OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0|超小型の単焦点広角レンズで撮る旅と日々

OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0|超小型の単焦点広角レンズで撮る旅と日々

はじめに

M.ZUIKO DIGITAL(以下MZD)ED 12mm F2.0は、2011年7月(ブラックモデルは2014年9月・限定モデルは除く)の発売で、マイクロフォーサーズ規格のレンズとしては初期の頃に登場した単焦点レンズのひとつです。金属外装の高い質感を誇る一方で手のひらにコロンと収まるほどの小ささが大きな特徴で、発売から今年で15年と長きに渡って多くの方に愛用されています。

その一方で、35mm判換算で24mmという画角の広さから使い方が難しい、という声を聞くことも少なくありません。どのような場面でどんな写真が撮れるのか、今回も旅と日々の写真を通してこの小型広角レンズをご紹介します。

 

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/6秒, -0.3段, ISO 400, WB オート, カラープロファイル3

35mm判換算24mm相当、広角の特徴を活かす

35mm判換算24mmという焦点距離は、最近では標準ズームレンズのワイド端として用いられていることも多く、全く未知の画角ではない、という方も多いのではないでしょうか。しかしながら広角は色々なものが写り込むがゆえに雑然としてしまい、後で見返して「何が撮りたかったのか自分でもわからない」といった写真になりやすいことも否めません。その一方でレンズの特徴を知り、うまく活かすことでインパクトのある写真が撮れて撮影が楽しくなるレンズとも言えます。

広角はまずなんといっても画角の広さが大きな特徴ですが、被写体へのアプローチの仕方によって写真の印象が変わります。台湾の寺院(廟)でずらりと並んだランタン。正面からシンプルに撮影したものと、下から見上げる角度で撮影したもの。さらに下から見上げつつ、ランタンに近寄ることで、全て同じ大きさのランタンなのに手前のものが大きく、奥のものは小さく写ることで遠近感が生まれました。同じ被写体でもアングル、アプローチによって随分と印象が変わることがわかります。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/200秒, +0.3段, ISO 500, WB 4000K, カラープロファイル2
■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/250秒, +0.3段, ISO 500, WB 4000K, カラープロファイル2
■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/400秒, +0.3段, ISO 500, WB 4000K, カラープロファイル2

広角の特徴としてレンズに近いものは大きく写り、遠くのものは小さく写ります。これにより、被写体に対峙した際の奥行きの有無によって写真の遠近感が随分と変わります。奥行きのある場面では遠近感が強調されますが、奥行きのない場面ではペタンとした平面的な写真となること、また被写体の大きさや距離感によって、同じレンズであっても随分と印象の異なる写真となることがわかります。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F4.0, 1/400秒, -1.0段, ISO 400, WB 曇天, ドラマチックトーンⅠ(アートフィルター)
■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/1250秒, -0.3段, ISO 200, WB 5800K, カラープロファイル2
■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/50秒, -0.3段, ISO 800, WB 5800K, カラープロファイル2

縦構図では、下層階と上層階で建物の平面積に差のないビル(高さ173m)も、近づいて見上げることで下層階が上層階よりもずいぶんと広く感じられます。広角では遠近感が強調されるとともにモノの形に歪みが生まれることも特徴のひとつです。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F5.6, 1/25秒, 0段, ISO 640, WB 6400K, カラープロファイル2

広角レンズは空を広く撮りたい星景撮影にも向いています。大自然とはあまり縁がなく、また日頃クルマに乗らない筆者は基本的に近場の都市圏での撮影となってしまいます。ここで有難いのがOM SYSTEM機に搭載されている、夜景と星の両方を一度に撮ることのできるライブコンポジット機能。今回は終電を気にせず撮れる自宅近くで撮影してみましたが、北極星よりもかなり高い位置の星まで捉えることができました。(この時間、飛行機が通らなかったことが幸運でした!)

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F8.0, 6秒×600コマ(ライブコンポジット), ISO 1600, WB 4000K, Vivid, 三脚使用

大口径F2.0のポテンシャル

本レンズの開放絞りはF2.0。なんといってもまず暗所での撮影時にその威力を発揮してくれます。ひとつ前の記事でも触れましたが、台南の市場で2階に案内されたのですが、ここがとにかく暗い!まだ午前中だというのに電灯がないとほぼ真っ暗で、スナップ撮影的には非常に厳しい環境でした。一般的なズームレンズだとかなりISO感度を上げなければならないところですが、そんな環境下でのF2.0は非常に有難く、カメラ本体の手ブレ補正を信じて手ブレを気にせず手持ち撮影することができました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/40秒, -1.3段, ISO 640, WB 晴天, カラープロファイル4

寒波到来後の旧宿場町は、豪雪地帯とあってかなりの積雪があり、日中から夜にかけてスナップして歩きました。ただでさえ雪で道路幅が狭くなっている上に案外交通量もあり、三脚は使えそうにない中でも明るいレンズだと安心して手持ち撮影ができます。それにしても除雪のありがたさを実感した日でした。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/30秒, -1.0段, ISO 1000, WB 5000K, カラープロファイル4

こういった場面では絞りは絞ることが多いですが、開放のF2.0で撮影。画面右上と左下が空と雪で白いですが、レンズの周辺減光によって暗くなることもなく、明るさが保てていることがわかります

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/200秒, +0.3段, ISO 800, WB 11600K, Natural

台湾の人気おやつ、さつまいもボールを購入。画角が広いと背景も広く入るため、購入した屋台を背景に入れつつ、夕方で薄暗くなりかけていたこともあり絞りは開放で撮影。最短撮影距離が0.2mと近いことから手に持った被写体でもしっかりピントを合わせることができます。レンズの特性として、同じF値でも広角の方がボケにくいことから、F2.0でも背景の雰囲気や大まかなディテールがわかる1枚となりました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/320秒, +0.3段, ISO 200, WB 日陰, カラープロファイル2

手軽にパンフォーカス撮影が可能な「スナップショットフォーカス機構」

本レンズはピントリングをカメラ側にスライドさせるとMF(マニュアルフォーカス)になるとともに、距離指標が現れる「スナップショットフォーカス機構」が搭載されています。このMF状態でピントリングを回し、被写体までのおおよその距離を設定することでその距離にピント位置を合わせることができます。この時に絞り値を自分で設定できるAまたはMモードで絞りをF8〜11程度に設定し、ピントリングを回して距離を2m前後に合わせると、広角ゆえの深い被写界深度を活かした手軽なパンフォーカス撮影が可能となります。自分の感覚でピントの距離を決められることが魅力であり、フィルム時代のレンズを思わせる操作感も楽しめます。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F8.0, 1/50秒, +0.3段, ISO 800, WB オート, カラープロファイル2
■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F8.0, 1/50秒, +0.3段, ISO 800, WB オート, カラープロファイル2

旅と日々の広角スナップ

最後に旅と日々での広角スナップをご紹介します。

台北から台南まで、台湾の新幹線で移動しました。台中を出てすぐの光景ですが、河川敷ということもありフラットな景色に広さを感じられる場面ですが、手前から奥に伸びる高速道路が遠近感を強調してくれています。咄嗟の撮影で水平が保てていませんが、ここではそれゆえに動きが感じられます。小型軽量の本レンズは旅先での広角レンズとしても活躍してくれました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F5.6, 1/640秒, +0.7段, ISO 400, WB オート, カラープロファイル2

夜の台南をスナップして歩く中での1枚。飲食店の店頭でオーダーののちに店先の歩道に設置された客席でいただくシステムゆえ、まるで店内を横切るような形で歩道を歩く途中でパチリ。仕上がりにアートフィルターのドラマチックトーンを選ぶことで暗部が持ち上げられて隅々まで描写することができました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.2, 1/400秒, -1.0段, ISO 400, WB オート, ドラマチックトーンⅠ(アートフィルター)

店先になんとも印象的な巨大なブタがいました。この目力を活かすべく、お店に入る人が現れたタイミングを見計らってローアングルで撮影。広角ゆえに大きなブタの迫力を伝えつつ入店する人の姿までを画面に収めて「入店する人をジロリと眺めるブタ」を撮ることができました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/640秒, +0.3段, ISO 200, WB 5600K, カラープロファイル2

広角でのスナップでは、撮りたい被写体に「プラス1(ワン)」がポイントになってきます。台湾らしい、統一性があるようでない郵便受けが並んだ壁面に惹かれたものの、あとちょっと何かないかな……というところで、そばの路地をこれまた台湾らしいともいえるスクーターが通ることに気付き、タイミングを待って撮影しました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.8, 1/200秒, 0段, ISO 640, WB オート, カラープロファイル2

車は通れなさそうな狭い路地裏でも、35mm判換算24mm相当の広角であれば自分の立ち位置・画角ともに余裕を持って咄嗟のスナップにも対応することができました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F8.0, 1/25秒, 0段, ISO 800, WB 5600K, カラープロファイル2

台南で評判の粽(ちまき)を買いに出かけました。合わせて注文したスープができるのを待つ間の一コマ。広角ゆえに奥の店内の様子も伝わる1枚となりました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/80秒, -0.3段, ISO 400, WB オート, カラープロファイル2

とある神社への参道を上る際に、階段を見上げると正面に太陽があったため、絞りをF11まで絞り、光条を出してみました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F11.0, 1/100秒, 0段, ISO 400, WB 5600K, カラープロファイル2

風がなく水鏡に映る夜景を手持ちで撮影。F2.0というレンズの明るさと35mm判換算24mm相当という広さが活躍してくれた場面です。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/80秒, -0.7段, ISO 1250, WB オート, ドラマチックトーンⅠ(アートフィルター)

道端に置かれた謎の物体ですが、周囲の植物と相まってとても可愛らしく感じられました。最短撮影距離の近さを活かして近づいて撮影したところ、実物は手のひら大程度の大きさながらとても存在感のあるものとなりました。被写体との距離が変わるだけでこれほどまでに写真の印象も変わります。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/125秒, -1.0段, ISO 200, WB 晴天, カラープロファイル2

まとめ

私自身、以前は広角でのスナップ、ましてや焦点距離の変えられない単焦点レンズでの撮影は難しく感じていた時期もありましたが、特徴を知り、コツを掴むとむしろ楽しくなる、それを教えてくれたのが本レンズでした。

実は昨年末の台湾旅は本レンズと、ひとつ前の記事のMZD 25mm F1.8 II、望遠レンズとしてMZD 40-150mm F4.0の3本のレンズを持参していたのですが、旅レンズとしてとても使いやすいラインナップでした。本レンズはとにかく超小型ですし、単焦点好きな方であれば広角域の撮影にぜひおすすめであり、常にカバンの隙間にきゅっと詰めておきたいレンズです。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0, 1/125秒, -1.7段, ISO 400, WB オート, ドラマチックトーンⅠ(アートフィルター)

 

 

■写真家:クキモトノリコ
学生時代に一眼レフカメラを手に入れて以来、海外ひとり旅を中心に作品撮りをしている。いくつかの職業を経て写真家へ転身。現在はニコンカレッジ、オリンパスカレッジ講師、専門学校講師の他、様々な写真講座やワークショップなどで『たのしく、わかりやすい』をモットーに写真の楽しみを伝えている。神戸出身・在住。晴れ女。
公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員

 

関連記事

人気記事