSB-ACアダプターF-5ACを使用して行う。給電には非対応。

 BLS-50はE-M5 Mark III、E-M10 Mark IVなどでも採用されている充電池と同じものなので、それらの機種で使用していた充電池もOM-5での使用が可能。ただしE-M1シリーズ用やOM-1用の充電池は使用できない。なお、リチウムイオン充電器 BCS-5は別売りとなっている。

 外部入出力端子部。上から3.5mm径マイク端子/リモートケーブル端子(2.5mm径ピンプラグ)/タイプD HDMI端子/マイクロUSB端子となる。

 HDMI出力は外部モニターへ映像とカメラ情報を表示させる[モニターモード]、外部レコーダーへ保存用の映像を出力する[記録モード]が選択できる。ただし、USB端子はUSB2.0 Hi-Speedと昨今の流れがUSB3.0対応のType-Cであることを考えると正直心許ない。

 OM-5では有線リモートスイッチRM-CB2とBluetooth接続ワイヤレスリモコン RM-WR1の使用が可能。RM-WR1はおよそ5mの通信距離範囲内でシャッターボタンの押下により静止画シャッターオン・動画撮影開始/終了の操作ができる。

 ただし同じくBluetoothでの接続となるスマートフォンアプリとの併用は不可。また、リモコンとカメラを付属のケーブルで接続することでピンジャック式(φ2.5)有線リモートスイッチとしての使用も可能だ。リモコンは防塵防滴仕様(無線接続時IP57)なので屋外でのネーチャー撮影などでも安心して使用できる。

 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4 PROを装着したOM-5。この組み合わせでおよそ670g。女性が手にしても持て余すことのないサイズでありながら、PROレンズとの組み合わせにより極めて高いパフォーマンスを発揮する。

 OM-5はコンパクトさを重視したことでグリップは最小限の大きさとなっている。それにより望遠レンズでの撮影では若干ホールド性に物足りなさを感じる場合もある。その様な場合には、専用アクセサリーのカメラグリップ ECG-5(E-M5 Mark IIIと共通アクセサリー)を組み合わせるとホールド性が大きく安定する。ECG-5にはシャッターボタンとコントロールリングも設けられているので操作性も大きく向上する。ただし、縦位置用シャッターボタンはない。

 また、ECG-5はバッテリーグリップのように充電池を追加して電力供給する機能はないため、充電池交換の際には、ECG-5を取り外した上でカメラ本体の充電池を抜き差ししなければならない。E-M5 Mark IIには専用バッテリーグリップが用意されていただけに、次期モデルでは復活してほしいアイテムのひとつだ。

高い基本性能はそのままで刷新された機能

 OM-5ではE-M5 Mark IIIおよびE-M1 Mark IIIに搭載されている有効画素数約2037万画素の4/3型Live MOSイメージセンサーが引き続き搭載されている。そのため基本的にこれらカメラ間において画質に大きな差は見られない。

 しかし画像処理エンジンはE-M5 Mark IIIに搭載されていた「TruePic VIII」からE-M1 Mark IIIと同じ「TruePic IX」へと刷新されていることで、撮影後の画像データの処理やリアルタイムでの効果シミュレーションなどストレスのかかる処理でも余裕を持った動作が可能となっている。それによりE-M5 Mark IIIでは対応されていなかった「手持ちハイレゾショット」や「ライブND」といったパワフルな機能が追加された点が大きな変化といえるだろう。

 有効画素数約2037万画素の4/3型Live MOSイメージセンサー。センサー(保護ガラス)表面に付着したゴミ・埃は30000回/秒以上の超高速振動のダストリダクションシステムにより弾き飛ばされる。これによりセンサーへのダスト付着による影の写り込みの心配はほぼ解消される。

 OM-5はその形状や重さ、カメラとしての性格などからOM-D E-M5系統の正統な後継機と考えて良いだろう。OM SYSTEMのラインナップのなかではミドルクラスとなるOM-5のコンセプトは「小型軽量と高画質の両立」である。それだけに基本画質の高さは折紙付だ。

 
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4 PRO(45mm)
■撮影環境:F5.6 1/400秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV WBオート 仕上がりモードVIVID S-AF 単写S-IS Auto

 PROレンズであるED 12-45mm F4 PROとの組み合わせ。コントラストも高めで画像中心部から周辺部まで極めて高い解像感である。

ISO感度の違いによる画質検証

 OM-5では高感度撮影時における画質も安定している。検証のために夜間の駐車場の様子を夜間撮影。ISO感度を基準感度の200から常用感度上限の6400、さらに拡張感度上限の25600までと、低感度相当のL64(ISO64相当)およびL100(ISO100相当)と1EV分ごとに変更し、撮影した画像の中央部を等倍で切り出し基準感度200の画像と比較した。注目点は路面グレー部のノイズと黄色く書かれた文字の精細さとする。

 200から1600まではまったく遜色もなく、躊躇うことなくこの感度域を選択できる画質だ。3200ではほんのわずかに暗部にノイズを感じるが200との見比べでなければ判らない程度である。6400になると暗部のノイズが増えるとともに文字のディティールが緩くなってくるが高感度撮影としては十分なレベルだろう。拡張感度の12800ではさすがにカラーノイズが目立つようになり文字や車のディティールが緩くなる。

 これらの結果から通常の撮影では200〜3200の間で自在に選択が可能、高感度が必須な撮影では多少の影響を承知の上で6400〜12800を選び、25600はどうしても必要な場合のみ一時的に使用するというように使い分けると良いだろう。一方、低感度拡張域のL100は基準感度の200と比べても遜色なく、L64ではほんのわずかにコントラストの低下が見られるも、意図的に感度を抑えた撮影を行いたい場合であれば積極的に選択したい。

ミドルクラスモデル初のライブND搭載

 OM-5ではE-M1 Mark IIIやE-M1X、OM-1などに搭載されているライブNDが、ミドルクラスのモデルとしては初めて搭載された。これは通常レンズに装着して使用するNDフィルターの減光能力を、デジタル処理によって擬似的に得ることができる機能だ。この機能は通常撮影時のシャッター速度での撮影画像を複数枚撮影、これをカメラ内で合成することでスローシャッターでの撮影時と同様の「ぶれ」効果を生み出すというものだ。

 たとえばISO200,F2.8でシャッター速度1/60秒に合わせれば適正露出となる明るさの場合、1/4秒のスローシャッターによる「ぶれ」効果を適正露出で得ようとすると、本来はND16フィルターをレンズに装着してカメラに取り込む光量を4EV分減光したうえで1/4秒のシャッター速度で撮影する必要があるが、OM-5に搭載されたライブND(ここではND16相当を選択)を使用すれば、レンズにNDフィルターを装着することなく1/4秒相当のシャッター速度で撮影が可能となり、同時にスローシャッターによる「ぶれ」効果を得ることができる。

 これは、実際には16枚連続1/60秒で撮影したもの(積算して約1/4秒間に相当)を、合成により明るさはそのままで、被写体の動きのみを重ね合わせることで1/4秒相当の「ぶれた状態」を再現するというものだ。

 波が寄せる海の岩場。通常1/60秒で適正露出となるところをライブND16(1/8秒相当)で撮影。動きのない岩場はそのままで、海面の波の動きだけをスローシャッターで撮影した時のように表現することができている。なおOM-5で設定できるライブNDはND2,ND4,ND8,ND16の4段階だ。ただし撮影モードはシャッタースピード優先モードもしくはマニュアルモードでのみ有効。あわせてISO感度上限は800まで、シャッタースピードにも上限(ND2:1/30,ND4:1/15,ND8:1/8,ND16:1/4)があり、さらにドライブ設定は静音単写のみといくつかの制限がある。

撮影スタイルを革新する手持ちハイレゾショットを新搭載

 E-M5 Mark IIIに搭載されていた三脚ハイレゾショットはOM-5にも引き続き搭載されている。これはカメラ内のイメージセンサーをセンサーシフト方式の手ぶれ補正機構を利用して、0.5ピクセル単位でずらしながら8枚の画像を撮影し合成処理することにより解像度を補完するというものだ。

 これによりOM-5では通常は約2037万画素(5184 x 3888)で記録される撮影画像を、最大で約8000万画素相当(10368 x 7776 RAW記録時)の画像として生成保存できるというものだ。

 同時にE-M1 Mark IIIやE-M1X、OM-1に搭載されていた手持ちハイレゾショットもミドルクラスモデルのカメラとして初めて使用可能となった。これは三脚ハイレゾショットと同様に、手持ち撮影時に瞬間的に連写した12枚の画像から、わずかに発生する被写体ずれを利用し合成処理することにより解像度を補完するというものである。この手持ちハイレゾショットでは最大約5000万画素相当(8160 x 6120 RAW・JPEG記録)の画像を生成保存できる。

 この手持ちハイレゾショットは撮影後に数秒間の処理時間を必要とするが、スポーツ撮影などの連写を必要とする撮影でなければ、ほぼ気にすることもなく撮影を進めることができる。もっとも、動きものの被写体では被写体ブレが発生するといった制限こそあるものだが、それよりも、これまでマイクロフォーサーズ機の足枷となってきた2000万画素の壁を大きく乗り越えることができるメリットは大きく、まさに革新的な技術といってよい。

■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II(75mm)
■撮影環境:F6.3 1/400秒 ISO200 絞り優先モード  WB晴天 仕上がりモードVivid S-AF 手持ちハイレゾショットIS Off

より安定した動作となったAFシステムと自由度の高いAFターゲット

 OM-5のAFシステムはE-M5 Mark IIIでも採用されていた121点オールクロス像面位相差AFを継承。撮像用の20M Live MOS センサーに埋め込まれた、位相差情報を取得できる121点のAFセンサーと TruePic IXの高速演算能力の組み合わせにより、さまざまな被写体において高い精度でのAFを可能としている。さらに顔優先/瞳優先AFもより高い精度と追随性を獲得している。

 AFエリアはオールターゲット(121点)、シングルターゲット(1点)、スモールターゲット(1点)、グループターゲット(5点)、グループターゲット(3×3点)、グループターゲット(5×5点)と、ユーザー自身で点数と移動ステップ数を設定できるカスタムターゲット(4パターン設定可)が選択可能。フォーカスモードはシングルAF、シングルAF+MF、コンティニュアスAF、コンティニュアスAF+MF、マニュアルフォーカス、追尾AF、追尾AF+MF、プリセットMFと、ミドルクラスとしては初めて搭載された星空AF、星空AF+MFのいずれかから任意のモードを選択できる。※

※詳細はメーカサイト参照

さらに強力になった手ぶれ補正

 OM-5に搭載された「手ぶれ補正機構」はボディー単体の補正効果としてシャッタースピード換算6.5段分の効果を持つ。これは単純計算にして1/125秒のシャッタースピードでの手持ち撮影時に手ぶれが発生する程度を、約0.8秒の撮影時でも得られるということになる。

 更にレンズ内手ぶれ補正機構が搭載されている対応レンズとの組み合わせでは、「シンクロ手ぶれ補正機能」の効果により最大で7.5段分の補正が可能となっている。ここまでの補正効果があるとなると、1秒程度の露光時間であれば手持ちでの夜景撮影も難しくない。

 OM-5では上記以外にも被写体を手前から奥までピントを合わせる「深度合成」、露出を変えながら撮影した複数枚の写真を合成することで暗部からハイライト部までの階調をひとつの画像で表現する「HDR撮影」、夜空の星の動きを輝線として一枚の画像に記録する「ライブコンポジット」など多くのデジタル処理機能が搭載されている。OMデジタルソリューションズではこれらの機能を総じてコンピュテーショナル フォトグラフィと呼び、新展開を始めたOM SYSTEMの一つの核となっている。

OM-5実写作例

■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6(9mm)
■撮影環境:F4.0 1/400秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV WBオート 仕上がりモードNatural S-AF 単写S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8(25mm)
■撮影環境:F2.0 1/1250秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV WBオート 仕上がりモードNatural S-AF 単写S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II(40mm)
■撮影環境:F5.6 1/800秒 ISO200 絞り優先モード +0.7EV WB晴天 仕上がりモードVivid S-AF 単写S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8(25mm)
■撮影環境:F1.8 1/640秒 ISO200 絞り優先モード +1.3EV WBオート 仕上がりモードNatural S-AF 単写S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6(9mm)
■撮影環境:F5.6 1/60秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV WB晴天 仕上がりモードVivid S-AF 単写S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II(70mm)
■撮影環境:F5.6 1/320秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF 単写S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6(9mm)
■撮影環境:F5.6 1/6秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV WB晴天 仕上がりモードVivid S-AF 単写S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6(9mm)
■撮影環境:F11 1/80秒 ISO200 絞り優先モード +1.3EV WB晴天 仕上がりモードVivid S-AF 単写S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0(12mm)
■撮影環境:F5.6 1/640秒 ISO200 絞り優先モード +0.7EV WB晴天 仕上がりモードVivid S-AF 単写S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO(11mm)
■撮影環境:F5.6 15秒 ISO200 マニュアルモードWB晴天 仕上がりモードVivid MF 静音単写S-IS Auto ライブND16
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO(8mm)+ KANI Light Pollution Reductionフィルター使用
■撮影環境:F4.0 15秒 ISO1600 マニュアルモードWB晴天 仕上がりモードVivid MF 単写S-IS Auto ライブコンポジット260コマ合成
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO(17mm)
■撮影環境:F16 1/125秒 ISO200 マニュアルモードWB晴天 仕上がりモードVivid S-AF 単写S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0(12mm)
■撮影環境:F2.8 1/400秒 ISO200 絞り優先モード +0.7EV WBオート 仕上がりモードNatural S-AF+顔認識 単写S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II(100mm)
■撮影環境:F5.6 1/200秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid 単写S-AF S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II(300mm)
■撮影環境:F6.7 1/1000秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid C-AF 静音連写L S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II(31mm)
■撮影環境:F5.0 1/25秒 ISO1600 絞り優先モード -0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF 単写S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II(14mm)
■撮影環境:F4.0 1/20秒 ISO3200 絞り優先モード +0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF 単写S-IS Auto
■使用機材:OM-5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II(14mm)
■撮影環境:F4.0 1/40秒 ISO3200 絞り優先モード -0.7EV WB晴天 仕上がりモードVivid S-AF 単写S-IS Auto

OMという哲学を次世代へと受け継ぐフィロソフィモデル

 OMデジタルソリューションズの新ブランド「OM SYSTEM」のロゴを纏ったOM-5は、ミドルクラスのカメラとしてE-M5 Mark IIIから正統進化したカメラだ。これまでE-M5系のカメラが目指してきたミラーレス一眼ならではの軽量コンパクトと高い基本性能の両立、そして過酷な環境に負けない強靭な防塵防滴・耐低音というタフさを併せ持ったカメラである。

 さらに、デジタルならではのコンピュテーショナル フォトグラフィを戦略的に前面に出すなどその攻撃力はとても高い。これまで革新的なマイクロフォーサーズ機を世に送り出してきたオリンパス(現OM SYSTEM)において、初代E-M5から始まった「5」の名のつくカメラは、開発理念を具現化したフィロソフィモデルである。このOM-5はOM-1と並び、かつてのフィルム一眼レフOMシリーズ開発者の哲学を、デジタルネイティブな次世代へと繋ぐ象徴的な役割を持ったカメラといえる。OM is Reborn,Now.

■モデル:夏弥(https://ameblo.jp/beautiful-summer12/

 

■写真家:礒村浩一
女性ポートレートから風景、建築、舞台、製品広告など幅広く撮影。全国で作品展を開催するとともに撮影に関するセミナーの講師を担当する。デジタルカメラの解説や撮影テクニックに関する執筆も多数。写真編集を快適に行うためのパソコンのプロデュースも担当。

 

関連記事

人気記事